読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!!(帯より)
長らく積んでようやく読みました。
天を目指して生き、星となった人たちのお話だったなあ。地の上から星となるってこういう感じなのかと感慨深く読み終わった。
どうして、なぜ、と問いながら、失敗と恥を経て、そこに至る。主人公である渋川春海が星だと思って読んでいたんですが、最後が近付くにつれてそこにいた人たちみんなが星だっただとわかる、その繋がりを知って涙がこぼれました。こうやって人が繋がるって、いいなあ。
『光圀伝』をだいぶと前に読んであったので、光圀公が出てくるところはおっと思いました。
面白かった。
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学校に建つ男女の生徒を象った銅像。その切り落とされた指先が指し示す先は……(「未来へ」)。真夜中の旧校舎の階段は“増える”。子どもたちはそれを確かめるために集合し……(「増える階段」)。まだあどけない娘は時折食い入るように、何もない宙を見つめ、にっこり笑って「ぶらんこ」と指差す(「お気に入り」)。読むほどに恐怖がいや増す——虚実相なかばする怪談文芸の頂点を極めた傑作! 初めての百物語怪談本。解説・稲川淳二
解説曰く、小野不由美さんが読者の手紙に書かれていた体験談をもとに作った怪談集だそうで、1ページから4ページほどの作品が多数収録されています。ほっこりするものもなければスプラッタなものもない、純粋な怪談。夜中に読むのが怖かったので朝の明るいうちから読んでいましたが、それでも読み終わりに近くなる頃にはなんだか身体が重いような気がするという……。表紙をよく見ていなかったのですが、ちゃんと見るととある作品に出てくる猫ですね。不気味だなあ。
「ルーナ、おれは君が好きだ。でも、さよならだ——」皇帝イシュトによる囚われ生活にも次第に慣れ、現状を受け入れつつあった〈剣ノ舞姫〉ルーナ。しかし突然「君に自由を返す」と告げられ、皇宮から追い出されてしまう。ずっと一緒にいたのに、今頃なぜ——? あまりの一方的なやり方に納得がいかないルーナは、彼の本心を探るために皇宮へ戻ろうと奔走するが!?とらわれ舞姫とストーカー皇帝の受難の日々、常々完結!(裏表紙より)
徐々に人らしい不器用さでルーナへの思いを強めていくイシュトは、自らの寿命が尽きかけてきていることを感じながら、ルーナを自由にしたいと思うようになる。でもその気持ちが一方的なのが、実にイシュトらしいなあと思います。
アダルシャンシリーズのときも思ったけれど、雨川さんは男性同士の、恋愛ではない不器用な愛情を書くのがお上手だなあ、なんて。イシュトとロキのすれ違い気味の愛が最後に少しお互いに届いたようでよかったです。
ルーナが最後までたくましく凛々しいルーナでよかった。ふたりとも幸せになれー。
皇宮騎士ベルダの処遇に不満をもつ〈剣ノ舞姫〉ルーナは、イシュトからとある取り引きをもちかけられる。それはイシュトと結婚して、子供を産めば、望みをかなえるというもの。あまりの衝撃に唖然とするルーナだけど、イシュトはいたって真剣。大激怒したルーナは、皇宮から脱走をはかる。だがそこで、イシュトを皇帝位から失脚させるための密談現場を目撃してしまい!? クールな舞姫の災厄生活、急展開の第3弾!!(裏表紙より)
本文と内容紹介がちょっと違う。実際は「結婚したら」という取引があって、その後切羽詰まったような「子供を産めば」という取引に変わっています。そんな段階を踏むイシュトの取引なんですが、前述したようにだいぶと切羽詰まった感じがあって、病んでるけれども不器用な人間だなあという気持ちが読んでいて強くなってきました。生きかたを知らない人が一生懸命、ルーナをつなぎとめようとしているように思えてきて、イシュトももうちょっと情緒を育てて、ルーナはもうちょっとイシュトのいいたいことをいい方向に読み取ってあげられるように頑張ってほしいなあと思いました。
次で最終巻。幸せになってほしい。
森の中の学園に隔離されて育った、性別のない子どもたち。成人するにつれ性別が確定し、ひとり、またひとりと巣立っていく。年に一度の降誕祭を前に「学園の貴公子」と称される薄荷は、外界から侵入してきた少年と恋に落ちた。森への逃避行、フラッシュバックする記憶。17歳の身体と心は、意思とうらはらに変わりはじめる……。(帯より)
樹海の中の隔離された学園に、性別のない子どもたちが暮らしている。十代後半になるとひとり、またひとりと性別が確定し、外の世界へ出て行く。学園の子どもたちはの中には「女になりますように」「男になりますように」と切に祈りながら暮らす者もいる。閉鎖された学園もの、いいですねえ。ブラウスにリボンを結わえ、短パンをはくというのが制服。実にいい。そんなところに外の世界から少年がやってきて……。
倒錯的に見えて、とても女性的な話だなあと思いました。空(登場人物の名前)によるところが大きいのかな。空は超越しているのに強い女性性を感じる。一方、小麦は最初女性だったのに後半からすうっと色を変えた印象なのがとても面白かったです。
真相としては予想通りだったんですが、外にも開かず内にも閉じきらないという終わり方が意外でした。あくまで中空をふわふわと漂って、何者にもなりきれないというラストのように思えました。
田舎貴族の娘フィーリアは、姉を捜しに王都へ来た途端に牢屋へ!? その窮地を救ってくれたのは、黒十字騎士団の団長で幼馴染みのヴィンセント王子だった。意地悪な彼に助けられても嬉しくないと思っていたけれど、姉捜しを手伝ってくれるヴィンセントを見直すことに。ところがある日、彼の異常な本性を知ってしまい——。私が誘拐されたからって、犯人全員始末してやるってどういうこと!? 一途すぎる王子の大迷惑な溺愛ラブコメディ。(裏表紙より)
意地悪ばかりしてくると思ったらだいたいの台詞の語尾に「お前が心配だから」がつく、ツンツン王子様に好かれてしまった、田舎貴族出身でごくごく平凡ながらたくましいフィーリアのラブコメ。楽しかったー!! 王子様が助けに来る状況で「まずい! 早く自力で逃げなきゃ!」ってお腹痛い。いつヴィンセントがやってくるかはらはらしました。
ファンタジーの世界観としては単語がちょっと気になる部分もあったけれど、フィーリアのツッコミ気質がとても楽しくて、ヴィンセントに対する反応などもリアルで可愛らしく、最後までにやにやして読みました。このふたりの進展が楽しみだなあ。
榮国地方の貧乏官僚の家に生まれた双子の春蘭と春雷。姉の春蘭は金勘定にシビアなしっかり者に育ち、気弱な弟の春雷は刺繍を得意とする立派な淑女に育っていた。
そんな二人なので、性別を間違えられることもしばしば。「姉は絶世の美女、弟は利発な有望株」という誤った噂は皇帝の耳にも届き、春蘭の後宮入りが決まってしまう。そして春雷も科挙を受けろと独り立ちを勧められ……。
追い詰められた二人は、人生を入れ替わることを決意して!?
賢い姉と美しい弟による、国を巻き込む男女とりかえ中華譚!(裏表紙より)
とりかえばや物語の中華風版かな? と思ったら中盤からだいぶ思っていた展開とは異なり、姉・春蘭は恋を知らないまましたたかさを貫き通したお話でした。ロマンスを期待するとちょっと物足りないかもしれませんが、相手が男だと思って苦悩するヒーロー(と言えるのかな?)は見られます。
冒頭の故事についてのお話が回収されないままなので、続きがあると思うんですが、続きではぜひロマンスが読みたい。この分だと春雷の方が早そうかな?
皇宮で暮らすことになった〈剣ノ舞姫〉ルーナ。だけど監視兼護衛の騎士はつくし、ルーナを愛してやまないイシュトによる告白ははげしいわで災難つづき。そんなある日、城で異国の使者をもてなす舞踏会が開かれる。昔の仲間に会えることを期待して舞踏会に忍び込むけれど、突如皇宮を襲った衝撃でイシュトとともに迷宮に落ちてしまい!?「ここなら君も、おれ以外は誰も見なくなる」迷宮で迷求婚!? クールな舞姫の受難第2弾!!(裏表紙より)
勇ましい市井出身の剣の舞姫の少女と、病んでるストーカー皇帝のお話。皇宮生活が始まり、相変わらずぶっ壊れてるイシュトにいらいらしながら、二人の関係性がゆっくりと変わり始める第二巻でした。第一巻ではどうよそれって感じのだいぶと壊れたイシュトでしたが、彼の背景を知るとなんだか愛おしくなってくるなあ。皇帝らしいところも見られてきゅんとしました。
闘技場で活躍する〈剣ノ舞姫〉のルーナは、剣舞を披露するために出かけたところで、皇宮騎士に追われることに。からくも脱出するが、迷い込んだ庭園で見知らぬ謎の青年イシュトに愛を囁かれたうえ、そのまま拉致されてしまう! だが、彼がルーナを利用しようとしていることを知ってしまい!?「君を愛してる——」その言葉は真実、それとも嘘——? クールな舞姫とキケンな青年の、奇妙な駆け引き生活が今はじまる!!(裏表紙より)
美人だけれどちょっと女らしいところに欠けているルーナ。そんなルーナの一挙一動を監視してきたイシュトに軟禁同然に匿われたところから、国と皇帝にまつわる事件に関わることに。
柔らかくて丁寧で「愛している」と囁きながら、完全にぶっ壊れた人であるイシュトが読んでいて怖かったんですが、国の謎に関わる真相によるものだとわかってなるほどなあと。ルーナと関わることで少しずつ人間らしいところを取り戻していったらいいなあ。
イェーガのことが悲しかったので続刊で救済がないか期待して読みます……。