読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

塩の霧で立ち枯れした木々と、狂暴化した動植物に囲まれた地、キヌーヌ。創造主パナードの手で最強の異形へと変えられ、殺人を強制されていた青年・金目は、彼を騎士と呼び慕う少女シエラと出会ったことで自我を取り戻す。主への復讐のため、異形のものたちに戦いを挑む金目。しかしシエラに内在する、進化に繋がる世界の秘密が、二人を想像もし得ない運命に導こうとしていた。(裏表紙より)
ファンタジーSF作品。どこかの世界で、不思議な力を持つ者たちと支配される人々がいて、という世界観に、「小さな生き物」と呼ばれる進化の本能、あるいはナノマシン的な特殊な生命体。あっという間に成長する不可思議な少女と、洗脳から目覚めて自我を取り戻し守るものとしての誇りを得る男。善良だが無力ゆえに迷える村娘、放浪の身ながらも洗練された立ち居振る舞いをする謎めいた青年。
これらの組み合わせが美味しくないわけがない! 特にラチータとロウゼルが! 正義を貫きたいと願いつつも迷ってしまう村娘に、身分を隠した青年が手を差し伸べる展開、とてもいい。また金目とシエラの関係性も素晴らしくいい。恐ろしさすら感じる特異な少女が成長して女神的になるのが神秘的。おぞましい面を持ち合わせているというのもきっちり描写されているのがいいなあ。SFらしくグロテスクなものも描かれているのもよかった。
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まがいものの伯爵令嬢だとバレないように、死んだふりをして婚約話から逃げ出した少女マリア。彼女は隣国の王子レイヴァルトのおかげで、夢だった薬師となり、充実した日々を送っていた。そんなある日、ガラスの森に棲む幻獣のハムスター達に異変が!? それは、とあるガラスの木に咲いた花が原因だと王子に教えられて……。この花が幻獣達だけじゃなく、町の人達の恋心を大暴走させているのなら、全力で特別なお薬を作って治療します! 幻獣に愛されまくる少女の薬師ライフラブコメディ第2弾!(裏表紙より)
貴族の血を持たない元伯爵令嬢でいまは薬師のマリアと、幻獣と深い関わりを持つ王子レイヴァルト、そして幻獣の住むガラスの森を巡るファンタジー。第二巻。
表紙の馬に乗ったハムスターに笑い、ピンナップのエプロンをしたハムスターにまた笑い。作中でも、当たり前にマリアの手伝いをしていくハムスターの可愛らしさに癒されつつも、シュールすぎてやっぱり笑ってしまう。
今回はレイヴァルトが穏やかながらもマリアに迫るという恋愛方面の進展と、ガラスの森と青の薬師関係の謎の一端が明かされるという進展があり。マリアが恐れていた過去の事情に関してはレイヴァルトと、マリアの匂い笑 がお気に入りの女王陛下が何とかしてくれそうでよかったよかった。

強面だけど心優しいコンビとして国民的人気者の、青春時代の素顔とは?――安アパートで10年間、布団を並べて眠った。二人で舞台に出たら観客も二人だった。トイレには「みー君へ」と書かれた富澤から伊達へのメモが貼られていた。恋人も嫉妬する(!?)長~蜜月!笑いを心底愛し、震災後の東北を支援し続ける二人の、バイタリティの原点。
芸人になるまでの話、芸人になってから、そしてM-1優勝、その後のこと、と二人の視点で当時のことを振り返る内容。
そうやって書いているんでしょうけれど、お互いにお互いを見て感じていることがほとんど相違ないのがすごいなあ。長く一緒にいるからこそ自然と感じ取れるようになるんだろうな。
相手を相方と信じて、怠けつつも、最後にはスターへの道を駆け上がるサクセスストーリーとして読めて、M-1グランプリの描写はすごく興奮した。しのぎを削る場で負けて悔しいと思いながら「頑張れ」と言える人は、徳が高い人だなあ……。そんな風な人間になりたい。

中国にかわり技能実習生の最大の供給国となったベトナム。「労働力輸出」を掲げる政府の後押しもあり、日本を目指す農村部の若者たち。多額の借金を背負ってまで来日した彼らの夢は「三〇〇万円貯金する」こと。故郷に錦を飾る者もいれば、悪徳ブローカーの餌食となる者もいる。劣悪な企業から逃げ出す失踪者は後を絶たない。日越の関係機関、実習生、支援団体を取材し、単純労働者の受け入れ先進国・韓国にも飛んだ。国際的な労働力移動の舞台裏を全部書く。(カバー折り返しより)
いかにメディアで流れている外国人労働者に関する報道がごく一部の過激な内容のみで構成されているのか、よくわかる本だった。
単純に労働環境の劣悪さが原因かと思いきや、そのほかに「稼ぎたいのに稼げないから」という理由で仕事を求めて疾走する人たちがいるんだな。そしてそうした失踪者が続出するのは、それらに関わる機関が民間企業だったり手続きの歪みがあったりするせいなんだな……。
日本だけでなく韓国のことも最後の方に触れられていますが、やっぱり外国人労働者は人手不足解消のためなのか。労働環境がひどいところはどの国にもあるし、良いところは良いし。冒頭の著者の、成功した技能実習生に対する思いを読み返して、働くってなんだろうな……と遠い目をしてしまった。

ユミィ護衛の任務を勝ち取るため、チームで選抜試験に参加するシェルティス。今までひとりだった彼は、仲間と協力する戦闘に戸惑ってしまう。一方、ユミィは謎の女性・ツァリに“千年前の記憶”を見せられて……!?(Amazonより)
第4巻。シェルティスたちがチームを完成させる話がメイン。
明らかに味方側に怪しい動きをしている人たちがいて、それとなく世界の秘密に関わる存在がシェルティスやユミィの周りをうろうろしていることがはっきりしてきた。エデン側にもそれらしき存在がいるのがちらついているので、そろそろ話が大きく動きそう。
ヴァイエルのツンツン具合から、秘密とやらはそういうやつかなと思ったら大当たりで笑ってしまった。早めにデレてほしい。絶対に頼りになるから。

クビを宣告されたプライドばかり高い圭輔、自身の夢と家族との間で葛藤する武、やりたいことが何もない超現実主義の心花……。そんな彼らが、ど田舎のスーパーなどで働きながら、共に野球をするはめに。目標はまさかの全国制覇!? はみ出し者の彼らは、人生の逆転ホームランを放つことができるのか。かっこ悪くて愛おしい、大人たちの感動物語。(Amazonより)
めちゃくちゃ面白かった。最後感極まっちゃった。
プロ野球という輝かしい舞台を思い、あるいは憎み、それでも嫌えない、野球を愛した人たちが社会人野球で再生する。町おこしの一環として田舎にやってきた寄せ集めの集団が各々の物語を持って優勝を目指す。諦められない、俺はここで終わりなのか? という問いに対する答えがタイトル「ゲームセットにはまだ早い」なんだ、と思うと最後泣けて泣けてしょうがなかった。
試合の描写もわかりやすくて、手に汗握る。こういうドラマを野球好きの人たちは愛しているんだろうな、と思わせる熱を感じました。

モニカと共に部隊を結成するシェルティス。三人目の隊員として、華宮という風変わりな少女をスカウトするのだが……。同じ頃、天結宮で護士行方不明事件が発生して!? 自分の信じた道を進む、重層世界ファンタジー。(Amazonより)
第3巻。敵側が少しずつ姿を見せてきつつ、シェルティスも少しずつ仲間を増やしているところ。まだ全体像が謎で、この世界が何と戦わなければならないか、ほとんど見えないのがもどかしい。本当の敵は外にいるのか? というのも重要なところかも。
しかし相変わらずシェルティスは強いなあ……。けれどユミィとの絡みがないのが! 寂しい! ますます二人が早く一緒に要られますようにと祈ってしまう。
このシリーズ、結構女子率が高いのにハーレム感がなくて読みやすくてよいな……。いやでも微妙に矢印を向けられている感じがもぞもぞしちゃうけど……。

今宵も、夜明宮には訪いが絶えない。泊鶴宮の蚕室で、大切な繭がなくなったという宮女……。一方、花娘を通じ城内での謎多き失せ物探しも舞いこんで!? 烏妃を頼る者は日に日に増え、守るもののできた寿雪の変化に、言いようのない感情を抱く高峻。やがて二人は、真実眠る歴史の深部へ。鍵を握るのは名もなき幽鬼か、あるいは——。圧倒的中華幻想譚、待望の第四弾!!(裏表紙より)
じりじりと世界の秘密に近付いている第四巻。思惑はそれぞれあるだろうけれど、やっぱり根本は烏漣娘娘なのか。後宮妃の懐妊もあり、5巻はよりいっそう大変なことになりそうな予感がするぞ……。
賑やかになった居場所に落ち着きを見出し、守るべきものだと思う寿雪がとても愛おしく、そして切ない。彼女を孤独に押し込めようとする世界の成り立ちが辛い。『烏妃』がそういうものだと思っている人たち、他にも、沙那賣の在り方。そういうものを守りたい気持ちも、壊したい気持ちも、どちらも守りたいものがあるからで。