読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

売れない作家と腹黒編集者の痛快! バディミステリー!!
売れない小説家の白川照は、今日も愛と勇気と正義(と怖い担当編集者)のために、原稿執筆に精を出す。ところが、照がヒラめくのは原稿の展開ではなく日常に潜む“謎”の犯人ばかり。犯人しかヒラめかない謎が気になって原稿が進まない。そんな照に締め切りを守らせるため、担当編集者の黒澤は、その謎の過程を推理することになるのだが——。犯人だけ当てる作家とその過程を“校正”する編集者の、痛快バディミステリー!(裏表紙より)
何もかもすっ飛ばして「犯人は○○だ!」と言い出してしまうがために事件を引っ掻き回してしまう売れない小説家。そんな作家の手綱を握る、冷静沈着なイケメン編集者。二人の暴走や漫才っぷりが楽しい作品。
作家と編集者の面白コントという感じで、いちいち照の言動が楽しく、地の文もテンポよく読めて面白かったです。出てくる人みんなキャラ濃すぎなのに、ああーこういう人どこかにいそうーと思ってしまう謎。
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デュークがキルフ帝国でこぼした台詞が忘れられないレティだが、一旦頭を切り替え、次の王の専属騎士勧誘に動き出す。候補は、若くして未亡人となった女伯爵マリアンネと、流行には敏感だが幼女趣味の伯爵子息ウィラード。しかしマリアンネには“個人的な事情”であっさり断られ、ウィラードは多忙でつかまらない。ようやく交渉できたと思いきや、ある条件が出され……!? 最強女王伝説、第8弾!(裏表紙より)
急に方向転換をしたのか、それとも展開をすっ飛ばしたのか、というものすごい速さのプロローグでだいぶと戸惑ったんですが、レティがちゃんと女王候補として政治をやっているのは楽しい。でもなんだか突然読みづらくなった気がするんですが、なんでだろう。
第六席、第七席が埋まって、折り返しという感じでしょうか。女性の味方が増えたのはすごくわくわくします。それがまた年上の色っぽい女伯爵とか!

黒十字騎士団団長ヴィンセント王子との結婚が三ヶ月後に決まった田舎貴族の娘フィーリア。準備に追われる中、たくさんの人に祝福されたり三年に一度王都で開かれる白薔薇祭りの姫役に選ばれたり、といいことばかり! 幸せいっぱいで浮かれていたけれど——。どうしてヴィンセントは特殊訓練なんてしているの? 白薔薇祭りに必要ってどういうこと!?
一途すぎる王子に油断禁物? 溺愛ラブコメディ第6弾!!(裏表紙より)
すごいところで次に続いた。いよいよクライマックスかな?
フィーリアのツッコミが相変わらずおかしい。ヴィンセントにはフィーリアがいないと本当にだめだなあ。彼女の素直な発言が面白くて、地に足がついた娘さんだなあと楽しい。
ヴィンセントはようやくデレてくれたので、もうちょっとフィーリアを甘やかしてくれていいのよ! と思いつつ。この緊迫した状況下でやってきたら悪魔閣下と呼ばれてもおかしくないよな。楽しみだ。

「私を、助けてくれないか?」
16歳の誕生日を機に、城外で働くことを決めた王城の侍女見習いメリッサ。それは後々、正式な王城の侍女になって、憧れの竜騎士隊長ヒューバードと大好きな竜達の傍で働くためだった。ところが突然、隊長が退役すると知ってしまって!? 目標を失ったメリッサは、困惑していたけれど、ある日、隊長から意外なお願いをされて——。竜の集まる辺境伯領の領主になった隊長のお役に立つのなら、竜達の接待と恋人役、お引き受けいたします!
堅物騎士と竜好き侍女のラブファンタジー。(裏表紙より)
竜がいる世界のお話。竜と竜騎士の設定や日常的な習慣の描写が細かくて、おおー面白い! と思いました。こういう一見些細なところが丁寧なのすごく好き。
勤労がごく当たり前の価値観だからか、メリッサがとても身近に感じられてすごく応援したくなる。竜が好き! という生き物が好きという感覚がとても素直で、健やかな主人公だなあと思いました。
ヒューバートのちょっと疲れてる感というか、次男っぽさも楽しかった笑 案外抜けているというか完璧じゃないところに好感を持ちました。使用人たちに支えられつつ、彼らを普通に頼っているところがよかった。

きょうだいは同じ境遇を分かち合った、かけがえのない同胞のはずだ。しかし一方では永遠のライバルでもあり、一つ間違うと愛情や財産の分配をめぐって骨肉の争いが起こることもある。実際、きょうだい間の葛藤や呪縛により、きょうだいの仲が悪くなるだけでなく、その人の人生に暗い影を落としてしまうケースも少なくない。きょうだいコンプレックスを生む原因は何なのか? 克服法はあるのか? これまでほとんど語られることがなかったきょうだい間のコンプレックスに鋭く斬り込んだ一冊。(裏表紙より)
きょうだいと呼ばれる関係にはこういう特徴や役割があって、という類型がわかりやすくまとめられた入門書のような一冊。仲のいいきょうだいのことが知りたかったんですが、どちらかというと仲が悪かったり、役割を与えられる光と陰の部分の話が大半だったかな。有名人のきょうだい関係に軽く触れていて、ほうほうと思いました。

文筆業を営む著者は、仕事柄怪談を収集していたことがある。そしていまも読者から不思議な話が届くのだ。ある日読者の一人から、畳の上を何かが擦る音がするという怪異を聞く。それは以前別の読者から届いた怪異の話と同じであったことから、著者はこの出来事を深く調べていくようになるのだが……。
実話っぽすぎる怪談。実在の人の名前(平山夢明、福澤徹三)が出てくるし、冒頭から語り手となる「私」の経歴が小野不由美さんと同じものなので、うわー! となりながら読みました。
怪異は感染するという恐怖感を描きつつも、調査したり、怪談話の歴史を辿ったり、口頭で伝えられていくそれらがどのようなものを根源としているのか、という研究めいた部分が特に面白かったです。ああ、怪談にはこういう理屈があるのねという。ただ「穢れ」が感染していくことの原因、それらが起こる理由はまったくわからないままなのが怖い。どんなに考えても、考えが及ばない何かが起こっているのが。

料理家の著者は、フランス料理を学んでいたときにジビエ料理と出会う。あの材料はどこで手に入るの? どうやって作るの? というところから、それらの肉を獲ることができると気付き、狩猟免許を取得する。
タイトルからだと狩猟免許を取るための努力みたいな話かと思いきや、もっと踏み込んだ内容。何のために狩猟するのか、その肉をどうするのかということを考えながら、同じ狩猟免許を持つ人たちそれぞれの考え方にも触れて、狩猟やひいては食肉について考える。
狩りをする人たちの考え方は人それぞれあって、自分の食べるものを自分で収穫したいというものや、必要に駆られてだったり、スポーツのためだったり。読み進めていくと、私たちが普段口にしている食べ物が簡単に手に入ることについて疑問を覚えました。著者の井口さんはこんなに、嫌になるくらい、精神が痛めつけられるくらい生き物と命とそれを食べることに向き合っているのに、その重みを知らないって変じゃないか、みたいな。
ジビエについて知ってもらいたいという思いが感じられて、ジビエへの興味が出て来ました。ちょっと調べてみようかー。

日本語教師の職が東京にあると聞き、田舎を飛び出した女子大生の花。歌舞伎町の外人ホストに催眠術をかけられ、廃墟寸前のビルに連れ込まれる。そこは魑魅魍魎たちの巣窟「歌舞伎砦」、外人ホストの本性は猫の妖怪だった。法外な高給に誘われ妖怪の日本語教師となった花を待ち受ける運命とは!?〈文庫書き下ろし〉(裏表紙より)
五島列島の島の網元の一人娘の花と、島の男たちと正反対に理系気質のもやしっ子の弟の直人。この二人が、大叔父を頼って歌舞伎町に行ったところ、そこには歌舞伎砦という名の人外魔境が存在していて、そこに暮らす外国生まれのあやかしたちと関わることになる。
あらすじから想像した話から、だいぶと魑魅魍魎成分強めのカオスっぷりが面白かったです。ほっこりあやかしものかと思ってたのに、とんでもない魔窟で冒険してた。嬉野さんの作品ってそういう力強さと話の構成とか設定の巧みさがいいよなあ。面白かった。

両親を事故で亡くした小学生の太輔は「青葉おひさまの家」で暮らしはじめる。心を閉ざしていた太輔だが、仲間たちとの日々で、次第に心を開いてゆく。中でも高校生の佐緒里は、みんなのお姉さんのような存在。卒業とともに施設を出る彼女のため、子どもたちはある計画を立てる……。子どもたちが立ち向かうそれぞれの現実と、その先にある一握りの希望を新たな形で描き出した渾身の長編小説。(裏表紙より)
希望を持たせた結末で読者を救うことはよくあることだけれど、現実を書き切って本当に、ひとかけらの希望だけを握らせて終わらせる物語が、読者を救うことだってきっとあるんだろうな、と思わせてくれた作品でした。
どうしたって弾かれる「施設の子」なのに、それぞれの性質がまた弾かれる要素となって、出口が見えない感じ、きつい。けれども何かを成し遂げるために一生懸命になった自分たちを、太輔たちはきっと大人になっても誇れると思う。