読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
1988年、イラン・イラク戦争中のテヘラン。シデーは医者を目指して大学で学んでいた過去があり、母親となったいまも復学を望んでいた。だが学生時代の左派の運動に参加していたせいで道を断たれ、医師である夫は前線に派遣されることとなり、疎開を勧められるも夫の実家を忌避して娘のドルサとともに残ることになる。空襲など危険な状況下、シデーとドルサの不安と恐怖を煽るような不可思議な出来事が起き始め……。
時代と戦争が絡むホラー。「抑圧」という言葉がよぎる。やはり時代が変わり、人の心が疑心暗鬼にとらわれるとよくないものが現れるということか。
宗教と迷信とジェンダーの問題が絡み、シデーは夢を絶たれ、夫と断絶し、自身も不安ながら幼い娘ドルサを必死に守ろうとする。守ると言っても、自由な状況でなければこんなにも困難なのかと思わせる息苦しさ。恐怖というより、ただただ不安で怖い。戦争という死の恐怖もすぐ近くに迫っているわけで。
結局それから逃れられなさそうだという結末は、この恐怖を生み出すジンなるものの理由が、人の心に起因するからなのかな。なるほどなあと思って見ました。
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