読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

幽幻種を退け、世界を浄化してきた氷結鏡界。しかし、それに限界が近づいていることをユミィたちは知る。突如、天結宮に出現した幽幻種を、千年獅・巫女たちが迎撃する中、ユミィがふたりいるとの情報が流れ――。(Amazonより)
物語の結末に向けて、関係者一同が勢ぞろいするための準備巻という感じ。
ユミィが犠牲になるか、シェルティスが犠牲になるか、それではない道を探るか。その選択のため、各々の目的や願いのために戦わねばならないんだろうなあ。でもハッピーエンドだって信じてるから!
ここまでくると『不完全神性機関イリス』を読んでおかないとだめだし、『黄昏色の詠使い』も踏まえておかないとわからない部分がある? のかな。少なくとも穢歌の庭で遭遇した不思議な子はその関係だよね? 黄昏色は途中までしか読めてないからふわっとしている……。
しかしイグニドは、完全にユミィの暗い面というか、自分自身のことが大嫌いで、シェルティスのことが大好きな顔でできた存在なんだなあ。イグニド自身はなんとなくユミィのことを否定している感じがするので、ちゃんと互いに受け入れ、受け止められたときに突破口が開ける、なんて夢見ていいかな?
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『セラの虚像』を退けたシェルティスだが、その身に宿した魔笛に引きずられ、穢歌の庭へ巫女ユミィとともに墜ちていく。一方、シェルティスを憂うモニカは自身を犠牲にしてでも成し遂げたい重大な決意を固め――。(Amazonより)
穢歌の庭へと墜ちてしまったシェルティスとユミィだが、それこそかつてこの世界を守り、再生しようと奮闘した人々の悲願のときでもあった。世界を救うための方法は二つ、彼女が犠牲になるか、彼が消滅するか……。
お互いを思いながら手を取ることすらできない二人が、ついに互いを引き裂く最悪の運命と真実に至ってしまった……と思った巻。きっとハッピーエンドだと信じているけれどどきどきするなあ!
穢歌の庭でのことではあるけれど、シェルティスとユミィが二人でたくさん話せるシーンがあってなんだかすごく嬉しかった。がんばれ二人ともがんばれ。

異篇卿イグニドによって告げられた事実に混乱する天結宮。帰還したシェルティスは上層部によって身柄を拘束されてしまう。そんな中、シェルティスの過去やユミィとの関係を知ったモニカは心を閉ざしてしまい……(Amazonより)
シェルティスが魔笛を宿していることが知られてしまい、混乱する天結宮。ユミィですらその混乱から逃れることはできず、誰もが助け合うこともできない状況。
けれども思ったより酷すぎることにはならず、シェルティスは一応助かり、部隊に合流して、作為のある過酷な任務に就く。とりあえずモニカや仲間たちとのすれ違いがなんとかなってよかった!! 本当によかった!!! 孤立無援でないだけで勝ち目がある、きっと。
しかしびっくりしたのが黄金のマハさん。そんなんあり!? いやでもときめくなそれは!!!! と思ったので今後の展開が楽しみです。

片田舎に暮らす少年・江都日向(えとひなた)は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。
そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子(つむらやこ)だった。彼女は死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。
相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる──。
壁に描かれた52Hzの鯨、チェッカーに込めた祈り、互いに抱えていた秘密が解かれるそのとき、二人が選ぶ『正解』とは?(Amazonより)
身体が極めて金に近しいものに変質する難病に侵された女性と出会った少年。サナトリウムの反対派の母からは見向きもされず、再婚した義父は心を病み、この閉塞的な場所からどこにも行けないと思っていたが……。
本当のことを教えてくれない語り手という感じ、江都の性格を表しているようで寂しいな……。一つ何かが動き出せば、あっという間に崩壊するような空気感のある話で、相続の話からの周囲の掌返し、その後の逃亡劇などはもうどきどきしてたまらなかった。それがふっと、ようやく力を抜くことができる瞬間の読み心地がとてもよかったなあ。
最後に彼が手にしたものは。それもまた、ロマンチックでした。

〈椿屋敷〉に住む香澄と柊一は、ワケあって結婚した“偽夫婦”である——とはいうものの。香澄が柊一への気持ちを自覚したことで、ついに……。もちろん柊一も、ずいぶん前から香澄のことを憎からず想っているのだ。柊一のもとには今日も今日とて客人が絶えない。七変化椿、もうひとつの椿屋敷……? 三者三様の夫婦のあり方にふれ、ふたりは関係を見つめなおし——。
ついに完結! 秋の椿屋敷、仲良し偽夫婦の出した答えは?(裏表紙より)
ご結婚おめでとうございます! もう結婚してるけど!
色々な夫婦の形を見ながらも、二人はそれぞれの気持ちを固めて……。柊一のずれっぷりにおお? と思いながら、香澄さんがしっかりしていてよかったと思いました笑 こういうところが微笑ましくて、二人の関係性にほっこりさせられて好きなんだよなあ。
しかしできれば! その後の二人の話をもっと読みたかった! 本当の夫婦になったぎこちなくて甘酸っぱいところを! みんなと一緒に見守りたかったよー!!
檀と絢さんも落ち着くところに落ち着き、晶紀さんも新しい出会いで知り合いが増えたり、人と人の繋がりが読んでいてとても楽しかった。

〈椿屋敷〉と呼ばれる一軒家に住む香澄と柊一は、ワケあって結婚した、仲良しだけど“偽夫婦”だ。しかし最近ますます、偽とも言い切れない感情が育まれているような。町の相談役である柊一のもとには今日も今日とて客人が絶えない。夕立のたび夏椿をもらいに現れる老婦人。柊一、担当編集・二本松、晶紀、男三人の一夜……。緑深まる夏の椿屋敷が見守る、第4巻。
ほんわかワケあり婚に、変化のとき——!?
(裏表紙より)
香澄と柊一の近くに晶紀が引っ越してきて、何かと一緒にいるようになった三人。関係性を変えたい男二人がばちばちするも、お互いに大人なのでひそかにめらめらしているのが楽しいですね。
しかし三人でお泊まり会の後、まさか不在だった香澄さんが恋を自覚するとは。いや友達と過ごすって段階でもしかしてとは思ってたんですけど! 友人勢グッジョブ! 多分最初は契約結婚って何それ! って憤りつつも香澄さんの暮らしぶりとか話し方を聞いて、なーんだ大丈夫そうじゃんって安心したんだろうな、なんて想像してにまにましました。
そうしたらすみれ荘側の方も! ケンカップルの不器用な恋と同時に檀と絢さんもー!! でもこれ多分もう一波乱あるやつー!!

〈椿屋敷〉と呼ばれる一軒家に住む香澄と柊一は、ワケあって結婚した“偽装夫婦"。——しかし最近、偽装とも言い切れない感情が、お互い芽生えつつあるような。そんな時、香澄の元・許嫁の晶紀が、椿屋敷の裏にあるアパート〈すみれ荘〉に引っ越してきた! 彼の目的はもちろん――。また、ひょんなことから、すみれさんに二人の秘密を知られてしまい……? 第3巻。
椿屋敷で、まさかの三角関係、勃発か!?(裏表紙より)
お互いを大事に思い合っているのに契約結婚という関係性が臆病な二人を縛り付ける、じれじれ夫婦の謎解きもの。このシリーズ、人の黒い感情にどきっとさせられるところがありつつも読んでいて心地良くて大好きなんですよねえ。
柊一の大学時代の同級生の話をはじめ、彼の過去の、どことなく影のあるたたずまいが感じられる巻だったかな。子どもの頃の気持ちがなかなか消えないまま、誰も見ていないとふっと暗いところに滑り込んでしまう、みたいな。
二人の距離が縮まりつつ、すみれ荘でも恋の気配。檀と絢さんはどうなるのか気になっています。

坂本真綾が紡いだ130編の歌詞を完全収載
ひと針ひと針、まるでキャンバスに「刺繍」をほどこすように、CDデビューから25年かけて丁寧に紡いできた歌詞の数々。そんな珠玉の歌詞を年代ごとに順を追って辿りながら、アーティスト・作詞家としての坂本真綾の軌跡を体感できる1冊です。(帯より)
坂本真綾さんが手掛けた歌詞を収録した一冊。やっぱり繰り返し聞いた曲は歌詞を読むだけで頭の中で曲が流れちゃう。
しかし小さなエッセイにある、十代の真綾さんに作詞を勧めた菅野よう子さんと、手直しさせないで書かせてくださいとお願いした劇団の先生がすごいな。書けると信じた菅野さんと、大人の考えでコントロールしてはいけないと考えて書かせた先生、どっちも最善の選択をしてくれたと思う。
「光あれ」の裏話が少しあったのが印象深かったな。収録されているアルバム「少年アリス」、めちゃくちゃ楽しみにして、手に入れて聞いたけれど、あのアルバムの収録曲はなんだかひりついた印象のものが多くて、この本のエッセイを読んであの頃そんな風に考えていたんだなといまになって知った。
どれが一番好きってどうしても言えないんだけれど、今回読んで歌詞がやけにしみたのが「スピカ」だった。なんかうるっときちゃった。

九州の静かな港町で叔母と暮らす17歳の少女、岩戸鈴芽。
ある日の登校中、美しい青年とすれ違った鈴芽は、「扉を探してるんだ」という彼を追って、山中の廃墟へと辿りつく。
しかしそこにあったのは、崩壊から取り残されたように、ぽつんとたたずむ古ぼけた白い扉だけ。
何かに引き寄せられるように、鈴芽はその扉に手を伸ばすが……。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
その向こう側からは災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。
―――星と、夕陽と、朝の空と。
迷い込んだその場所には、すべての時間が溶けあったような、空があった―――
不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。
新海誠監督が自ら執筆した、原作小説!(Amazonより)
映画公開日、朝一で見に行って、そのまま本を読みました。
映画がすごくよくできているとわかる、すごく忠実な小説だと思いました。
小説と映画の違いはさほどありません。ちょっとした設定や台詞が足されている(映画では特に必要ないと省かれたのかな)、映像だけだった部分に描写があるなど。だから映画を見ていて「こう思ったな」「こういうことに気付いたな」と感じ取れたことがちゃんと小説に書かれているし、映像にもなっているという、新海誠監督の描写力の高さに唸らされる。
そう、だから決して「東日本大震災」の言葉はどこにも出ていないんです。東北の方でとても大きな地震があった、というほどの描写。それでも私たちは何があったのか知っているし、推し量ることができる。それだけに、想像することができないという苦しさも感じました。
映画のわからない部分や台詞を確認するのにちょうどいい小説だなあと思いました。本当に、よくできたノベライズ(?)だ。