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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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グラン・トリノ [DVD]
妻を亡くしたコワルスキーは息子家族からやっかまれ、財産や愛車グラン・トリノを寄越せと暗に言われているが、偏屈で頑固な性格と持ち前の口の悪さで彼らを追い払っていた。ある日隣に住むアジア系の少年タオが車を盗難しようとしたことをきっかけに、少しずつ彼や彼の姉スー、家族たちと交流を持つようになる。だがタオやスーを守り、ギャングたちに立てついたことで、ある悲劇が起きてしまい……。

めっっっちゃくちゃいい映画で見入ってしまいました。罪の意識を抱えて誰にも言わないまま偏屈になっていく老いた男と、異国人で何を目指せばいいのかもわからない少年。二人の交流と、贖罪。最後の方、なんでかわからないけれど涙が溢れて止まらなかった。
治安の悪さがありありとわかるし、悲劇が起こるのではという予感を割と最初の方から感じて、コワルスキーの投げやりにも思える口の悪さと立ち向かい方にはらはらして。けれどタオがめざましいほどに成長して、仕事だけでなく人を敬うことを覚えたりする姿に希望を感じたりもして。
だからこそ、死期を悟り、自らの命の使い方を選択したコワルスキーに涙がこぼれてしまったのかもしれない。最後まで自分の生き方を貫きながら、未だ抱き続ける戦争やスーを傷つけてしまった後悔をきっぱりと拭うと決めた彼は、最高にかっこいいけれど凄まじく悲しい。最後の遺言がまた、彼がそこにいて息子たちとタオに話しているかのようで、ぶわっとこみ上げました。
すごく好きな映画でした。
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ムーラン [DVD]
魏国に暮らすムーランは、病弱な父に黙って身代わりとなって徴兵され、男として戦場に赴く。同郷の知己のおかげでなんとか潜り込めたムーランだったが、彼女を女性と知った上官のウェンタイにも助けられて徐々に出世していく。しかし激化する戦況に仲間を多く失い、ムーランは傷つきながらも戦い続け……。

中国圏で有名な「花木蓮」という人物の物語を映画化したもの。有名なのはディズニーのアニメ映画「ムーラン」ですが、これはガチで戦争をやってひたすら傷ついて泣いて戦って……を繰り返す作品。2009年の作品です。
アニメ映画の「ムーラン」ほどわかりやすい演出や盛り上がりは多くはないんですが、正統派な歴史物という感じがしました。人の思惑が静かに絡み合い、戦いでは激しく、という。決して鮮烈なヒロインではないんだけれど、地に足をつけた一人の人間として戦うムーランの秘めたる強さがかっこいい。
そんな感じなのでムーランは功を認められるものの恋は実らないし、戦争が終わってなお将軍として戦争をなくしたいと愛する人に訴えてしまう。身分違いなのも女性として生きていく上で自分を失ってしまったのもわかるけれど、そこはもう一度、別の戦い方で自分の思いを遂げて欲しかったなあ……。
東ベルリンから来た女 [DVD]
1980年の旧東ドイツ。田舎町に赴任してきたバルバラは、西側への移住を拒否されこの町にやってきた。秘密警察に監視されながらも、恋人と密会を重ね、西への密入国を進めようとするバルバラだが、同僚の医師アンドレとの交流に少しずつ心を温められていく。ついに逃亡の日がやってくるが、バルバラの選択は……。

音楽がほぼない静かな作品で、映像から感じ取れる雰囲気が、常に息苦しく張り詰めている。田舎町の閉鎖的な感じもそうなんだけれども、都会はもっと荒んでいて凄まじいのではないかと思わせるものが、目つきが鋭くほとんど笑わないバルバラから感じられる。
物語としては、西ドイツへ移住を試みながらも失敗し、田舎へ送られてきた女性医師が、秘密警察の監視の目をかいくぐって西ドイツへ行くことができるのかというもので、同僚のアンドレや患者たちと関わっていく中で、果たしてバルバラは移住することを選択できるのかというものになっていきます。
責任、というわけではないけれども、どこでどのように自分らしく生きるのかということでもあるのかな……。バルバラの選択は、ここではどうしても生きられないという人に生きる場所を譲ることだったのかな。少なくともバルバラは強い人でそれを選べたけれど、アンドレの存在があれば心穏やかに暮らしていけるとも限らないわけだよなあ。
バルバラの目や雰囲気に飲まれるような印象の作品でした。
(500)日のサマー [AmazonDVDコレクション]
建築家を志しながらグリーティングカードを作る会社で働くトムは、周りから少し変わっていると言われる内気で妄想過多な青年。ある日新しく入社してきたサマーに一目惚れをし、好きな音楽をきっかけに距離を縮まるけれど、二人の関係はなかなか進展しない。価値観の違う二人は果たして……。

トムの視点で、恋に一喜一憂する彼の姿を見守る作品。すごくぴったりくるときもあれば、全然違うときもある、二人の関係をリアルに描いてるなあ。二人の性格は絶対合わないんだけど恋してるとそんなの関係ないよねえ。妄想も「こうだったらいいな」っていうのがわかりすぎてつらい。後半、心が離れているのがわかるシーンのまとめみたいなところ、ずきずきする。でもきっと変わってしまったのはサマーだけじゃなくて、トムもなんだよなあ。悪い方にも、いい方にも人を変える。それが恋。
最後めちゃくちゃうまいなあ! 感動した。時間が動いた、って感じがすごくした。
八つ墓村 [DVD]
天涯孤独の身であった辰弥は、自分を探していたという人物により、八つ墓村の田治見家にやってくる。だがその直前、辰弥は「帰ってくるな。26年前の惨事が再び繰り返され、八つ墓村は血の海と化すであろう」という脅迫と受け取れる手紙を受け取る。そしてその言葉通り、辰弥を迎えに来た使者が死に、田治見家の人間と関係者が次々に殺害されていく。偶然手を貸すことになった金田一耕助は、田治見家の歴史を紐解きながらいとぐちを探すが……。

原作は未読。是非とも読んでみたいと思わせる、土地と家の因縁の話だなあと思ったので、いつか読もう。
役者さんたちの演技がなんだか初々しく見えるのは、多分原作のイメージや雰囲気を壊さないでやろうとしたからかなあ。浅野さんの鬼気迫る演技がすごく好きです。
おどろおどろしい家の歴史と古い屋敷の絵がすごくはまっていて、どきどきはするけれどホラーではないっていうのが上品でいいな。喋り方フェチなので、ついセリフっぽいセリフに耳をそばだててしまう。こういう喋り方をする演技、好きなんですよねえ喋り方フェチだから。
【Amazon.co.jp限定】IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/イラスト・カード付)(ステッカー付) [Blu-ray]
雨の日に行方不明となったジョージーを諦めきれない兄のビル。学校はじきに夏休みを迎えるが、街は子どもたちの行方不明事件に揺れていた。はみ出しものたちのグループのビル、ベリッチー、スタンリー、エディは、ある日不良グループに暴行を受けていた転校生のベンを助ける。さらにいじめを受けている、心優しく賢い少女ベバリー、アフリカ系のマイクも加わり、夏休みを満喫しようとするが、彼らは「それ」と呼ばれる、子どもたちをさらうピエロ・ペニーワイズの存在に気付くことになり……。

排水溝を覗くことができなくなる映画。犯人は実在しているものだと勝手に思い込んでいたんですが、子どもたちを獲物にする魔物めいたものでした。
繰り返される「夏休みなのに」という台詞が、非日常に起こる冒険を想像させて、さすがだなあと思いました。この非日常の中に、子どもたちがそれぞれ抱えている問題が浮き彫りになったり、新しい関係性によって仲間内のパワーバランスが崩れたりして、最後にみんなが一人ずついなくなる……という演出、わかってるなあ! しかもそれらの問題は明確には解決されていないんだけれども、子どもたちはそれぞれに立ち向かう勇気や前に進む力を得て、明日へ進むんですよ。素晴らしい。
しかし続編を製作する予定があるんですね。おおう……どうなるんだ。
スノーホワイト [DVD]
とある王国の王女として生まれたスノーホワイト。ある日母である王妃が亡くなり、王は偶然出会った美女を新しいお妃に迎える。だがその女の正体は魔女で、王を暗殺し、自らの力で王国を乗っ取ってしまう。王族たちが皆殺しにされる中、永遠の命と力を与えるとされるスノーだけは囚われの身となっていた。そして数年後、スノーは一瞬の隙をついて逃亡、王国を取り戻すために立ち上がる。

白雪姫を戦うお姫様として描くダークファンタジー。魔性のもの(善いものも悪いものも)をこういうちょっとグロテスクに描くのって、実にダークファンタジーだわとどきどきわくわくする。また映像がおどろおどろしいんですよねえ。実にいい。
お話は白雪姫の物語を大きく逸脱はしないんですが、王子様に当たる人物が狩人に相当する人だとか、自ら女王となるというのは、かなり強いヒロインと描こうとしていると思います。このまま女傑として王道を進むのかどうか、気になるなあ。
だいぶと前にオススメされた作品でした。面白かったです。ありがとうございました!
くちびるに歌を DVD 通常版
長崎県の五島列島にあるとある中学校では、合唱部の顧問だった松山先生が産休に入るため、臨時教師として松山の友人で同校の卒業生である柏木がやってくることになった。美人でピアニストだったという柏木目当てに合唱部に男子生徒が入部してくる中、ナズナや、なし崩しに入部することになったサトルたちの、それぞれの思いや傷が明らかになって……。

原作は読了済。映画は映画でわかりやすい形にしているなあと思いながら見てました。
中学生ってどこも同じだなあと思いつつも、彼らの素朴さに微笑ましい気持ちになったり、いまは大人として松山先生や柏木先生、その他教師に感情移入したりその言動に注目したりなどして、自分の状況で見方って変わるなあというのをしみじみ感じました。
全然先生っぽくないけれど、都会からこういう人がふらっと赴任してくるのってなんかリアリティあるなあと思った新垣さん、ツンツンしつつも本来優しい人であるのがにじみ出ていてすごく好きでした。主題歌でもある「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の歌詞にもある「大人の僕も傷ついて眠れない夜はあるけど」っていうのが、15の自分と大人の自分が地続きになっている同じ人間であるというのが伝わってきました。柏木先生も「負けそう」「泣きそう」「誰の言葉を信じて歩けばいいの?」って思ってここにきたんだなあって思ったんですよね。
ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 [DVD]
第二次世界大戦、ドイツ軍が無条件降伏文書に調印し、終戦に沸く英国。国民とともに祝いたいという王女エリザベスと妹王女マーガレットは、お忍びで街に出ることに。だがそこから抜け出したマーガレットと、それを追ったエリザベスは、狂乱に沸く人々にもみくちゃにされ、はぐれてしまう。エリザベスは偶然出会った兵士のジャックに、妹を探してくれと頼むのだが……。

終戦に沸く街で、王女様二人がお忍び外出。次期女王エリザベスは、とある空軍士官ジャックと出会い、短い非日常を過ごす。
実際にエリザベス王女とマーガレット王女が街に繰り出して勝利を祝った、という史実に着想を得たお話です。実際の人物を元にするのは……という気持ちはあるものの、こういうことが起こっていたのだとしたらとてもロマンティックだよなあという、夢あふれるフィクションでした。
護衛たちを出し抜いて、若い士官と街を駆け回り、他愛もない夢を叶え、彼の母親(もちろん王位継承者の重責や王女の立場を深く理解している、思慮深い賢女)と話し、そして最後に彼と別れる……という展開は、王道で素晴らしいものだと思います。単にめちゃめちゃ好きだってことなんですがね!
こうした非日常を経て、王女が王位継承者としての自覚を得る展開は、やっぱりすごくよかった。
歴史上には何も残らないけれど、確実に彼女たちには何かが起こって、また新しい一日が始まる。とても素敵な作品でした。
フライ,ダディ,フライ [DVD]
ごく普通に円満な家庭を築いてきたサラリーマンの鈴木だったが、ある日娘が他校の男子生徒に殴られるという事件が起こる。傷ついて心を閉ざした娘を見ていられず、復讐を果たそうと包丁を手に学校に乗り込むも、それは別の高校であり、しかも喧嘩に強い一生徒のスンシンにのされてしまう。しかし訳を聞いたスンシンたちは鈴木を鍛えることを提案し……。

原作は未読。
冴えなくて何の取り柄もない普通の中年男が、家族を守るために、年下の高校生たちととも精神的にも強くなっていく。社会的に立場が弱い人間はなんとかして強くならざるを得ないけれど、肉体的にも精神的も、そして知識も得て強くなろうと己を磨いているスンシンは、ぎらぎらしていながらもなんだかかっこいい。
平凡な鈴木氏が、娘を傷付けた高校生の学校まで仲間と乗り込んでいくのは非日常なんだけれども、立場とか年齢なんかは関係のない大きな壁が人にはそれぞれあって、それに立ち向かおうとするのは象徴的だなあ。多分人には何もかも振り捨てて大事なものと戦わなくちゃならない瞬間があるんだよな。
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Author:月子
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