読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
2007年、とある青年が手に入れた大量のネガ。その古い写真を現像してネット上にアップすると素晴らしい作品だと賞賛の声が上がった。彼はそのネガから「ヴィヴィアン・マイヤー」という人物名を見つけ、彼女を探す。するとその訃報が検索で引っかかった。謎の写真家ヴィヴィアン・マイヤーとは……?
ドキュメンタリー。不思議な力強さと魅力を秘めた多数の写真を見つけたジョン・マルーフは、ヴィヴィアン・マイヤーが撮影したと思われる写真で作品展を行う。彼女は死後に脚光を浴びたが、それゆえに謎の満ちていた。マルーフは彼女の足跡を追って、家政婦をしていた家、乳母をしていた家などを訪ねてインタビューしていく。
そこから浮き上がってくるのは、発表することはなくても淡々と自分の作品を作っていく、職人のような表現者だったということ。何か悲しい過去があったのか天涯孤独で、新聞を乱読し、溜め込み癖的な収集癖がある変わり者だったということ。
すごくドラマティックなように思えるけれど、なんだろう、すごく物寂しいような……。世界から弾かれていたわけではないだろうけれど、自分と向き合い続けるあまり閉じられた世界に生きて、外側にある世界を撮影している女性の姿が浮かんで、なんだか胸がきゅっとする。
写真を見たいという声は、あなたが何を見ていたのか知りたいという気持ちなんじゃないかなあと思う。謎めいた人だったけれど、そのことを知らない人たちも写真から彼女の複雑な、人間的な内面を感じ取ったんじゃないかなあ。
この注目を本人が喜んだどうかは永遠の謎だけれど、作品が世に出て、誰かの心に響くなら素晴らしいことだと思う。面白いドキュメンタリーでした。
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ジョージアナ・スペンサーは十七歳になろうかというところでデヴォンシャー公爵の花嫁になった。だが後継を求める公爵と政治と賭け事の世界で遊ぶジョージアナは価値観が合わず、公爵にはすでにメイドとの間に娘がいた。さらに友人となったエリザベス・フォスターと公爵が関係を持ち、ジョージアナと公爵の関係はますます冷え切っていく。
実話を基にした作品。女性に自由がなかった時代の男女のどうしようもなさが描かれていて、見ていて辛い……。
若き花嫁と愛のない結婚。それは多分生涯覆されることはなかったんだろう。作品では子どものことを救いのように描いているけれど、心はずたずただったんじゃないかなあ。夫と愛人と同じ屋根の下に暮らしていてもずっと良き妻ではいられなかったと思うんですよね。ともかくそういう価値観の時代だったんだろうなあ。
貴族の女性の普段の生活とか、暮らしぶりとかを見るのが面白かったなあ。ドレスとか手袋とか、特に寝間着とか、ロマンだわあ。
「女の子だけがかかる呪い」の噂が囁かれている全寮制女学園の生徒であるミチは友人のアヤを案じていた。外に出てこなくなったのだ。だがそれから生徒が次々と失踪する事件が起き、その背後にはアヤそっくりの少女の写真があった。アヤの幻に「私の呪いを解いて」と告げられたミチは、アヤとともに謎を解こうとする。
どこが「零」なんだろうという魔改造感がありますが、美少女たちの全寮制学園というのは大変美味しい。
写真にキスをすれば呪いがかかるという都市伝説的な噂が囁かれる閉じられた学園。学校一の美少女。その親友。いまは落ちぶれてしまった自称卒業生が語る「呪いの話」など、学園と呪いと女の子のエッセンスがホラー仕立てで詰まっていますが、なんというか「このシーン(画)が撮りたかったんだろうなあ」というものの連続で、お話としては複雑なものはなく、ひたすら画面がホラーとして綺麗だと思いました。
役者さんの顔ぶれを見るに十代女子向けの作品だったのかな。美少女ばかりで眼福でした。
赤穂の国で暮らす異邦人のカイは、幼い頃行き倒れていたところを浅野氏に救われ、恩義を感じて忠誠を尽くしていた。だが見た目から差別を受けて周囲の侍たちからは獣以下の扱いを受け、浅野氏の娘ミカを思いながらも結ばれずにいた。ある日将軍を迎えもてなした浅野氏だが、同行していた吉良氏は妖術を用いて浅野氏を陥れ、彼らを守る臣下やカイたちを軟禁、あるいは奴隷として売り飛ばす。領主を失った赤穂の国で残された後継ぎであるミカは吉良氏から結婚を申し入れられ、父の喪が明ける一年後、その婚儀の日がやってこようとしていた。
忠臣蔵を和風ファンタジーハリウッド映画に仕立てた作品。服飾や美術が美しく、和風ファンタジーとしてはたいへん面白い作品だなあと思いました。というより、日本の侍をファンタジーにしたという感じかな? 侍ファンタジー。
異邦人である主人公カイが、忠義から国を併呑しようとする巨悪と妖女と戦うわかりやすい王道ストーリー。最下層の身分である彼が周囲から認められていき、姫と思いを通わせ、しかし最後には切腹して散っていくという、ああこれが海外が日本に求めている美学の一つかと思わせてくれる。2013年の作品だからかそれとも架空日本を舞台にしているからか、戦う女性がいないのがちょっと珍しい気持ち。男装の浪士とかいそうなものだったんですが。
美術として見るのが楽しい作品でした。
アイルランドの田舎で漁師をしているシラキュースは、ある日引き上げた網の中に女性が入っているのを発見する。何か事故にあったのかと慌てるシラキュースだったが、彼女は人に会いたくないと拒絶する。謎を持った彼女を仮にオンディーヌと呼ぶようになり、シラキュースと病気の娘アニーはおとぎ話に登場する海の精セルキーだと冗談交じりに言い合って……。
謎めいた美女を釣り上げてしまった、バツイチで娘がいる男性。少し風変わりな彼女に名前を与えると、娘がセルキーだと言って興味を持ち始めた。北国の海と突然現れた美女とどこか運のない男という取り合わせは、とても文学的で幻想的。ちょっともの悲しい雰囲気もあるのがまたいいなあ。中身は結構、人間として泥臭いというか田舎っぽい絵なのがまた雰囲気が出ていていい。
果たしてオンディーヌは本当に海の精なのか? という謎解きはラストで明かされるのですが、まあそういうことだよなあと思いながらも、オンディーヌをセルキー扱いするアニーが可愛くてしょうがない。こういう、幻想の生き物(と思っている)を現代で一生懸命お世話する女の子の図が大変好きなので、オンディーヌとアニーの絆は見ていて楽しかった。
かつてフォーミックと呼ばれる宇宙生命体の襲撃を受けた人類は、世界中から子どもたちを集めて士官教育を施していた。エンダーもまた稀なる才能を見出されてバトルスクールに引き抜かれるも、天才的な頭脳や観察眼を持った彼はつまはじきにされる。それでも才能を認め合った同年代の少年少女たちと切磋琢磨しながら、指揮官となるべく進んでいくエンダーだったが……。
原作は未読。
宇宙からの侵略者と戦うために養成されたエンダーが類稀なる才能を発揮して指揮官となり、大人たちに使われてとある「ゲーム」に挑む。ラストの直前までエンダーは大人たちの駒でしかないのですが、「選ばれた子ども」の描き方が面白いなあと思いました。こうやって人はコントロールされ、本当の意味で天才というのはそこで自ら歩み出す者のことをいうのかなあと。
兄姉の存在が示唆されていましたが、深く関わってくるかと思ったらそうでもなく。アイコン的なものなのかなあ。夢の中でとあるものと置き換わるヴァレンタインは面白い表現だと思いました。
オリンポスの神々の一柱ポセンドンと人間の間に生まれたハーフゴッドであるパーシーは、安全であるはずの訓練所で魔物に襲われる。結界を守るタレイアの木を復活させるために黄金の羊毛が必要だと知った彼らは、仲間たちとともに魔の海へ漕ぎ出した。
前作あったのか見てないわ! と思いながらも最後まで見ました。
ハーフゴッドでありながら父に愛されていない、見放されているのではないか、という現代版ヘラクレスみたいなお話だったなあ。
オリンポスの神々の落とし子であるハーフゴッドたちは人知れず人間社会に食い込んでいるという状況には、なんとなくイギリスの魔法使い少年を思い出します。神々が現代社会を歩いているという設定はやっぱりみんな好きなのかもしれない。
神や神代の種族が混じり合って存在しているところがめちゃくちゃファンタジーみを感じさせて好きだなあと思いました。こういうところでの学園ものが楽しいと思います。
実業家として成功しているポールは、過去にいくつもの悪事に手を染めながらも現在は新しいパートナーと愛する娘と幸せに暮らしていた。だが留守中に自宅が襲撃され、友人と遊んでいた娘が誘拐され、殺害されてしまった。娘を撃った銃「トカレフ」からロシアンマフィアだと当たりをつけたポールの復讐劇が始まる。
おお、おおー……。これは唸らされる復讐劇。
俺の娘を殺したやつを殺す、というバイオレンスなのですが、復讐心や疑惑がどんどん積み重なってポールを追い込んでいく。暗喩的に、自分の息子を轢いた犯人の家に銃を乗り込もうとしたが頭が冷えて病院に戻った、息子は助かった、という話が出るんですが、まさにこれの集約されている。
怒りで我を失うか、それとも冷静になって立ち止まることができるのか。一時の激情に流された主人公の悲劇で、最後まで見て胸が引き裂かれそうでした。すごく好きな作品だった。
交通事故のPTSDに悩まされるイヴリーは、夫とともに郊外の空気のいいところに移り住んだ。だがしばらくするうちに周囲でオカルトめいた不思議な出来事が起こり始める。不安と異常を訴えるイヴリーだが、彼女が妊婦であることを理由に周りの人間は取り合ってくれず……。
ホラー映画です。妊娠を理由に「それは気のせいだ」って言われ続けるの、ホラー、オカルトの鉄板ネタだと思うんですけど、はらはらさせられてとてもいいですね。そしてこういうののお決まりとして、親身になってくれる人や気のせいだっていう人こそ怪しい……。
謎の現象の理由を突き止めるべく、周囲にヒスを疑われながらも手がかりを辿るイヴリー。このヴィジョンがなんなのかがわかったところで真相が明らかに。そういうスポットだったということかな。
アメリカ海軍に所属するアレックスは提督の娘サマンサと結婚を認めてもらおうとしていたが、同僚との喧嘩沙汰のせいで印象は最悪だった。各国の護衛艦が大規模な軍事演習を行うべくハワイに集まっていたある日、謎の巨大物体が発見されるが、突如攻撃を開始したそれに多くの人間が犠牲となる。アレックスたちは生き残った仲間たちとともに反撃する。
青二才な青年将校が主人公。直情的で決して指揮官向きではないのですが、有事下において仲間とともに英雄となり、そして提督の娘との結婚を認めてもらうまでのお話。
提督がまたリーアム・ニーソン氏だからもう威圧感がすごい笑 しょっちゅう出てくるわけじゃないのにやばいお父さん感をびんびんに感じる。
異星人。海軍。海戦。アナログ兵器のかっこよさ。ロマンあふるるアクション映画だと思いました。老いた歴戦の勇士たちと協力するシーンは思わずにやけます。こういうのがいいんだよなあ! かっこいい!