読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

誇り高く戦い、そして死ぬ。
それが我らのさだめ。生への執着など、とうの昔に、はるか彼方に置いてきた。
……そう思っていた。そう信じていた。
だが戦場へ臨み、潰され、壊され、朽ちることを良しとする〈シリン〉達の姿は、「エイティシックス」である彼らの目指す生き方が、只の狂気であると蔑む。
生きる意味とは何か。苦悩するシン。
シンを理解しようと心を砕くレーナ。
だがその想いは不格好にすれ違ったまま――連合王国の命運をかけた「竜牙大山攻略作戦」の火蓋が、無情にも切って落とされる……!
『連合王国編』完結のEp.6!
戦わねば、生き残れない。
だが戦えば生きられるわけでは、ない。(カバーより)
戦いを経て、ようやく新しい世界に一歩踏み出した、そんな第6巻。
ぐっときたのはグレーテがレーナにかける言葉。青少年に戦争をさせているいまの状況がおかしい、という普通の大人らしい言葉。けれど彼らを頼らざるを得ないんだよな……切ない……苦しい……と思って。けれど常識が残っている人って脱落しそうでこわい。生きて。
レーナとシンも自分たちの進む方向を決めたようで何より。「わかりあえない、それでも」と思いながら、一緒に生きていこうと努力するのが人間だと思うんだ。
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探しに来なさい――。
シンが聴いた〈レギオン〉開発者・ゼレーネと思しき呼び声。レーナたち『第86機動打撃群』は、その姿……白い斥候型が目撃されたという「ロア=グレキア連合王国」へと向かう。……だが。
それは生への侮辱か、死への冒涜か。
「連合王国」で行われている対〈レギオン〉戦略は、あの〈エイティシックス〉たちですら戦慄を覚えるほどの、常軌を逸したものであった。
極寒の森に潜む敵が。そして隣り合う「死、そのもの」が彼らを翻弄する――。
《連合王国編》突入のシリーズ第5巻!
雪山に潜む怪物たちが、
彼らに、笑みとともに問いかける。(カバーより)
戦場に在ることを選んだシンたちエイティシックスたちと、ともに戦うことを選んだレーナ。近付いたはずなのにうまく思いを伝えられずすれ違う。しかし人でありながら人でないものたち〈シリン〉とそれを駆るヴィーカとの出会いで、人とは何か、を考えるようになる。
なかなか縮められない距離がリアル。再会やその後のじれじれもだもだがよかっただけに、すれ違う二人に胃が痛い。がんばれ……がんばれ……。
またヴィーカとレルヒェもだいぶこじれた関係だなあ……。ヴィーカがヴィーカだからいまもこうして一緒にいられるのかもしれないけれど。

王宮文官となったウェンディの前に現れた上司は、3年前に別れた元恋人デニス! 急逝した兄に代わり子爵家を継いだはずでは……。相変わらず優しく自分を守ってくれるデニスに戸惑う中、ウェンディの大切な宝物が拐かされてしまう。救出に向かったデニスが見つけたのは、自分によく似た女の子で――。3年前、二人に起こったすれ違いの真実が明かされる。「もう二度とキミを離さない」大人のシンデレラ・ウェディングラブ!(裏表紙より)
ハーレクインものでよくみるシークレットベビーもの。角川ビーンズ文庫ですよね? それだけ読者の年齢層がだいぶ上がってきたということだろうか。ものすごくびっくりした。
ただ内容も文体もだいぶ軽く、悪役はおばかさんで、小さな子どもは可愛らしく主人公はたくましく、ヒーローは情けないところがありつつもかっこいいところはしっかりかっこいいと、気軽に読めるお話でした。
ところで職場の方々はウェンディとデニスの様子がおかしいのをどう見ていたんだろうな。じれもだでやきもきする状況(子どもの誘拐は別)だったんだから周りの反応がものすごく気になる。

ついに運命の再会を果たしたシンとレーナ。どことなくいい雰囲気を醸し出す二人に、フレデリカとクレナは戦慄し、そして気を揉むライデンらの苦労は留まることを知らない。
しかしそんな束の間の休息を破り、レーナを作戦司令とする新部隊に初任務が下った。共和国85区内北部、旧地下鉄ターミナル。地下深くに築かれたレギオンの拠点が、その口をあけて彼らを待つ。
そこに見えるのは闇。
レギオンの、共和国の、そして彼の国が虐げた者たちの、闇。
シンとレーナ——二人が出会った後、初めての共闘を描く『Ep.4』!
“地の底からの呼び声が、
彼らに新たな試練を告げる。”(カバーより)
連邦と共和国の共闘が始まる。
指揮官として着任したレーナとその部下となったシンたち、再会後のぎこちなさにもだもだ。作戦のプレッシャーが息苦しく、明らかになったレギオンたちの挙動の一部が重くもあり、この巻の後半がしんどすぎたから次の巻のじれもだ期待!
この世界の歪さ、それをそれとして受け入れて何を変えようとも思わなくなったシンと、そうであってほしくないと思うレーナのすれ違いが苦しいな……。どっちの言うこともわかるけれど、世界はそんなに甘くはないし、けれど世界がそういうものだと思いながら戦ってほしくないし……。

十三歳の誕生日、赤奏国の皇帝に後宮入りを願い出た莉杏。
ところが謁見の間にいたのは、《正規の手段》で帝位を簒奪し、新たな皇帝となった暁月だった!
莉杏は「ちょうどいい」と皇后にされるが、一緒に寝始めても湯たんぽ代わりのまるで子供扱い。
それでも莉杏が眠れるようにと、暁月は毎夜問題を出してくれて!?
夜毎に夫婦の絆が深まる恋物語!(Amazonより)
後宮入りするために育てられた莉杏。現皇帝の妃の一人になるはずが、政変により新皇帝となった暁月の皇后となる。立場も年齢もそこにいたということからも「ちょうどいい」だけの皇后になった莉杏だが、実直ながら上手く世渡りをしてきた祖父と賢明な祖母の教えを受けて非常に素直、聡明さの片鱗を見せる彼女の魅力に、暁月も周囲もやがて気付き、という、少女の花開く未来を期待してしまうシリーズ第1巻。
莉杏も暁月も周りもみんなちょっとずつ普通じゃなくて、それが人間らしいすれ違いを生むという面白さ。帝位簒奪をしたならみんな万能なんじゃないかと思ったらそんなことはないというのがいい。それを莉杏の子どもらしく素直な視線で見る楽しさと切なさがありました。

傍から見たら、ちょっと不思議らしい。でも、これが私たち夫婦。私たちの家
木崎ゆすら、職業文筆家。先日結婚しました。旦那さんは毎日美味しいご飯をつくってくれます。天気がいい日も悪い日も、普通の日もお祝いの日も、私が書けても書けなくても。父が残したこの家で。ゆったり夫婦の物語(Amazonより)
ゆすらは他の人たちのようにうまく生きられない。できるのは小説を書くこと。
夫となった木崎は仕事を辞め、毎日食事を作り、家事をし、時々趣味のゲームをして過ごしている。
周りから見れば不思議な生活だけれど心地よい、時々心が波立つこともある日々を送っている二人。季節の流れと、ごはんと、心の陰影を描写した作品で、これを富士見L文庫で出したのか! すごいな!? と思いながら読みました。すごく素敵な作品なのに何故このタイトルなんだ。もったいない。
ゆすらの心の動きはよく描写されるのに、肝心なところははっきりと語らないのがとても良い。たとえば父親の話。崇のこと。でもまったく心の中にないわけではないという塩梅がすごくいい。語らないからこそ語れない感じ。
そうして心がいっぱいいっぱいになったとき、当たり前のように木崎が出す食事がとてもいい。季節を感じる食事、何気ないものも御馳走も、すべてゆすらの毎日の中に溶けている感じ。そして木崎もそんな毎日を心地よく感じているのが最後にわかってぐっときました。「なにものにもなれない」とわかっている人が「なにかにならなければならない」人のことを知ることで、自分にも意味があるのかもしれないと思えるのはすごく救いだと思ったんですよね。
とても素敵な作品でした。

マンガ家デビュー後、上京時に待っていた「缶詰」という極限状況。のちに「大泉サロン」と呼ばれる東京都練馬区大泉のアパートで「マンガで革命を起こす!」と仲間と語り合った日々。当時はタブーだった少年同士の恋愛を描ききり、現在のBLの礎を築く名作『風と木の詩』執筆秘話。そして大学学長として学生たちに教えてきた、クリエイターが大切にすべきこととは。『ファラオの墓』『地球へ…』などベストセラーを連発し、少女マンガの黎明期を第一線のマンガ家として駆け抜けた竹宮惠子が、「創作するということ」を余すことなく語った大ヒット自伝、ついに文庫化!(裏表紙より)
再読。初めて読んだとき「創作者として身につまされることばかり書いてあって、読んでいて苦しかった……。」「空回りしている感じとか、焦りばかり募るとか、才能のある人を前にしてもやもやしてしまったりとか」と感想をつけてあるんですが、今回は苦しいというより、そこで何もかも嫌になって投げ出さなかったことやむしろ失うまいとしがみついたことに思いを馳せました。そこまでして本当に欲しいものは手に入ったんだろうか、いまもまだ苦しいけれどなんとか折り合いをつけているんじゃないかな、って。才能や創作の世界で生き続けるってそういうことなのか。

第六軍将軍である下級貴族のレオは、史上最悪の暴君と名高い王の命令で妻を迎えることになる。
花嫁のリーフェは没落王朝の血を引き、化け物のように醜いらしく、いろいろ良くない噂がある人物。
ところが、結婚当日に顔を合わせた彼女は儚げな美貌の女性で、家の束縛から解放されたことを喜ぶ可愛らしい人だった。
望まず夫婦になった二人は次第に心を通わせていくが――。
末端将軍といわくつき花嫁の政略結婚ラブファンタジー。(裏表紙より)
暴君の治世下で下級貴族ながら将軍になったレオ。他の軍から仕事を押しつけられ見下される第六軍は曲者揃いだがなんとかうまくやっていた……が、続く王の命令は前王朝の血を引く花嫁を迎えろというもの。王命に逆らうことができずに迎えた花嫁は噂に反して美しく、食べ物や服、この世界の様々な自由を味わうことを喜ぶ不思議な少女だった。
とても可愛らしいラブロマンス。苦労人の将軍と自由を知る花嫁という、幸せにならないと許さないぞという二人。
もういちいちリーフェが可愛い。ごはんに目を輝かせたり、毎日帰ってきたレオに今日あった出来事を話したくてうずうずしていたり、楽しい! って気持ちが見えるようでにこにこしてしまう。
ヴィムお兄様がとってもいい性格をしていて好き。アルデルトのエピソードはやっぱりねという王道ですが、きたきたきたー! と大いに盛り上がりました。
しかし番外編のアルデルトの似顔絵のエピソードは笑った。可愛い。幸せになってほしい。
ほっこりと温かい気持ちになれる作品でした。楽しかったです。