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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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双子の妹マレイカの身代わりとして焼け落ちる城に一人残った王女ライラ。そんな彼女の前に、反乱軍の将で、かつてこの国に捕虜として囚われていた亡国の王子カリーファが現れる。過去、マレイカに虐げられた彼は、恥辱の恨みを晴らすため、別人と知らぬままライラに呪詛を施し薄暗い地下室で陵辱し続ける。しかしある日、ライラこそが過去の凄惨な日々を支えてくれた初恋の人だったと知り―。謀略に歪まされた純愛の行方は…… (Amazonより)

アラビアン風世界観。忌み子とされたために後宮で育ちながらも、双子の妹の影として、王女として立つこともなかった不遇の王女ライラ。亡国の王子だが前王と王女マレイカにしたたかに虐げられ、下克上を果たした新王カリーファ。ライラがマレイカとして振る舞ったため、カリーファの奴隷として扱われるようになるという歪みねじれた関係から始まるTL小説。
これが、めちゃくちゃ、よくってですね……。
性行為をちゃんと暴力として扱っているの、すごいと思います。相手を屈服させ心を折るための行為。だからこそライラやカリーファが心の奥底に秘めた純愛が煌めく感じがして。またマレイカの歪んだ言動が際立っている。
悪者を処断しておしまいではなく、マレイカもまた、ライラの怠慢をきちんと責めるんですよね。ライラが背負うはずだった暗黒面をすべて引き継いでしまったマレイカだからこそ、綺麗なままでいるライラへの鬱屈した感情や許せない部分を突きつけられたんだと思います。周りはそれを、洗脳だ、信じるな、と言うんですけれども、そういう側面はあっても、事実ではあるんですよね。だからがんばれライラ。
傷付き心をすり減らしていたカリーファがかつての行いを悔いて、解呪の方法を求めて土下座するところもよかった。暴力を用いた相手が心底悔いて謝罪するシーン、なかなか書けないと思う。
個人的におっと思うところがたくさんある作品で、面白く読みました。
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緑陵高校の生徒会長・安原の懇願を受け、麻衣たちは調査に向かった。校内ではおびただしい数の怪談や怪奇現象が囁かれ、生徒たちは「ヲリキリさま」と呼ばれる奇妙な占いに熱中していた。生活指導教員の松山の高圧的な態度もあり調査は難航。4カ月前に起こった生徒の飛び降り自殺と一連の怪奇事件との関係は? 麻衣が見た不思議な夢の意味は?新キャラクター・安原少年が登場。解説・宮田愛萌(日向坂46)(裏表紙より)

4巻も面白かった! 麻衣の能力が少しずつ役に立ち始めるんだけれども、ここで得意になるんじゃなく、失敗を恐れたりもっと悪化したりしたら、と思うところがよかったなあ。
霊能者チームもいい感じにまとまってきたけれど、前巻に引き続き真砂子が不調なのが気になるのと、今回突っ込まれていたけれど、麻衣はいったい学校の方はどうなっているの……? 何か怖いことになってない? 大丈夫? とちょっとどきどきしています。夢の中のナルのこともあるし、何かとんでもない秘密が隠されていそうでそわそわしてきた。
前回は女子校、今回は共学校と、学校が舞台だけれども話のテイストが違うのが面白い。すごいなあ。定番の「墓地の上に学校が建っている」という怪談にリアリティを持たせつつ物語を作るとこうなるのか、と今回もしみじみ面白さに唸りました。
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次々とSPRを訪れる女子高生たち。狐狗狸さんによる狐憑き、美術準備室に現れる幽霊、部室でのポルターガイスト現象。それらは東京周辺部にある湯浅高校で起こっていた。校内での聞き込み調査を進めると、笠井千秋というスプーンを曲げられる超能力少女の存在が浮上。真実を追ううちに邪悪な意志はナルや麻衣をも標的にし始め……。さまざまな証拠をもとに怪異の原因をロジカルに推理してゆく本格ミステリ度の高い第3弾。(裏表紙より)

面白くて面白くて唸ってしまう。『ゴーストハント』として出たのが1989年から1992年、途中でリライトして再刊されているものの、二十年前からこんなに面白い作品をこの世に生み出していた小野主上が凄すぎる。
事件はとある女子校で起こる。超能力少女の騒ぎがあり、それまで七不思議などの存在を気にしていなかった校内が急速に迷信深くなっていく。こういう「伝染する」系の恐怖を描くととてつもなく上手い。みんな半信半疑ながらも「でも……」と思ってしまう感じ。そして原因が抱く、根深いもの。
そして最後の最後。創作小説においては結構都合のいい描写が、ちゃんと根拠を持った能力だと判明するところが、もうめちゃくちゃよかった。麻衣は多分今後も以前と変わらず関わっていくんだろうけれど、なんだか状況が許さなくなりそうでちょっと怖いなあ。
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徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く――。
本屋大賞受賞作『天地明察』の原型となった短篇小説、電子オリジナルで配信!(Amazonより)

『天地明察』の原型となる短編。エピソードは『天地明察』に収録された通りかな? 厚みをぎゅっと縮めた内容で面白いんですが、長編は長編の積み重ねがあって失敗や挫折の末の成功がものすごくよかったのでちょっと物足りないかも?
追求者ばかりが集う算術の世界と、思惑の絡む政治の世界、誇り高い人間ばかりの相容れない二つの場所を行き来して世界を変えた、天に手を伸ばした渋川春海の物語はやっぱりすごく面白いと思いました。
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“殺人探偵”と呼ばれる綾辻行人は、殺人事件の真相を見抜くと犯人が必ず事故死するという危険な異能を持つため、異能特務課の新人エージェント・辻村深月から監視を受ける身だ。ある日、2人は奇怪な殺人事件にまつわる謎解きを政府から依頼される。だがそれは、綾辻の永遠の宿敵で社会の敵でもある妖術師・京極夏彦との命懸けの闘いの始まりだった——。異能バトルミステリ、待望の文庫化!書き下ろしのあとがきを収録。(裏表紙より)

文ストはアニメにしか触れていなくて初めて活字で読みました。
綾辻行人と辻村深月のバディが、京極夏彦の犯罪を追う話。こう書くとかなりおかしいな……登場人物の名前がさ……笑
かなり強烈である種呪われてもいる綾辻の能力、彼を監視する辻村。そうなるとお互い絆されないわけがなくて! やっぱりね! 相手の存在に救われるところあるよね!!!
京極の目的も、ああ……あの作風なら納得……というもので、実在の作家の名前と作品の印象を借りて描かれた作品、面白く拝読しました。
……ということがわかっているので、辻村の性格にあれっと思っていたんですが、そういうことか! 表と裏なー。なるほどなーうまいなーと思いました。
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叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子。まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても開いている(「奥庭より)」。古色蒼然とした武家屋敷。同居する母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」(「屋根裏に」)。ある雨の日、鈴の音とともに袋小路に佇んでいたのは、黒い和服の女。あれも、いない人?(「雨の鈴」)。人気絶頂の著者が存分に腕をふるった、じわじわくる恐怖、極上のエンタテインメント小説。解説・宮部みゆき(裏表紙より)

めっっっちゃくちゃ面白かったので続きはあるんだろうかと思ったら、あるんですね二冊目が! 絶対読もう!
古い町と新しい街という二つの地区があるとある城下町。その古い地区に建つ家々の住民が遭遇する、家の怪異のお話。短編連作ですが共通する登場人物は「営繕かるかや」の尾端とその関係者。謎解きをする探偵側の情報はほとんど明かされず、最終的に彼にたどり着く怪異に遭遇した人たちの事情と怖い現象が綴られる。
これがまた、とても良い怪談で面白いんだよなあ。どこにでも起こりうると思わせる、身近な印象がある。襖の隙間、家鳴り、雨の日の路地、蓋をした風呂釜、古井戸、暗いガレージ。多分子どもの頃に怖かった、不思議な音、暗がりといったものを扱うからなのかな。家の現象だから当然なんだけれど、いや本当によかった。極上だった。
「雨の鈴」が一番好きかなあ。こうやって訪れる死の怪異って、めちゃくちゃ怖いのに、避ける手段があるっていうのが。昔の人はそうした知識を持っていたんだろうなと想像するのも面白い。
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どんなに小さなスペースでも素敵な空間にできる、そんな魔法のようなガーデニングの手法を大公開!庭がある場合はもちろん、ない場合でも駐車場スペースや玄関まわり、郵便ポストの下、といった超極小スペースを有効活用し、四季を通じて楽しむことのできる草花の選び方、植え方、管理のしかたを解説します。同じ場所での四季を通じた展開例も紹介しますので、写真を見ながらより具体的な方法を学ぶことができます。(Amazonより)

玄関前のちょっとしたスペース、駐車場などに作る小さな庭について解説と実践方法がまとめられています。
短いけれど、大きな庭じゃなくて住宅街でよく見る、家の前のちょっとしたところを緑で飾るのをとても面白く読みました。色取りの話、植えるのに適した植物のまとめ、参考例もあり。これ、すごくやってみたい!
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推理界最高の人気者、赤川次郎が、はじめて自分の手のうちをあかした! 「ミステリ作家が、ミステリについて評論めいたものを書くのは、自分の首をしめるようなもの」と言いつつも、トリックのかけ方、謎ときの方法など、処女作『幽霊列車』をはじめとするたくさんの作品をまな板にのせ、“赤川次郎式推理小説作法”公開。赤川次郎の小説の面白さ、秘密を知りたいファンには必見の書。(Amazonより)

読んだのは徳間文庫版の電子書籍。
最初に出た角川版は1986年2月発行、徳間版は2009年1月発行。どちらにしても少し古いですが、内容的には赤川さんのミステリーの基本的なエッセンスが感じられてほうほうと思いながら読みました。
これが書かれた頃はきっと国産ミステリーって多くはなかったと思うんですけれど、いまは多分だいぶと幅広くなったんじゃないかなあ。
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古い瀟洒な洋館で頻発するポルターガイスト現象。なぜかまたもや合流することになった霊能者軍団とともに、さっそく調査を開始したSPR一行。そんな彼らを嘲笑うかのように、怪しい物音やポルターガイスト現象は激化する。やがて麻衣は、一家の一人娘・礼美の持つアンティークドールが不穏な気を放っていることを察知し、ナルは家を覆う悪意を科学的に執拗に調査してゆく。小野不由美のホラーの原点といえる傑作!(裏表紙より)

最新作から遡る形みたいにしてゴーストハントを初読しているわけですが、小野先生は人の営みのあちこちに存在するホラーを書くのが本当にお上手だなあと思いました。始まったきっかけはあるんだけれどもなんだかとてつもなく違う理屈の存在だよなあ霊って。
この作品、語り手が麻衣であることが本当に救いだ。一般人の視線で普通の感覚で、霊や悩まされている人たちのことを見ている気がします。
人形と子どもの群れというのは組み合わせが悪い=怖すぎた。礼美に対する霊のやり口が完全に生きている人間の子どものそれで、ものすごく嫌な気持ちに。この先の巻も怖い怖いと色々聞いているので、続きを読むのが楽しみだ。
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ごくごく普通の女子高生のマリア。ちょっと違うことといえば、勇者として異世界召喚されたこと。だからといって、魔王を倒すなんてできるわけない!! 日々追いかけてくる神官たちから逃げ回るマリアを助けてくれたのは、謎に満ちた青年キリ。ところが、彼こそが魔王だった――!? 倒さなければならない相手に懐かれてしまった勇者の少女と、倒される(かもしれない)相手と仲良くするちょっと変わった魔王のラブファンタジー、書き下ろし付きで書籍化!!(Amazonより)

異世界に召喚された女子高生は勇者となって魔王を倒す使命を帯びた、はずが、異世界人の身勝手さと要求を突っぱね、そんな義理はないと拒否し続けるマリア。人々から逃れるといつも現れる少年キリに心を慰められていたある日、決定的な事件が起きた。
異世界召喚に勇者と魔王ときましたが、物語はどこまでもマリアとキリの関係を描くことに終始していて、この世界がいったいどういうもので、どういう人々が住んでいるのかはごくごく一部でしかわからない。助ける義理なんてないし、魔王を倒す=誰かを傷つけることを拒絶するのはわかるけれども、それほど強い能力があるならもっと遠くへ逃げちゃえばよかったのになあ、なんて思ったりも。もうちょっとこの世界のことを知ってから行動を決めてもよかったんじゃないかな。
結末が意外だったけれども某乙女ゲームのようで楽しかったです。
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Author:月子
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