読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
推理界最高の人気者、赤川次郎が、はじめて自分の手のうちをあかした! 「ミステリ作家が、ミステリについて評論めいたものを書くのは、自分の首をしめるようなもの」と言いつつも、トリックのかけ方、謎ときの方法など、処女作『幽霊列車』をはじめとするたくさんの作品をまな板にのせ、“赤川次郎式推理小説作法”公開。赤川次郎の小説の面白さ、秘密を知りたいファンには必見の書。(Amazonより)
読んだのは徳間文庫版の電子書籍。
最初に出た角川版は1986年2月発行、徳間版は2009年1月発行。どちらにしても少し古いですが、内容的には赤川さんのミステリーの基本的なエッセンスが感じられてほうほうと思いながら読みました。
これが書かれた頃はきっと国産ミステリーって多くはなかったと思うんですけれど、いまは多分だいぶと幅広くなったんじゃないかなあ。
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古い瀟洒な洋館で頻発するポルターガイスト現象。なぜかまたもや合流することになった霊能者軍団とともに、さっそく調査を開始したSPR一行。そんな彼らを嘲笑うかのように、怪しい物音やポルターガイスト現象は激化する。やがて麻衣は、一家の一人娘・礼美の持つアンティークドールが不穏な気を放っていることを察知し、ナルは家を覆う悪意を科学的に執拗に調査してゆく。小野不由美のホラーの原点といえる傑作!(裏表紙より)
最新作から遡る形みたいにしてゴーストハントを初読しているわけですが、小野先生は人の営みのあちこちに存在するホラーを書くのが本当にお上手だなあと思いました。始まったきっかけはあるんだけれどもなんだかとてつもなく違う理屈の存在だよなあ霊って。
この作品、語り手が麻衣であることが本当に救いだ。一般人の視線で普通の感覚で、霊や悩まされている人たちのことを見ている気がします。
人形と子どもの群れというのは組み合わせが悪い=怖すぎた。礼美に対する霊のやり口が完全に生きている人間の子どものそれで、ものすごく嫌な気持ちに。この先の巻も怖い怖いと色々聞いているので、続きを読むのが楽しみだ。
ごくごく普通の女子高生のマリア。ちょっと違うことといえば、勇者として異世界召喚されたこと。だからといって、魔王を倒すなんてできるわけない!! 日々追いかけてくる神官たちから逃げ回るマリアを助けてくれたのは、謎に満ちた青年キリ。ところが、彼こそが魔王だった――!? 倒さなければならない相手に懐かれてしまった勇者の少女と、倒される(かもしれない)相手と仲良くするちょっと変わった魔王のラブファンタジー、書き下ろし付きで書籍化!!(Amazonより)
異世界に召喚された女子高生は勇者となって魔王を倒す使命を帯びた、はずが、異世界人の身勝手さと要求を突っぱね、そんな義理はないと拒否し続けるマリア。人々から逃れるといつも現れる少年キリに心を慰められていたある日、決定的な事件が起きた。
異世界召喚に勇者と魔王ときましたが、物語はどこまでもマリアとキリの関係を描くことに終始していて、この世界がいったいどういうもので、どういう人々が住んでいるのかはごくごく一部でしかわからない。助ける義理なんてないし、魔王を倒す=誰かを傷つけることを拒絶するのはわかるけれども、それほど強い能力があるならもっと遠くへ逃げちゃえばよかったのになあ、なんて思ったりも。もうちょっとこの世界のことを知ってから行動を決めてもよかったんじゃないかな。
結末が意外だったけれども某乙女ゲームのようで楽しかったです。
廃病院に集まった十二人の少年少女。彼らの目的は「安楽死」をすること。決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。だが、病院のベッドには“十三人目”の少年の死体が。彼は何者で、なぜここにいるのか?「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。互いの思いの交錯する中で出された結論とは。解説・吉田伸子(裏表紙より)
死期が近かったり、いじめ被害者だったり、親に問題があったりなどといった問題を抱えた子どもたちが集い、全員一致で集団自殺を決行する。しかし「十三人目」の存在と、その十三人目に危害を加えた何者かがいるのではないかということから、議論が始まる。
それぞれ何かを抱えているのは明らかで、どのようにしてそれを告白していくかという心理ゲームの側面がありつつも、なんといっても人間描写が、テンプレートに見えるのにまったく違うのがすごい。事情をすべて語っているわけではないのに、最低限の情報で人となりを掴ませてくる。
集いの真相は予想通りでしたが、アンリの事情が予想外だった。なんというか、本質的にはマイと変わらないような……? 苦しんだ果てにたどり着いた答えがそれだとしても、知識や思考の偏りが、アンリもまた子どもなんだと思わせて。
締めの描写は、お見事ととしか言いようがない。面白かった。
公爵令嬢エミーリアの夢は大好きなロマンス小説のように心躍る恋愛結婚をすること。そんな時、女嫌いと噂される国王マティアスとの政略結婚の話が舞い込んできて……?
それなら陛下、一緒に恋をいたしましょう!(Amazonより)
ただひたすら二人が恋愛しているだけの話。最高! 可愛い! 癒されました。
美しい両親と兄姉たちと比べ、髪の色とはじめごくごく平凡な容姿のエミーリアは、傷つけられて泣いていたところに「ミルクティー色の髪」と言葉をかけてくれた人に恋をした。その人がやがて国王陛下となるマティアスと知り、エミーリアは容姿への中傷をねじ伏せるほどの優雅さや気品、教養を身につけ、ついに彼の婚約者に選ばれる。しかしマティアス自身はとある理由から女性嫌いとなり、エミーリアのこともよくいる貴族女性の一人としか見ていなかった。
この距離を詰め、すれ違いを解消し、お互いに向き合って恋をする。かわいいなあ、とにかくエミーリアがかわいい。だがマティアスてめーはだめだ。仕事はできても人心掌握できないのは国王というより人としてだめ! という感じでツンツンツン状態が結構長かったせいでだいぶじれたものの、エミーリアへの好意を表現するようになったときは「あまーい!」とのけぞりながらも大変嬉しくなりました。
さくっと読めただけにデリアとヘンリックの番外編も入れてほしかったな……と思ったり。一冊になるのは難しくても電子で番外編出ませんかね!?
かわいいお話なだけに表紙も可愛らしい、と思ったのですが、モノクロイラストがちょっと。このイラストレーターさん、過去作を見るとここまで絵が荒い方ではなかったように思うので何かあったのかと心配しています……。
19世紀末、ロンドンの画廊で展示されたルーベンス未発表の「真作」。エディスはその絵に目を奪われるが、見知らぬ美貌の青年は「贋作」と断言した。数日後に画廊を再訪したエディスは、突如色彩が反転した世界に閉じ込められ、絵の中から現れた異形の怪物に襲われる。間一髪のところを救ってくれたのは、サミュエルと名乗った先日の青年だった。贋作に宿りし悪魔を祓え——少女×人外の麗しきコンビが謎に挑む冒険活劇、開幕!(裏表紙より)
私たちの大好きなヴィクトリアンとゴシックとオカルトを詰め込みました!!! という作者さんの全力の笑顔が見えるようだ笑
絵の贋作に秘められたものを暴いてしまうエディスと、絵によって引き込まれた謎の世界で異形と戦う謎めいた青年サミュエル。にせものと寂しさで繋がった男女が不可思議な存在が仕掛ける戦いに挑む。最初謎解きかと思ったらどんどんオカルト方面に転がっていって、19世紀末という時代の混沌さを象徴しているかのよう。
前半はそんな風にして、絵画に描かれたものを読み解く現実感が強いんですが、後半、ラリーとの戦いが進むにつれて全体的に曖昧になっていくのが読んでいてかなり戸惑いました。
でもしかし、サミュエルの正体には驚いたなあ。どこで何がそうなったのかめちゃくちゃ気になる。
辞めたくても辞められない労働者に救いを
人手不足、長時間労働、残業代未払い…労働環境はますます悪化し、心身ともに疲れ果てる人、辞意を伝えても引き止めにあう人、さらなる過酷なパワハラにあう人など「辞める」を許さない職場が多い。働く人やその家族が健康を損なうこともある。そんなときの最後の手段が「退職代行」である。どうすればスムーズに退職できるのか、退職するときには何に気をつけると無理なく次の職場に移れるのか。事例を踏まえ、詳しく紹介する一冊。(裏表紙より)
退職代行のことってよく知らないな、と思って読みました。
退職代行の中でも弁護士が担当する正規のものと、弁護士でない人が担当するものとがあり、後者は弁護士資格が持たないのでトラブルも多い。なるほどなー安易にネットで検索して上がってきたものを使わないように、ということですね。正規は正規なだけに高額になるけれど「こうしたい」というのをちゃんと遂行してくれるのは困っている人にはありがたいだろうな。
『学校に行くのがしんどいかな、と思った時、この本を開いてほしい。選択肢は、意外とたくさんあります。』(カバー折り返しより)
2021年1月発行なので、アフターコロナの日本における不登校のことにもちょっと触れてあります。
だいたいこういう本は「逃げてほしい」「逃げてもいいんだよ」というメッセージ性のあるものが多いと思うのですが、これは不登校を選択したときにどうやって学ぶか、学校のあり方や、かつて学校に行けなくなった当事者の話など、もっとより近く不登校の人たちに次の道を考えてみようと提示する一冊だったように思います。
本当に、いまは昔と比べてだいぶと自由になってきたな、と思います。過去の話として結構、殴られたり嫌味を言われたり引きずっていかれたり、というエピソードが出てきますが、いまはかなりそういうのが少なくなったんじゃないかな……そうだったらいいな……と思いました。
学校の旧校舎には取り壊そうとすると祟りがあるという怪奇な噂が絶えない。心霊現象の調査事務所である渋谷サイキックリサーチ(SPR)は、校長からの依頼で旧校舎の怪異現象の調査に来ていた。高等部に通う麻衣はひょんなことから、SPRの仕事を手伝うことに。なんとその所長は、とんでもなく偉そうな自信家の17歳になる美少年、渋谷一也(通称ナル)。調査に加わるのは個性的な霊能者たち。ミステリ&ホラーシリーズ第1弾。(裏表紙より)
実は初めて読むゴーストハントシリーズ。コミカライズの方は昔読んでいた記憶があるんですがあんまりちゃんと覚えていなくって。
普通の女子高生の麻衣。心霊現象調査事務所の所長ナル。その他これから顔を出してくるであろう個性的な霊能者たちの顔見せという印象の第一巻ですが、さすが小野先生、旧校舎にまつわる怪談はちゃんと気味が悪かったし、真相もああ……と思うもので面白かった。
シリーズ全体のことを知らないので、解説に第七巻で何かありそうなことが書かれていてわくわくどきどきしている。