読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
相澤奈々、まもなく二十五歳。平凡で地味な毎日だけど、恋愛も仕事も順調だった。ところが、そんなある日、奈々は、途中入社してきた後輩に、恋人を奪われてしまう。精神的にボロボロになった奈々がすがりついたのは、クールな上司・樋口だった。
約束したのは、大人の関係。割り切った関係のはずだったのに、お互いに惹かれていって……
一度傷ついたからわかる、この恋の大切さ。甘いだけじゃない、大人のラブストーリー。(裏表紙より)
エタニティってだいたい甘々だったりらぶえっちだったり、というイメージだったんですが、オフィスラブものでも、これは結構ビターな感じ。主人公が清純とかそういうのじゃなく、すごくしっかりした考え方の持ち主で、だからこそ恋人を奪われてだめになってしまうという。そこから上司との関係が始まり……という、繋がり方もやり取りも、常にお互いが傷ついている感じがして、読んでてずっと痛々しい。だから、ちゃんと結婚できてよかった。
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夢の映像を記録した「夢札」、それを解析する「夢判断」を職業とする浩章のもとに、奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する、集団白昼夢。浩章はパニックに陥った子供たちの面談に向かうが、一方で亡くなったはずの女の影に悩まされていた。日本で初めて予知夢を見ていると認められた、結衣子。災厄の夢を見た彼女は——。悪夢が現実に起こるのを、止めることはできるのか?戦慄と驚愕の新感覚サスペンス!(裏表紙より)
ドラマの「悪夢ちゃん」の原案だということですが、そうでした、あの時間帯のドラマは、原作小説から結構かけ離れた改変をするんだった(という思い込みが私にはあります……)。
時間と場所は特定できないけれど、予知夢をみることができる結衣子。彼女が見た大事故の夢が、彼女自身の最期だった。結衣子が死んでから十二年。夢判断をする職についていた浩章は、結衣子がまるで生きているかのような幻をみる。けれどそれは本当に幻か? 折しも、とある学校で集団白昼夢事件が起こっており……。
どこかのエッセイで「無意識をめぐる冒険」を書きたいということを書いておられたような気がするのを、読み進めていて「無意識をめぐる」というワードが出てきてはっと思い出しました。
現実と夢と、科学では解明しきれない不可思議の出来事が入り混じった、恩田陸作品ならではのもので、終わり方もオープンエンドで投げるといういつものでした。私は現実と夢が融合しきって別世界を構築したのかなあと思ったのですが、「夢違というタイトルから、夢によって未来が変わって、パラレルワールドに移行したんじゃないか」という意見を読んで、なるほどーと思いました。だとすると結衣子は死なず、浩章と一緒にいる未来に、夢が変わり、結衣子は自分の願いを叶えることができたわけだ。
少し前に一斉を風靡した「東大ノート」のまとめ本、の二冊目。デザインの勉強のつもりで読んでみたんですが、ノートって個性が出るんですねえ! 自分がそういう勉強から遠ざかってもうだいぶと立つので、頭のいい人のノートを見る機会がなく、今回初めて見ました。みんな綺麗に書くなー。
私は授業ノートとテスト勉強用のノートを作る人間で、それは社会に出てからも、殴り書きのようにばばばっと素早くとるメモ用のノートと、まとめノートを作るようにしていますが、このまとめノート、綺麗に書けないんですよね……。そして綺麗に書くのを諦めるという。
この本は東大ノートに加えて、京大ノートも特集しており。東と西の文化というわけではないでしょうが、やっぱりちょっと地域性が出るものなのかもしれませんね。そう、何故かやたらとカラーペンを使いたがる気がするんだ関西は……。
憂鬱な毎日を送るアンナのもとに、10年ぶりの手紙が届いた。差出人は、アンナの腹心の侍女だったリリヤ。「今こそ、あの事件の真相についてお話しできるのではないかと思い、筆をとりました」——10年前、名家の子息・キリルに見初められ、誰もが羨む結婚を間近に控えながら、キリルの弟との密会を重ねていたアンナ。その先に起きた、不可解な事件…。リリヤの手紙が明かす、衝撃の真相とは…!?(裏表紙より)
こういうの出してくれるからコバルトが好き……。短編の「妖精の庭」「夏の夜の夢」表題作の中編「嘘つきたちの輪舞」の三編が収録されています。
どれも、古いヨーロッパの時代の雰囲気を残す、華やかでいて陰鬱で、古いものと新しいものが混沌と入り混じっている、寂しい雰囲気のお話。どの話も、悲しい……。
「嘘つきたちの輪舞」は、全員、嘘つき、というすれ違いが生みだした悲劇なんですが、それアカーン!! と叫びながらもページをめくる手が止まりませんでした。全員がだめだってわかってて行動してる感じとか、なぜ嘘をつき続けることを選ぶのかとか、最後まで頭を抱えてしまう。この、死と悲劇と、遺された者たちっていうシチュエーションが、素晴らしいくらい陰鬱。この終わり方をしたこの話に拍手を送りたい。私は少女小説でこういう話があってもいいと思うんだ!
すごく面白かったです。
凛々しく純情な少女マリアーヌは、無自覚に令嬢を虜にしつつ可愛い乙女を目指す日々。ロベルト王子の特別扱いにトキメキながらも、過去のトラウマからそれを恋とは結びつけられずにいた。王宮ではローズウィークという祭が始まり、王子はレディ達に大人気。無意識に焼きもちを焼くマリアーヌに、思わずロベルトは愛の告白を! しかし、告白はカイルによって曲解され思わぬ方向へ!? 薔薇咲く王宮で、恋と陰謀の幕が開く! (裏表紙より)
『レディ・マリアーヌの秘密』の続きにして完結巻。短い! そして思った方向と違うところへ落ちてしまった!
前巻ちょっとファンタジー要素が入ったので、それ関係の陰謀もありかと思ったら、王宮恋模様、対王子様、という感じになっており、糖分高めで甘かったんですが、いろいろと消化不良ー! マリアーヌにはもっと騎士然としているところを見せてほしかった!
しかし、まるっとお祭りの話っていうのはいいですね! 着替えがあったりハプニングがあったりして楽しい! そして、ミリエールがとってもかわいい! この子はきっと大人になったら美人で策士なお姫様なんだろうなあ。その話が読みたい……。
ロベルトのフェロモンたっぷりのヒーロー感もよかったし、マリアーヌがそれにほだされてしまうところも見たかったですが、楽しいシリーズでした。
親も子も、どうすればいいのか、誰に相談すればいいのかわからず、気持ちばかりが焦ってしまう。ハローワークを訪ねてみても、同じ求人がグルグル回る“カラ求人”や、非現実的な“神様スペック”を求める企業が少なくない。そうこうしているうちに、時間だけが過ぎていき、やがて家族ごと地域に埋没してしまう——。ひきこもりが「長期化」「潜在化」する中で、当事者たちによる外に出るための新たな動きを探った。(帯より)
2014年10月刊行。当事者の実例よりも、より社会的な要素から話が始まります。
引きこもりの調査では、四十代以上は弾かれている場合が多いとか、初めて知りました。確かに、今は若者の引きこもりの方がよりクローズアップされている感があるけれど、一人暮らしの中年の人(特に男性)は昔からよくいるような気がする。
そういった人たちは、失業をきっかけに外への関わりを見失って、家に引き守るようになる。仕事、というのは、生活の糧を得るためのものだけれど、一度失うと居場所を失うも同然という感覚、よくわかる。
そういった失業者の問題、ハローワークにおける求人の現状も取り上げつつ、話は引きこもり支援活動、当事者、親たちの活動に至ります。
結論的には、とにかく外へつなげることが大事ということなのかな。移動費もない、生活費すらない、そういう中でどのように支援すべきかという問題の解決は難しいけれど、親がいる状況で引きこもっている人は、外との関わりを、きっかけを得るべきなのだろうなあ。家族という世界が、とても狭いものだということに気づければ、変わることもあるかもしれない。
「だから——ルビーウルフ様もお花を飾りましょう!」
にこにこと笑いながら、キャスはルビーウルフの手をがっちりと掴む。
城中がお祭り気分に浮かれていた。
花飴選び。それは未婚の男女を結びつけるための行事だった。この日になると、独り身の女は各々の好きな花を胸元に飾り、その花を目当ての男性に取ってもらえたら、めでたく恋人成立。
「そういえば、ジェイド様のまわりにも、この日になると用もないのに近寄りたがる人が増えますね」
関係ないよと言いながら、やっぱり気になるルビーウルフ。しかも彼女が儀式のルールを知らなかったために……。
グラディウス城は今日も大騒ぎ! 狼王女の冒険譚、これが本当の大団円!(カバー折り返しより)
短編集2。ああー! 短編集の1に気づかなかったばっかりに、悔しい思いをしています。これから本屋さんに探しに行こう……。
本編ではしっかりした足取りで、自分自身の気持ちを確認し、それを伝えあった二人でしたが、この巻での二人は、そういうことを前提とした、ちょっと甘めの優しい短編が多くて、にやにやするところがたくさんありました。
いやしかし、それにしてもジェイドはなかなか理性の人だな……。
1巻だと、結構すれた感じのきつい人物かと思えたんですが、巻を重ねるごとに、しっかりとルビーを支える、穏やかで優しい、気苦労性の青年になっていましたね。懐広いわー。かつ理性の人って、おいしいわー……笑 だから「君に捧げる永遠の花」はたいへんごちそうさまでした。
シリーズ、短編集1は読めてませんが、すっごく面白かったです! ありがとうございました!
陸路を使い帰国の途についたルビーウルフたち。神具は失われたまま、見えない敵にいつ襲われるかという危険と隣り合わせの旅路であった。しかも——
「ねえ、暑いのよ。扇いでちょうだい」
温室育ちのコロナード王国の姫君・エミリエンヌは、お荷物以外のなにものでもない。イライラを募らせながらたどり着いた砂漠の国境で、一行は何者かの魔法攻撃で離れ離れになってしまったのだ。
お荷物エミリエンヌと二人きりという貧乏くじを引いたルビーウルフ。そんな彼女に、さらなる試練が降りかかる。
追い込まれた極限状態の中で、ルビーは己の奥底に眠っていた感情に気づく。
狼王女の冒険譚、最大クライマックス!(カバー折り返しより)
最終巻だとは思わずぼーっと読んでたら、本編の最後の話だとあとがきに書いてあってびっくりしました。いつまでもルビーの物語が続いていくように感じていたから。
いやあ、淡路さんの作品は、『花守の竜の叙情詩』が最初に読んだものだったので、すごくしっとりしたリリカルな話を書かれる方かと思ってたんですけど、違った。淡路さんって、すごくすごく丁寧で、無駄のない、綺麗な話を書かれる方なんだ!
ルビーウルフは、古き良き、というのか、元盗賊の女王と伝説にまつわる王道ファンタジーで、登場人物の配置、その世界観を表現するにふさわしい道具、設定がきっちり整頓されていて、とても読みやすくて入り込みやすい、美しい構造の話だと感じました。読んでいて、すっと入ってくる。ささいな台詞まで気を配られているし、決め台詞もかっこいいし。
あくまでルビーたちは自分たちの手の届く範囲で、できることをしながら、ついでに世界も守ろうという感じで、その距離感もなんだか心地よかったなあ。
奪われた牙、神具〈導きの剣〉を求め、ルビーウルフがやって来たローラティーオーと呼ばれる島。そこは二つの部族が暮らす、外界から断絶された世界だった。
二つの部族アウローラとクレプスムルクは、かつて第五の神具〈全知の書〉を所有していた。〈導きの剣〉を奪ったのは、クレプスムルクの神官イグニス。その手引きをしたのは、ジェイドの師匠・白き魔女エリカ——。
次々とルビーウルフに襲いくる厳しい現実と裏切りの中、トライアンの王女ミレリーナも神具〈裁きの天秤〉と共にイグニスに連れ去られてしまった。
神具奪還のため、クレプスムルクの村に向かうルビーだったが、ついにイグニスの魔の手が彼女にも伸び……。
盗賊王女冒険譚、最大の試練が始まる。驚愕の第5弾!
4巻からの続き。第五の神具〈全知の書〉を守る二つの部族が暮らす隔絶された島、ローラーティオーでの、最後の戦いの前段階といった感じの第5巻。
ルビーは自覚おめでとう! 次くらいでくっつくかなー。
過去の後悔を、消えない憎しみや喪失感を抱えながら、それでも許すし、私は生きていくよ、とはっきり口にして言えるルビーが本当にかっこいい! それでこそルビーウルフ。
ルビーウルフの甘い悪夢を打ち消したのは彼女自身の力もあるけれど、ヴィアンカが出てくるとは思わず、ぐっとこみ上げた。やっぱりお母さんは、そうだよね……! 彼女は慈愛の女性だったんだなあ。
〈導きの剣〉——それは、創造神ロゥヴァースのちぎれた四肢が変化したと言われる神具。グラディウス王国の王族のみが手にすることを許された、神の右腕。盗賊王女ルビーウルフの牙。
その牙が奪われた!
ルビーウルフの女王即位1年を祝う式典での出来事。突然足元の空間が裂け、そこから現れた生白い二本の手に襲われたルビー。必死に抵抗し逃れたものの、〈導きの剣〉は謎の腕と共に空間に消えてしまう。そして同じ頃、隣国トライアン王国でも——。
神具を巡る大いなる陰謀が動き出している事を悟ったルビーウルフは、ジェイドたちと旅立つ。奪われた牙を取り戻すために!
盗賊王女の冒険譚、緊迫の第4弾!(カバー折り返しより)
女王としてすべきことをやって、それなりに女王様業も慣れてきたルビーウルフ。女王即位から一年が経ったその日、事件が。
次の第5巻にもまたがる、神具と〈全治の書〉をめぐる陰謀の話のようです。
ルビーの本当の胸のうちも吐き出されたり、ジェイドの態度が変わってきていたり、特にジェイドは次巻でブッ込んでくるのか!? という期待が高まる。
裏切り者が出ましたが、気にしてません。理由があるに決まってる!