読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
元軍医の冷淡な父と元教師の母の娘に生まれたアメリ。父親の勘違いによって心臓病だと思われてしまったアメリは家の中で母から教育を受けて育ったため、よく空想に耽るようになっていた。母が運悪く亡くなり父と二人になったアメリは一人で生活することを望み、二十二歳になって一人暮らしをしてカフェで働いていたが、ある日を境に人々を少しだけに幸せにする喜びを覚えた。そして自身も恋をするようになり……。
フランス映画ということでなんとなく苦手意識があったんですが、可愛いお話だったなあ。空想に耽る人って映像だと表現不足だったりチープだったりして好きでないんですけれども、アメリのこれは色彩やカットなんかに遊び心があって少し面白かった。
犯罪すれすれなときもありつつ、偶然出会った人のささやかな幸せの手伝いをする、という連鎖的な事件が楽しくて、けれど大事な自分のことには勇気を出せないアメリが可愛らしい。周りの人々の「ちょっと変だ」という個性もすごく調和がとれている感じがしておしゃれに思えました。あんまりやりすぎると下品なんだよなあ個性って。
好きな映画だと思いました。楽しかったです。
PR
有名ロマンス小説家のポール・シェルダンは、大人気だったミザリーシリーズが長く続くことに飽いて最終巻でミザリーを殺し、新しいものを書きたいと意欲をみせていた。新たな作品を書き上げたポールだったが、自動車事故に遭って重傷を負ってしまう。助けてくれたアニー・ウィルクスはポールのファンだと名乗り献身的に看病するが、愛する作品でミザリーが死んだことを知り、豹変を始める。
痛い怖い痛い怖いと思って、なかなか最初から最後まで見たことがなかったのですが、今回初めて見通しました。
スティーヴン・キングはすごいわ……としみじみ思いました。こんな展開になるのは嫌だ! というのをためらいなくやって、二回ほどひっと言わされてしまったし、作品を愛するあまり作品に殺されるという展開はすごかった。すごくすごく痛かったし怖かったですが、とても面白かった。
しかしあまりにきついのまた見たいかというと、ちょっとすみません考えさせてくださいという感じです。いやしかし面白かった。原作も読みたい。
両親を亡くして天涯孤独となったエヴァンは、カリフォルニアを離れてイタリア行きの飛行機に飛び乗った。そこで出会ったルイーズと恋に落ちたエヴァンだったが、彼女は謎が多く、自分のことをほとんど語らない。しかしルイーズは生き物を食らうクリーチャーであるという秘密があった。
天涯孤独の青年がクリーチャーの美女と恋をする。20年ごとに半分新しい細胞を持ったほとんど不老不死のルイーズなので、生き物を襲うちょっとグロテスクなシーンもあるんですが、人外の彼女と僕というシチュエーションはとてもいい。少年少女でよく見るような関係性も、二人が大人で孤独であるとまた違っていて面白い。次の自分は果たして誰なのかという問いかけとか、不死とか、そういうものを冷静に観察してきた淡々とした雰囲気が底の方に流れている気がする。
すごくさっと終わるので「おや?」と思いはしたものの、「細胞が恋をする」という結論なのかしらと思って興味深く見ました。
二歳年上のOLヨリコと付き合うことになった大学生のヒナタ。けれど告白のときに彼女から逆告白されたのは、オタクであることと腐女子であることだった。彼女の妄想や同人誌やゲームなどの趣味に振り回され、それでも一途に彼女を思うヒナタは……。
2009年の映画。原作は未読。
こういう、オタクや腐女子を過剰気味に描いている作品はあんまり好きではないんですが(オタクはちゃんと隠れるよ! 気を許した相手にしかオタ話しないよ!)、とにかくヒナタがいい子すぎて……。彼女に付き合ってアニメ関係のイベントに行くって優しすぎる……。
そして見たことあるようなと思っていたらヨリコさん役は電王のお姉ちゃんだったかあ。
声優の福山潤さんと日野聡さんが本人役で出演していて笑ってしまい、それを前にしているお客さん(キャストさんですよね……?)の反応がガチっぽくてまた笑ってしまいました。跳ねるよね、嬉しいとね。口抑えちゃうよね。何かが出そうで。
腐女子という設定はあるものの大人の女性と年下の男性が付き合っていくには……という現実的でビターな部分もある作品で、オタク部分はハイテンションめで生暖かい感じなのに、恋愛部分はシリアスという落差が、あんまり見ない感じだったので不思議で興味深かったです。
アリアカンパニーのシングルであるアイは、今日も先輩である灯里の指導を受けていた。ある日姫屋の藍華、オレンジぷらねっとのアリスと偶然に再会する灯里。アイはそれを「みらくる」と言い、灯里は独り立ちする前の三人で一緒にいた日々を思い出す……。
原作読了済。アニメは第1期、第2期、第3期視聴済で、OVAは未視聴。
本編のその後が垣間見えるOVA。修行時代の灯里たちのエピソードをやりながら、"アクアマリン"となった灯里と後輩のアイのお話をやってくれるという、ボーナストラック的なお話が三つです。一話目がアリシアさんの裏誕生日の話なんですが、アテナ先輩がいないのが泣けてしまう……でも登場してくれた……嬉しい……。
二話目はケットシーの最後のお話。三話目は先輩から後輩へ、後輩から先輩への気持ちがいっぱい詰まった未来軸でのお話。ウンディーネ三人組が三組揃うという奇跡のショットが見られて嬉しかったです。アテナ先輩……。みんなが揃うようにお話が作られていてよかった……。
出会いと別れを繰り返しつつも、その一瞬一瞬にある幸せなことをめいっぱい味わう登場人物たちが素敵でした。
戦地で一枚の写真を拾ったローガンはたった一人生き残って国に戻ってきた。手にした写真に守られたように感じていたローガンは、そこに写っていた女性にお礼を言うため、彼女を探してルイジアナへやってくる。そして写真の女性であるベスと息子ベン、彼女の祖母エリーと関わっていくが、写真のことは伝えられないまま恋に落ちてしまい……。
戦争というものは人の心を傷つけ、その傷はうまく塞がらないものなのだ、ということを最初に感じました。
男性主人公視点のハーレクインロマンスみたいなストーリーなんですが、ところどころに見える心の傷や寂しさの気配が上品でいい映画だなあと思いました。どんなに痛くても空白が埋まらなくても、寄り添って生きようとという人たちの切なさと力強さを感じる。誰もがより良い方向に変わりたい、運命を変えたいと願いながら、少しずつ前に進む。そういう堅実さが愛おしい作品だ。
なんだか心がしんとなる、好きな映画でした。
頭にロックしかなく、やりすぎのパフォーマンスと人間性のクズっぷりからバンドから追い出され友人からも見放されそうになったデューイ。私立小学校の代用教員にありつくものの授業をやる気はない。しかし生徒たちの高いポテンシャルを感じ、授業と偽ってロックバンドを結成してしまう。しかも学校と保護者には内密で大会に出場しようとし……。
デューイのあまりのクズっぷりに、言いくるめられて騙されている生徒たちが心配になるんですが、子ども側から見れば大人を出し抜く楽しい作品なのかな。保護者の反応は当然だと思いますが、音楽は人生を少し豊かにするよなと思います。がちがちで固められた人生よりも遊びがある方が楽しい。
みんなどこかしら鬱屈した思いがあってそれを「ロック」にぶつけるのが楽しかったなあ。どんなにがちがちの人でも案外そういうものに救われた年頃があるのかもしれない。
好きだという気持ちの狂気と喜びは大人として見ていて少し怖かったですが、子どもたちは楽しそうだ。楽しみを見つけた子どもたちなので、音楽のある人生を楽しんで成長していってほしいです。
マフィア幹部である父と母をマフィア関係者に殺されたカトレアは、隙をついてアメリカ大使館に逃亡し、亡命。だが空港を逃げ出して叔父のエミリオの元に身を寄せたカトレアは復讐を誓い、15年後暗殺者として、両親の仇を誘き出すために次々と仕事を果たしていく。しかし偽名を使って付き合っていた恋人から素性が漏れてしまい……。
復讐を誓った美しき暗殺者。華麗なんだけれども泥臭さを感じさせるところが、非常にシリアスでかっこいいです。犯行現場にカトレアの花を置くって、「私はここにいるぞ」という激しい復讐心を表していてすごくかっこいい。
何も知らずに愛していた恋人から素性が割れるというのは、暗殺者ヒロインの作品としてはとしては「ああーやっぱりー」っていう感じなんですが、そういう甘さがいいと思いつつも、そういうところもちゃんとしっかり自分を律するヒロインを描いてほしいなという気持ちもあり……。あんなに幼い頃から構成員の素質を見せていたカトレアが、寂しさを埋めるために男性と付き合ってそこから大事なものを失うって、あまりにも悲しい。暗殺者に徹してほしかった。
いやしかしアクションといいかっこいい映画でした。
21世紀初頭、突如現れた謎の組織ギャラクターに制圧された世界で、人間はごく一部の地域でかろうじて暮らしていた。ギャラクターに対抗するため、「石」と呼ばれるものの力を引き出すことのできる適合者と呼ばれる能力者たちが集められ、迫り来る敵と戦うようになっていた。ガッチャマンと呼ばれるGチームの、健、ジュン、甚平、竜の四人は指令を受けてギャラクターに立ち向かうが……。
原作は見たことがない世代です。
テンポがあんまりよくないアメコミ映画を見ているような印象でした。CGやらエフェクトやら何やらを駆使しまくっていて動きや構図がかっこいいですが、ところどころ垢抜けない感じが実に邦画だなあと、逆に微笑ましくなってしまいます。
こういうパーティものだと必ず過去に仲間の喪失があったり裏切りがあったりという部分は王道を貫いていてわかりきったストーリー展開ですが、健とジョーが役者さんとしてもキャラクターとしても濃いので、この二人に注目して見てました。
ジュンの性格、というか精神年齢が他のメンバーと比べて一つ下に位置しているようなのが、ちょっとちぐはぐで気になったかなあ。ガッチャマンである自覚が足りない気がするというか。甚平は子どもなので(でも多分演技だろう)まだいいとしても、こういうときにそういう声量は変じゃないか? とか、恋する言動がちょっと子どもっぽいとか、いかにも作られたキャラクターなのがシリアスにそぐわない気がしました。気が抜けてしまうというか。
戦うためだけに選ばれた人間兵器としての台詞が多数あるんですが、人ならざる者の苦悩をもっと見てみたかったかなあ。絶対そこ美味しいと思うんですよ! 任務任務言うだけじゃなくてもっと葛藤を! 人なのか兵器なのかって悩むところをもっと!
身体は大きいけれど気が弱い小学一年生のまさや。小さいけれど気の強い小学二年生のあきよ。頼りないまさやだったが、あきよのためにホタルブクロを探すため、勇気を振り絞って出掛けていくが……。
聞いたことのあるタイトルだと思っていたら、児童書ですね。25分の短編アニメ映画ですが、丁寧でとても可愛らしい。
小学校低学年のときの子どもたちの大きさや性格の違いって、すごく明らかで面白いと思っていて。本当にいろんな子がいていろんな育ち方をするよなあっていうのをしっかり描いてくれていて、微笑ましかった。すぐお腹が空いたり、気分が悪いって言えなかったり、体力がなかったり。そんな中で女の子っていうのはちょっと成長が早くてこまっしゃくれてて。
可愛らしくて微笑ましい作品でした。