読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

高級コールガールだったイザベラは、いまやハリウッドスター。記者のインタビューに自身の過去を語る彼女は、偶然に出会った演出家のアーノルドから三万ドルをプレゼントされた出来事を話す。入り組んだ人間模様は、やがてひとつに収束して……。
どたばたコメディ映画。彼女と話している彼は、実は向こうの彼女とつながっていて……が続いてどんどん事態が混乱していくのですが、最後にはぱっとそれが解けるという話。いろんな皮肉がきいててうっすら笑いながら見てしまった。
こういう短い作品はキャラクターの強さがものを言うんだなあなんてことも考えたりしました。イジーはいいとしても、カウンセラーの先生は見ててなんかきついなあと思ったり。こういう強調があると話が回しやすくなるよねーなんて。
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![ギヴァー 記憶を注ぐ者 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51cJjXSLttL._SL160_.jpg)
平等な世界のコミュニティー。そこに生きる住人たちは、決められた衣服をきて決められた家に住み、さだめられた薬を服用して、その時が来れば長老会によって仕事を与えられる場所。その時がきたジョナスは「レシーヴァー」という記憶を受け継ぐ仕事を与えられる。しかしそこで知ったのは、このコミュニティーから排除された差別や戦争、憎悪、そして愛という記憶と感情だった。この世界が間違っていると感じたジョナスは、コミュニティーの脱出を決意するが……。
原作が児童文学の『ザ・ギバー 記憶を伝える者」という作品。近未来的な世界で統一された人々の生活を送る中、一人の少年が秘密に触れ、世界を解放する話。
王道展開であっさりめのSF作品なんですが、演出がいいなあ。最初はモノトーンだった世界が、記憶に触れるにつれ色を持っていく。感情を覚える。いいことばかりではなくて怒りや暴力も。自分よりも弱い者を守り、与えたいという気持ちが芽生えることが人類の進化の始まりだったのかもしれないなあ、と思ったり。
![レッドタートル ある島の物語 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51-n8dj21ZL._SL160_.jpg)
嵐の海で溺れた男が漂着したのは、無人島。島から脱出すべく竹で作った筏で漕ぎ出すも、何かにいかだを壊され島に戻ることになってしまう。何度かの挑戦で、いかだを壊していたのが赤いウミガメだと知った男。浜辺で偶然見つけた赤いウミガメを、怒りに任せてひっくり返し放置するが、そのウミガメの死をきっかけに不思議なことが起こり……。
無人島に漂着した男が、死んだはずの赤いウミガメの甲羅の中から一人の女を見つける。夫婦になったふたりには子どもが生まれ、幸せな暮らしが続くが、ある日島に津波が襲う。
台詞らしい台詞がないので、ひたすら絵の美しさ、アニメーションという動きの美しさを見るんですが、絵の中から浮かび上がる登場人物の気持ちや物語の細やかさが、ひたすら見事な作品だなあと思いました。
この世ならざるところからやってきた命と生きる、というのはロマンですね……。どきどきします。男が死んだあと、女がどうするのかというのも最後まで息を詰めて見てしまった。
![思い出のマーニー [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51vbcHyC0ZL._SL160_.jpg)
杏奈は孤児だったが現在は養父母に引き取られて暮らしている。しかし居場所がないと感じる杏奈は自分を一人にした母と祖母を許せず、また養父母が養子を引き取ったことによる支援金を自治体から受け取っていることを知り、ますます心を閉ざしていた。喘息がひどくなった杏奈は養母の勧めで、空気のいいとある地方で静養することになるが……。
少女と少女の心のふれあいが美しいなあと思いながら見ました。「あなたはわたしのひみつよ」って台詞はとても素敵だ。どうして女の子たちの「内緒よ」っていう言葉はとても可愛らしくていけないものに聞こえるのかなあ!
心を閉ざしていた杏奈がマーニーと出会ったことで少しずつ活力を取り戻していく様子がいい。マーニーがいなくなって裏切られたと思った後、窓にいる彼女に向かって叫ぶ杏奈は、ずっと一人だったし、でも本当はずっと許せないあらゆるものを許したいと思っていたんだろうなあ。
この作品で好きなのは実は彩香なんですけれど。彼女もまたいろんなひみつや謎が好きな子なんだろうなというのが言動の端々にあふれていて、杏奈と仲良くなってよかった。
![ブレードランナー ファイナル・カット [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61x-GMmPlZL._SL160_.jpg)
2019年ロサンゼルス。酸性雨の降りしきる退廃した地球で、人間はレプリカントと呼ばれる人造人間を開発し、酷使していた。しかし感情が芽生え人間と変わらない情緒を持つようになったレプリカントは人間として暮らそうとする者が後を絶たず、それらを解任(処刑する)のがブレードランナー、デッカードのかつての仕事だった。そんなある日反逆したレプリカントを見つけ出せという指令が下り……。
最近新作が公開された「ブレードランナー」。初めて見ました。
なんというか、ロマンだなあ……。
人造人間と人を分けるのは何かという問いもあるんですが、反逆したレプリカント、特にロイ・バッティの狂気的かつ悲しい言動が好きで……。すごく悲しいのにすごく狂気的。ともするとデッカードよりも好きかもしれない。
見ていて、これデッカードはレプリカントなんじゃないかなあと思ったんですが、Wikiを見ると制作上の都合で色々ミスっているところがあるせいなんですね。しかも公開バージョンがいっぱいある……。興味がわいたので間をおいてまた見てみようかなと思いました。
![美女と野獣 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61G7-zTYThL._SL160_.jpg)
とある美しい城に住まう大公レオンは、善政を敷き、美しい妻ジュリエットとともに幸せに暮らしていた。だがそれもあの事件が起こるまでは。火事で妻を亡くし、顔に醜い傷を負ったレオンは顔を隠し、人を嫌い、無慈悲な人間として人々から恐れられるようになってしまう。そんな彼の元に父親の借金を返済するため、奉公に上がったベルは。
「美女と野獣」という名のハーレクインロマンスだな! というのが見終わった感想でした。
賢いベルという描写はなく、城に奉公に上がった直後はろくに家事をしたことがなくていつも姉がやっていたと言い訳をしてしまうところ、ヒロインとしてマイナスです……。
一方で野獣役のレオン大公は、結婚を迫ってくる従妹のエレーヌと「ベルを落とせるか」という賭けをする嫌な男です。このエレーヌもだいぶと嫌な女性で、物語の最も大きな謎に関わるんですが、ラストの駆け足でまとめられてしまったあれそれでだいぶと後味が悪い人に……。
ほかにもエレーヌの大公への執着の理由が不明だったり、ベルがどうしてそこまで好かれるのかがわからなかったり、やらかしたベルの姉のおとしまえが付けられていなかったり、あっさり引いてしまう村人にええーって思ったり、かわいそうな伯爵がどのようにして最後を受け止めたのかがわからなかったりと「きっちりわかるように描く」ことの大切さを実感させられるつくりでした。
しかしこの映画、めちゃくちゃ舞台装置が美しい。
大公の館や近くの村、ベルの実家や、キャラクターの服装などとてもおとぎ話に語られるヨーロッパな感じがしてすごく好きです。女性はちゃんとデコルテを見せて胸を上げて潰しているし、男性もきっちり古い形の服装。
ベル、レオン、エレーヌの衣装が時々はっと目につくほど色鮮やかなときがあったんですが、これってお互いの色が同系色かどうかで心を通わせているかどうかを表しているのかなあと途中で思いました。最初は感情の高ぶりや方向性を示しているのかと思ったんですが(赤は攻撃とか)、それだけじゃないのかも? と思ったり。ベルがレオンの元へ駆けつけてくるシーンはお互い赤なんですけれどエレーヌは青なんですよね。
おすすめはしにくいんですが、いろいろと面白い作品でした。
![この世界の片隅に [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/615tyYD1t9L._SL160_.jpg)
1944年。18歳のすずは広島から呉にある家に嫁ぐ。折しも日本は戦争の只中にあったが、人々は日常を生きていた。もちろんすずも……。けれど空襲や物資不足が続き、ある日……。
すごく地味な絵で温かみのある色彩で描かれているのに、ちょっとした台詞や映り込むものが戦時下であることを示すものばかりで、これは日常なんだけれど非日常なんだ、悲しいことがあった時間なんだというのを見終わった後に感じる。
すずのうっかりなところや、ちょっとした失敗、くすりと笑えるシーンが積み重なっていって、ゆっくりと世界が変わっていく感じ、途方にくれたような、取り残されたことへの悲しみや恐れ、どこで生きていけばいいんだろうとわからなくなる感じというのか……。それでもその変化や状況を受け入れて、この先も生きていく、そのありふれた当たり前にぐっと胸を掴まれました。すごい映画だ。
![SING/シング ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51W7wx2DQUL._SL160_.jpg)
子どもの頃舞台に魅せられたことがきっかけで、大人になったバスター・ムーンは劇場主となった。しかしヒットは飛ばせず、賃金未払い、銀行から返済を迫られる状況。起死回生の策としてムーンは歌のオーディションを行うことにするが、賞金1000ドルのはずが手違いで10万ドルとポスターに記載。後に引けないムーンはオーディション合格者たちとショーを作ることになるが……。
歌があってハッピーな映画が見たいなあと思い。それぞれの悩みと向き合いながら、最後に歌うシーンは感動でした。拍手。
好きなのはロジータとグンターでした。吹き替えで見ていたんですけど、グンター、めちゃくちゃいい。彼の言動を見ているだけで楽しくてポジティブになれる。っていうか吹き替えの人たちが皆さんお上手でよかった。
あと楽しいっていうとキューティーズの面々がうざ可愛い笑 怒った理由がわからなかったからこの部分は字幕で見た方がよかったかも。
いいなあと思ったのがエディで、生きる目的がない今時の若者だったのが、ムーンに影響されて仕事をしたり舞台に関わったりしているところが、すごく楽しそうで生き生きしてていいなあと思いました。
楽しい作品でした!
![スペースアドベンチャー コブラ 劇場版 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51RC9g-gU5L._SL160_.jpg)
コブラは賞金稼ぎを営む美女ジェーンと出会う。ジェーンには三つ子の姉妹キャサリンとドミニクがいて、自分たちは海賊ギルドに狙われているというのだ。ギルドと因縁のあるコブラは三姉妹に関わっていくことになるが……。
1982年の映画。コブラ本編の三姉妹編のエピソードで新しいお話を作っている劇場版。本編の三姉妹もいいですが、劇場版もめちゃくちゃいいんですよね! ロマンだ。声が本編とは違うのがちょっと残念なんですけれど(コブラがちょっと少年っぽくて軽薄に聴こえてしまうから)
運命の三女神を思わせる、ジェーン、キャサリン、ドミニクはそれぞれ性格も違い、強い部分も弱い部分も違っているけれど、みんなコブラに惹かれていく。コブラはそうやって三人に愛されたことで最終的に宇宙の秘密のひとつに触れるのですが、三姉妹の寂しさや悲しさに対しては傍観者でしかなくて、やるせない思いをするシーンもたくさんあるんですよね。子どもの頃からそこがもう好きで好きで……。でも今見ると三姉妹の異常なほどのコブラへの愛には首をかしげるし、真相に当たる部分での黄金のプロポーションのくだりは笑ってしまう。
放浪とか、あてのない旅とか、宇宙の意思とか、スペースロマンというものがたくさん詰め込まれていて大好きな作品です。見返すことができてよかった。
でも私はコブラの相棒はレディだけだと思っているので! ほんといい女だよなあレディは……。
![スポットライト 世紀のスクープ[DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51ea7unktRL._SL160_.jpg)
2001年。ボストンの新聞「ボストン・グローブ」のチームスポットライトのメンバーはカトリック教会で起こった神父による性的虐待事件を捜査する。被害者や関係者に接触し、協会が隠蔽工作を行っている可能性に行き着いたメンバーだったが、様々な障害に遭うが……。
カトリック教会で神父が犯した性的虐待事件。それをスクープした人々を描く。
宗教という巨大な権力が覆い隠す真実に光を当てる。ジャーナリストたちの思いもあるのですが、どんな風にして被害者たちが告白したのかというところが一番胸に痛かったかなあ……。マスコミが権力に屈することで自衛するのは理解できるけれど、やはりそれでも本当のことを広く知ってもらわなければと心を奮い立たせてほしいという気持ちがあります。この作品の品の良さというのか、そうした「暴いてやったぞ」とひけらかすのではなくて、あくまで日常の一部みたいに静かに描いているのがいいところだと思いました。