読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
現実世界のゲーム実況が神々の声として聞こえるようになったジーク。神託を通じ婚約者リーゼロッテが【ツンデレ】だと知った彼は、その可愛さに悶え、誓った。
――彼女の命を奪う元凶【古の魔女】を許さない。
しかしその討伐のため、神託に従い国の最高戦力を集めたはいいが、婚約者本人まで戦う気満々なのはなぜなんだ……?
遂にバッドエンドの黒幕と直接対決! ゲーム実況が導く先に不遇な悪役令嬢のハッピーエンドは訪れるのか……!?
大人気WEB小説が、大幅改稿&新規シーン追加でついに完結!!
このエンディングを見逃すな!(Amazonより)
大団円、完全無欠のハッピーエンド!!
戦力を揃えて、いざ最後の戦い! と思ったらあっさりな展開で拍子抜けしましたが、それがこの作品らしいといえばらしいかもしれない。いやでもツッコミがあったように戦力がオーバーキルレベルだったよね!笑
いろんなカップルが成立していて本当に楽しかったのですが、感無量だったのはリーゼロッテの声が届いたとき。こんなにいとおしんで、大事にしたキャラクターが、頑張ってと声を届けてくれるところ、ぐっときました。最後にちょっとだけ顔も合わせられて……本当に、完璧なハッピーエンドでした。拍手!
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彼氏がいるのに、別の人にも好意を寄せられている汐梨。バイトを次々と替える翔多。絵を描きながら母を想う新。美人の姉が大嫌いな双子の妹・梢。才能に限界を感じながらもダンスを続ける遙。みんな、恥ずかしいプライドやこみ上げる焦りを抱えながら、一歩踏み出そうとしている。若者だけが感受できる世界の輝きに満ちた、爽快な青春小説。
短編連作。前の短編に登場した人物が次の作品に登場する形。
大学生たちが何かになろうとして、なれない現実を知りながら、どうしても諦めきれない……というような焦燥を感じました。将来への不安が漏れ出ていて、正直当時の自分を思い出して吐きそうでした。社会に出てみればそれはそれで吐くんですけれど、慣れたらなんてことないんですよね。ちょうどこの、大学生の時期が一番、どう動けばいいのか、折り合いがつければいいのかわからなくてもぞもぞしてしまう。
浅井さんの、女子の見方が、悪意があるわけではないんですが非リア感を感じてちょっと笑ってしまった。あるあるなんですけど、書いちゃうかーみたいな。男性から見た女子大生の姑息さと不器用さがにじんでいるようで。
「本屋になりたい」という気持ちのままに東京の巨大新刊書店から沖縄の小さな古本屋へ。この島の本を買取り、並べて、売る日々の中で本と人のあいだに立って、考えたこととは。(Amazonより)
新刊書店の店員だった著者が、沖縄で古本屋をやっている。扱う本のメインは沖縄のもの。
沖縄における本、その他物流の問題を踏まえて、沖縄の古本屋が持つニーズが実体験を元に書かれていて面白いなあと思いました。ふらっとやってきたおじさんが「これ俺の本。売ってよ」と言って、実際にそれを売るって古本屋さんじゃないとできないし、地域性もあると思うんです。そういう、日本のどこかにある、誰かが求めている本屋さん像が読んでいて楽しくて、心地よかった。
王太子であるジークは突然聞こえた神の声に困惑した。
神曰くジークの婚約者・リーゼロッテは【ツンデレ】で、【破滅】を迎える【シナリオ】らしい……?
彼女のキツめの言動は、全て照れ隠し!? 神が解説する彼女の本心が可愛くて一人悶えるジークは、知る由もなかった。
実は神の正体が、ゲーム実況をするただの高校生だと……。
神託(※ゲーム実況です)を頼りに婚約者を救え! 隠したい本音がダダ洩れな悪役令嬢、バッドエンド回避なるか!?(Amazonより)
コミカライズの広告が気になっていたんですが、原作の方、読んでみました。
現実世界で遠藤くんと小林さんがゲームをやっていると、その声がゲーム内キャラクターの主要人物である王子ジークに届いてしまった。それを神の声として、リーゼロッテのわかりにくい(?)ツンデレ言動を改めて解説されることで、ジークは婚約者の可愛らしさと不器用さに悶絶し、また理解を深めたことで彼女が振りまく周囲への誤解を解く。
こういう形で説明という手法が取られるのかあ、と感心しました。ツンデレって、理解できれば結構わかりやすいものだと思うんですけれど、知らない人から見れば何この人、言い方きつくない? ってわけで。遠藤くんと小林さんのおかげで、ジークのみならず周りの攻略キャラクターも、そして読者も、リーゼロッテにめろめろです。
1巻内でちょこちょこ伏線らしきものが見えるので、2巻で明らかになるのかなあ。そうだよな、フィーネのカンスト状態ってそういうことだよな。その辺りの謎が明かされるのが楽しみ。
婚約者の王太子セシリオに、避けられるようになった侯爵家令嬢ロザリンデ。彼の側には、聖女のようにもてはやされる令嬢の姿が。これって、事実上の婚約破棄ですよね? その顔立ちのせいで高慢令嬢に誤解されやすいロザリンデは、王都を去り愛する竜たちの待つ故郷に向かうことに。もう政略結婚相手に恋なんてしない。私には竜を溺愛する自由な日々が待っている! ——はずが、竜の略奪事件が発生して!? 竜好き令嬢のドラゴンラブ!(裏表紙より)
竜の生息地を領地に持つ令嬢は、政略結婚の相手として王子と縁組をしていたが、ある日王子が心変わりし、竜を敵とみなす国教に近しい可憐な娘を側に置くようになる。これは婚約破棄? もともと顔立ちのせいで評判が悪かったロザリンデは、婚約破棄を知らせに領地に帰るけれど……というところから始まる、結構国や宗教や権力が絡んだファンタジー。
ロザリンデがずっとずっとセシリオのことを考えているので、復縁か? と思ったら、そういう展開かあ。『悪役顔令嬢』でこの展開はなかなか意外でした。そう思うとみんな婚約破棄すると結構スパッと次に行く人が多いんだな、と思ったり。
中盤から疲れてきているような文章になっていますね……。体言止めと台詞の省略が多くなってきた気がします。終盤の展開が早いだけに気になりました。
「契約する。私に飼われなさい」「愛するようにお仕えしよう、お嬢様」絵画好きな伯爵令嬢リズは、叔父の雇った画廊臨時管理人ジョンに「あんたをくれ」と告げられる。しかし、それは愛や恋でなく、リズが持つ絵画に潜む悪魔を見抜く『至聖の目』が欲しいから。実は悪魔のジョンに、契約を迫られたリズが出した答えは-——自分が悪魔を飼うことだった!?
型破り令嬢と毒舌悪魔の絵画を巡るラブファンタジー!(裏表紙より)
妙なものが見えることに怯えられたことで実家から離れて育ったリズは、年頃になったので呼び戻され結婚相手を選ぶよう母に言われていた。しかしリズの興味は幼い頃の思い出と叔父の影響で絵画に向けられている。するといつもなら見えなくなっていたはずのおかしなものが叔父の画廊で見えるようになり、さらには謎の画廊臨時管理人の秘密も知ってしまい。
象徴と芸術についてのうんちくがたいへん楽しそうだなあ笑 という印象でした。絵画を読みとくシーンになるとリズの関心がぐっとそちらに向くせいかとたんに物語のテンポが変わる。
生きるのが不器用なヒロインが人外のものをめろめろにするのは糸森先生のフェチズムを強く感じます。謎解きはされるものの、リズとジョンの関係が駆け足にまとめられてしまっているのは次の巻でどうにかなるのかなあ。
いじめを「いざこざ」と言い張る学校、責任回避に専念する教育委員会、不可解な第三者委員会——無責任な大人たちが被害を加速させている。SNSの普及で深く潜り込み、巧妙化する現代のいじめに、私たちができることはなにか。6000件超の相談を無償で受けてきた探偵がもう一人も犠牲者を出さない、という決意のもとに、本気で対策を考える。(カバー折り返しより)
すごく興味深かった。2020年4月の本なので最近のいじめ問題(兵庫県の教諭間のいじめ問題とか)にも触れつつ、著者が接してきたいくつかの相談と、学校や教育委員会、第三者委員会の実態について書かれていて、そんなことになっているのか! と目を開かされる内容だった。
著者は「いじめ探偵」で、いじめ被害者に頼まれていじめの実態を調査し、関係者に聞き取りを行い、証拠を集め、被害者が望む対応がされるよう学校に求めるという仕事をする。隠蔽体質の学校や教師に憤ったことも数多かろう……と思わせる内容で、読んでいてすごくがっくりきた。なんらかの対策を講じている人物や学校のことにも触れているのでそれが救いだったかな……。
金星特急の旅から八年、横浜で経営するバーを人に任せ、当時お世話になった面々を訪ねる旅に出た錆丸。月氏の幕営地で無名の赤子と初めて顔を合わせ、北極圏の村で夏草の母の墓を建て、最後に辿り着いたグラナダで先行していた砂鉄とユースタス、さらに愛娘・桜と合流する。この旅は、七歳になった桜に母親である金星について教えるための旅でもあった。初めて父と離れ、世界を巡った桜は何を見たのか——? 大人気小説「金星特急」番外続篇集!!(裏表紙より)
世界を賭けた恋の果て、娘を連れ帰った錆丸。かつての仲間たちとの縁は切れないが、母親がいないことに悩み始めた桜のために彼女を旅に出した。表題作「花を追う旅」。
大きくなった桜にパパ&おじさんたちがお節介する「武力とお菓子」。
桜が能力を秘めていることが予感される、続編への布石「柔らかい繭」。
どれも変わらずキャラクターが生き生きしていて、旅の終わりと新しい始まりを感じさせる番外編、とても楽しかった。
特にユースタスと砂鉄の手作り結婚式が見られて感無量。誓いの言葉も二人らしくてにやにやしました。挿絵がいい仕事をしていた。
続編がますます楽しみになりました。
搦め捕られるようにグレイとの婚約が成立し、彼の屋敷で暮らすことになったメリッサ。『悪魔』の異名を持つグレイがこんなに熱烈なのは、メリッサの胸に執着しているから。分かっているのに、強引に抱きすくめられて甘い囁きと濃密な愛撫を与えられると、身体は蕩けてしまう。そんな時、グレイはメリッサを伴わずに舞踏会へ参加するようになり……!? (裏表紙より)
豊満すぎる胸をコンプレックスに思っていたメリッサは流行遅れのドレスを胸を押しつぶして参加した結果、気分を悪くし、悪魔侯爵グレイに助けられる。手当のせいで胸のことを知られてしまったが、その結果メリッサの胸を「理想だ」と言ってグレイは強引な手段で婚約を成立させる。
コンプレックスが愛され要素に変わり、強引な婚約にも関わらず大事にされ……とTLヒロインならば簡単に恋に落ちてしまう絶妙な距離感のヒーローだなあ。紳士的なのにだいぶと雄っぽいのが面白いしちょっと可愛い。
錦糸町、川崎、上野、大阪、呉、六本木。日本各地の旧軍都に発生すると言われる「裂け目」。かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現代に蘇る。鮎観の一族は代々、この「裂け目」を封じ、記憶の化身たちと戦う“力”を持っていた。彼女と同族の遼平もまた同じ力を有した存在だった。愛し合い結婚した二人だが、息子を授かったことから運命の歯車は狂い始め——。直木賞作家の真髄を味わえる、魅惑の幻想ファンタジー。(裏表紙より)
裂け目から生じる何かと戦う三人の連作小説。この世界のどこかに常に異界があって、戦っている人たちがいて、すべての始まりと終わりがすぐそこに迫っているという終わり方は実に恩田陸作品らしい。
根本的な何かが変わったわけでも、現況を倒したわけでもないのに、最後「六本木クライシス」に感じたわくわく感が何かに似ているなと思っていて、ああそうだ「劫尽童女」だなと思ったのでした。ここから大きな物語が展開するのかなあ。この一冊では物足りないけれど久しぶりに恩田陸成分を摂取して満足しました。