読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

「君が好きだ。コクラン。……愛しているんだ」
悠久の時を彷徨い続けた悪魔と、孤独の運命を受け入れ続けた王女。奇跡によって逃れられぬ虚無から解き放たれたレクスとコクランは、あらためて出逢った。
しかしレクスは捕らえられ、コクランの知らぬ間に後宮から追放されてしまう。離ればなれになっても、三度出逢おうとする二人。それを阻むのは、どこまでも深い後宮の闇と、初めて知る後宮の外の世界だった——。
「めでたし、めでたし」のその先に、真の恋物語は始まる。(裏表紙より)
第二巻、なんですが、一巻の分厚さを思うと、だいぶと物足りないよー! もうちょっと読みたかったよー!
人間となったレクスと離れ離れになったコクラン。それぞれの場所で相手に会おうとするも……どちらも「人間未満」な生き方をしてきたので、そううまくいくわけがない。特にコクランのシーンはだいぶきつかったなあ……。間違えているって、そりゃそうだよなあ、大切な人ってレクス以外にいないもんなあ……そりゃそういう風に人を動かしちゃうよな……。
二人が再会できてよかったんですが、二人寄り添って生きる道はあるんだろうかと考えてしまった。切ない……。
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「さあ、願いを言うがいい」
「なら言うわ。とっとと帰って」
王女コクランのもとに現れた、なんでもひとつだけ願いを叶えてくれるという伝説のランプの悪魔。しかしコクランは、願うことなど何もないと、にべもなく悪魔を追い払おうとする。
なんとか願いを聞き出そうと付きまとう悪魔。しかし、“すべてを与えられた者”と謳われるコクランを取り巻く王族と後宮の現実を知ることになり……。
物語を一人演じ続ける王女と、悠久の時を彷徨う悪魔の、真実の願いを求める恋物語。(裏表紙より)
巨大国家の第一皇女コクランは、優れた資質を持っていたり身分が高かったりする女性たちを集めた箱庭のような後宮で、影のように暮らしている。ある日ランプから現れた悪魔と出会ったことで、「人」としての自分を取り戻すようになっていき、やがてそれがある悲劇を呼んで。
箱庭めいた少女たちのやりとり、思惑や願いが絡んだそれらを遠くから見ている印象でしたが、コクランが次第に人らしくなっていくことで物語が段々熱を帯び始める。だからこそレクスの悲劇はもう、水を浴びせられたような気になりました。ここはそういう場所だったんだということがわかって、どうにもならないことがわかって絶望した……。
レクスは最後にそばにいてくれたけれど、これからどう戦っていくのかな……。

平凡な町娘のリアナは、ある朝目覚めると、なぜか公女ファスと魂が入れ替わっていた!? どうやら何者かに呪術をかけられたらしい。ファス姫には隣国の王子との縁談が来ており、賢者イードの命令で、リアナはファスのふりをする羽目になってしまう。だが、夫となる王子は呪いによって獣の姿に変えられていて!? リアナは、ファスの身代わりとしてイードと共に隣国に嫁ぐ決意を固めるが……!?
どんな姿をしていても、お前を見失わないから。(裏表紙より)
様々な要素に裏表があって、面白い仕掛けの作品だったなあ。
北風とあだ名されている賢者イード。拾われ子の上に正賢者ではないけれど、大切な人、ファス姫と兄弟子のサイルのために尽くしてきた。一方リアナは恵まれない環境で育った少女。このリアナのすごく前向きで、彼女から紡がれるしなやかで優しい言葉が、傷ついているイードにどんどん沁みていくのがわかって、ロマーンス! とにやにやしてしまった。ファスの言動を見ていると、リアナのような考え方って新鮮だったんじゃないかなあ。
あとキナがかわいい。一生懸命な小動物系侍女のキナとファスが結構いい関係だったんだなあというのも最後に見られてよかった。
「どんな姿をしていても」っていうのは、リアナに限らず……っていうのが面白い。こういう話になるとは思わなかった。リアナは今後どうなるのかな。イードにしごかれて頑張っていってほしい。

騎士に憧れる少女マリアーヌは、失恋を機に王宮へ。そこで出会った第二王子ロベルトから下僕認定されるが、いつしか二人は思い合うように。強引なほど情熱的なロベルトの言動に、恥ずかしくも幸せいっぱいのマリアーヌ。そんなある日、マリアーヌの故郷で謎の盗賊団が現れたという情報が! その陰に、かつて王宮を混乱させた人物の気配を感じたマリアーヌは…!? 過激に甘い恋人の愛に包まれて、男前少女が凛々しく大活躍!(裏表紙より)
ボーナストラック、かつ最終巻の第三巻。マリアーヌとロベルトの絆を感じさせる事件の解決と、この後もこのように二人で暮らしていきましたというのが感じられるものでした。
甘々なロベルトの台詞に悶絶したり、マリアーヌの騎士然として振る舞いにかっこいいと思ったりと、楽しかったです。本編としてはまだ長く続いただろうし、謎も残っているけれど、幸せな二人が見られてよかった。

「我が君、と呼べ。おまえの夫だ」帰鼓廷を出て神様たちとともに、“のさらの地”へ向かう知夏と胡汀。その道中、結婚を意味する「ほぎの儀」を挙げながら進むことに! 今まで暴君だった胡汀なのに、過去最高に甘やかされて知夏の羞恥心が振り切れそう!!(「日々に想う」)緋宮時代、知夏が緋剣たちに内緒でぬまごえ様と神々の事件を解決することに!?(「秘密の時間」)知夏たちの未来と隠された過去が明かされる、珠玉の短編集!!(裏表紙より)
特典だったショートショートや、書き下ろしの短い話を収録した短編集であり外伝集。きちんと本編のその後のお話があって、感無量でした。
何より「日々に想う」でのらぶらぶっぷりよ! 大変な思いをしたからこその結婚式で、胡汀のデレデレっぷりに顔がにやけっぱなしでした。仲良しで何より!
緋宮時代のお話もありつつも、知夏が離れたその後の蒸槻が窺い知れたり、弟君の話があったり、遠い遠い未来でようやく約束が果たされるお話もあったりなどして、本当に胸がいっぱいになりました。あの人たちの話はね……もう号泣するよね……。命の旅の終わりに迎えに来てくれる人、果たされる約束っていうシチュに弱いんですよ……。
最後まで楽しみました。ありがとうございました!

平穏な世界で制服を着て通学していた頃の私はもういない——知夏を慕う緋剣の伊織は異形に。都は悪鬼の巣窟に。次々と知夏の手のひらからこぼれ落ちる大切なもの。だけど、死を覚悟した彼女の前に現れたのは意外な人物で!? 神世から続く悲しい連鎖を断ち切るために、知夏は緋剣たちとともに神を相手に立ち向かう!「すべての想いが繋がって、この瞬間へと導いてくれた」舞台は神と人との対決へ。大人気シリーズ、堂々完結!!(裏表紙より)
拍手!!!!!
女神となった女子高生の、世界と呪いと祝福の物語でした。本当にこの世界をいとおしんで歩んだんだなあ……というラストでした。「いつか」という言葉がこんなにも切なく愛しく聞こえるお話はなかったように思います。
繰り返すということが根底にありましたが、神と人の世が同じことを繰り返す螺旋を描いたとしても、どこかで何かが違うんですよね。そこで「変わる!」と思って行動する者にこそ、神と世界は祝福を与えてくれるんだと思う。
蒸槻という世界の外にはまた大きな枠組みがあるけれども、閉じられていた世界が大きな世界の一つを成すものとしてはめ込まれた感じが、ここから新しい世が続くんだと思わせて、希望が持てたように思います。
花神と星神のやりとりも見えて、その心を感じられて、最後まで本当に楽しみました。
ありがとうございました。外伝も楽しみに読む!

もと女子高生。異世界で“女神”になると心決めたはずが——神力をもって復活し、大好きな暴君・胡汀との再会を果たした知夏。一方、都では悪鬼や疫神がはびこり、荒廃が進む。そんななか、護剣士『緋剣』の一人、伊織の救出に向かうことに。だが、知夏達の前に『緋剣』の朝火が立ちはだかる。引き裂かれる絆、そして、敵対する帝・司義が仕掛けた恐るべき罠が!?「私は定めじゃなくて自分の意思で選ぶ!」激動の第9弾!!(裏表紙より)
朝火合流。そして伊織と再会……? な第9巻。ラストに向けて進行が遅くなったので、すごくじりじりするんですが、いいシーンが多いなあ。悲しいところもたくさんあるけど……。
しかしこの巻のイラストの知夏はめちゃくちゃ綺麗だな! みんなが「いつくし女神」とひれ伏すのがよくわかる。
咲耶の憎しみがなんだかすごく悲しく感じられて、彼女が知夏をあざ笑う度に自分を傷つけてるなって思う。まれびとで女神でってだけで知夏が優遇されてきたところってたくさんあって、それは主人公補正っていうけど、必死に生きている世界では実際にそういう人に会うと「どうして、なんで」って思うよな……と自分の胸も痛かった。
それぞれの最後の選択が迫っているなあとひしひし感じる巻だった。

もと女子高生。異世界で“女神”になると心決めたはずが——帝・司義の命により、『界の川』に落とされた知夏。遠のく意識の中で彼女が見たのは、神世から続く“怨み”の真相だった。護剣士『緋剣』たちや胡汀を救うと誓った知夏を、闇の記憶が襲うとき、救ってくれたのは意外すぎる人物で!?「陽女神の力はまだおまえのなかにある。そうだろう?」愛すべき“ぬまごえ様”との出会いを描いた短編も収録した、怒涛の第8弾!!(裏表紙より)
黄泉にてあの人に会った知夏は、再び蒸槻へ。助けてくれたのは滸楽一族。陽女神の憎悪を知った知夏は果たして世界を救うのか?
最後に向けて、戦いの序章という感じで世界と人の有様が少しずつ変わり始める第8巻。知夏もその周囲もその関係性もだいぶと変わったなあというのは、最後に収録されている短編「クローバーと賭博乙女」から感じられますね。知夏、だいぶと言動が阿呆っぽいですが、平和だったんだなあと涙してしまう。
一番厄介そうな朝火が出てきて、どうなる次巻。

もと女子高生。異世界で“女神”になると心決めたはずが——敵対する帝・司義によって、魔物である滸楽に堕ちた“失格女神”の烙印を押された知夏。対抗するために祭祀を司る帰鼓廷に向かうが、そこには知夏にかわる次代の女神、新『緋宮』がいた。胡汀だけでなく、護剣士の『緋剣』たちとも引き離され、捕らわれる知夏。絶体絶命のピンチに、裏切るのは誰……!?「俺は一度、女神に追い掛けられてみたい」急展開の第7弾!!(裏表紙より)
真相が明らかになり始めて、物語も佳境に。この盛り上がり、いいなあ。
追われる者となった知夏は、その過程で裏切りにあい、さらに陽女神に起こった出来事と世界の成り立ちを知る。でもこれらのことも、全部もっと大きな世界の中の、ささいな出来事に過ぎないんだろうな……。残酷なようだけれど。
ここからどう立ち上がるんだろう。続きが楽しみだ。

もと女子高生。今は、異世界で“女神の末裔”やってます——帝・司義からひどい仕打ちを受け、女神として暮らす帰鼓廷を飛び出した知夏。禁域に入った彼女を連れ去ったのは、魔物である滸楽の王、遠凪だった。滸楽が暮らす里で、思わぬ平穏を目にし、迷いが生まれる知夏だが、救出に現れた緋剣たちとの激突は避けられない。しかも、最前線には胡汀が…!?「我が乙女。おまえに焦がれぬ日はなかった」叶わぬ想いに震える第6弾!!(裏表紙より)
滸楽の里にやってきた知夏は、人間の女性を連れ去りながらも穏やかに暮らしているその光景を目の当たりにして、蒸槻という国の頑なさを知る。次の章に続くための大きな問いを投げかける巻だったかなあと思います。なにせ本命ヒーローと思われる胡汀が中盤まで出てこないからね……。
どうやらこの世界の歴史は、大いなる何かによって観測されているらしい……? と匂わせるとある神様の発言もあったりして。そういうの好きです!!! 知夏はちゃんと一つの歴史を紡いで、次へ渡すことができるのか。