読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

「松本清張賞」と「小学館文庫小説賞」をダブル受賞した平成のゆとり作家を自称する額賀澪が、担当編集とともにどうすれば本が売れるのか知るため、出版業界や近しいサービスに関わる人々に話を聞いていく。
作家となって本ができるまでの話。作家と編集者の関係。そして本が売れるためには何が必要なのか様々な人たちに話を聞くパート。そして得た答えを披露する最終章。
いやー……読んでいて身に沁みました。きついんだけれど現実なので、学ばせてもらうつもりで読みましたが、非常に大事な話が詰まっていました。創作における気構えはもちろんですが、まさかSEOの話が出て来るとは。2018年の本ですが、2021年現在も意外と大事だったりするのかな……?
「作者がドヤ顔してるかどうか」と語った三木一馬さんの話が面白かったです。実は、それは結構自信がある笑
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「あら、目覚めましたね、姉様」「そうね、目覚めたわね、レム」王都での『死のループ』を抜け出したスバル。目覚めたのは豪華な屋敷の一室。目の前に現れたのは――双子の美少女毒舌メイド・ラム&レムだった。(Amazonより)
第二巻。最初のループから抜け出したものの、第二のループが始まる。エミリアの味方となりうる双子のメイド、ラムとレム。今度の死の原因はいったいなんだ。
現在放送中のアニメを見ていると、このときロズワールやベアトが何を考えていたのか想像して、なんだかぎゅっとなるな。特にベアトは。
心を折られるスバルを見ていると、人間臭くて応援したくなります。物語の主人公がループするとどんどん心が摩耗して人外になっていくんだけれど、そう簡単に心を虚無に染められない絶望感の深まりがこの作品の魅力だと思います。何度迎えても死は苦痛。積み上げたものが無に帰すのは絶望。

大泉学園駅にあるアパート、ヒット荘。大家の娘のときわは、学校帰りに店子の鈴木桂太がアパートの前で倒れているのを見つける。
空腹だという鈴木に冷やし中華を作ったときわ。久しぶりのまともな食事に感動する鈴木から、会社勤めをしながら人気少女漫画家“藤原ホイップ”の作画も担当していると聞く。(ちなみに、ネーム担当は金髪碧眼のチャラい美形、レオだった。)それがきっかけで、ときわは食生活がひどい彼らに、たまにご飯を作ることに!
困った大人たちに振り回されて成長するときわと、ほっこりゴハンの物語。(裏表紙より)
自分のクラスにカーストを感じているときわは、運動系の女子のグループに属している。そこでは少女漫画が好きなんてキャラじゃないから言えない。親友との間でだけの趣味として語り合うものだった。しかし大好きな少女漫画家が実は父親のアパートで部屋を貸していることを知り。
漫画家、というか創作と創作者と編集の闇がちらっちらっするのがすごく気になりました笑 これ読む人が読んだら胸をえぐられるんじゃないか。実際はこの物語のように上手くいかないからきついんだよねえ。
そんな話をしながらも、美味しいものを食べると気分は上がるし元気になる、という物語で、出てくる食べ物が素敵なこと。こんな美味しい料理を毎日ちゃんと食べて書き物ができたら素敵だなあ。
ラスト、ときわの世界も変わったようで、素敵な結末でした。

収穫祭の優勝金授与のため、離宮に招待されたシェヘラたち。だが、そこで彼らを待ち受けていたのは、国王による脅迫まがいなサディーンの王籍復活だった! そのうえ「この国に魔法使いは必要ない」と宣告されたシェヘラ。このままふたりは永遠に離ればなれに!? 魔法の真実が明かされるとき、シェヘラが選ぶ未来とは――? 半人前魔法使い×守銭奴元王子のアラビアンファンタジー感動の最終巻!(Amazonより)
サディーンが王位継承権第一位を与えられ、シェヘラは王により彼との別れを勧められる。そして明らかになるシェヘラの魔法の秘密。そして暗躍するクルファが強硬手段に出たために、サディーンとシェヘラ、そしてアフガットは協力して民を救うために奔走する。
ハッピーエンドに至るための第3巻。最後の最後でとてもヒロインらしく、対話という手段を試みたシェヘラに拍手。
あと最後の最後でアフガットが最高だと思いました。異母弟と反逆者の望まれない子を養子にするって、とても素敵ですね。物語が生まれちゃいそうですね。最後にめちゃくちゃ株を上げました(私の中で)。
シェヘラとサディーンの結婚式も見られて本当によかった。お幸せに。

ギルドに残ると決めたシェヘラ。しかしサディーンとの接し方が分からず、戸惑う毎日!そんな折、収穫祭の舞姫が秘宝『砂海の涙』と共に忽然と消えてしまった!!しかも現場に残された予告文からサディーンが犯人と疑われる。王位継承問題がからんでいると睨んだふたりはギルドを離れるが、その先で意外な人物と出会い…!?恋の進展ももどかしい、陰謀渦まくアラビアンファンタジー第2弾!!(Amazonより)
1巻を読んでから相当間が空いており、設定等ぼんやりとしか覚えていませんが、いまさら2巻を読みました。
シェヘラの造形がいま読むと珍しい、ちょっとうじうじした、世間知らず、気弱という感じの少女だったので、近頃のヒロインはみんな強いんだななどと思いつつも、一生懸命に自分で立ちたいと思う女子は本当に良いものだとしみじみしました。
読んでいて、こいつ好きだな……と思ったのは第一王子アフガットです。前巻の所業を覚えていないせいなんですが、この人かなり不器用で生き方を知らないだけで実は結構有能でいい人なのでは……?

突如、異世界へ召喚された高校生ナツキスバル。普通の一般人である彼に特殊な知識も技術も武力もあるわけもなく、さらに手にした能力は『死んだら時間が巻き戻る』という痛みを伴う『死に戻り』のみだった!(Amazonより)
アニメは最新まで視聴済み。声優さんの力はすごいなあ、読みながらちゃんと声が再生される。
異世界召喚された引きこもり高校生ナツキスバル。なんの能力も付与されていないと思いきや、偶然出会った銀髪美少女を助けた結果、殺されてしまったことで能力が発動。それはある地点へ巻き戻ってやり直すことができる『死に戻り』の力だった。
さくっと死ぬんですよね。選択肢一個ミスったら死。登場人物の好感度が足りなければ詰み。事情を知っていても解決できなければ死。その中でも心が折れないスバルですが、この先のことを知っている身としては、一巻は世界はまだまだ全然優しかったんだなあ……と遠い目をしてしまう。
どんどん加速度的に面白くなっていくはずなので、続きも読んでいきたい。

神棲まう不知森に足を踏み入れた高校生の光流が気づくと、そこは「照国洛豊」という華やかな都だった。
元の世界に戻る方法を知るという“賢大婆”を探しに、後宮へ入るが……現代っ子の光流は身分もしきたりもお構いなし、目立つ存在に。お付きの女官の祥華の手助けもあり、気のいい内宮女の梨香、麗雅という友達を得、高官・徐煌貴の目にも留まり――。
同じ頃、血族が途絶えかけ皇帝の力が弱体化する照国に不穏な影が。王宮に渦巻く黒い陰謀は、光流にも忍び寄る。(Amazonより)
父が過労死し、母と二人暮らす光流。ある日不気味な噂のある森に入ると、気付いたら中華風異世界だった。失踪した娘の代わりに後宮入りした光流は、現代人ならではの感覚で下女や一部の宮女に慕われるようになる。なるんですが、それがメインの話ではなく。
異世界召喚、中華風ファンタジー、後宮もの、謎解き、宮廷劇といった要素を詰め込んだ話でどれに特化しているとも言い難い感が惜しい。肝心なところで光流が関わらないので勝手に話が進んでいる感がなあ……。光流は身代わりになったのに普通に実の父母の話をしてしまううっかりさもちょっと。
皇帝と御三家の設定が男子校めいて面白いので、この人たちが光流を挟んで賑やかにしているところが見たかったです。

リストラされた加瀬は、強面なパン屋の店主・阿木に声を掛けられ、バイトをすることに。無愛想で人との付き合い方が分からない加瀬にとって、店の温かな雰囲気は馴染みがなく、戸惑うばかりだった。けれど火事に遭って阿木と同居することになり、彼の優しい手にどうしようもなく惹かれていく。優しくされればされるほど阿木に依存してしまい、溢れそうになる感情に加瀬は……。(裏表紙より)
これも良き「傷ついた人の恋」を描いた作品だった。
加瀬は施設育ちで、人との距離の取り方が不器用だ。かつての恋人を束縛した挙句、暴力を振るったこともある。リストラされたことでますます内側に閉じこもる加瀬は、ある日通りすがりのパン屋さんの店主に声をかけられて働くことになった。
阿木のキャラクターがまたいいんですよねえ。ちょっととぼけたような、気遣いのできる優しい人。この人の明るさやスルー力はきっと加瀬を救ってくれたんだろうな。最後の短編がすごくめろめろでにやにやしてしまいました。
不器用で傷ついた人たちの描写がものすごく好きだなと思ったので、著作をこれからも読んでみたい。