読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

宗田真響の視点で描く、「最終巻」その後の物語。
冬休み明け、泉水子と深行の関係が強まったことを知った真響は「チーム姫神」として不安を抱く。折しも大がかりなスケート教室が開催されるが、そこに現れたのは真響の従兄弟克巳だった。彼は、自分こそ真響に最もふさわしい相手だと宣言、彼女に手を差し伸べるのだが……!?(他短編三本収録)
本編中の深行の心情を描く、中三の初夏、中三の秋、高一の秋の三つの短編。そして本編その後に当たるエピソードを真響の視点で描く表題作。
表題作は真響→泉水子のちょっとした百合というか……「守ってあげなくちゃ」と思いながら「どこまで進んでるのか聞きたいけど聞けない」っていう脇役だけれど重要な位置にいる友人のもだもだ感を楽しく読みました。泉水子は別の視点から見ると、ちょっと不思議で神秘的な女の子だというのもわかって面白かった。
三つの短編を読んだあとだと、深行が「氷の靴 ガラスの靴」でどんな風に思っているのか、泉水子と一緒にいるとどんな風に感じているのかが想像できてにやにやしました。
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山田正紀と恩田陸。多ジャンルで活躍する二人の人気作家が、名作エンターテインメント小説を読みまくり、語りまくる。題材は、半村良、アシモフ、小松左京、S・キングなど。自分だったらこのテーマをどう描くか、という実作者ならではの議論も白熱。後半ではついに、それぞれの自作、『神狩り』、《常野物語》シリーズも俎上に…。読書家必読の、プロ作家によるブックガイド対談集。(裏表紙より)
読書記録を付け始めるよりも前に読んだ、ような気がするんですが(単行本は2007年1月刊)記憶が定かでない。
有名なSFをほとんど読んでいないんだなあとわかる読書でした。前半は取り上げるものの関係でSFについての語りが多い印象なんですが、作品がわからないので注釈がついていてもなかなか読み進めるのに苦労しました。
スティーブン・キングや萩尾望都について話しているところを楽しく読みました。キングもちょっとしか読んでないからこれを機会に読もうかなあ。

黒十字騎士団団長ヴィンセント王子の屋敷に滞在中の田舎貴族の娘フィーリア。ある日、姉の結婚を知った彼女は、贈り物をしようと働くことを決意! 折よく、フィーリアを愛するあまり、誘拐犯の城を破壊したり、騎士団に厳重な警護を命じるヴィンセントはいない。早速行動したのだけれど——。私がヴィンセントの気を引こうと、わざと事件に巻き込まれてるって、勘違いだから!! 一途すぎる王子の大迷惑な溺愛ラブコメディ第2弾!(裏表紙より)
2巻目。失踪した姉を探して王都にやってきて事件に巻き込まれてしまったフィーリア。その後姉の結婚が決まり、贈り物をしようと考えるも、ヴィンセントの束縛がすさまじく。
ヴィンセントだけでなく彼に仕えている人や部下たちのほとんどが、フィーリアをがっちり固めているのがかわいそうでおかしくて。しかも本人が意図しないうちにみんながフィーリアのことを「ヴィンセントの花嫁になる人」として考えている節があるので、これからどうするんだろうなあ(にやにや)恋愛的に進展はあんまりなかった巻なので、早く素直になっちゃえよーと見守り体勢でいこうと思います。

1920年——ベルリンで保護された記憶喪失の女性が、アナスタシアを名乗り始めた…! 皇女アナスタシアは、革命政府に銃殺されたとされる皇帝一家の末娘。もし本物なら、莫大な財産を有するロマノフの正統な相続人である。彼女は本物か、偽物か!? 世界的なセンセーションを巻き起こしたこの事件。皇女の幼なじみだったグレブは、真相を究明するためにドイツへ向かう。彼女の正体とは…?
皇女を名乗る女性——彼女は本物か偽物か!?(裏表紙より)
皇女アナスタシアをモチーフにした歴史ロマン。医者の息子グレブは、天真爛漫で風変わりな皇女アナスタシアの幼馴染。アナスタシアはグレブを信頼し、一緒にいることを望んでいたが、お互いに立場を自覚する年頃になろうとしていた。そしてロシア革命の日が刻々と迫る中、ふたりは運命に大きく弄ばれることに……。
コバルト文庫でも切ない終わり方をする時があるので、はらはらしながら読んでいたんですが、なるほどーそういう終わり方かー。いや、途中からそうなるんだろうなとは思ってたんですけどね! でもよかった。
最後の畳み掛けがちょっと慌ただしくて残念だったんですが(アナスタシアがその後どう頑張ったのかがめちゃくちゃ気になる……)、最後の真相が明かされるシーンはまるで映画のように美しい映像が浮かんで、胸がぎゅっとなりました。

今井翔子は本と書店の仕事を愛する26歳の書店員。ファミレスの厨房でアルバイト中の恋人とベストセラー作家、まったくタイプの違うふたりの男性の間で心は揺れる。「いったいどっちを選べばいいの?」恋と仕事に悩み、成長する女性の姿を描いた共感力全開の恋愛小説。(解説・大矢博子)
がっつり本屋さんものというわけではなく、書店員である女性の恋のお話。お仕事らしさはエッセンス程度に、夢を諦めたようにも見える距離が生まれつつある恋人か、おおらかで余裕のあるベストセラー作家か、どちらの恋を選ぶべきかと悩む。そんな中で登場する翔子の周りの人たち、不倫するひかり、セレブ婚を目指す同僚の麻奈実、今時の恋愛観を持つ亜耶がいる。彼女たちは愛かお金かに悩むんですが、解説を読んでなるほど、書店員としても書店の売り上げに貢献する(=金)か、読まれたいものを売りたい(=愛)かという選択を迫られているというのが重なっていたなあということを改めて感じてなるほどと思いました。
すべてが幸せに終わったわけではなくて、これから彼女たちはまた別の問題に直面して、愛か金かに悩むんだろうけれど、その人生を後悔せずに生きられたら一番いいよなと思いました。

梨園の御曹司にして絶世の美男、藤村霞右衛門に男女の双子が生まれた。兄の桂は跡継ぎとして、妹の葵も父に溺愛されて天真爛漫に育った。が、真に父の才を受け継いだのは、皮肉にも娘の葵の方だった。女は歌舞伎役者にはなれない——ジレンマに身悶えながら女優への道を模索する葵。しかし彼女の前には、我が子を愛するがゆえに、その夢を全力で潰そうと立ちはだかる父の姿が……。芸の鬼に取り憑かれた、梨園の父娘ふたり。その愛と葛藤の物語!(裏表紙より)
先んじて父親世代の『美男の血』という作品が出ていることを後に知った。
梨園に生まれた娘がどのようにして女優への道を踏み出すかという作品なんですが……まーほんっと父親たちがいやらしくて! これでもかこれでもか! と伝手と権力を全部使って葵の夢を断とうとするので後半腹が立ちすぎて心が折れそう(=読むのを止めよう)かと思いました。ここまでして全力で潰しに来る意味があんまりよくわからないままのように思えたのですが(芸能界が地獄のようだからいうのは、それなりに想像はできるんですが)『美男の血』の方で語られているのかなあ。
その潰し方がえげつないので、ちょっとだけカタルシスが足りない。双子の兄・桂もどうしようもないまま放置されてしまったので可哀想な印象のまま。非常に「悔しい! 頑張れ!」という気持ちで読んだんですが、その後がもう少し知りたいなあと思った作品でした。

江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!!(帯より)
長らく積んでようやく読みました。
天を目指して生き、星となった人たちのお話だったなあ。地の上から星となるってこういう感じなのかと感慨深く読み終わった。
どうして、なぜ、と問いながら、失敗と恥を経て、そこに至る。主人公である渋川春海が星だと思って読んでいたんですが、最後が近付くにつれてそこにいた人たちみんなが星だっただとわかる、その繋がりを知って涙がこぼれました。こうやって人が繋がるって、いいなあ。
『光圀伝』をだいぶと前に読んであったので、光圀公が出てくるところはおっと思いました。
面白かった。

学校に建つ男女の生徒を象った銅像。その切り落とされた指先が指し示す先は……(「未来へ」)。真夜中の旧校舎の階段は“増える”。子どもたちはそれを確かめるために集合し……(「増える階段」)。まだあどけない娘は時折食い入るように、何もない宙を見つめ、にっこり笑って「ぶらんこ」と指差す(「お気に入り」)。読むほどに恐怖がいや増す——虚実相なかばする怪談文芸の頂点を極めた傑作! 初めての百物語怪談本。解説・稲川淳二
解説曰く、小野不由美さんが読者の手紙に書かれていた体験談をもとに作った怪談集だそうで、1ページから4ページほどの作品が多数収録されています。ほっこりするものもなければスプラッタなものもない、純粋な怪談。夜中に読むのが怖かったので朝の明るいうちから読んでいましたが、それでも読み終わりに近くなる頃にはなんだか身体が重いような気がするという……。表紙をよく見ていなかったのですが、ちゃんと見るととある作品に出てくる猫ですね。不気味だなあ。