読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
廃校になった小学校で毎夜繰り広げられる非合法の格闘技ショー。戦うのは、思い思いの衣装を身にまとった女性たち。性同一性障害の皐月、SMの女王様ミーコ、内気なまゆ。そんなガールズファイトの舞台に、DV夫から逃げる千夏が現れて……。
桜庭一樹の『赤×ピンク』が原作。かなり改変してあるのかなと思ったら、案外そうでもない……? 小説の雰囲気と映像が、自分の中でかけ離れていてうまく判断できない……。
R15+の表示なんですが、R18に近いでしょうか。SMシーンもあるし、裸が出ますし、乳房もアンダーヘアも出ます。女性同士のセックスシーンもあります。格闘シーンもあるのにそうしたエロティックなシーンもあって、その緩急がなんか……すごくいけないものを見ている気が増しました。
ガールズファイトをやりながらも、メンバーたちはお互いに協力し合い、自分たちの『女』を見世物にしている。それを引っ掻き回す存在から自分の居場所を守ろうと戦っている感じがしました。それでいて「檻を壊したい」という気持ちもあって……。何と戦ってるんだろうと思いながらも、子どもだった頃の自分と、今時を進めて大人になろうとする自分がいつも戦ってるんだなあ、なんて思いました。
テーマへのアプローチの方法は映画の手法だった気がしますが、これはこれでなかなか面白いのでは……と感じる作品でした。
PR
小さな洋裁店の店主・市江は、オーダーメイドの服を作っている。ある日、百貨店に勤務する藤井は、市江の服を仕入れたいと告げるが、市江はそれを断る。諦めきれない藤井は市江のもとを何度も訪ね、彼女や彼女の祖母が築いてきたもの、そしてお客が生み出す空気を感じていき……。
お店の雰囲気、小道具、そして何より市江や街の人たちが着ている服の素敵なこと! こんな服を着て毎日過ごしたいなあ……。
その人だけの服、その人がお墓まで着ていける服を愛している、っていうことから、自分は何を、どんなものを作りたいかっていうのがだんだん見えてくる。何者にも乱されない、やることやるだけだという生活は確かに平穏かもしれないけれど、作り変えるみたいに新しいことを始めるのは、大変だけれど確かに楽しいことだよなあ。やりたいって自分自身が心から思うことが大事ですけれども。
好きなことを、自分以外の誰かが大事にしてくれてもっと大事にできるようになる。そんな風に感じた作品でした。
ヴィアゴ、ディーコン、ヴラド、ピーターはヴァンパイア。ウェリントンでシェアハウス生活をしている。現代のヴァンパイアらしく夜の生活を謳歌していたが、ある日、ピーターが人間をうっかり甘噛みし、ヴァンパイアに変化させてしまった。
ドキュメンタリー形式でヴァンパイアたちのシェアハウス生活が語られます。ホラーでサスペンスでコメディ? 血がぶしゃーってなるわりにアホだ(褒めてます)。陽気なのにシュール。屋敷に閉じ込められて追い回されるって怖いはずなのに、笑しか出ない。なんだあの人面猫(褒めてます)
そんなヴァンパイアたちが、気が弱いけれどイイ奴な人間スチューと友人になったことから、ヴァンパイアのパーティに参加した彼を守ったりなんだりする。仲間のヴァンパイアを殺したのに、その帰り道にしゃべってる感じが完全に「俺ら最強」の粋がってる若者みたいで笑ってしまう。かわいいなあこいつら。
ドームふじ基地。南極にある観測基地で越冬する隊員たち。通常の娯楽とは程遠いその場所で、隊員の西村は限られた食材と水、特殊な状況での調理に奮闘する。
雪以外何もない、ある意味閉鎖的な場所で、八人が仕事をしながら好き勝手する。もうそれがおかしいやら何やらで。まとめるのは大変だなあ。みんな普通に美味しいご飯を食べているけれど、それはすごく貴重なことなんだぞ……と思う。家族や恋人と遠く離れた場所で自由にしているかと思えば、実はすごく寂しくて。家族もまた元気にして見えるけれど寂しくて。
実は原案になった本も一応読んでいて、そのエピソードをうまいこと加工して使ってあるなあという点でもとても面白かったです。
「ご飯が美味しいと元気になる」という言葉が実感できる作品でした。
春に生まれ、しかしお乳にありつけない小さな身体だったため、殺される運命だった子豚のウィルバー。しかし自分が世話をするといった少女ファーンに救われ、大きくなるからとおじさん一家に売られるも、たくさんの動物たちがいる納屋で暮らすことに。しかし、冬には燻製小屋に連れて行かれる運命だと知ったウィルバーは、友達になった蜘蛛のシャーロットに「必ずあなたを助ける」と約束される。
子豚と蜘蛛、そして他の動物たちとの友情。季節と生と死と。とても暖かくて優しいお話なのに、じんわり沁みる切なさと暖かさがあるなあと思いました。陰鬱な納屋がどんな風に明るく変わったのかというのをもうちょっと見たかった気もしましたが、最後にみんなが新入りを迎えて楽しそうに笑っているのを見て、ああやっぱり変わったんだなあ、というのを感じられてよかった。
カラスたちがすごく好きでした笑 結構みんな真面目にやってるのに、この二羽だけすっとぼけてる感じで。
シャーロットが優しくて大きくてあったかいのも本当によかったなあ。声を聞いているだけでほっと落ち着く……。
エンディングがまた素敵な作品でした。
鎖国が五百年続いたとある国。暗殺集団により育てられた雪だったが、母を殺した張本人が自ら所属する暗殺一族の首領だと知り、組織を逃亡する。偶然出会った青年の元に転がり込んだ雪だが、組織は追っ手を放っていた。
2001年のもの。ストーリーがあってないような感じもしつつ……刀を使ったアクションがすごくかっこいい作品でした。土ぼこりにまみれながら戦うヒロインの図は、たいへんかっこいいです。ぶっきらぼうで淡々とした雪なのに、そうした表情でもかわいいなと感じるのは女優さんがかわいいからなのかな。
五百年続いた鎖国というわりには、大勢の人が住んでいる場所のシーンがないので、なんだか終末世界みたいだなあと思ったりもしました。
1973年のものも機会があったら見てみたいなあ。
12歳のゴーディ、クリス、テディ、バーンの四人は、それぞれに問題や歪みを抱えながらも、いつも一緒に遊んでいた。ある日、行方不明になっていた同級生の少年ブラワーの死体を見つけたというバーンの兄たちの会話から、「死体を見つければ英雄になれる」と考えた四人は、死体が置かれている場所に向けて線路沿いを歩く旅を始める。
家庭環境に問題を抱え、心に傷を持ち、それでも12歳のあの時四人で一緒に冒険をした、という過去を、大人になって作家になったゴーディが回想する。
少年時代、言い合いをしては殴り合いをして喧嘩をしても四人でいた不思議とか、口汚いところとか、年上の不良たちにやられてしまうとか、見ているとこう言いようのない閉塞感と一瞬のきらめきみたいなものを覚えて、苦しい。そしてクリスがこの街を脱出したはずなのに、最後に死んでしまったのが悲しくてやりきれない。取り戻せないものがたくさんあるなあ……。
ストレスを感じると石化する体質の男子高校生、田万里。それを「綺麗だ」と言った男性教師、穂仁原は、石が好きだという変わり者。クラスに馴染めない田万里は、自分を恐れずに近づいてくる穂仁原に惹かれていく。
「この男。」シリーズの第四弾、だそうで、他の話は、宇宙人だったり人魚だったりするみたいです。ファンタジーでBLのシリーズみたいです。
体質に加えて、もともとコミュニケーションが苦手な男子高校生と、鉱物好きでそっけないように見えて面倒見のいい男性教師、というBL的な台詞回しや表情には、ちょっとむずむずするんですが……笑 これ、連載とか長編とかだったら、クラスメートと三角関係になるやつですね。
人間関係に思い悩む田万里が、見ていて苦しいです。世界が狭いだけなんだけれど、その時、その世界がすべてなんだよなあ。けれど、実は世界が狭かったのは大人である穂仁原の方で。
エンディングで、一年どう過ごしたのかが分かって微笑ましかったです。
4月。6年2組の担任教師は、生徒たちに子ブタを見せ、「一年間、みんなで飼育して、最終的に食べましょう」という授業を開始する。しかし、卒業が近づくにつれて、クラスは「食べる」「食べない」に分かれ、決着がつかなくなってしまう。
原案は『豚のPちゃんと32人の小学生 命の授業900日』。作品とは諸々設定が異なりますが、実際に行われた授業を元にしてあります。
作中の台詞であり、キャッチコピーに「命の長さは、誰が決めるの?」というものがあるのですが、本当に、そうだよな……。食べる、食べないって、何が基準なんだろう、と思う。生かすのか、殺すのか。それを握っている自分が怖いとも思う。というか、名前をつけた時点でもうだめだ……と思いました。
正しい、正しくない、というものはないディベートは緊張感に満ちていて、子どもたちのやるせなさや苛立ちがリアルに感じ取れて、自分の心臓もギリギリしました……。
「青い紅玉の巻」
飛行機騒ぎの混乱のさなか、宝石店から「青い紅玉」を盗み出したモロアッチ教授。だがその宝石は、スリの少女ポリィに奪われてしまう。事件の謎を解こうとするホームズとワトソンは……。
「海底の財宝の巻」
海底より財宝が発見されたというニュースが新聞に掲載された。ホームズとワトソンは、レストラント警部に連れられ、海軍の潜航艇の盗難事件の解決を求められる。どうやら、モロアッチは海底の財宝を狙っているらしいのだが……。
風景、道具、動きが本当に好き! 見ていて楽しいし、安心する。たくさんのロマンが詰まっているなあと思います。馬車、自動車、機関車、飛行機、船、そういうものにもきゅんきゅんしてしまう。あーこの時代をモチーフにした創作物が、本当に、好き!
なんかもうこのあたりのアニメって「動きが好き!」「絵柄が安心する!」っていうことしか見てないですね……。べたな展開や台詞もいちいち素敵だし、空中をしばらく歩くとか、銃弾を十字架で弾いてかわすとか、ありえないところがコミカルで楽しい。
そしておまけのホームズとナウシカの予告が、すごく時代を感じさせる……笑