読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

浜辺で人魚姫のニーナを助けてくれたアーネストは美形で優しい王子様。
一目惚れからの告白、ラブラブなつがいになれると思ったのに、
彼は何かを気にしているみたい。
やっぱり元人魚より人間がいいの?
落ち込んでいるとアーネストから真摯な愛の告白をされて――。
「君がいない世界に意味なんかない!」
甘くとろけるようなキス、情熱的で淫らな愛撫。
最高の幸せマリアージュ!(Amazonより)
だいぶゆるふわな人魚姫モチーフのTL作品。とにかく王子様アーネストが「これで第二王子? 騎士団長? 大丈夫?」と思わずにはいられないメロメロぶり。出会ってすぐニーナを自分の近くにほぼ監禁状態、何かと一緒にいようとして、常識が違うとはいえ思い込みのせいで暴走未遂。けれどニーナが大変気持ちのいい性格で、わからないものはわからない、自分はこう思うからこうしたいなど、積極的に話し合ったり理解しようとしたりするところがとてもよかった。
とても可愛らしいお伽話と、その裏にちょっとした影も感じるお話でした。

さあ、最後の大勝負といこうぜ。――運命様、上等だ!
強い決意を固めて、屋敷の始まりの日へと舞い戻ったスバル。ループの記憶を総動員し、最高の選択を行うことで惨劇の回避を狙うスバルだったが、絶対に失敗できないという恐怖心はスバルの心を蝕んでゆき……。(Amazonより)
ラム、レムの姉妹と、呪いにまつわるループ回。
2024年12月現在アニメで見ているところが水門都市の話なので、この頃のスバルのまだ普通の人っぽさに胸がぎゅっとする。この巻の後半もそうだけれど、君はだんだん遠いところに行ってしまうなあ……。
スバルのいいところは人間らしい弱さだと思うんですけど、異世界は強くないと生き残れないという当たり前のことが重くのしかかってくる作品だと思います。生き物として弱ければ当たり前に淘汰されるんだよなあ。「やり直し」がどれだけきつくて重いものか、やり直しの難しさを感じるからこの作品が好きなんですよね。

「君、私の助手になってよ」
四年前、地上一万メートルの空の上で聞いた台詞から、俺と彼女の物語は始まり――終わった。
俺・君塚君彦は完全無欠に巻き込まれ体質で、謎の黒服に謎のアタッシュケースを持たされたあげく、ハイジャックされた飛行機の中で、天使のように美しい探偵・シエスタの助手となった。
それから――
「いい? 助手が蜂の巣にされている間に、私が敵の首を取る」
「おい名探偵、俺の死が前提のプランを立てるな」
俺たちは、世界中を旅しながら秘密組織と戦う、目も眩むような冒険劇を繰り広げ――
やがて死に別れた。
一人生き残った俺は高校生になり、再び日常というぬるま湯に浸っている。
なに、それでいいのかって?
いいさ、誰に迷惑をかけているわけでもない。
だってそうだろ?
探偵はもう、死んでいる。(Amazonより)
アニメ視聴済み。巻き込まれた体質の主人公が、美しい名探偵の少女と歩み、彼女を失い、日常に戻った……はずが巻き込まれ体質は継続、もう死んでいるはずの彼女の残していったものとともに歩み始める、という第1巻。
思っていたより文章がだいぶさっぱりしていて、推理ものらしい密度は薄め? 人造人間と戦うという流れと普通じゃない人たちが集まってくる感じは現代ファンタジー。
シエスタという名探偵がとにかく魅力的で、死んでいる(けれど)というのがとてもいい。その存在の強さに誰も勝てない、まさに最強ですね。

竜使いの一族に生まれながらも力を失い、“竜姫”と呼ばれる従妹と比較され虐げられて育ったプラチナ。そんなある日、人質として従妹の身代わりで敵国に差し出され、無敵と恐れられる黒剣騎士団長・ヴァルテールとの結婚を決められてしまう。しかし求められたのは竜使いの血を引く子供をもうけることだけで…。
あくまでもプラチナを戦利品としてしか見ていないヴァルテールに新婚生活への不安を覚えるプラチナ。しかし、彼と一緒に過ごすうちに冷たい印象とは違う優しく真摯な一面に触れ、徐々に惹かれていく。さらに、竜嫌いのヴァルテールに一生懸命向き合っていくと、次第にクールだった彼の様子が変わってきて…!?
「君の可愛らしい顔をずっと見ていたい」
旦那さまの甘い豹変に、プラチナもたじたじになってしまい…!
虐げられ令嬢×クールな黒騎士様
身代わりから始まる恋愛ファンタジー!(裏表紙より)
才能がありながらとある事件がきっかけで力を失い、下働きとして扱われる竜使いの令嬢が、敗北した自国の賠償として他国へ送られ、グリフォンを駆る騎士団長と結婚するよう求められる。人質のような状態で夫婦らしさのない二人は、邪竜と呼ばれる竜を退けるために協力し合うことで少しずつ互いへの理解を深め、歩み寄っていく……というじれじれシンデレラストーリーなんですが、二人ともぎこちなくて溺愛には至らない匙加減が非常に好みでした。なんだよ甘酸っぺえな! もっとやれ!
竜が好きだという気持ちだけを必死に抱いているプラチナが可哀想で、幸せになってくれ、頼むぞヴァルテール! と何度思ったか。またとことんマルヴァが意地悪で、もっとやっつけてほしかったくらい。
しかしヴァルテールとフィーがそうなるとは、という驚き。挿絵がまた素晴らしくてね! 是非とも竜姫として正装したプラチナと並んでほしい。

国王ルークの王妃となった伯爵令嬢フィリス。
幸せな新婚生活のはずが、偶然先王夫妻の凄惨な死の真相を知ってしまう。
彼には言えない――思い悩んでいると抱きしめられて!?
「何があっても離すつもりはない」
淫らなキスと愛撫で身体の隅々まで快楽を刻まれる。
甘い絶頂の中深い想いを受け止め、二人なら乗り越えられると感じたフィリス。
改めて彼とともに生きると決意して……!(Amazonより)
『ずっとあなたを愛してた』のスピンオフにして続編。
離婚した国王ルークの新しい王妃に選ばれたのは、父親の介護のため、領地でひっそりと暮らしていた伯爵令嬢フィリス。素朴で飾らないフィリスにルークはあっという間に惹かれ、二人は結婚するけれど、フィリスは前国王夫妻と王弟の死の真相を知り、一方でルークは密かにその死について調べていて……と、少々事件の絡む内容で、前よりだいぶ病んでいる雰囲気。わかってはいたけれど犯人を釣り出す展開はだいぶはらはらしました。
それにしてもルークは女性恐怖症が改善したと思ったら、だいぶそういう方面でのあれそれが爆発しているなあ笑 ちょっと加減してあげてほしいなあ、と苦笑いで読んでました。

「どうしようもなく、好きなんだ」
国王のもとを離れたプリシラを待っていたのは、
出会って以来密かに想い続けた初恋の侯爵ジョシュアからの求婚だった!?
彼も私を愛してくれていたなんて……!
「私でいっぱいにしてあげる」
すべてを奪うような激しいキス。
感じやすい胸や熟れた内奥を愛撫されれば、心も身体も甘く蕩けてゆく。
長い長い片恋からの、最高のハッピーエンド!(Amazonより)
国王夫妻と王弟が亡くなった事件の真相を秘匿するため、新国王を支えるために名ばかりの王妃になったプリシラ。王の側近ジョシュアに心惹かれつつも、極度の女性恐怖症を患った国王ルーク、ひいては国を守ろうと、己の役目をまっとうする。後継ぎを生むことができず、ルークの恐怖症もかなり和らいだことで、離縁を歓迎したプリシラを待っていたのは未だ消えぬ恋心を抱いていたジョシュアからの求婚だった。
プリシラがいい子すぎてね! ただただ、ルークの臣下として彼を支える姿に、ルークは家族同然のように思うようになることも、ジョシュアもずっと彼女を愛していたという関係性も美しすぎる。
すれ違っても結構早い段階で話し合いがなされたり、他の人が口添えをしてくれたりするので、そうはならんやろ、な展開からちょっと外れた流れになるのが面白かった。ナツさんのTL作品はそういうところが魅力のように感じます。
みんな幸せになってよかったよかった。あとはルークがちゃんと王妃を迎えられるかどうかですね。

業界の低迷で日当3万円以下もあるAV女優の仕事。それでも自ら志願する女性はなぜ増えるのか? 求人誌に載らない職業案内。(Amazonより)
2012年の本なので多分内容はだいぶ古くなっていると思われる。
まったく知らない世界のことを知ってみようと思って読みましたが、まったく知らない世界すぎて新鮮でした。そういうランク付けによって仕事の内容だったり報酬が変わったりするのね……。
まったく甘くない世界というのがはっきりしていると思ったのは、容姿だったり身体の状態だったり演技だったりをすべて評価されてふるいにかけられているというところ。裸の状態をそうやって選別されるのはだいぶきついな。
この頃すでにAV女優の仕事が、貧困女性のセーフティネットではなくなっているとあるので、2024年現在どうなってるのか気になりました。

11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。
20年の歳月が流れていた。そこに恋人と名乗る西園小春が姿を現す。
子ども時代と大人時代の一日が交換されたのだ、と彼女は話した。
一方、20年後の蓮司は11歳の自分の体に送り込まれていた。ある目的を達成するために、彼は急いでいた。残された時間は半日に満たないものだった——。
ミリ単位でひかれた、切なさの設計図。二度読み必至、著者だからこそできた、完全犯罪のような青春ミステリー、待望の文庫化。(裏表紙より)
大人と子どもの自分の意識が入れ替わった。すべては幼い彼女を助け、大人の彼女の悲しみを取り除くため。
未来を変える悲しい結末に至るかと思ったけれど、なんとかハッピーエンドになってよかった。本当の起点は何かとか、蓮司と小春の関係の複雑さとか、そういうものを全部飛び越えられたのがこの本の結末、本を閉じた後のことなのかなあ、などと思う。
全体的に淡々しているので、宝くじの当選番号で兄がお金持ちになるという展開も、そのお金をもとに人助けをしていたり、震災のことだったりもさらっと描かれている。そのバランス加減が読みやすさに繋がってるんだろうな。

「私は、アルベルトに流される女の子にもバイオリニストにもなりたくない」——第三楽団員選抜で、アルベルトはミレアを選ばない。しかし天才指揮者リアムが、ミレアをコンマス指名した。最終選考はアルベルトとリアム、二人の指揮者の楽団が同じ曲を演奏し、観客投票するというもの。リアムの誘いを受けたミレアは、アルベルトにある勝負を持ちかけて!? 二人は“本当の恋人”になれるのか、想いを奏でるラブ・ストーリー!(裏表紙より)
思い込んだら一直線、一途すぎて予想外な天才バイオリニストのミレアと、そんな彼女を影に日向に守ってきた天才指揮者アルベルト、個性豊かな演奏家たちをはじめとした登場人物たちの、近代風世界の楽しいラブストーリー。
いま読んでみると本当に、アルベルトは苦労してるな……とかわいそうになってくる笑 惚れたら負け、という言葉が浮かぶわ……。
しかし音楽のために感情を利用されるミレアも可哀想な巻だった。幼いと表されてしまう彼女の真っ直ぐで純粋な気持ちを、癖の強い音楽家たちを束ねる大人がよろしくない意図で転がすなんて容易いわけで。怖い、と思っているミレアが本当に可哀想だったし、リアムにすごく嫌な気持ちになってしまった。怖がらせたらアウトなんだよな。
それでもなんだかんだでミレアもアルベルトもやっとまとまるかな(もう二転三転するだろうけど)と感じられるラストはにやにやして楽しかったです。そうやって家族も巻き込んだらそれはもう幸せになるしかないんだわ。

伯爵令嬢マリエットの邸に連れて来られた少年・レオ。
傷ついた彼を労りたい。最初は家族愛のはずだったのに、
気付けば真面目で優しい彼に恋をしていて――。
想いを告げられぬまま、ある日彼は姿を消してしまう。
実は王子だったと知り、ますます叶わぬ想いを持て余していると、
戻った彼から急に婚約を宣言され!?
切ない恋を乗り越えた先に待っていた、甘々で淫らな幸せ新婚生活!(Amazonより)
血の繋がりのない母に命を狙われ、死んだことにして身を隠すしかなかった第二王子は、善良な家臣たちの支えもあり、別人として生きるための準備を進めていた。そんな彼を受け入れた伯爵家の末娘マリエットは、わけがあると知りながらレオと名乗る彼と少しずつ距離を縮めていく。
おっとすれ違いか? 病み展開か!? ときつい方向に話が行きそうな雰囲気になりましたが、お互いに賢く勇気があったので、きちんと話し合いがなされ、中盤以降はとにかくいちゃいちゃ。結婚してもいちゃいちゃしているところが読める楽しさがありました。
友情と理解しつつも結婚を決めたり、恩人のために手を汚すことをためわらない人がいたり、いくつかの要素が作品に寂しさや切なさを添えている雰囲気でよかったな……。諦めなければならないものやどうしても理解し合えないものがあるという。