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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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ダブル・ハート (講談社文庫)
「わたしなんか、しあわせになれない」14歳の由宇がそう思うようになったころ、自分の姿と瓜二つの由芽が突然現れた。自分とは正反対で奔放な性格の由芽に振り回されてばかりの由宇。由宇は以前父親から聞かされた、由宇と一緒に生まれるはずだった、双子の姉妹のことを思い出す。切なくも心温まる物語。(裏表紙より)

令丈さんって児童書でよくお見かけする名前だなと思って手に取りました。児童書っぽかった。
いわゆる「ふたりっこ」な話かと思ったら、もうちょっと不思議系の話でした。結局由芽が誰なのかはっきり分からないながらも、由宇のいい子ぶりや「大人は分かってくれない」感がよかった。本当は離婚した相手方に引き取られていた双子の妹とか、実はパパが病んでたという話になりそうだと思っていたんですが、そういうところを上手に避けて書いたらこういう話になるのかなと思った。
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ノスタルギガンテス
少年・櫂はある日、『森』と呼ばれる森林公園の一本の木に、メカザウルスをくくりつける。やがてそれがたくさんの『キップル』を呼び集め始めた。ママ、同級生のK、U、Aの三人、写真家の宮木、命名芸術家を名乗る東原たちは、キップルが集まるその木をとある名前で呼び始める。

あらすじを説明しようとするとこぼれ落ちて嘘になってしまう気がする。言葉にすると、全く別の方にはめてしまって、全然違うものなってしまう。この本で書かれていることも同じなのではないかなと思います。名前を与えられた時点で本質を失う感じ。
誤解を恐れず言うなら、これはゴミが集まる木を巡る少年の話。ゴミと言っても、それは誰かの大切なもの、一部分であったもの、でも行き場をなくしたもの。それらが櫂の行動によって行き場を見つけ、集まってオブジェと化していく。でも、櫂はその流れに否を唱える。
否応ない社会の流れに櫂は抵抗できず、でも気高い力を胸に秘めた印象を与えて、物語は閉じる。
『夢見る水の王国』を読んだ時も思ったけれど、本当に、どこかしらで何かがちらちらと光っている風景を書かれる方だなあ! この話の場合、それはキップルたちの持つものであり、こちらを睨んでいるような、無表情な櫂の瞳でもある。ふとした時にそれを思い出して、ため息をつきたくなるイメージが浮かびました。
マクレガーの花婿たち (MIRA文庫)
またいつもの悪だくみか。祖父ダニエルの計略で次々結婚するいとこを見ているD・Cは、ある女性のエスコートを頼まれてそう思った。だが祖父は意外にも、あの娘はクールすぎておまえに向かん、いやなら断れ、とそっけない。パーティの夜、D・Cはその女性の姿を目にして思わずうなった。まさに“クール”な氷のプリンセス……長い夜になりそうだ。今度は独身貴族の孫三人がターゲット、手を替え品を替え、ダニエルの陰謀はもう誰にも止められない!?(裏表紙より)

マクレガー家の孫たちのお話。『マクレガーの花嫁たち』の続きに当たるお話で、花嫁で登場したいとこ娘三人組が再登場。今回も連作で、とても面白かった。画家とキャリアウーマン、カジノボート運営者と歌手、弁護士と書店店主という三組のカップルのお話なんですが、どれも家族という存在がいきいきしていて楽しかったです。
一番最後の弁護士と書店店主のお話が面白かったな! かつて太っていて本の世界に逃げ込んでいた少女が、愛する店を手に入れて美しい女性に変身している、でもまだコンプレックスがくすぶっていて……。前二作の男性が非常に女性扱いに慣れた人たちだったので、優等生な印象の弁護士・イアンとうぶな書店主ナオミの話は、ちょっとかわいらしくもあった。
時計塔の怪盗-黒き救いの御手 (一迅社文庫 アイリス り 1-2)
時計塔に住む純白の少女怪盗・クリスは、永遠の魂をもつ青年・クリストルとともに美術品を盗み、名作に残る悲しみを救っていた。幼なじみの少年探偵・ササラと敵対し、誰にも言えない秘密をかかえながら、罪を重ねるクリス。そんな中、警察から挑戦状を受け、危険な勝負がはじまる——!
少女が隠し続けた真実と選択した答えとは!?
WEBで人気の小説が、大幅加筆に10年後の未来編書き下ろしを加え、完全版として登場★(裏表紙より)

いいお話だった! 本当に、「物語の世界」という感じだったな。不思議で、でも心地よい世界のお話だった。
最後まで怪盗と探偵で突き進むのかと思ったら、そっち方面には行かず、街(世界)を救うというお話になっていって……。悪役の存在が突然で戸惑ってしまった。意外な真実に驚きもしたけれど、主人公が秘密を抱えている人物だというのはすごく面白いな。時計塔の怪盗という名前は誰のものだったのか、というのを考えるのが、すごく楽しい。
ハッピーエンドで終わってよかったー。
時計塔の怪盗―白き月の乙女 (一迅社文庫 アイリス り 1-1)
白い時計塔に住む純白の少女怪盗クリスは、呪いによって永遠を生きる青年・大怪盗クリストルと共に月夜を舞って美術品を盗む。そんなクリスを、漆黒の少年・ササラは恋愛感情を隠しながら探偵として追いかけていた。幼なじみの彼の制止をふりきって、怪盗を続けるのは——ある目的のため。
あなたは自らが呪われ孤独になると知りながら、ひとの悲しみを救えますか? 残酷な運命に立ち向かうピュアな怪盗が華麗に登場!!(裏表紙より)

てっきり西洋風世界観のファンタジーなのかと思ったら! 独特の価値観のある世界で面白いなあ。これだったら15歳の怪盗、15歳の少年探偵が警察に協力している、という設定が少女漫画みたく無茶でなくて不自然でないなあ。面白いなあ!
幼なじみ少年少女の距離感とか、子どもを見る大人の目とか、それでもひたむきに己の思いに生きていく人たちとか、読んでいて自然と応援したくなる登場人物たちだな、と思います。恋愛に重きが置かれていない感じがいいなあ。ちょっとだけ児童文学寄りのような。でも設定は非常にマンガ的で、その比重が心地いい。
血のごとく赤く―幻想童話集 (ハヤカワ文庫FT)
さあ、お聞きなさい、グリマー姉妹のおとぎ話を。美しいけれど邪悪な王女や可憐な姫君をまどわす魔物の王子、闇の公子に恋した乙女や狼に変身する美少女たちがくりひろげる、美しく妖しく残酷な九つの物話を……。ダーク・ファンタジイ界の女王がグリム兄弟ならぬグリマー姉妹の名を借りて、「白雪姫」「シンデレラ」「美女と野獣」「ハーメルンの笛吹き」などおなじみの童話をモチーフに織りあげた、魅惑の幻想童話集。(裏表紙より)

面白かった! 好きだー好きだー!
おとぎ話のパロディなのですが、このダークファンタジーの、おとぎ話を別の形で表現したお話の虜になってしまいました。おとぎ話とはこういう側面もあるべきだよ!(と知った風な口をきく)
紀元前から未来にまでそれぞれのお話の時代が設定されているのが、とても面白いなあ! 特に「墨のごとく黒く」なんか、おとぎ話や不思議がそれまでと比べて少し変質した、というような20世紀を描いていて、その後の未来のお話「緑の薔薇」は再び神秘が戻ってきた時代で、という風に読めて、すっごく興味深かった。
「黄金の綱」が好きです。ご存知の方は「お前やっぱりロマンスか……」と思われるでしょうが、このロマンスがただものでない。人形として育てられた少女が、魔女の道具として扱われながら、最後にあっと声をあげる童話のような結末を迎える。ダークファンタジーがほとんどのこの本の中で、翻弄されながら目覚めていくような少女の物語の結末は光り輝き、けれど青い闇のような空気を嗅がせてきて、すごく好きだと思いました。
この本すごく好きだー。幻想物語、特にメルヘンとダーク方面がお好きな方にオススメ。
二つの世界を結ぶ愛 (扶桑社ロマンス)
美しき女剣士カドラは、魔王ソラックを追い詰めた! しかし次の瞬間魔王は「別の世界を支配するのだ」と叫んで姿を消した! 魔王の逃亡した先である、現代のニューヨークへ、カドラもまた魔法の力で送り込まれたが、彼女が落ちてきたのは、三十男の私立探偵ハーパー・ドイルの部屋の中だった! 甲胄をまとう美女の出現に驚くハーパーだったが、二人はコンビを組んで、ニューヨークの暗部に潜んでいる悪魔退治にのりだすことに……。魔法世界と現代の大都会を結ぶ、かつてない戦いが始まった!(裏表紙より)

異世界から現代へ女剣士が召喚されてきたよ! という話。160ページほどと実はかなり短いので、物足りない。私立探偵という設定がそんなに生かされてないよ、もっとサスペンスしようぜ! バトルしようぜ! という。
異世界の女剣士カドラが現代のあれこれに、ずれた言動をするのが面白かったです。それをうまく言いくるめるハーパーも面白い。お互いに性的魅力を感じているというのは、即物的だわ、と思ったりしたんですが、短いからしょうがないのかな。ファンタジーなシーンもありつつ、最後はロマンチックでもあり、長編でぜひ読んでみたかったです。
マクレガーの花嫁たち (MIRA文庫)
マクレガー家のダニエルも齢九十、目下の心配は愛する孫娘たちがいっこうに嫁に行く気配がないことだ。弁護士ローラ、医者グウェン、実業家ジュリアはみな美しく聡明な女性だというのに、仕事にかまけて彼氏のひとりもいないときている。経験豊かな祖父のちょっとした親切(・・)が必要か? 曽孫を抱く日を夢見てダニエル・プロジェクトが再び発進。はたして三人に伝統のベールをかぶらせることができるのか!? 世界中を笑いと涙で包んだ名作、初の文庫化。(裏表紙より)

どうやら関連作があるらしい。ダニエルとその妻の物語、その三人の子どもたちの物語があるみたいだなー。これはその子どもたちの子ども、ダニエルにとって孫に当たる女性たちのお話。三つの連作短編です。
短めなので、ちょっと性急すぎるところがあったり、お互いに好意を持つところがあっさりしすぎていたりと印象でしたが、でもやっぱり面白いなあと。ただ主人公たち三人がいとこなせいなのか、みんな「恋になんて落ちない!」「彼は私を愛してない!」と同じようなパターンを辿るのがちょっと残念。
ローラの話は大人っぽくて両親がいい感じに登場していてにやにや。グウェンドリンの話はロマンチックでした。それから、ジュリアの話はなんだか子どもっぽくてかわいかった。
親世代の話も気になります。みんな子は親に似るという感じの話っぽいので。
アリゾナの赤い花 (MIRA文庫)
アブラは荒くれ男を相手に働く建築技師。予算は厳しいが建設中のリゾートをよいものにしようと駆けずりまわっている。ところが、作業中だというのにトレーラーでさぼっている男を発見!しかもまったく悪びれず、ビールまで飲んで。男が建築家コーディ・ジョンソンと判明したのは、彼女がビールを浴びせかけた直後だった。ふたりの意見はことごとく衝突するが……。『ハウスメイトの心得』のコーディが主役で再登場。さわやかなラブストーリー。(裏表紙より)

顔を合わせれば言い争う、喧嘩っぷるの二人が主人公。『ハウスメイトの心得』関連作。ハウスメイトは器用さんと不器用さんの話でしたが、これは気の強い赤毛の女性とプレイボーイの話。
お互いに魅力を感じて気になっているくせに、一歩踏む込むことのできない、近付いても「だめだ」と思って離れてしまうところにじりじり。ヒロインのアブラは、キスまでしておいて「だめ」と思って距離を作っては、またくっつくという感じで、いい加減素直になれよーと思っていたんですが、はっきりと自覚してからは、彼女がかわいく感じられました。いきなりデレられてびっくりもしたんですが、宝石にまつわるエピソードはにやっとしてしまった。かわいいなあ!
ジャッキーとネイサンも登場。幸せそうで何よりです。
事件は胸が苦しくなりましたが、ハッピーエンドでよかった。本当によかった。
星兎
夜、眠るユーリの目を覚ましたのは、夢から掴んできた氷のかけら……ではなく、「うさぎ」が投げ込んだ氷のかけら。深夜訪れたうさぎとともに、夜遅くにドーナツ屋さんに出掛けるユーリ。彼とうさぎの物語。

『夢見る水の王国』が好きだったので読んでみた。
夢の中から自分の部屋へ、そこから夜の街の、ぼんやり光るドーナツ屋さんにいたかと思えば、いつの間にか幻想的なお祭りの中にいて、海の音を聞き、気付けば宇宙にいた……という旅をするような不思議なお話でした。文章が心地よくて好きだなあ。ひたひたと夜と星のにおいがする。物語に登場する星といっても、銀河の星も、太陽の光もあって、うさぎがいなくなった後の光は、さあっと世界に朝がやってきて、視界が白く染まったように思いました。茫漠とした宇宙にいたと思ったのに、いつの間にか大地に、この地球に立っていた、という感じで、はっと目が覚める思いがした。
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Author:月子
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