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尾のない蠍―遠征王と流浪の公子 (角川ビーンズ文庫)
歴史はあるがお金がない弱小国ボッカサリアの少年王に、後ろ盾めあてで求婚されてしまったパルメニア女王アイオリア。
だが訪問先で、いまや敵国ホークランドの将軍となったかつての夫、“蠍の”ミルザと再会して……!?
「約束を覚えていますか? わたしのプリマジーナ(いとしいひと)」
自分のために王位を捨てろというミルザ。さしのべられた手にあるのは、愛か憎悪か。——遠征王、その治世最大の危機!(裏表紙より)

中盤からの展開がそれまでと違ってこわい!(いい意味で) 遠征王シリーズは、誰かしらものすごい暗闇を抱えてるなあ……。それが面白いんだけれど、救われることはあるんだろうか。刻々と変化していく世界と、刻まれていく歴史が、とてつもなくおそろしいものに思える。
ボッカサリアのルキウスの見たアイオリアが、多分一番正確なアイオリア像なんだろう。色々な顔を持つアイオリア、甘え上手のひと。そのアイオリアがルキウスを導いているところは、本当に正しい王という感じなのに。周囲と己がそれを許さないというのは、なんだかやるせない。
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