読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
生まれつき身体が弱く、甘やかされて育ったつぐみ。けれど奔放で毒舌ながらも不思議な魅力を持つ彼女に、周囲は振り回されている。その夏、かつてつぐみと幼馴染同然に育った過去を持つまりあは、誘いを受けて東京からつぐみたち姉妹のもとへ遊びに行くが……。
吉本ばななさんの『TSUGUMI』の映画化。ずいぶん前に小説の方を読んだので、こういう話だったかなあと思いつつ。
かわいい女の子の、これは毒舌というより単に口が悪いのでは、という言葉遣いを実際に見聞きすると、心臓がどきっとなりますね。また油断ないような鋭い目もいい。死に対して真正面から睨んでいるような、でも泣き出しそうな綺麗な目だ。
穴を掘るシーンで、そうだった穴を掘るんだったと思い出しました。映像で見るとより衝撃的だなあ。
最後の「よお、ブス」がとてもいい笑顔! ほっとしました。
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転校生の有栖川徹子、アリスは、初日からクラスメートから注目され、いじめめいた何かにあってしまう。だが話を集めるうちに、「ユダが、4人のユダに殺された」という一年前の事件が原因だと知る。真相を確かめるため、情報を握っていると思われる隣家を訪ねたアリスは……。
「花とアリス」を元に、前日譚的なお話をアニメーション映画にしたもの。高校進学前のアリスと花が、どのように出会って友情を結んだのか。
「花とアリス」では花の視点がメインだったように思うのですが、これはアリス視点。本当は何でもないことをものすごい想像力とエネルギーで膨らませて大事件にする感じ、めちゃくちゃ創作における十代って感じでおかしいなあ。儀式のシーンとか苦笑いです。
見終わった後は、自分も全速力で走った感じがして、青春映画だなあなんて思いました。
滝沢朗がミサイルから日本を守り、王様になると宣言して数ヶ月。再び行方がわからなくなった滝沢を探し、咲はニューヨークにいた。「東のエデン」を起業した仲間たちもそれを支援していたが、じわじわと起こり始めた日本の異変と滝沢との再会をきっかけに、中断していたセレソンゲームが動き出す。
本編からの続き。滝沢くんがミサイルを打ち落とした英雄エアーキングとしてもてはやされる中、日本は未だ停滞していて、セレソンたちが再び動き出すために暗躍している。
本当に前編という感じで、滝沢くんのカリスマっぷりは楽しめるものの、まだまだ本領発揮とはいかない感じ。でもジュイスにちょっと考えさせてっていうところは、滝沢くんらしくてほっとしたなあ。もし王様になる申請を引き下げると言われたらどうしようかとどきどきしてしまった。
銃撃戦の挙句、警察署に連行された一人の少女。ニキータと名乗った不良少女は、終身刑を下されたところを、政府の秘密警官に選択を迫られる。政府の秘密工作員となるか、それともこのまま死ぬか。生きることを選んだニキータはめきめきと力をつけ、暗殺を行うために仮の名前、別人の人生を持って街に暮らし始める。
登場する役者さんたちの目や表情がいいなあ、と思った作品。
ニキータの剥き身の荒々しさと美しさが、なんとも魅力なんですよねえ。どうしようもない状況になると泣き喚く彼女が、なんかこう胸にくる。泣きながら人を手にかける、というのが、痛いんだけれど、辛いんだけれど、がんがん胸を叩く。
ニキータに限らず登場人物がみんなそういう感じで、本来の自分をすごく薄い皮に包んで危うい世界を生きているひりひりした感じがある。だからラスト、みんなその皮を少しだけ脱いだところは、もう物語が終わるところなのにはらはらしてしまった。
継父によって精神病院に送られてしまったベイビードール。ロボトミー手術を受けさせられそうになったところ、突然不思議な世界で戦わされることに……。自らの運命を変えるため戦う少女たちのバトルアクション。
音楽とアクションを楽しむ映画なので、細かいことはいいんだよ!!
少女が剣を持って戦う姿がかっこいいぃいい……! 退廃的な施設の光景、それぞれの思いを抱くルームメイト。ダンス、バトル。かっこいいものが詰まっている。
現実と虚構が混じる世界が結局誰の手によるものだったのかというが、最後にちょっとだけわかるようになっているのが、なんだかこう、ざわざわする感じがあります。これからも戦いは続くのだし、何と戦っているのかすらわからないけれど、自由であることとか特別であることを……どう飲み込んで生きていこうかなっていう話だったのかなあ……とか。
ラスト周辺でどんどん仲間たちがいなくなっていくのに、うわああああー!(絶叫と歓喜)となれる、かっこいい作品でした。
8歳のマックスは、ある晩母親にこっぴどく怒られて泣きながら家を飛び出した。目の前にあったボートに飛び乗って海を漂うマックスは、ある島にたどり着く。そこはかいじゅうたちの住む島で……。
有名な絵本『かいじゅうたちのいるところ』が原案。自分の世界を持つ想像力豊かで、時々暴走する少年マックスが、かいじゅうたちのいる島で過ごすことに。
シングルマザーの母親に放っておかれ、姉は友達に夢中。ひとりぼっちでやるせない気持ちを何度も爆発させるマックスが、寂しくて切ないなあ。彼の思いを投影しているであろう、かいじゅうたちの存在がまた、行き場のない気持ちを表してもいるようで。KWに対する気持ちの向き方が、お母さんやお姉ちゃん、あるいは年上の女性に寄せる思いそのもので、これもまた切ない。
自分の心と折り合いをつけて、家に戻ると言ったマックスだけれど、きっとまた同じように怒りを覚える日はやってくるんだろうなあ。彼の中には無数のかいじゅうたちがいるんだから。
大女流作家の重松時子が亡くなってから、彼女を偲ぶために五人の女性たちが集まっていた。だがその年届いた花束に添えられたメッセージカードをきっかけに、時子の死は他殺なのではないかと考えた五人は、彼女が亡くなった当時に立ち返って推理を始める。
女性たちがかしましく話しながら、持論はもちろん、推理を披露する作品。すごく舞台的だなあと思ったんですが、カメラワークの狭さというか閉塞感が、非常に不安感を煽って、いい作品だったなあ。
女のいやらしさ、というにはさっぱりしているような、けれどぞくりと背筋が粟立つような黒々としたものが家の内装や小道具にも表れている感じがします。女性が集まるとわいわいと料理を作ったり食べたりお酒を飲んだり、でも最終的にろくなこと話してないんですよね笑
結局真相は、というところで、情念めいた望みのために舞台を整える、というのがまたいい。
とても好きな作品でした。
名門音楽学校に通うドラマーのニーマンは、鬼教師として有名なフレッチャーのバンドに参加することになる。だが厳しすぎるレッスンや罵声を浴びせられ、何度も心を折られるニーマンは、少しずつ自分を失い壊れていく。それでもドラマーであり続けようとするニーマンだが、ある日演奏会の直前に事故に遭い……。
完全に、パワハラとモラハラ……。フレッチャーの罵声に心臓がきゅっとなりました。怖い……痛い……泣きそう……。
そういう暴力を浴びせられると、心がどんどん麻痺して、こんなの大丈夫ってなっていくんですよね。はたから見るとおかしいのに、これが正しい、自分は上に行けているっていう実感に取り憑かれる。多分自分にとって何が一番大事なのか見失っているから。
けれどその後ドラムをやめて抜け殻のようになったニーマンに、なんとも言い難い気持ちになる。そこでさらに求められているという喜びが、もう痛くて痛くて……。フレッチャーの今までの態度の理由を説明されて、自分のバンドのドラムに誘われても、都合が良すぎないかと思って。でも嬉しい部分があるんだろうなという気持ちもわかってしまって……。
でもそこで最後のあれですよ。ひええええええって悲鳴を上げてしまった。胸がえぐられた……。あんな大観衆の前で丁寧に心を折られるなんて思ってもいなかった。そしてその直後のニーマンの復活も。
最後の最後、やっと手が届いた! っていう気持ちもあり、いやでもこれだいぶとおかしいよ……っていう気持ちもあり。
すごくいい映画だとは思うんですが、心を投げ出してまで手に入れようとするそれは本当にあなたを生かすのだろうか、という疑問が浮かび、腑に落ちないところが残る視聴でした。
ニューヨークの下町で靴修理店を営むマックスは、老いた母親と二人暮らし。うだつの上がらない中年男のまま、恋人もおらず、単調な毎日を過ごしていた。ある日代々受け継がれてきた旧式ミシンで靴を修理し、試し履きをしたところ、鏡に映っていたのはその靴の持ち主。魔法のミシンで修理した靴を履けば、その靴の持ち主になれるのだった。マックスはその魔法を使って楽しい毎日を過ごし始めるが……。
現代ものなのにきっちりファンタジーの構成で(魔法がらみでおいしい思いをする→やばい事件に巻き込まれる→その能力を使って人助けをする)とても面白かったです。魔法による悲喜こもごも、コメディとシリアス、善と悪みたいなものがうまく対比されていて飽きなかったなあ。しかしニューヨークの下町という舞台設定だからか、絵柄が地味なのがまた面白い笑
女性が本格的に登場するのが中盤以降からなのですが、ここからまたちょっと色が変わって面白くなったなあ。
ラストで真相が明かされて、最後に先祖代々の秘密を明かされたシーンは、主人公の年齢はちょっと上だけれども正しく父親から子へ受け継がれていくものが存在するファンタジーでした。いい話だった。