読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
計算が得意な巫女見習いのノトは、神殿の会計係をめざし修行中。しかし不器用な性格が災いし、仲間の巫女たちから横柄だと誤解され目の敵にされていた。そんなある夜、戴冠の儀式参列のために神殿を訪れた宰相カノンと二人、王家の陰謀に巻き込まれてしまう! 気が付くと不思議な地下神殿にいて……!? 宰相“陛下”と呼ばれるほど優秀で冷静なカノンと不器用なノトは、地上に戻ろうと助け合ううち……!?(裏表紙より)
思ったよりもしっかりと固めの話だったのでちょっとびっくりしましたが、こういう宗教やら伝説やらが絡んだ話は大好きです! ロマンチックよりはちょっぴり本格ファンタジーの味がします。そういうにはちょっと軽いかもしれませんけれども、シリーズが長いのでこれからぐいぐいくると思うと楽しみ! 別々の方向に不器用な二人が、お互いを認め合って必要とし合ってからを楽しみにします。
一番ヒロインっぽかったのは、親友のサナだなあ、と思いました。主役張れるよねこの子! 最後にああいう位置につくっていうのは、とっても美味しい。主人公をしっかり信じてくれるところもポイント高い。
あと、挿絵に笑いました。リリィのドリル巻き毛! なげー! って思わず言っちゃいました。兄のキデアがシリウス王国の関係者なら、これから関わってくることもあるんでしょうか。
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アリエルは孤児院出身のお針子で、ドレスメーカーに勤めていた。あくせく働いていたある日、大会社のデュアメル商会から使者がくる。赤ん坊のときに誘拐されてしまった創始者の孫娘がアリエルではないかというのだ。驚くアリエルだったが祖父を訪ねるとそこには会社の後継者候補、すなわち婚約者候補が3人いた。恋を知らないアリエルが一番気になるのはいつも冷たい対応のフランシスで……。(裏表紙より)
シンデレラ……ぽいようなそうでないような。孤児だったけれど大金持ちの孫娘と判明して迎えが来た、という話ですが、ありがちなところを外してきてるのか、両親が駆け落ちからの絶縁でなく、赤ん坊が誘拐されたという事情なので、おじいちゃんは優しい心の持ち主で、不器用だったりはしません。実祖父にかわいがられるのも逆ハー……というのかな?
三人の後継者候補とも日々を過ごすことになりますが、特に恋の鞘当てが行われるわけでもなく、乱暴な扱いをする敵役はいるものの、なんというのか、みんなまったりしてるね……? という。特にヒロインのアリエルが「負けるもんかあ!」という根性がない、諦めているようなふしのあるお嬢さんなので……。
しかし、おじいちゃんの出番をもっと! こんな優しい、あったかいおじいちゃん、もっと出してくれないと! ヒーローのフランシスよりも、おじいちゃんのデュアメルさんに和ませてもらいましたよ!
月読——それは、人が亡くなると現れる“月導”に込められた死者の最期の思いを読み取る特殊能力者だ。投身自殺した女子大生の月導に残されていた殺人の告白。それは若者たちの錯綜する思いが招いた悲劇だった——。表題作など4篇収録。月読・朔夜一心が活躍する傑作ファンタジック・ミステリー。解説・大矢博子
月導(つきしるべ)という、人が死ぬと現れる、物体・現象などが存在する世界。月導の存在によって私たちの世界から分岐して、科学の進歩が遅れたその世界で、月導とそれを読み取る能力者によるミステリの短編集。読み始めからなんとなく違和感だったのですが、これ前作があるんですね。読まずとも問題なかったですが、読んでいた方が分かりやすかったのかもと思います。
全編とも、なんとなーく後味が悪い!笑 人の死とその最後に思ったもの、というものを扱っているせいか、最後まで気持ちよくめでたしで終わらないところが、いい味でもあります。でもやっぱりいい話を読みたかったですよ! ないわけではないんだけど!
月導というものがとてもいいものだと思いました。ミステリアスかつ、ファンタジック!
9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは? ゼロ年代最高のフィクション、ついに文庫化!(裏表紙より)
アニメ化と聞いたので積んでいたのを引っ張りだしてきたんですが、続く『ハーモニー』を買っておらず、唸っているところです。
面白かったー!! 主人公が外国人名なので、翻訳小説のように読みづらい(私には)のならつらいなあと思っていたのですが、するすると読める上、台詞や構成ががんがん響きまくって、すごく面白かった。やっぱりオチが素晴らしい作品は良作なのだなあという思いを強くしました。(そして読み進めながらつい「理由はアレか?」と考えてしまうのを私は本当に止めた方がいい……)
自己、進化や淘汰や、倫理、戦争。生命、特に人類にはかなり重苦しいキーワードがちりばめられており、今の私は是か非か、善か悪か、という問いかけをずっとされているように感じて苦しかったです。ぼくことクラヴィス・シェパードが、道徳的にアウトなことをしている中で、命とは、を問いかける形なのが、重かったし面白かった。想像しうる未来であることが恐ろしく、軽い文体というわけではないのに、一人称視点というのが入り込みやすく、かつ現実を前に皮肉った調子を感じさせるので、重さと軽さのアンバランスさにぞくぞくしました。
面白かった。機会があったら『ハーモニー』を読もう。
あたし、森村あゆみ。覚えててくれた? 『星へ行く船』で出演してたでしょ。今回の話は、あたしのつとめ先の探偵事務所みたいな所に、妙な依頼がきて始まるの。警察でも守れない程の大物相手に戦う筈の、とある女の子を探して守れって依頼なんだけど……調べてみたらその女の子、なんとあたしなのよね。あたしがあたしを探して守るって……どういう事件なのよ!?——『星へ行く船』シリーズ第2弾。(カバー折り返しより)
シリーズ二巻。すっかり事務所に腰を落ち着けたあゆみ。今回遭遇したのは、謎めいた喪服の美女(しかも強くて賢くてお金持ち!)。彼女を守るはずが、逆に守られるあゆみですが、この、守られている、憧れる、からの守りたい気持ちというのにすごくときめきました! あまりにも強くて、ちょっと寂しいところもある人って、性別問わず守りたいって思うよね……などと。
SFらしいちょっとグロいところもあるのがいいなー。そして、アクションがどばばたコメディになるところがくせになります。
あたし、森村あゆみ、十九歳。ちょっとした事情なんてのがあって、今、現在進行形で家出のまっ最中。家を捨てるついでに地球まで捨てる覚悟で乗った宇宙船の中で、密航者には出喰わすし、旅行者のミスで男と同室にしなきゃならなくなるし、あげくの果てに殺し屋さんにまで狙われちゃって……。一体全体どうなっちゃったんだ、あたしの家出は!! そして今度出てきたのは王様だって……もう!(カバー折り返しより)
あらすじを読まずに読み始めて、あれっめずらしいな……と思ってからふと、まさか、と思ってカバーを見ると……ネタバレはやめてください! と思いました。せっかくちょっとの間騙されてたのに。
地球を家出してきた富裕層出身のあゆみ。他の星で生きていこうと船に乗ったはいいものの、チケットが重複して男と同室、しかも彼は密航者を伴っていた。何でも屋だという太一郎は、とある星の王位継承者……の身代わりを護衛している。そんな二人のどたばたSF。
かと思うと、もう一編は、SFらしい空恐ろしさを含んでいて、すごく面白かったです。
一人称って読みづらいときもあるのですが、新井素子さんの作品は読みやすくていいなあ。こういうの書いてみたい。
気がつくと白い部屋にいた。白い部屋——病院。何であたし、こんな所にいるんだろう。何であたし……え? あたし、自分が誰だか判んない。記憶喪失? そんな……。おまけに、病院に来た刑事は、さらに凄いことを言うのよ。あたしのこと、殺人犯だって! 殺人の疑いをはらすべく過去を探しに出たあたし、誰かにおそわれる。何で? あたしが何したっていうの。それにあたし、誰なのよ!(カバー折り返しより)
「あたしの中の……」「ずれ」「大きな壁の中と外」「チューリップさん物語」の四作品が収録。一人称の話って得意でなかったはずなんですが、新井素子作品ならするすると読めるし楽しい。
どの話も、短いのに起伏があって、オチがあって、すごくいい。好きなのは「大きな壁の中と外」です。これ、閉鎖学園みたいな感じでもっと読みたいなあ(というか書いてみたい……)遠い過去の人々の思惑で、未来の青少年たちが戦う話って本当に好きで、新井素子はそれほど読んでいないのに、ここに自分の好きなもののルーツがある。不思議だなあ。
理解不能の授業! つぶれるバイト先! 眼科医との攻防! 100キロ超えのハイキング! 500キロ超えのサイクリング! 初めてのピンク映画館! 変人との遭遇! 迫り来る就活! 華やかな看板の裏で繰り広げられた東奔西走の日々。
こないだまで大学生作家だった朝井リョウの別に知らなくてもいい真実(帯より)
桐島しか読んだことがなく、情熱大陸で特集されていたのを見ただけなのですが、予想以上にダンスィな大学時代だったので、外で読むのが大変でした。なんど噴き出しそうになってにやついたか。
「(にこ)」の破壊力にやられ、リア充、なう、などの昨今の言葉が並び、おなか緩い系だったり、馬鹿なことばかりしている朝井さんに、思った以上に親しみを持ってしまってちょっと好きになりました。ばっかだなあ……(褒め言葉)
三浦しをんさんや、イケてない系が好きな方は多分笑ってもらえると思うので、おすすめです。
「ぼくはあなただけを守る魔物なんですから」神魔を使役し《名もなき悪魔》の名を書に記す朔使。人と獣の姿を持つ美しき神魔アガルと契約したレジナは、朔使となる試験を兼ねた調査のため、雪に閉ざされた小国ユピルスに向かうことに…。悪魔の調査のはずが、宮廷を探索中についた嘘から、王女の身代わりをすることになってしまい——!? 一途な魔物とその主となった乙女&未来の幻魔王が織りなす、悪魔召喚ラブファンタジー第二弾!(裏表紙より)
『花術師』や花神遊戯伝の一巻はすごく読みづらくて、このシリーズも一巻は少々読みづらかったのですが、読み慣れてきたのか二巻はより面白く読みました。アガルの純粋な台詞が転がるわこれ!
神魔は、悪魔は、恋なんてしないの? というのが今回のポイントなのですが、どんどんお互いを好きになっていく二人がかわいい! ヴィネトもいい感じにサポートしてくれるし、この三人組かわいいなーとにこにこしてしまいます。しかしどんどん逆ハー要素が濃くなってきた……? まだまだ離しが始まったばかりという感じなので、もっと大きく動く話が読んでみたいと思いつつ、今回のオチは「尚更したくなったら、どうしよう……」でした。最後にはああああん!!! と叫んで転がりました。ごちそうさまでした。
わたしの名は桃子。あさみ、和馬、利明に送られて帰る途中、公園にUFOが落ちるのを目撃した。UFOは宇宙船だった。中からは誰も出てこない。翌日、美姫、誠も加わって調査にのりだした。宇宙船からは宇宙人が出てきて、六人を船内へ招いた。宇宙人たちは戦争の最中、敗れて地球へ避難したのだという。が、宇宙人たちを驚かせたのは、あさみが精神感応を持ってることだった……。(カバー折り返しより)
私が読んだのは集英社文庫コバルトシリーズの版。久しぶりに新井素子作品を読んだら、面白くたまらなくてびっくりした。
神様らしきものが生命の争いを何らかの形で見守っているらしい宇宙。とある宇宙人たちが地球を戦場にしているらしいと知った桃子たちは、宇宙船を乗っ取り、自分たちで戦うことにした。ESPの持ち主や、何らかの才能に秀でた六人は、実は……という。わー少女小説でSFだー! と嬉々としてしまった。
みんなでわーっと騒いで、でもちょっと寂しい気持ちが漂っていたりして、面白かった。