読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

ノンシリーズものの短編集。「ガラスの檻の殺人」「壁抜け男の謎」「下り「あさかぜ」」「キンダイチ先生の推理」「彼方にて」「ミタテサツジン」「天国と地獄」「ざっくらばん」「屈辱のかたち」「猛虎館の惨劇」「Cの妄想」「迷宮書房」「怪物画趣味」「ジージーとの日々」「震度四の秘密」「恋人」収録。
読んだのは単行本ですが、リンクは文庫版。
どれも短編ながら、趣向が凝らしてあって面白いなあと思ったんですが、「怪物画趣味」が好きでした。それまで普通に、現代ミステリーだと思って読んでいたら、これだけファンタジーだった。異形専門の公安……もっと読んでみたいです。
これまで取れていなかった有栖川有栖さんの単位を取ろうと、三冊読んでみたんですが、有栖シリーズが一番好きかもしれない。
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雨の坂道で出会い、恋におちるも、自意識のために、愛する女を死に追いやってしまった作家の苦悩が哀切な「愛染坂」。坂に棲みついている猫たちの写真を撮るために訪れた女子高生が、その夜から金縛りと奇妙な悪夢に悩まされる「口縄坂」。大坂で頓死した松尾芭蕉の最期を怪談に昇華した「枯野」など9篇を収録。大阪の町にある「天王寺七坂」を舞台に、その地の歴史とさまざまな人間模様を艶のある筆致で描く。解説・河内厚郎
大阪と坂と怪談の短編集。こういうホラー系、幽霊や怪異がメインの話って普段あまり読まないのですが、味があって面白いなあと思いました。土地に由来する話って、思い入れがあればあるほど深みがあるなあ。というのは、この辺りをうろうろしていた時期があったからで、ああ、あの辺、すごく絵になる坂が多かったなあ、なんて思い出したから。
一番好きなのは「口縄坂」。猫の写真を撮影していた女子高生が「なにか」に見初められてしまうという話なんですが、女子高生同士のキスと、あやかしに見初められるっていう妖しい、ちょっとエロティックな短編です。私は頭の中がファンタジーなので、そういう見初められ方をすると今後どうなるかなっていうのを考えてしまいます。
どの短編も、ちょっと怖かったり、優しかったり、悲しかったりで、とても面白かったです。

「とっておきの探偵にきわめつけの謎を」。臨床犯罪学者・火村への挑戦状が予告する犯罪とは——(帯より)
読んだのは単行本版ですが、リンクは文庫版。
「長い影」「鸚鵡返し」「あるいは四風荘殺人事件」「殺意と善意の顛末」「偽りのペア」「火村英生に捧げる犯罪」「殺風景な部屋」「雷雨の庭で」が収録。
その話も面白かった! 「長い影」は息が詰まってどきどきしました。どう追い詰めるんだろう、と。「火村英生に捧げる犯罪」もよかった。アリスが引き離されそうになっているので行くなー! 無事でいてー! とハラハラしました。しかし私だったらここでアリスを危険な目にあわせて火村に助けに行かせてしまうな……なんてことも思ってしまいました笑

ディシベリア帝国皇女・フィグネリアへの誕生日祝い。それはあまりに怪しい“婿”だった! 刺客かと疑うも、クロードと名乗る彼は何にもできない優男。婚儀の夜——早々にフィグネリアがクロードを寝室から追い出そうとすると、何故か扉が開かない。その時、突風が部屋を駆け抜けた! 驚くフィグネリアの前で、クロードが慌てて笛を吹き始めて……? 第14回えんため大賞奨励賞受賞作!(裏表紙より)
神霊を敬う帝国。周辺諸国では火器の発明が開始され……という状況から、いつ帝国が落ちるかとひやひやするんですが、そういう状況下で妖精と深く関わっているらしい婿を取った、帝国皇女フィグの物語です。シリアスではなく、結構ほのぼのとしていたかな……?
いやー、ヒーローであるクロードが、優しくて一生懸命な青年で、かつフィグの美人なところとかお胸とかに反応しちゃう本当に普通の男の子で、すっごくすっごくかわいいんですよね! たらしというよりかは、「かわいい……でも手が出せない……つらい……」っていう感じなので笑ってしまう。
神様関係がラフなのは仕方ない笑 そういうところも含めて、ライトで楽しかったです。

事故で両目の視力を失った蒼。角膜移植さえすれば、見えるようになる——そう思うと、むしろ何事もやる気になれない。二年が経ち、高校もやめ、漠然とした不安のなかにいる蒼に声をかけてきたのは、友希という女子大生だった。ふたりは惹かれあい、恋人になる。直後、蒼は移植手術を受けることに。だがそれは友希との別れを意味していた…。せつなく香る、恋の物語。
友希、君に会いたい。顔も知らない、大好きな君に。
小田さんというお名前に変えて恋愛ファンタジーも書かれていた沖原さんが、その小田さん名義で、デビュー作のような恋愛小説を書いた! というからには読まなくちゃいけないと使命感に駆られてしまい、発売日に飛びつくように買っていました。
とても、小田さんらしい小説でした。目が見えないという状況にあって、ちょっとしたふれあいがすごく大きなことに感じられるのは当然だと思うんですけれども、そこからさらに踏み込んで、「人を見る」(直接見たわけではないけれど、きっとこの表現が正しい)という要素が加わって、とても面白かった。ちょっとした言葉、態度、自分の内面をすごく掘り下げられていて、これは淡い恋とかではなくて、恋をするってことの話なんだ、と最後にすごくずっしりきた感じがしました。……語彙力はどこ!? という感じの感想になりますけれども!
すごくいい恋愛小説でした。

歌で自然を操り魔物から人々を護る“楽師”。中でもエルネスティーヌは誉れ高き<歌姫>として君臨していた。しかしある日、魔物に歌声を奪われてしまった上に反逆の疑いをかけられた彼女は、事件解決まで聖フィデール楽院に身を隠すことに! なのに、超堅物優等生のオリヴィエに「音痴は今すぐ退楽しろ」と脅されて——!? 不協和音が奇跡を起こす? 第15回えんため大賞特別賞受賞作登場!(裏表紙より)
貧しい生まれながら、天賦の才能によって、幼い頃から王宮で暮らし<歌姫>として君臨して人々を救ってきたエルネスティーヌ。しかし、口を開けば必ず幻滅される、高慢な少女でもあった。そんな彼女が、謎の強力な魔物に襲われたせいで、音痴になってしまった。ほとぼりが冷めるまで楽院に身を隠すことにしたけれど……。
エスティ(イヴリーン)の、気持ちいいくらい能力に裏付けされた自信と高慢ちきなところと、口汚いところがとっても楽しかったです! って書くとどんなひどいヒロインだ……という感じなんですけど、このイヴリーンのひねくれちゃった経緯を想像してみると、仕方ないかなあと思いつつ、彼女の強さがすごく際立っていて、かっこいいと思うんですよね。くわえて、ちょっとおばかなところも含めて、かわいいなあと思います。
魔物との対決はそれでいいの? とちょっと思いましたが、次の自分へ、と新しい自分を見つけるために努力するイヴリーンは素敵だと思います。リュクシオルとのコンビも楽しみです。

児童虐待を解決する突協約はない。さまざまな立場の人が問題に関心を持ち、考え続けるしかない。
日々、報道される虐待事件。しかし、個別の事件報道だけでは虐待問題の深層は見えてこない。虐待問題の本質と解決策を徹底的に現場から探り、多くの反響を呼んだ朝日新聞大阪本社編集局発のルポ!(カバー折り返しより)
2008年の本。これを読んだその時の報道等に影響されたわけではないのですが、確かに一つの言葉や枠にはめただけでは、当事者のことは私たちにはまったく届かない。判決結果だけを見てもわからない。環境の問題もあるし、心の問題もある。読みながらそういうことを考えました。この歳になった自分は、いつその加害者になってしまうか分からないのが、怖いなあということも思う……。

日々の生きるつれづれ、創作の裏側、大好きな本や映画のこと、「児玉清さんのこと」をはじめとした敬愛する人びとのこと、ふるさと高知のこと、etc.
デビュー書籍刊行前の2003年〜現在までの、想いがこもった全94本+小説2編。
『塩の街』『空の中』『海の底』が刊行されていた当時の、創作の裏側やインタビューなどについてもあり、東日本大震災が起こったときのこともあり、かなりの数のエッセイが収録。
短編も収録。「彼の本棚」は面白いなー! 続き読みたい。同じ本を読んでる人に会うってロマンだよなー。
震災について、ふむふむと読んでいたら、4月15日、熊本地震が起こる。
ただあのときとは違って、みんなツイッターの使い方に気をつけているし、デマにも敏感だし、広めなければならない情報を取捨選択するのに慣れた感じがする。自粛が何も生まないということをみんな知って、いつも通り暮らそうという人たちもいる。ドラマや番宣は、特番の影響で変更になってしまったけれど、でも、あの頃よりは、『いつも通り』が許される環境になったような気がする。

18世紀、ロシア——。ピョートル大帝一家は宮廷の中心にいた。欧州の貴族には田舎者と馬鹿にされることもあるけれど、ロシア宮廷では誰もが自分たちに道を開け、頭を垂れる。大公女アンナは、ただただ幸せな毎日を謳歌していた。だがある日突然、アンナは美貌の青年貴族と婚約することになる。それが、歴史を揺るがす、大事件へと発展していくとも知らずに…!! 2013年度ロマン大賞受賞作!!(裏表紙より)
「恋文」にまつわる物語。かなり込み入った宮廷事情を、まだ年若く子どもっぽいところもある、けれど聡明な少女、大公女アンナの視点から見る。
後半かなりばたばたと畳んでいった感じはあったのですが、歴史ロマンはやっぱりいいなあ! 今この時の状況はこうだけれど、最後にはこうなる、というのが、すごくどきどきわくわくする。物語の余韻に浸りました。
アンナの恋愛事情はわりとさっぱりだし、父大帝周辺や陰謀などのどろどろ具合の方に重きを置かれているように思えたんですが、登場するアンナとリーザ姉妹の教育係、マリア・カンテミールの存在がすごくいい! アンナが成長し、マリア(理想の貴婦人像)に近づいていって、激怒した大帝を制止したシーンは、それまでマリアが担っていたであろう役割を果たしたように感じられて素晴らしくかっこよかった!
素敵な歴史ロマンだった。面白かった!

「あなたの本当の目的というのは、もう一度人間になること?」
大学生になった春、美綾の家に迷い込んできたパピヨンが「わしは八百万の神だ」と名乗る。はじめてのひとり暮らし、再会した旧友の過去の謎、事故死した同級生の幽霊騒動、ロッカーでの盗難事件。波乱続きの新生活、美綾は「人間の感覚を勉強中」の超現実主義の神様と噛み合わない会話をしながら自立していく——!(裏表紙より)
萩原さんの新作は、不思議なことと人の心の影の部分を描く現代もの。弱々しいわけではないけれど女子校育ちで純粋で真面目な性格をしている美綾が、八百万の神を名乗るパピヨンとの同居生活をする話。
大学進学の、入学時の空気感や、居場所を探したり、人の見方が変わったりする、すくすくと育つ芽みたいな印象が柔らかくってとても心地よくって、だから人の心の影の部分が痛くて怖くて。真相の部分を読むと、美綾は強いなあ……と思いました。今回出てきた人たちが今後に関わってくることはあるのかな。
川森先生がなんだかいい感じなので、この人は結構食い込んできそうだなあ(そして大事なところで選択肢を投げそうだなあ)などと思いつつ、どうぞ次も出ますように!