読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

森の中の学園に隔離されて育った、性別のない子どもたち。成人するにつれ性別が確定し、ひとり、またひとりと巣立っていく。年に一度の降誕祭を前に「学園の貴公子」と称される薄荷は、外界から侵入してきた少年と恋に落ちた。森への逃避行、フラッシュバックする記憶。17歳の身体と心は、意思とうらはらに変わりはじめる……。(帯より)
樹海の中の隔離された学園に、性別のない子どもたちが暮らしている。十代後半になるとひとり、またひとりと性別が確定し、外の世界へ出て行く。学園の子どもたちはの中には「女になりますように」「男になりますように」と切に祈りながら暮らす者もいる。閉鎖された学園もの、いいですねえ。ブラウスにリボンを結わえ、短パンをはくというのが制服。実にいい。そんなところに外の世界から少年がやってきて……。
倒錯的に見えて、とても女性的な話だなあと思いました。空(登場人物の名前)によるところが大きいのかな。空は超越しているのに強い女性性を感じる。一方、小麦は最初女性だったのに後半からすうっと色を変えた印象なのがとても面白かったです。
真相としては予想通りだったんですが、外にも開かず内にも閉じきらないという終わり方が意外でした。あくまで中空をふわふわと漂って、何者にもなりきれないというラストのように思えました。
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田舎貴族の娘フィーリアは、姉を捜しに王都へ来た途端に牢屋へ!? その窮地を救ってくれたのは、黒十字騎士団の団長で幼馴染みのヴィンセント王子だった。意地悪な彼に助けられても嬉しくないと思っていたけれど、姉捜しを手伝ってくれるヴィンセントを見直すことに。ところがある日、彼の異常な本性を知ってしまい——。私が誘拐されたからって、犯人全員始末してやるってどういうこと!? 一途すぎる王子の大迷惑な溺愛ラブコメディ。(裏表紙より)
意地悪ばかりしてくると思ったらだいたいの台詞の語尾に「お前が心配だから」がつく、ツンツン王子様に好かれてしまった、田舎貴族出身でごくごく平凡ながらたくましいフィーリアのラブコメ。楽しかったー!! 王子様が助けに来る状況で「まずい! 早く自力で逃げなきゃ!」ってお腹痛い。いつヴィンセントがやってくるかはらはらしました。
ファンタジーの世界観としては単語がちょっと気になる部分もあったけれど、フィーリアのツッコミ気質がとても楽しくて、ヴィンセントに対する反応などもリアルで可愛らしく、最後までにやにやして読みました。このふたりの進展が楽しみだなあ。

榮国地方の貧乏官僚の家に生まれた双子の春蘭と春雷。姉の春蘭は金勘定にシビアなしっかり者に育ち、気弱な弟の春雷は刺繍を得意とする立派な淑女に育っていた。
そんな二人なので、性別を間違えられることもしばしば。「姉は絶世の美女、弟は利発な有望株」という誤った噂は皇帝の耳にも届き、春蘭の後宮入りが決まってしまう。そして春雷も科挙を受けろと独り立ちを勧められ……。
追い詰められた二人は、人生を入れ替わることを決意して!?
賢い姉と美しい弟による、国を巻き込む男女とりかえ中華譚!(裏表紙より)
とりかえばや物語の中華風版かな? と思ったら中盤からだいぶ思っていた展開とは異なり、姉・春蘭は恋を知らないまましたたかさを貫き通したお話でした。ロマンスを期待するとちょっと物足りないかもしれませんが、相手が男だと思って苦悩するヒーロー(と言えるのかな?)は見られます。
冒頭の故事についてのお話が回収されないままなので、続きがあると思うんですが、続きではぜひロマンスが読みたい。この分だと春雷の方が早そうかな?

皇宮で暮らすことになった〈剣ノ舞姫〉ルーナ。だけど監視兼護衛の騎士はつくし、ルーナを愛してやまないイシュトによる告白ははげしいわで災難つづき。そんなある日、城で異国の使者をもてなす舞踏会が開かれる。昔の仲間に会えることを期待して舞踏会に忍び込むけれど、突如皇宮を襲った衝撃でイシュトとともに迷宮に落ちてしまい!?「ここなら君も、おれ以外は誰も見なくなる」迷宮で迷求婚!? クールな舞姫の受難第2弾!!(裏表紙より)
勇ましい市井出身の剣の舞姫の少女と、病んでるストーカー皇帝のお話。皇宮生活が始まり、相変わらずぶっ壊れてるイシュトにいらいらしながら、二人の関係性がゆっくりと変わり始める第二巻でした。第一巻ではどうよそれって感じのだいぶと壊れたイシュトでしたが、彼の背景を知るとなんだか愛おしくなってくるなあ。皇帝らしいところも見られてきゅんとしました。

闘技場で活躍する〈剣ノ舞姫〉のルーナは、剣舞を披露するために出かけたところで、皇宮騎士に追われることに。からくも脱出するが、迷い込んだ庭園で見知らぬ謎の青年イシュトに愛を囁かれたうえ、そのまま拉致されてしまう! だが、彼がルーナを利用しようとしていることを知ってしまい!?「君を愛してる——」その言葉は真実、それとも嘘——? クールな舞姫とキケンな青年の、奇妙な駆け引き生活が今はじまる!!(裏表紙より)
美人だけれどちょっと女らしいところに欠けているルーナ。そんなルーナの一挙一動を監視してきたイシュトに軟禁同然に匿われたところから、国と皇帝にまつわる事件に関わることに。
柔らかくて丁寧で「愛している」と囁きながら、完全にぶっ壊れた人であるイシュトが読んでいて怖かったんですが、国の謎に関わる真相によるものだとわかってなるほどなあと。ルーナと関わることで少しずつ人間らしいところを取り戻していったらいいなあ。
イェーガのことが悲しかったので続刊で救済がないか期待して読みます……。

僕は小説の主人公になり得ない人間だ。学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない……。物語を紡ぐ意味を見失った僕の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。二人で小説を合作するうち、僕は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う“小説の神様”とは? そして合作の行方は? 書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春!(裏表紙より)
すべての台詞がぐさぐさ胸を突き刺す。一也と詩凪の語ることは、相反しているけれどどちらも正しくて、結局は「自分は何を信じて書くか」ということしかないんだろうなあ。
この作品の願いはきっと、作家はみんな、作品を愛してくれる人のために書いてほしいということなんだろう。悪評や言いがかりに負けず、それでもあなたの書く物語が好きだと言ってくれる人の存在がどれだけ尊いかということを伝えたいってことなんだ。
言葉の強さというのも感じました。作中ではある二人が、他者からの言葉で語るための言葉を失うんですが、小説に力なんてないかもしれないけれど言葉はあっさりと胸をえぐるんですよね。シンプルだからこそ、そしてそれをまっすぐに受け止めてしまうからこそ再起不能に近いところまで陥ってしまう。
すごく考えさせられる作品だったのですが、祈りと願いと希望に満ちていて、頑張ろうと思えました。

イスラとの休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、想いの丈を彼女にぶつける。「このまま逃げよう、クレア。ふたりで。空の果てまで——」かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、追放劇の果てにかけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は……。そしてイスラは「空の果て」にたどり着く。すべての謎が解き明かされる! 超弩級スカイ・オペラ「恋歌」、感動のフィナーレ!!(裏表紙より)
拍手! という冒険の終わりと新しい旅立ちの最終巻でした。シリーズの続きが読みたくなるなあ!
深く傷つき人間として未熟だった少年が、一人の飛空士として愛した人のために旅立つというのに涙が。ロマンだ……。立派になった表紙のカルエルがまたいいなあ。
イグナシオがだいぶといいやつなので、クレアを大事に守ってくれているんじゃないかと思うとにやにやします。
「歌えない恋の歌もある」というのが切なくて。カルエルもちゃんとアリエルのことを大事だと認識していて、かけがえのない人だと思ってくれているからこそ、恋愛にはならないというのが切ないし、納得できました。彼女の将来が描かれたということはカルエルの冒険に彼女は関わらないということなのだとしたらすごく寂しい。アリーがいてくれたからこそいろんなものが救われた気がするので。
ひとまず恋歌が終わったことに拍手! 胸がいっぱいになる空の物語でした。

「大好きだから……さよなら」級友の死に苛まれていたカルエルとクレアは、想い出の湖畔で思いがけず再会する。お互いの気持ちを確かめるため、正体を明かしたカルエルだったが、クレアには別れを告げられてしまう——。一方「空の一族」との戦いで多くの仲間を失い、疲弊した飛空科生徒たちは、悩みと苦しみを抱えたまま、再び決戦の空へ向かうこととなる。仲間の思いを受け継ぎ、潰滅の危機に瀕している大好きなイスラを、大切なひとを守るために……。超弩級スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、驚天動地のクライマックスに突入!!(裏表紙より)
戦いに参加して仲間を失ったことで、自分たちの道を見つめ直すことになった飛空科の生徒たち。大事な人の死と向き合いながら、自分にできることを考える。戦いはますます激しさを増し、ついに撃墜されるかと思われたその時。
ああ、もう感動だ。ぶわっとなる。これだから空モノは!! ロマンに溢れてて泣いてしまった。
これまで影が薄かったイグナシオの素性も明らかになり、カルエルも覚悟を決め、クレアは風とともに恋の歌を歌う。そして現れるレヴァームの戦艦。ぞくぞくしました。
空戦の迫力もすごくて夢中で読みました。頭の中で飛行機がぐるぐる飛んでいる。

8月の強烈な日射しのもと、過酷な陸戦訓練を続けるカルエルたち。戦闘への不安と焦燥が募る中、それは若き飛空士たちの間に恋愛をも育んでゆく。そして、イスラはついに噴き上がる海「聖泉」へ到達する。これより先は「空の一族」が支配するといわれる未知の空域。カルエルたちは、イスラ後方への索敵飛行を余儀なくされるが——。「いつまでもみんなと一緒に空を飛びたい」ただそれだけを願った少年少女たちが飛ぶ空は、美しいだけでなく残酷で……。王道スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、驚愕と慟哭の最新刊!!(裏表紙より)
夏の訓練(=水着でわいわい)から一転、本格的な戦闘に入ったカルエルたち。後方部隊に回されるも敵と接触、そして仲間たちが次々に……。慟哭です。うああああって叫ぶ。丁寧にフラグを立てた後にいなくなるのが辛くてたまらない……。
これがただの冒険ではなく、命を賭したものであるとわかったところで次回。ファナの名前が出るとぞくぞくしますね。

――なんて自由なんだろう。クレアの胸は喜びに満ちあふれていた。青空の下、ひとりで自転車をこぎ、カドケス高等学校飛空科の入学式へ向かう。たったそれだけのことがたまらなくうれしい。そして今日は「彼」に逢える……。空の果てを目指し旅立った空飛ぶ島イスラで、カルエルたちの新生活がはじまった。各国から選抜された個性的なクラスメイトたちと、彼らとの和気藹々な寮生活。そして飛空訓練。意を決し、クレアにペアを申し出たカルエルだったが――。
希望と不安の狭間でゆれるふたつの鼓動。回り出す運命の歯車。待望の続刊!(裏表紙より)
主人公カルエルの性格がきつすぎて1巻で読むのを中断していたんですが、アニメの何話かを見てだいぶと印象を変え、読んでみようかと積んであった2巻を手に取る。それでも何年経ってるんだよ! という話なんですが。
学校生活と、カルエルとニナの交流がメインで、さほど大きな事件は起こらないのですが、ひたひたとせまる、お互いの正体がばれたらどうするんだろうというのがどきどきで切ない。本当にふたりとも楽しそうなんだもんなあ。
ここで「追憶」に関わる「神聖レヴァーム帝国」の名前が浮上。どういう風に関わってくるのか楽しみです。