読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

近未来都市ウィーン——ミリオポリスと呼ばれるその都に、機械化された身体を持ち、治安を司る組織MSSに所属する三人の少女がいた。
「やめて、お願い!」鳳/アゲハ。
「絶対に守るって……」乙/ツバメ。
「みんな死んじゃう!!」雛/ヒビナ。
とある戦犯法廷に立つ被告と七人の証人を保護する任に就いた三人だが、運命は、少女たちに未曾有の嵐をもたらす。
一人ずつ訪れる死。
二人目のリヒャルト・トラクル。
己を進化させる禁断の果実。
それでも、夢を抱いて嵐を飛び越え、蝶は真実の地平に舞い降りる——。
天と地の間に生きる妖精たちの物語!(カバー折り返しより)
オイレンと重なるもう一つの事件。なんだかとってもライトノベル! な、戦う女の子たちの話になっていましたが、状況が進むにつれて鳳が「止めて!」と叫び声をあげる事態になっていくのが辛い……。明るく希望に満ちた展開から、一気に加速する戦いというめまぐるしさが、辛いけれど、本当に面白い!
TRPGが出てくるとは思わなかったけれど、すごいゲーム展開で面白かった……。こんな風に世界が動くのが見えたら、面白いだろうなあ。
そして、冬真どうした!? と目を剥く成長ぶりで、お姉さんびっくりです。いきなり包容力が高まったぞ! このまま折れずにみんなを支えてくれ! というまだまだ予断を許さない展開が続きそうなので、応援する。
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空港で旅客機が占拠された。首謀者の男——パトリックを捕らえ空港内留置所に拘束するも、中国服の武装集団に襲撃される。いきがかり上、パトリックと共闘することになる涼月。一方、テロリストが市民200名を人質に、空港の一角を占拠。陽炎も人質となり、両手に爆弾のスイッチを握らされる。テロリストの中には、〈レベル3〉の特甲児童、双子の兄弟の姿もあった……。クールでキュートでグロテスクな“死に至る悪ふざけ”、第4幕!(裏表紙より)
スプライトと重なるというので、どっちを先に読もうかなーと思い、涼月のことをもっと知りたいのでこっちにしました。やっぱり、すげーーーーー面白かったーーーーー!!
グロくてきついしえげつない描写は多いんだけれども、そうじゃないと描けないものがある、というのをひしひし感じて、すっごく楽しんでしまった。
涼月はもちろん、今回陽炎がすごく頑張った! 辛かったけど、頑張った……。ケルベルスの三人は、傷つきやすい女の子たちの集まりだよなあ。かつ、その周りの大人たちの魅力がね! いいよね! 悪い大人のことを、理解して、それを知らないふりをする女の子、でも大人は気付いてるよ! という関係性が、陽炎とミハエルは大変美味しいです。
夕霧の成長も目覚ましく(いや、もともと彼女は誰よりも俯瞰する立場にいることが多いんですが)、徐々に少女から女性になりつつある包容力だなあと思いました。
最後のビデオレターにすごく和みました。

「初めて仕事で人を殺したときのこと、覚えてるか?」。国際都市ミリオポリスの治安を守る、警察組織MPBの機械化された3人の少女、涼月・陽炎・夕霧。ある日、涼月は、初出撃時の記憶がないことに、あらためて疑問を抱く。彼女たちは、人殺しでトラウマを背負わぬよう、“人格改変プログラム”を適用されていた。あのとき、本当は何が起こったのか? クールでキュートでグロテスクな“死に至る悪ふざけ”(オイレンシュピーゲル)、核心に迫る第3幕!(裏表紙より)
スプライトより、ちょっと前の時間軸。MPBとMSSが微妙に平行を辿っている感じ。私はこの三人の方が好きなので、楽しかったし、はらはらした。特甲児童の秘密にどんどん近付くところが、ほんっとどきどきするし、続きを読みたい! ってなる。
リヒャルト・トラクルの逮捕の直前、別の特甲児童の存在が明らかになる。また、特甲児童の六人が何故交差しているのかという真実に近付きつつある三巻。
涼月と吹雪のやり取りに、にやにやしたり、はらはらしたり、ぶーって噴いたり。本当は何があったんだろう!? ちょっとずつずれている感じもあって、これからどうなるんだろうと心配になる。
次の巻は二つの作品で交差するんだよな。早く読もう。

二度の結婚に失敗した没落貴族の娘アイナは、今度は「トカゲの王子様」と噂される第二王子のもとへ嫁ぐことに決めた。覚悟を決めて辺境の地へ赴くアイナだったが、妻としてではなく、なんと客人として迎えられてしまう。最初は最惑ったけれど、第二王子エドウィンをはじめ、腹黒執事や怪しげな薬屋のおばばなど、少し変わったメンツに囲まれて、新しい生活を楽しみ始めるアイナ。だが、エドウィンの兄が国王に即位したことで、二人の運命は大きく動き出すことになる——
没落貴族の娘とトカゲの半身を持つ王子が織り成す感動の恋愛ファンタジー!(カバー折り返しより)
ドラゴン! と思って読みました。想像以上に庶民的で、どちらかというとほのぼのしていました。主人公のアイナが、没落貴族といえどごくごく普通の女の子だったのと、ヒーローであるエドウィン王子が、まったく王子らしくない引きこもりだったせいか。トカゲの半身を持つ王子様の趣味が、庭いじりと森の散歩だという!
最初の一話完結っぽい短い話が続いているときは、ほのぼのものなのかと思いながら読んでいたのですが、二人の「子ども」レグザスが出てきた辺りから面白くなってきました。王様に喧嘩売りにいくって、やっぱり面白い! 後半になって急に登場人物がどっと増えたのでもうちょっと長いものを読んでみたい気がしましたが、二人とも幸せそうで何よりでした。

近未来都市ウィーン——ミリオポリスと呼ばれるその都には、たくさんの言語とたくさんの神とたくさんの闘争があって、混沌の中で人々はあがき、生きていた。
機械化された身体を持ち、治安を司る組織MSSに所属する三人の少女がいる。
「死にませんわ、あたくし」鳳/アゲハ。
「坊主じゃねーし」乙/ツバメ。
「ボク、独りはやだ」雛/ヒビナ。
国連ビル内での内務大臣暗殺から始まるテロを前に、少女たちは立ち向かい、立ちすくむ——組織の内部崩壊を目の当たりにして。
互いの絆をもって戦いへと身を投じる少女たちに襲いかかる、大いなる雷鳴。
MSSの長く、熱い二十四時間が今、幕を開ける!!(カバー折り返しより)
書き下ろしじゃないからとっても話がコンパクト、かつ分かりやすかった。骨太な書き下ろしもいいんだけれど、まとまっているのも面白くてすごいなあ。
要人警護の任務に着く妖精たち。国連ビル内で発生した一人の暗殺によって用いられた細菌兵器に立ち向かうMSS。無力なただ人である冬真ががんばる回でもあります。
鳳たちのことを応援する気持ちもあるんですが、冬真の悩みがすごく等身大というか、戦っている人、に向ける思いがすごく身近に感じられて、自分もきっとこういう風に悩むんじゃないか、というものになっている。今度、彼はどんな風に成長しているんだろう。楽しみだ。

猫とぬいぐるみ、どっちをとるか。こう聞かれたら、私、どうすればいいんだろうか。おっと、これは高校生の頃からSF作家として活躍してきた新井素子の楽しい日常備忘録です。子供の頃からやたら好きだった本のこと、小説家を夢みてきたこと、結婚したことナド。素子さんちを訪ねたような軽快エッセイ。(裏表紙より)
新井素子さんって、小説もエッセイも同じ呼吸、同じ文体で書くんだなー、と思った一冊でした。新井さんが書く登場人物のような新井素子さんであった。何を言っているか分からないが、新井さん自身が登場人物みたいなように読めてしまった。不思議な人だなあ。
ぬいぐるみをぬいさんと呼んだり、それが400体近くあったり。本の話。旦那さんとの話。お家の話。最後まで読むと、やっぱりちょっと変わった方なんだな……と思いました。

自治国間の争い絶えぬクラナ半島。アイオーニアは、自治国ティレネを勝利に導く姫将軍として名高い少女だ。奴隷身分の異母妹イオニアを守るため必死で戦い続ける彼女に、美しい傭兵エフェロスは禁じられた想いを抱くようになる。一方異民族として軽んじられてきた異母姉ドーリアは、アイオーニアを追い落としティレネの権力を握ろうと、策謀をめぐらせていて——。それぞれの愛と運命を辿る三人姉妹の、ヒストリカル・ロマン!!(裏表紙より)
市民階級だが愛されない異母姉ドーリア。跡継ぎと目されるがまだ十六歳の少女アイオーニア。父から愛されているが奴隷階級ゆえに虐げられる異母妹イオニア。アイオーニアを中心とした三姉妹が、国が戦い、人が傷ついていく中で、振り回されたり勝利を手に入れたり、足掻く物語。
視点がよく飛ぶので読みづらかったんですが、姉妹ものはいい……! 悪女のドーリアも、姫将軍と呼ばれるせいで泣けないアイオーニアも、心優しく力のないことを悔いるイオニアも、それぞれにいい! 戦う姫ということでアイオーニアを応援するつもりで読んでいたら、うっかりイオニアとライアスに胸を掴まれてしまった。ここで二人が幸せにならないところが、悲しくていい……。

計算が得意な巫女見習いのノトは、神殿の会計係をめざし修行中。しかし不器用な性格が災いし、仲間の巫女たちから横柄だと誤解され目の敵にされていた。そんなある夜、戴冠の儀式参列のために神殿を訪れた宰相カノンと二人、王家の陰謀に巻き込まれてしまう! 気が付くと不思議な地下神殿にいて……!? 宰相“陛下”と呼ばれるほど優秀で冷静なカノンと不器用なノトは、地上に戻ろうと助け合ううち……!?(裏表紙より)
思ったよりもしっかりと固めの話だったのでちょっとびっくりしましたが、こういう宗教やら伝説やらが絡んだ話は大好きです! ロマンチックよりはちょっぴり本格ファンタジーの味がします。そういうにはちょっと軽いかもしれませんけれども、シリーズが長いのでこれからぐいぐいくると思うと楽しみ! 別々の方向に不器用な二人が、お互いを認め合って必要とし合ってからを楽しみにします。
一番ヒロインっぽかったのは、親友のサナだなあ、と思いました。主役張れるよねこの子! 最後にああいう位置につくっていうのは、とっても美味しい。主人公をしっかり信じてくれるところもポイント高い。
あと、挿絵に笑いました。リリィのドリル巻き毛! なげー! って思わず言っちゃいました。兄のキデアがシリウス王国の関係者なら、これから関わってくることもあるんでしょうか。

アリエルは孤児院出身のお針子で、ドレスメーカーに勤めていた。あくせく働いていたある日、大会社のデュアメル商会から使者がくる。赤ん坊のときに誘拐されてしまった創始者の孫娘がアリエルではないかというのだ。驚くアリエルだったが祖父を訪ねるとそこには会社の後継者候補、すなわち婚約者候補が3人いた。恋を知らないアリエルが一番気になるのはいつも冷たい対応のフランシスで……。(裏表紙より)
シンデレラ……ぽいようなそうでないような。孤児だったけれど大金持ちの孫娘と判明して迎えが来た、という話ですが、ありがちなところを外してきてるのか、両親が駆け落ちからの絶縁でなく、赤ん坊が誘拐されたという事情なので、おじいちゃんは優しい心の持ち主で、不器用だったりはしません。実祖父にかわいがられるのも逆ハー……というのかな?
三人の後継者候補とも日々を過ごすことになりますが、特に恋の鞘当てが行われるわけでもなく、乱暴な扱いをする敵役はいるものの、なんというのか、みんなまったりしてるね……? という。特にヒロインのアリエルが「負けるもんかあ!」という根性がない、諦めているようなふしのあるお嬢さんなので……。
しかし、おじいちゃんの出番をもっと! こんな優しい、あったかいおじいちゃん、もっと出してくれないと! ヒーローのフランシスよりも、おじいちゃんのデュアメルさんに和ませてもらいましたよ!

月読——それは、人が亡くなると現れる“月導”に込められた死者の最期の思いを読み取る特殊能力者だ。投身自殺した女子大生の月導に残されていた殺人の告白。それは若者たちの錯綜する思いが招いた悲劇だった——。表題作など4篇収録。月読・朔夜一心が活躍する傑作ファンタジック・ミステリー。解説・大矢博子
月導(つきしるべ)という、人が死ぬと現れる、物体・現象などが存在する世界。月導の存在によって私たちの世界から分岐して、科学の進歩が遅れたその世界で、月導とそれを読み取る能力者によるミステリの短編集。読み始めからなんとなく違和感だったのですが、これ前作があるんですね。読まずとも問題なかったですが、読んでいた方が分かりやすかったのかもと思います。
全編とも、なんとなーく後味が悪い!笑 人の死とその最後に思ったもの、というものを扱っているせいか、最後まで気持ちよくめでたしで終わらないところが、いい味でもあります。でもやっぱりいい話を読みたかったですよ! ないわけではないんだけど!
月導というものがとてもいいものだと思いました。ミステリアスかつ、ファンタジック!