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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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祈祷師の娘 (ポプラ文庫ピュアフル P[な]2-1)
祈祷師の家に暮らす中学生の春永は、父親とも母親とも血の繋がりがない。実の娘である姉の和花とは違い。自分だけが血が繋がっていないということを自覚し始めた春永は、なんとも言えない所在なさを感じるようになる。複雑な想いを抱えきれなくなった春永はある日、生みの母親を訪ねることに。そこで春永が目にしたあるものとは……。話題作『きみはいい子』で注目を集めている著者による隠れた感動作、待望の文庫化。(裏表紙より)

祈祷師、地域の拝み屋さんである「なんみょうさん」の家に暮らすハルこと春永。おとうさんとおかあさん、そして和花ちゃんには力があるけれど、自分にはその才能はない。そのことがまた、自分だけ血のつながりがないという居場所のなさを強調するようで、息が苦しくなる。
淡々とお祓いのことを書いているんですけれど、すごく非日常というか、ホラーめいて読んでいて怖かったんですよね。そんな危うい世界に、自分の日常を、やりたいと思うことを淡々とこなす春永は、やっぱりみんなの支えというか日常の目印みたいなものだったのかなあ、とおかあさんの言葉で思いました。
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アルジャン・カレール -革命の英雄、或いは女王の菓子職人-〈下〉 (ファミ通文庫)
若き女王ロクサーヌの治める平和なフロリア。王都の片隅の小さな菓子屋には、今日も劇作家がやっかいごととともに駆け込んでくる。そんな平和な日々が、不意に揺らぎ始めた。フロリアの守護神、バルトレオン将軍の遠征失敗によって。フロリアは再び混沌に呑まれるのか——。その行く末は、国際会議の席でのロクサーヌの外交、そしてその席で供されるアルジャンの菓子の力に委ねられた!! “菓聖”の伝説を綴るヒストリカル・ファンタジー、緊迫の下巻!!(裏表紙より)

とてもいいお話でした。あくまで女王の菓子職人として国を守った英雄に拍手!
マリー・ロクサーヌの養女であるシュゼット姫とアルジャンの秘密のお話や、オーギュストとアルジャンの仲の良さがわかる小話、そして物語を締めくくる王国の危機のお話。どれも美味しく堪能しました。
アルジャンとロクサーヌの関係が、本当にすごくよくて! 決して結ばれることはないけれど、お互いがかけがえのない存在でいつづけるっていうのは、ロマンだなあ。
お菓子が食べられる豊かな国を目指すために、と動いていたアルジャンやロクサーヌが、そのお菓子で未来の世界の危機を表現したのには息を呑みました。
さっぱりと書かれていたオーギュストとアルジャンの友情もすごくじんわりきました。窮地に立っているアルジャンのところへ、オーギュストとニノンがやってくるところ、こちらがほっとして泣きそうになってしまった。
とてもとても好きなお話でした。
アルジャン・カレール -革命の英雄、或いは女王の菓子職人-〈上〉 (ファミ通文庫)
革命とその後の混乱を経て、平和を取り戻したフロリア。その王都パリゼの隅で、劇作家のオーギュストは小さな菓子屋を見つける。そこは魅惑の菓子で溢れていたが、無愛想な銀髪の店主は何やら怪しげで、すわ革命派の残党か、或いは盗賊かと疑うオーギュストだったが……!? “将軍の銀の猟犬”と呼ばれ名を馳せた動乱の英雄が、女王の菓子職人として大活躍! 後に“菓聖”と呼ばれることになる青年の伝説を描く、ヒストリカル・ファンタジーが上下巻で登場!!(裏表紙より)

革命後のパリを思わせる街で、かつて凄腕の兵士として名を馳せたアルジャン・カレールはパティシエとして働いているのを知ってしまった、貴族出身のお坊ちゃん劇作家オーギュスト。オーギュストの視点から菓子にまつわる出来事を語る話もあり、アルジャンの視点から、いかにして薔薇と呼ばれた女王マリー・ロクサーヌと出会い、約束をしたかという話もあり。
女王との出会いもさることながら、「女王の菓子職人だ」と名乗ることとか、本当に胸がきゅんきゅんする。下巻がどうなるのかすごく楽しみです。
黄昏のまぼろし 華族探偵と書生助手 (講談社X文庫)
 昭和初期、京都。三高に通いながら中村紡績商会社長邸に書生として住み込む庄野隼人は、社長直々に高倉伯爵家の次男で作家の小須賀光を紹介される。
 美貌で華族らしい気品を漂わせる小須賀に感嘆したのも束の間、庄野は小須賀の類を見ない毒舌に絶句する。庄野は小須賀に助手を命じられ、謎の失踪を遂げた鹿嶋子爵秘書の行方を追う羽目に。
 失踪の裏にある秘密に華族探偵と書生助手が迫る!(裏表紙より)

これがホワイトハートなのか、というとてもしっかりした昭和初期を舞台にしたミステリー。衰退していく華族、国を覆っていく共産主義、若者たちは悩み苦しみ、小さな爆発が起き始めている。国が変わっていくもやもやとした雰囲気が、京都のうだるような暑さと人間関係の濃密さにも表れているように思います。
とある華族の秘書の行方を探すんですが、真相はだいたい想像がついたものの、それにたどり着くまでの人間関係の複雑さや、庄野の目を通して語られる人々のちょっとした言動が面白くて、とても濃く感じられました。
精霊歌士と夢見る野菜 紅色の祝祭 (角川ビーンズ文庫)
国を支える『精霊歌士』を目指すメロウは、野菜しか作れない落第生。自分の心を奪った才能をもつエイディに追いつこうと奮闘中だが、まさかの補講を受けることに。講師は、カリスマ精霊歌士で、性格最凶のヴェルク。彼は収穫祭の舞台で「林檎の木を“三重唱”で実らせる」という難題を突きつけてくる。林檎のためには“恋の歌”が必要なのに、ヤキモチからエイディとぶつかってしまい!? 第11回小説大賞受賞作、待望の第2弾!!(裏表紙より)

野菜しか作れないメロウは、音楽院の入学試験に落ちて、現在は予備学生。音楽院において天才とうたわれるエイディと同居したりもあったけれど、現在は雇用主とアルバイトの関係。そんな中、メロウは補講、エイディは収穫祭の大トリを任されることに。
新キャラも登場しながら、メロウ周りの事情がちょっと明かされた感じ……というのかな。いや女王陛下の謎が増しただけかもしれない。ともかくメロウが次なる一歩を踏み出すために頑張るのですが、とにかくラストの「追いつくから」に涙が出ました。
それってすごく難しくて孤独で恐ろしい道なんだけれど、思いの強さで乗り越えようとするメロウが眩しくて、エイディはすっごく嬉しかっただろうなと思ったから。
メロウはこの巻でちゃんと友達ができたので(エイディは恋敵ができてしまいましたが)、仲良く頑張ってほしいなあ。
シンデレラ伯爵家の靴箱館 恋する乙女は雨を待つ (ビーズログ文庫)
シンデレラの末裔であるディセント伯爵家はいわくつきの靴を蒐集している——そんな噂を聞いたエデルは、ひとりでに動く母の遺品“赤い靴”を鑑定してもらおうと、次期当主・アランの元を訪ねた。だが、彼が告げたのは……驚くべきシンデレラの真実!! 靴を取り上げられたエデルは母の死の真相を知るため、極度な人見知りにもかかわらず、アランの靴店『ガラスドーム』で働くことにするが!?(裏表紙より)

おおー! めちゃくちゃ可愛らしくて素直な少女小説! ときめいたー!
頑固ながら高名な靴職人の祖父に鍛えられたエデルは、引っ込み思案な少女。魔術師と共謀した上で家族を犠牲に王妃にのし上がった『悪女』シンデレラの末裔のアランは、靴工房の経営者で尊大な性格。そんな二人が、シンデレラが広めた魔術師の靴を回収しながら事件解決に挑む話、というシリーズでしょうか。
この『靴』をモチーフにしているところが、実にロマンティックで可愛らしい。尊敬する人に前に進むための靴を贈ってもらうっていうのは、ロマンだなあー!
魔術師の存在もあり、まだまだ広げていける世界なので続きを楽しみに読むぞ。
エリゼ宮の食卓―その饗宴と美食外交
食卓にこそ政治の極致がある——
フランス大統領官邸で繰り広げられた華麗なる饗宴の数々。そのメニューから仏政府の外交戦略と政治意図を解明! 在仏7年の著者が、関係者に綿密な取材を重ね、世界に誇る料理とワインで展開する食卓外交の全てを明らかにする、外交官・政界人からワイン通まで必読の一冊!(帯より)

フランス、エリゼ宮で行われる午餐や晩餐のメニューから、当時のフランス国内の事情や外交を読み解く一冊。もちろんエリゼ宮がどんなところかという解説もあります。
非常に面白かった! 食卓に上るメニューとワインの等級から、フランス政府が招待客をどんな風に格付けしているのか、なんてことがわかるんですね。食事も政治かあ。
メニューを考えるにも、大統領の好みから、流行から、招待客が食べられないものはもちろん、相手を遇するという意味でどんなものにするかというのが丁寧に考えられているのだなあ。
“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)
「書かなくてもいい。ずっと側にいる」——そう告げるななせに救われた心葉。だが、そんな彼を流人の言葉が脅かす。「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」……そんな時、突然、遠子が姿を消した。空っぽの家に残るのは切り裂かれた制服だけ。心葉は遠子を追えるのか? 露わになってゆく真実に、彼が出す答えとは? 遠子の祈り、叶子の憎しみ、流人の絶望——その果てに秘められた物語が今、明らかになる……!
“文学少女”の物語、堂々終幕!!(裏表紙より)

文学少女の物語、最終巻。遠子の悲しい真実が明らかになり……。
というかこのシリーズの謎、みんなだいぶとえぐくてやばい、精神にくるやつばっかりじゃない!? こんな闇を抱えた人たちが集まってるの大丈夫!? って最後まで心配しました。
遠子がそれでも流人のような闇に染まることがなかったのは、彼女が"文学少女"であるからだったのかもしれないなあと思いました。物語は人を救う。物語を愛する心のおかげでずっと守られてきたのかも。豊かな想像力とそれを前に向ける力を持っていたおかげで、遠子は最後まで絶望することはなかったんじゃないかな。
心葉の、書きたい、伝えたい、という思いには涙しました。そうやって、その気持ちから物語は紡がれていくんだと思います。
想像したのとはいい意味で面白いところに着地して、楽しかったです。
“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)
「わたしは天野遠子。ご覧のとおりの“文学少女”よ」——そう名乗る不思議な少女との出会いから、二年。物語を食べちゃうくらい愛するこの“文学少女”に導かれ、心葉は様々なことを乗り越えてきた。けれど、遠子の卒業の日は迫り、そして——。突然の、“文学少女”の裏切りの言葉。愕然とする心葉を、さらに流人が翻弄する。「天野遠子は消えてしまう」「天野遠子を知ってください」——遠子に秘められた謎とは? 心葉と遠子の物語の結末は!? 最終編、開幕!(裏表紙より)

最終編の上巻。これまで編集者が出てこないなーとは思ってましたが、やっぱり最後に来たか。遠子をめぐる大きくて深い闇と謎が少しずつ明らかにされていく。
それにしても、流人ーーーーーーーー!!!!!! めっちゃ病んでる。すごくやばい。でもご多分に思い込みや刷り込みになってるんだろうなあ、という気がする。麻貴がいないのが伏線ぽいので、彼女が解いてくれることを願う。
ななせがいい子でほっとする……んだけど、心葉が隠し事をするので側から見ているこちらとしてはぎりぎりしてしまう。ちがう! そういうことじゃないんだ、だから見捨てないでくれ! 心葉ちゃんと説明しろー! って気持ち。
作品はジッドの『狭き門』。もう書かない、と言う心葉に、最初から目指していたわけじゃないものね、と寂しそうに言った美羽が印象的でした。そう、本当にその称号が欲しい人は「書かない」とは言えないんだ。「書きたいけれど書けない」というんだよ。
“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)
『悪い人にさらわれました。着替えと宿題を持って、今すぐ助けに来てください』——そんな遠子からのSOSで、夏休みを姫倉の別荘で“おやつ”を書いて過ごす羽目になった心葉。だが、そんな彼らに、八十年前起こった惨劇の影が忍び寄る。“令嬢”“学生”そして“妖怪”。役者は揃い舞台は整い、すべては再び崩壊に向かう。事態を仕組んだ麻貴の望みとは? 自らの“想像”に心を揺らす、“文学少女”の“秘密”とは——。夢のようなひと夏を描く、“文学少女”特別編!(裏表紙より)

遡って夏休み。姫倉麻貴の別荘で過ごすことになった遠子と心葉は、その屋敷で起こった姫倉の令嬢の事件を知る。そして自分たちがその事件とオーバーラップするような配置にいることに気付いたとき、事件が。
姫倉という家の呪縛から逃れようとする麻貴の残酷さは、結構きついものがあるのですが、終幕に関わる要素なのかなあと想像しつつ。
遠子もかなり秘密を持っているようだし、最終話が楽しみだ。
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Author:月子
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