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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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聖者の異端書 (C・NOVELSファンタジア)
——弱きもの。汝の名は女——
わたしの目の前で、夫となるはずだった人が消えた。しかも、結婚式の最中に。「死んだと思え」と言われても、納得などできない。
彼を取り戻すため、わたしは幼馴染の見習い坊主を連れて城を飛び出した——
封印された手稿が語る「名も無き姫」の冒険譚! 第一回C・NOVELS大賞特別賞受賞作。(裏表紙より)

面白かった! 淡々とした名もなき女性の語りで、この世の秘密が語られているのが、とても暗示的だなあ。
主人公というか語り手が「わたし」で、「◯◯の娘・◯◯の女」でしか呼ばれない世界で、彼女は狭い世界を飛び出して無知と無垢と生来の賢さで世界の秘密に触れる。すべての登場人物の配置がファンタジーとして美しくて、読みながらぶるぶる震えてしまった。すべてのものが予定調和的に配置されていて、「わたし」は役割を逸脱しない、けれど大それたことをやり遂げてしまったという結末もすごく好み。
「わたし」の手稿が、旅の同行人であったイーサンの手にあるっていうのが、救いでもありおかしみでもあって、最後までめちゃくちゃ面白かった。こういう淡々としたファンタジー大好きです。
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人形姫オペレッタ 魔王様からの挑戦状 (一迅社文庫アイリス)
ぼくを満足させたら、きみの望みを叶えてあげよう——末娘マリーゼに父である魔王クリスから持ちかけられた挑戦。それは魔物に関係する品々を盗み出すこと。目的を果たすため聖都の教会に忍びこんだ彼女の前に立ちふさがったのは、凄腕の退魔師ソロンだった。出会いは最悪、敵同士の2人だったけれど、偶然の再会からお互いのことを意識するようになって——!? 退魔師の青年と、魔物の姫が奏でるラブファンタジー!(裏表紙より)

魔王と人間の女性に間に生まれたマリーゼ。父の挑戦を受けた彼女は怪盗として活動することに。それを追うのは退魔師の青年ソロン。意地っ張りで不器用な二人の攻防。
バトルもあり、カードゲームという頭脳戦もあり、見せ場の多い話だと思ったんですが、マリーゼとソロンの駆け引きがさっぱりしすぎているせいか何故かちょっと物足りない。少女向けの皮をかぶりつつ若干少年向けっぽい話だったからかなあ。しかし爽やかで前向きで楽しいお話でした。
黒猫邸の晩餐会 (講談社文庫)
地味リケジョの律を夕食に迎えたのは、和服イケメンの竜弥とほんわか老女の文絵。謎めいた話を聞き出す竜弥と、五十年前から時が止まっている文絵が交わす会話はまるで夫婦!? 見つめるだけで料理をおいしくする不思議な黒猫・フミエも怪しい。おいしさと切なさに溢れるほっこり系ミステリ。(裏表紙より)

少々特殊な面接を経て奨学金をもらい、大学を卒業した律。その奨学金の出資者である楢本文絵から、夕食に招待したい旨の手紙を受け取る。お礼をしたいと言ったのを断っておきながら今更なぜ? そう思って楢本家を訪問した律だったが、文絵は孫ほどの年の竜弥と夫婦のように過ごしている。竜弥から事情を聞くと、どうやら彼女は、自分を結婚したばかりの年齢だと思い込んでいるらしい。
不思議な状況下で行われる謎解き。このエピソードが面白い! 現実感がありつつも、いい要素ももやっとした要素も含む謎で、もっと読みたい! となりました。
最後の竜弥の招待が意外というか、最後の最後でオカルト? ちょっとホラー? な部分が入ってきたのは意外でしたが、読了感も含めて面白かったです。
女子と貧困
原発事故による自主避難者、最低賃金1500円を掲げる女性、生活保護世帯でも大学に進学することを望む女性、キャバ嬢……貧困や社会的立場の弱さに苦しむ女性たちを取材する。

本当に日本って、暮らしにくいし子どもを育てにくい国なんだな、と思わせる実態の数々。よりよい暮らしを、それも最低限の生活を守れるのは自分だけだっていう状況をまざまざと見せつけられるようで悲しくて辛い。奨学金の問題とか、育休とか、ハラスメントとか、なんでこうなんだろうとやるせない。これは女性だけじゃなくて、男性もそうなんだよというのを感じられる社会になってほしい。
あやしバイオリン工房へようこそ (集英社オレンジ文庫)
楽器販売店をクビになり、衝動のまま仙台に向かった惠理は「あやしバイオリン工房」と書かれた看板を見つける。そこには男性店主の他に、伝説の名器ストラディヴァリウスの精が棲んでいた!? 店主以外の人には見えないはずのバイオリンの精・弦城の姿が見える惠理は、成り行きで、工房に持ち込まれる不思議な事件に巻き込まれる羽目に…。心温まるあやかし事件簿。(Amazonより)

誠実であるがゆえに傷ついた女性が、辿り着いたバイオリン工房で、バイオリンの精と店主に出会う。「あやし」という苗字のせいで、楽器にまつわるオカルトを解決する仕事がメインになっている、彰志の工房の従業員になる形で、惠理の新しい日々が始まる。
音楽を愛する人と、心からの弾き手(相棒)を望む楽器の精。お互いがお互いを必要とする優しさが溢れた作品で、じんわりといい作品だなあと思いました。惠理と弦城のことがわかる第3章はよかったなあ。ファンタジックな感動にあふれていた。
【電子オリジナル】くれない姫は暴虐の王と絆を紡ぐ (集英社コバルト文庫)
情を持たない魂緒姫と、人の心を持たない鬼将軍。二人が出会ったとき、その絆は愛に変わる。瘴気に満ちた「神座の森」には、人に益を与える「神世草」が生えている。それを求める貴人たちのため、彼らと「魂緒の糸」を繋ぎその身を守るのが、魂緒姫と言われる娘たちだ。中でも「最上の魂緒姫」と称賛される紅。常に心を鎮め強固な糸を紡ぐ彼女は、一方でその情のなさを人々に罵られてもいた。ある日、紅は新たな貴人の相手を命じられる。その人とは「母殺しの鬼将軍」と、誰もが恐れる武人・五条隆光。常に不機嫌で、気に入らないことがあるとすぐに刀を抜く隆光を、家臣たちはひそかに恨んでいた。だが紅だけは、隆光の暴挙の裏に秘められた孤独に気づいてしまった。二人が心を通わせるとき、運命が大きく動き出す……。(Amazonより)

電子オリジナルです。
和風ファンタジー。女神が未だ存在する森に分け入るために「魂緒」を結ぶという力を貸す魂緒姫の一人である紅と、乱暴で荒々しい振る舞いばかりを繰り返し家臣たちから疎まれ始めている鬼将軍・隆光。隆光が紅を魂緒姫とし、なんらかの理由を抱いて森にある「願いを叶える」花を手に入れようとするところから、二人の交流が始まる。
隆光のキャラクターがすごーくニッチな造形で笑 好きな人は好きなんでしょうが、中盤までの振る舞いがかなり乱暴なので、デレるまでがちょっと辛い。デレ始めると不器用ながら心優しい大変いい男なのですが、それにしても、荒々しい行動でしか自分の思いを伝えることができなかったのか……と思うと、寂しいような、もうちょっとやり方があったような。
森に入るには魂緒を結ぶ必要があるけれど、恋情を持つとその糸は焼き切れてしまう。この恋をしてはいけないというタブーがとてもじれじれもだもだしました。紅も隆光も大人の考えの持ち主で、恋に流されず踏み止まろうとするところがとてもいじらしかった。
隆光が花を手に入れてからの流れは、和風ファンタジーとしてすごく壮大で美しくて、じいんとしてしまいました。
エピローグはとても甘くて優しく、最後はほっとできてよかった。
キッチンカーの移動販売~好きなことやって、自分の足あと残そうよ
キッチンカーでの移動販売って、どうやってやるの? 始めたきっかけは? 許可って? など『移動販売で成功する本』を加筆修正したもの。

ネオ屋台村の紹介といった感じ。実際のキッチンカーの写真や、どんなものを売っているかの写真がとても面白かった。創意工夫されてるんだなあ。その部分をもっと読んでみたかった。
キッチンカーが地域密着型の商売なんだということや、イベントを盛り上げる一部なんだということがわかって、知らなかった世界のことをまた少し知れた気がしました。
猫系男子のススメ
ごくごく普通のOLあきは。そして、気まぐれでわがままで不器用な大学生の翠くん。親の海外転勤をきっかけに、なぜか一つ屋根の下で暮らすことになった2人は、まるで飼い主と猫のような関係。ツンとしたり、甘えてきたり、予測のつかない翠くんにあきはは翻弄されっぱなしで……?
「——で、どこまでだったら猫としてオッケーしてくれるの?」
獲物認定された私と年下飼い猫の、キケンで激甘な同居生活スタート!!(裏表紙より)

Web作品が、受賞に際して改稿されたもの。登場人物の年齢が上がっています。
猫のいる風景、という感じの、ほのぼのしつつも、ほんわかと甘ーい雰囲気の恋愛小説で、とてもまったり幸せな気持ちになりました。あきはと翠くんのやりとりが、とても程よい距離感で可愛い。離れたところから見ていてにこにこしてしまう。
気まぐれで、ちょっと独占欲が強くて、懐くと徹底的にあきはを追いかけ回す翠くん。でもちゃんと男の子らしい側面を持っていて、にやにやしました。
可愛いお話でした。
菜の花食堂のささやかな事件簿 (だいわ文庫)
「自分が食べるためにこそ、おいしいものを作らなきゃ」菜の花食堂の料理教室は今日も大盛況。オーナーの靖子先生が優希たちに教えてくれるのは、美味しい料理のレシピだけじゃなく、ささやかな謎の答えと傷ついた体と心の癒し方……? イケメンの彼が料理上手の恋人に突然別れを告げたのはなぜ? 美味しいはずのケーキが捨てられた理由は? 小さな料理教室を舞台に『書店ガール』の著者がやさしく描き出す、あたたかくて美味しい極上のミステリー!(裏表紙より)

おおー面白かった! 人間関係や人のいやらしいところが描かれたものって、嫌な気持ちにもなるんですけれど面白いなあと思う。
退職後、新しい職を見つけられないまま、靖子先生の厚意に甘えて料理教室の助手をしている優希。教室に来る生徒さんたちの様々な謎を、食を通じて紐解く。探偵役は、料理上手で観察眼の鋭い靖子先生。
優希自身の人格性があんまり表に出ず、距離を取っている感覚があって(自分のことを語っていないわけじゃないんですが)入り込みにくいところがありますが、この独特の距離感がいかにも現代っぽい。優希が新たな一歩を踏み出す話、続きで読めるのかなあ。
わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)
 名家に生まれた美世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。嫁入りを命じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞。大勢の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。
 斬り捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の薄い美貌の男。
 初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく——。
 これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。(裏表紙より)

ここまで徹底した薄幸ヒロインはずいぶん久しぶりに見た気がします。虐げられて育ったせいで儚げな雰囲気で、あまり強く前に出ることもないか弱い少女。そんな彼女を放っておけなくなってしまった、冷酷無慈悲と評判の異能家系の大家の当主の、儚い系大正風ファンタジーロマンス。
美世の境遇がもう本当にかわいそうで、序盤半泣きで読んでました。胸が痛いよ。どうしてこんなに虐げられなくちゃいけないんだ。
清霞が優しい人であることは最初からわかっていたので、これまで追い返されたというお嬢さん方はよっぽどよっぽど……な人柄だったんだろうなあ。しかし縁談を持ってくるという先代が謎めいている。ラストでこの人との対峙があるかもと匂わされていましたが、美世に戻ったかもしれない異能も含めて、二人がどう頑張って乗り越えるか楽しみだ。
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Author:月子
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