読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

田舎領主のレナルドは、たいそう焦っていた。結婚相手がみつからないのだ。19歳で長身の男前、しかし特に財産が多いわけでもなく、極度の恥ずかしがり屋で一見無愛想とあっては、嫁いでくれる物好きなどいない。さらにレナルドには、月夜に狼に変身してしまうという秘密まであった。一縷の望みをかけて顔を出した王都の夜会で、ついにレナルドはメレディスと名乗る貴族令嬢と出会うのだが…!?(Amazonより)
ふわふわ、あっさりな可愛らしい恋愛ものでした。
狼化しているときは尊大かつ素直なのに、人型になった途端口下手で無愛想になる不器用な伯爵様と、ふわふわ柔らかで心優しい、変わり者ゆえに結婚相手が見つからないご令嬢。最初から結婚することがわかりきっている二人の恋は、ほのぼので可愛い。
ところで、江本さんのくせなのかな、料理とか薬草について書かれるときにどこかで見たような文(たとえば別作品で書かれていた似たような箇所)だなあという印象を抱いてしまいました。加えて周囲の反応に同じような感じなので……。他の作品がどうなってるか気になる。
PR

世界を救うハルコ。
ぼくは君に何ができる?
5年前、遠夜の隣に引っ越してきたハルコは特異体質をもつ少女。数十キロにわたり花粉を消滅させるかわりに自分には猛毒となるため、宇宙服のような防護スーツを着けなければ外出ができない。通学は遠夜がサポートを続けるなか、事故が起きる。それはクラスメートを巻き込む事件に発展するのだが。——世界を敵に回してもハルコを守りたい、と願う17歳の決意が迸る圧倒的青春小説!(裏表紙より)
比喩的な、象徴的な話だった。その人に見える世界はその人だけのものという感じ。当事者を置き去りにして過熱する周囲が怖いし、その中で遠夜が最後まで冷静だったのはハルコと生きる覚悟をしているからなのかなあ。学校とかその町とか狭い世界じゃなく、もっと広い世界で、ハルコとどうすれば一緒にいられるかを考え続けているからかもしれない。

元暗殺者の少女ティエサと第二王子であるキアス、恋人同士になったばかりの二人に大問題が! 王太子クラウが、ティエサを公妾候補に選ぶといい出したのだ。学院で開催される公妾選考会を阻止すべく、ティエサたちは立ち上がる。その矢先、キアスがティエサに急に冷たくなり……。いったい何が起きているの!? 二人に本当の幸せはやってくるの!? 恋と事件のラブファンタジー、いよいよクライマックス! サブキャラたちのその後も大公開!(裏表紙より)
学院の危機と、未来へ羽ばたくための第一歩を踏み出す少年少女たち、という感じのお話。各キャラのその後も一気にまとめられていて、想像していたところに落ちていてとても最終巻らしかった。いやでもトトの相手が彼だというのは、ちょっと意外でした。でも案外お似合いかも。
最後に一番驚いたのは、ティエサもキアスも普通に就職していることでした。絶対一騒動あったよね!? と思いつつも、幸せな未来に向かって進む彼女たちを見ることができて本当によかった。

グリセルダ学院は臨海学校! 元特殊部隊員の王子キアスと恋人同士になったばかりの元暗殺者見習いの少女ティエサはわくわく! そんななか、男装少女フィムが、臨海学校の間にある課題をクリアしなくては学院を去らなくてはならないとわかり…。フィムのため、キアスとティエサは戦いの技を駆使して課題に挑む! そこに次々に生徒が消える事件が…!? そして恋と事件の思わぬ結末とは! フィムの鳥とティエサの主様の因縁もあきらかに!(裏表紙より)
〈聖剣の巫女〉であるフィムは、学院に残るために神武官の首飾りを奪わなければならなくなる。けれどこの神武官のカドリは最強と名高い。ティエサとキアスも協力することになり、臨海学校の間、三人は課題のクリアを目指す。しかし臨海学校の行われるこの島、実は千一星教団の元聖地だったらしい。
『横柄巫女と宰相陛下』に関連する話が出ていると思うんですが、なにぶん読んだのが結構前なので詳しく覚えていない……。とにかく、神代の因縁が現代まで続いていて、それらを守護を受ける者たちや王国を担う若者たちが集っているこの時代は、本当に変革期なのだなあと実感する。
ティエサとトトがちゃんと喧嘩して、元どおりになろうとしているところがよかったなあ。潔い。かっこいい。
次で最終巻。みんながんばれ。

黒十字騎士団団長ヴィンセント王子との婚約を国王にも認められた田舎貴族の娘フィーリア。彼女はある日、隣国の王子の結婚式にヴィンセントと共に出席することになってしまった。その国には、かつてヴィンセントが縁談を断って怒らせた王女がいるだけではなく、皇太后が彼の婚約者に相応しいと考えている娘がいるようで——。ただでさえ初めての公式行事で私は不安なのに、この訪問、問題だらけすぎじゃない!?
苦難はまだまだ終わらない。一途すぎる王子の大迷惑な溺愛ラブコメディ第5弾!!(裏表紙より)
皇太后と国王にも認められ、晴れてヴィンセントの婚約者として胸を張れるフィーリアは、いつものように不意打ちみたいにして隣国への外交に連れて行かれてしまう。ヴィンセントが相変わらずツンツンツンツンって感じなんですが、最後にはちょっと優しくなって、よかったなあという気持ち。いや本当に。必ず助けてくれるという安心感は必要だけれど、言葉が通じないとか報われない感じが続くと、さすがに見ていてフィーリアがかわいそうなので……。
次の事件がどうなるのか、楽しみなような不安なような。

初の学院祭の準備に華やぐ学院で、ティエサは皆と共に、学院祭でラララ叢書を布教すべく「ラララの会」を発足させた。そんななか、キアスを好きだと気付いたティエサは、恥ずかしさのあまりキアスを避け続け、一方キアスもティエサを思い切り意識する日々を送っていた。二人の恋はちょっぴり進展しそうな気配だが、ある事件をきっかけに、学院内に広まった「王女グリセルダの呪い」という謎めいた噂に巻き込まれ……!?(裏表紙より)
学院祭と、新しい友人と、彼女たちの知らないところで蠢く大人たちの陰謀の伏線の巻。
一見賑やかな学園ものっぽいけど、さらっと書かれる世界観や社会状況、歴史といった根底にあるものが、この青少年たちの未来を運命付けてしまっているのだと思うと、なんかもう、負けるな頑張れー!! って気持ちになる。アマリアとシアーハの運命が悲しいんだよ……みんなで大人たちの企みを打ち砕いてくれ……!

沖縄で、風俗業界で働く女性たちがいる。未成年の女性たちが多いと聞いた著者は、彼女たちがどのようか家庭で生まれ育ち、どのように生きてきたか聞き取りを始めた。2012年から2016年の出来事だ。
想像以上に、きっつい……。十代前半から、同じ年頃の子どもたちは「子ども」として守られているのに、ここに登場する彼女たちはみんな、無理やり社会の放り出されて自分の力で生きていくしかなかった。考える間もなかったんじゃないかな。自分の本当に気持ちを告げられる相手もいないまま、毎日を生きてきた。たくましい。けれど、そうなってしまったのは大人の責任というか、守りきれなかった私たちが悪いんだ、という気持ちになってしまって、辛い。
生きていられてよかったね、と言ってあげられるように。いま幸せになっていてほしい。

幼い頃から食べることが好きだった。母手作りの素朴な家庭料理を、家族で囲んだ温かな食卓——。大人になった今は一人で作って一人で食べて「私は天才かっ」と一人で叫ぶ。季節外れのローストチキン。深夜に食したホヤ。カビの生えたパンだってちょいちょいっと削れば、あらおいしい。少し孤独。けれど食欲全開、今日も幸せ。雑誌「クロワッサン」の連載をまとめた極上の食エッセイ。(裏表紙より)
いくつか食エッセイを読んできて、阿川さんのエッセイは育ちの良さが滲んでるなあと思う。私にはちょっと違う世界の感じがする。家族の思い出とか、現在の交友関係とか。
でもそんな感じなのに、冷蔵庫の管理があんまりちゃんとできていないところ、親近感があるというかアンバランスで面白いなあ。いや、お嬢様ってことで釣り合いが取れてるのかな。
あなたの料理が美味しいから、これ作って、って言ってもらえると嬉しいのわかるわかる。

口癖は「お腹へった」。昼ごはんを食べながら夕食のメニューを考えるほどの食いしん坊。激しく〆切中なのに編集者の目を盗んでディナーの予約を入れ、差し入れをモグモグ。冷蔵庫が空になるまで料理をし、おいしいものを存分に食べるため絶食ダイエットに挑戦……。どうにも止まらない自らの「喰い意地」を描いたエッセイ集。(裏表紙より)
食べ物系のエッセイって、自分のいまの感覚と、食べ物に対するセンスが合致しないと読むのが楽しくないと思うときがあるんですが、これはめちゃくちゃ食べ物に対するセンスが合致して、ずっとお腹が空いていました。
食い意地もそうなんだけれど、その向こうに見える家庭の様子が面白い。砂糖がないとか、お弁当の話とか。
甘いものはそんなに食べないと書かれていないけれど、なんだかとってもスナック菓子やジャンクフードが食べたくなってしまった。修羅場脳かな……。