読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

風の精霊の加護を受ける“調停者”一族「ユルドゥス」の青年・リュザールは、
都からの帰路、羊飼いの少女・アユと出会う。
ワケありな彼女を見かね、一族の遊牧地に連れ帰ると、
なんとそのまま二人は結婚することとなり、思いがけない新婚生活がスタート。
乳製品を作り、絨毯を織り、料理に洗濯…大忙しでも賑やかな遊牧生活。
故郷では虐げられ生きてきたアユは、ユルドゥスの文化に戸惑いながらも、
リュザールとの暮らしのなかで、次第に生きる希望を見出していく光を取り戻していく--。(Amazonより)
親族に売られた少女アユを連れ帰った調停者の一族の青年リュザール。なし崩しに結婚することになったけれど、よく働き、料理などの家事をまめまめしくこなす彼女に次第に惹かれていく。アユもまた虐げられていた己をリュザールとの暮らしで癒していく。
初々しい二人の日々。かわいいなあ。アユがすごい才能の持ち主というのが気持ちいいですね。遊牧民の生活は本当にずっと働いているもので、そこで出てくる料理の美味しそうなこと。
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見つけたよ、僕らの居場所を。カラマツの葉が金の雨のように降り注ぐ地に、それはある。なんだか風変わりな才能を持て余してる僕らを、特別能力期待生として受け入れ伸ばしてくれる場所、それが寄宿舎水光舎。不安で、自信がなくて、何者にもなれないのじゃないかと怯えるいくつもの夜を越えて、僕らはここで自分というものを手に入れられるのだろうか? 青春小説の新たな収穫!(裏表紙より)
いい内容紹介文だなあ。居場所を探し、何者になれないかと怯える僕らの物語。春夏秋冬、四つの短編。主人公はそれぞれ別ですが、不思議系の異能か大人顔負けの技術力を持っている少年少女たちの、季節の一つだけを過ごす特別な学校での出来事が綴られている。成長物語だったり恋愛だったり謎解きだったり冒険だったり。それぞれ違っていて面白かったですが、「サマー・スクール」の女子の結託が読んでいてわくわくしてしまいました。お話そのものは少し悲しくもあるんですが、特別な場所で仲間同士協力し合うというのはやっぱり楽しいな。

「俺の妻になれ」
英国淑女のジョアンナを見初めたのは異国の絶対君主!
浅黒い肌に凜々しい顔つき、逞しい身体。
民のために働くスワダーオに力強く抱きしめられて、
荒々しいキスを受けると気分は最高潮に!
舌で敏感なところを刺激され、雄々しい楔を下腹部に埋められる快感。
激しく愛される喜びを知り、妻として彼を支えようと決意して――
異国情緒溢れる濃密なエロスラブ!(Amazonより)
内容紹介がものすごく情緒がなくて笑ってしまった。
「王様と私」を下敷きにした、インド風の国の王とイギリス女性のラブロマンス。外国人であること、文化の違いがあることにわかりやすさを加えた内容で、とても読みやすかったし面白かった。異国の地で、淑女ながら生き生きとしているジョアンナが素敵でした。
願うならもう少しジョアンナの賢さを見せてほしかった気がしますが、その分王妹ポーリスが魅力的だったからなー。

理想のお風呂を作りたい――風呂をめぐるOL物語! 天天コーポレーション研究所の受付嬢、砂川ゆいみは風呂が大好き。銭湯で失恋の痛手を癒しているときに、入浴剤開発員の鏡美月と知り合ったことから、モニターに抜擢される。美月は営業部の円城格馬とともに、バスタオルと水着に身を包み、今日も理想の風呂を目指して研究に励む。ゆいみ、美月、格馬ははたして理想のお湯を作れるのか!? 本邦初!? OL風呂小説!(Amazonより)
『これは経費で落ちません!』の前日譚。受付のゆいみと、入浴剤開発室の美月を主役に、風呂と入浴剤と恋についてのどたばた劇。淡々とした文章なのに美月と格馬がだいぶとずれていてここだけギャグっぽくて笑ってしまった。なんだこのとことんずれた二人は。大丈夫か!笑
経費で気になっていたゆいみや美月の人となりがわかって楽しかった。ゆいみ、思っていた以上にいい子だったなー。

京都は左京区、哲学の道にほど近い公園で。何かと不幸な体質の野崎芹は、やむなき事情で住処をなくして途方に暮れていた。そんな彼女に手を差し伸べたのは、通りすがりの陰陽師・北御門皇臥。なんと彼の式神が視えた芹を、嫁に迎えたいということで……!?
破格の条件につられ仮嫁契約を交わす芹。ところが皇臥は式神以外の能力がない、ぼんくら陰陽師だった! 怪奇事件にも逃げ腰で、悠々自適の生活のはずが家計がピンチ。ここに芹はプロの嫁として、立ち上がることを決意するのだった——退魔お仕事嫁物語、開幕!(裏表紙より)
仮初めの結婚と陰陽師。陰陽師はあんまり術者らしくないのですが、式神たちがとにかく可愛いあるいはかっこいい。あと人間は怖いけれど強いなと芹を見て感じました。
芹と皇臥のやりとりがすごく自然で心地よくて、微笑ましい。距離を縮めるやりとりってぎこちなさが出てしまいがちなのに、すごく日常の会話っぽく駆け引きしているように感じられて面白かった。ちょっと踏み込んだ台詞を口にしたときの気取った感じとか緊張感がすごくリアルで、この二人が進展していくのをもっと見たいと思いました。

名ばかりと噂の第15代王・韓眞を新たに迎えた太陽宮に仕える宮廷女官の李明花。没落した一族に頼らず、持ち前の明るさで女官最高位への大出世を目指すが、上司に目の敵にされていた。そんな時、宮中で美麗な武官に出逢い、奇妙な取引きに応じてしまう。すると翌朝“承恩尚宮”―王の側室候補になるよう命じられ、王の秘密に迫ることに!?嫉妬と陰謀が渦巻く宮廷で少女の決意が国の歴史を変える―運命の韓流ファンタジー!(Amazonより)
おおーおもしろー!! 韓流な世界観の少女小説、めちゃくちゃ相性がいいなあ!
没落した元貴族階級の少女は、針の腕で出世を目論み、上役の冷たい仕打ちに耐えながらも日々を過ごしていたある日、お飾りの王と出会い、側室候補に任じられる。実権を握る大王大妃からこの国を取り戻すためには彼女の力が必要で。
細々としたディティールが世界観を表現していてすごく面白かった。ミョンファがすごくいい子で、貴賎や自らの振る舞いについて考え込むところなんかも葛藤が描かれていてすごく感情移入しやすかった。あと政争に敗れた人間は悲惨に処罰を受けるのは、勧善懲悪ですごくわかりやすい。
ミョンファがどうやって正妃になるのか知りたかったけれど、続きはないんだな……。
とても面白かったです。

女王陛下の青い薔薇が見つかり、緑竜王国とも和解の道を歩みつつある光竜連合王国。元ローズベリー青伯爵のアッシュはアンと結ばれ、屋敷の者たちもまた夢を叶えようとしていた。みんなが幸せになる、その欠片のお話。
大団円! 拍手! これが読みたかった!!! というエピソードが詰まっていました。
ベンとシドニーとカラとノラ、オリーブとサイモン、ナッシュとリアノン、そしてプリムローズとオウァイン。さらにはケント白公爵夫人ロザリンドと帰ってきたローズベリー青伯爵サイモン。みんながいいところに収まって、本当によかったよかった。
船上の夜でのアンの怒ったところが、本当にもう可愛くて可愛くて。これはアッシュもめろめろだなあと思いました。仲良しで何よりです。楽しい番外編でした。

秘密を抱えるアッシュ、そして執事のアン。借金はなんとかなり、少しずつ暮らし向きが楽になるローズベリー青伯爵家だったが、女王暗殺未遂の容疑者としてアッシュが捕らえられてしまう。そして明らかになる女王の求める青い薔薇の真実とは。
ややこしい! 家系図! と思ったら巻末に載っていた。歴史の影にかなり犠牲になった人がいたり、信仰が踏みにじられたりしたのだと思うと手放しで喜べないのですが、みんなが正しい居場所に戻れたり、選べたりすることはいいことだと思います。
アンとアッシュがお互いに好意を持つ過程をもっとじっくり読みたかった。アンはアッシュのどの辺りがよかったんだろう。優しい(思い込みも含めて)部分だけではちょっと物足りない気がする。

青伯爵家を受け継ぐ者として見つけ出されたアッシュ。孤児院にいる彼を見出したのは、執事のアン。借金だらけの伯爵家に、青い薔薇の謎、そして”アッシュ”自身の謎に加えて、アンは実はアンジェリカという名の女の子。秘密と謎だらけの物語の結末はいかに。
開幕、という感じの謎ばらまきな一巻め。借金だらけの伯爵家にやってきた新当主のアッシュと、男装の執事アン。そのほかもわけありな使用人たち。腹に一物抱えた貴族たち。もう何かない方がおかしいでしょうという内容です。
アッシュが変だな? やっぱり変だ! というのをさらっと書かれてしまって、結局なんなんだ続きが気になるぞ! という終わり方。アンのこともほとんど触れなかったし、これから怒涛のように明かされるんだろうか。続きが気になる。
ところで、和泉さんの本って、読み始めがすごくしんどい。『姫君返上!』のときも思ったんですが、見開きの印象が非常に読みづらい。読み進めていくとそうでもなくなっていくんですが、なんでなんだろう。

「嫁いできてくれ、雪緒。……花の褥の上で、俺を旦那にしてくれ」
幼い日に神隠しにあい、もののけたちの世界で薬屋をしている雪緒の元に現れたのは元夫の八尾の白狐・白月。突然たずねてきた彼は、雪緒に復縁を求めてきて——!? ええ!? 交際期間なしに結婚をして数ヶ月放置した後に、私、離縁されたはずなのですが……。
薬屋の少女と大妖の白狐の青年の異類婚姻ラブファンタジー。(裏表紙より)
おおー美学の世界だなあ! 糸森さんの書きたいものやこれが面白いでしょうという要素がいっぱいに詰め込まれた和風もの。しかも甘いだけじゃなくて怖い。ホラー要素めいた民俗学的なものもあって、あと「嫁」は「夜女」という意味で、という言葉のあれそれが好きな人にはたまらない世界観だと思いました。
ここに異類婚姻譚のときめきと怖さが入っていて、面白すぎる……と唸ってしまった。会話のテンポや次から次へと起こる事件という緩急が独特で。最後の種明かしが、雪緒自身が「こういうことなんだろうなあ」と思うに止まったのがちょっと残念だったのですが、とても楽しく読みました。