読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
翼を持つ民が住む北部と、翼なき民が住む南部。相争ってきた両国間でついに和平交渉が始まった。その席で、北部の女性外交官フェリータは、同じ和平への志を秘めた南部の大使アンドレアと出会う。
立場を越えて信頼を深める二人だったが、その彼は今、物言わぬ姿でフェリータの前に倒れていた。
捕縛された彼女の無実の訴えは北部への憎悪にかき消された。絶望するフェリータ。その前に現れたのはアンドレアの亡霊だった。
戦争を回避するため、真実を求めて逃亡するフェリータとアンドレアが辿り着いたのは——(裏表紙より)
立場の弱いながらも才能を認められつつある女性外交官フェリータ。若いながらも人に好かれ人道を敷く大使アンドレア。目的を同じくする二人だったが、フェリータが目覚めた時、アンドレアは血にまみれて倒れ、フェリータの手には彼の血に濡れた短刀があった。真犯人を見つけようとするフェリータが遭遇したのは、殺されたはずのアンドレア、の亡霊だった。
有翼人と、彼らが人間へと分化した世界観。物語は、人間側から有翼人に対する差別が障害となって事件化している。根強い偏見や差別が、悲しみを生み、この事件を生むことになった。なんだろう、世界が悲しんでいてどうしようもないことがある中で、結局すべては、人の物語、人の生きることにすべて繋がってるんだなあ、と感じた物語でした。和平とか、壁がなくなる、そういったものはすべて私たちのすぐそば、今この瞬間に失われるかもしれない大切なものたちに関わっていることなんだ、と他人事じゃなくなったというか。多分、それが見えていなかったのかもしれなかったのがアンドレアだったし、そう思ってしまったのが真犯人だったのかな、と。そして、フェリータはアンドレアと関わることでそれに気付けた。
フェリータが、少年、青年っぽい爽やかで凛とした性格でありながら、ちょっと可愛らしいところもあったりなどして、たいへん楽しかった。アンドレアは、生きていたらもっと楽しかったんだろうと思って悲しい。二人が成す未来を見てみたかったものです。
ウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。そこは昭和基地から1000kmかなた、標高3800m、平均気温-57℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所である。でも、選り抜きの食材と創意工夫の精神、そして何より南極氷より固い仲間同士の絆がたっぷりとあった。第38次越冬隊として8人の仲間と暮した抱腹絶倒の毎日を、詳細に、いい加減に報告する南極日記。(裏表紙より)
映画「南極料理人」の元となった日記。南極には観測隊がいるのは知っていましたが、どんな生活をしているのかなんて想像もつかなかったので、興味深く読みました。だが、ますます謎が深まっていく……どれだけ過酷な土地なんだろう。普通(じゃないと思いますが)にちゃんと暮らしていけるのはすごいな。想像もつかない。
南極でもご飯が美味しいってきっと嬉しいよね、とそれだけは想像できそう。しかも高級食材ばかり……。食品は持ち込まなければならないのは過酷だけれども、工夫を凝らしてうまい飯を作る技術は心底尊敬しました。
昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに”恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて——。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。著者と船曳由美の対談を巻末収録。(裏表紙より)
昭和初期、女中として少女の頃から奉公してきたタキが、その奥様と家について語るもの。目次のデザイン(私が読んだのは文庫版ですが)がちょっと「おや?」と思うところがあったので、もしかしたらと思っていたんですが、最終章はやっぱり「えーっ!」と驚きました。
家を愛する人の執着は、どうしてこうも重苦しいのにいとおしいのかなあ。家と、そこに住む主人を心から慕う。それは、年老いた時に気難しいと呼ばれるくらいに、信仰みたいなものになっている。途中で挟まる、甥の孫の健史にイライラしていたんですが、最後まで読むとそれがくるっと変わる感覚が、怖くて面白かった。
小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓の鍵、睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが……『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んだ衝撃の問題作。(裏表紙より)
とある殺人事件を、様々な人がそれぞれの思惑と推理で見た作品。もやもやするけど、そのもやもやが面白い! 人が死んだことを、それぞれに受け止めて、言い方は悪いけど自分の物語にしてしまう。そういう話が、もう本当に気持ち悪くて。
結局誰が犯人か、真相は、というところは明かされないので、ミステリというより人間の心理を描いた連作短編集だな、と思いました。面白かった。
連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ! 幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。(裏表紙より)
「面白いから読みなさい」と本まで渡されてしまったので読みましたが、最後に自分があああああと胸をかきむしりたくなる、鮮烈な作品でした。どうして、こういう作品は、最後の最後にどうしようもないところでえぐってくるかな!?(歓喜)
幼女誘拐事件の捜査と、とある男の行動が交互に語られる構成。この二つが、どう交差するのか。段々と距離が縮まってくる感覚、けれど、最後の最後に……。途中で「あれっ」と思い始めたらネタが割れると思うんですが、それでも最後まで手に汗握りました。最後の一文がやるせない。
発掘者のフィオーラが過去の遺物を掘り当てるのは、夢や真実のためではない。目的はただひとつ——金のため。そんな冷めた考え方のフィオーラだったが、ある日眠っていた人間の青年を発掘してから彼女の生活は一変する。大金獲得の可能性を期待してその身柄を引き受け、記憶を失った青年にジョーイと名付け、助手とすることに。しかし世間知らずでド天然な彼に、フィオーラは振り回されっぱなしで……!?(裏表紙より)
古代都市コンクラトゥスの《遺物》の発掘業が発達している街、メルカート。天涯孤独の少女フィオーラは、組合に所属しない発掘者。ある日、生きた青年を発掘してしまったことで、コンクラトゥスと《夢紡ぎ人》の過去に触れることに。
悲しさをばねに強く生きる女の子の話でした。何があっても、フィオーラが「くそー!」って頑張ってくれるので、いい方向に行く予感がずっとあって、安心して読めました(という感想もどうかと思いますが、いやしかしどシリアスも好きですよ!)
ジョーイが、天然というか、自然体で攻め体質なので、喋っている間中ずっとフィオーラに対する好意を発散させているので、こいつ……! ってなりました。物理的に打たれ強いという話が出ていましたが、メンタルもイケメンじゃないですかね!? 何があってもしれっとフィオーラの側にいそうで、安心します。
どんどん時代が進んでいく中の活気がある人々の街の話だったので、ファンタジックというより、メンタル:イケメンを楽しみました。明るく楽しい物語でした。面白かったです。
「本がどんどん増えて困る」「給料がみるみる本に変わる」。大反響(悲鳴?を呼んだ前作『面白い本』。「もっと面白い本が読みたい」「もっと面白い本を教えてほしい」。火のついた読書欲に“もっと”が止まらない。人間、宇宙、世界、歴史、芸術、科学。まだまだあります、面白い本。熱い要望にこたえて贈る、家計圧迫必至の第2弾。(カバー折り返しより)
二冊目があると聞いて読んでみた。前回ほどうわーっ読みたーい!とは思わなかったけれど、それでもやっぱり、面白そう、読んでみたいという本がたくさんありました。ノンフィクション、あんまり読んできてないけど、これを機会に読んでみたいなあ。
思ったのは、科学者と呼ばれる人たちが一つの対象について書いた本が、すっごくすっごく面白そうだなということ。フジツボについて、とか、鳥類学者が恐竜について語る(でも関係ないこともしゃべる)みたいな本。すっごくへんですっごく読みたい。