読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
面白いにもホドがある! 書評サイトHONZの代表が太鼓判を押す、選りすぐりの面白本100冊。ハードな科学書から、シュールな脱力本まで。いずれ劣らぬ粒ぞろい。1冊読んだら全冊読みたくなる。本代がかかって仕方がない、メイワク(?)なブックガイド。(カバー折り返しより)
おっもしれー! なんだこれ、ブックガイドなのに、全部読みたい! って思いました。
紹介されるのはノンフィクションがメイン。「真面目にオーパーツ」という章があったり、「学べない生き方」という章があったりと、「まじか!」「ありえん!」「すげー!」と感嘆しそうな本ばかり。以前話題にもなってましたが、『バチカン・エクソシスト』とか読みたいわー。
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サムリユト王国の王女フィオが、ひょんなことから開けてしまった異世界への扉。その先には、ひとりの魔術師によって荒廃した世界と、それを救うべく戦う王子の姿があった。
フィオと、王子スカイの世界の両方に伝わる魔術の書『ゴッデュリア』によれば、術師を連れた女がスカイの世界を救うのだという。その予言に従い、フィオと魔術師リヤ、そしてスカイが旅立つことになるが……。剣と魔法と冒険のファンタジー!!(裏表紙より)
RPGストーリーで、三巻くらいでやるやつを一巻でやりました、という印象でした。
そっくりな異世界の王国からやってきた王子と旅をすることになった、王女フィオ。連れは、神官の弟子リヤ。あちらの世界に行ってからは、銀の獣シルバー、賢者ルー、と完全にロールプレイングゲームのパーティな面子。戦うのは、フィオの弟をさらった悪の魔術師。
ものすごい駆け足なんですけど、リヤが、過去と相まってすごくいい人すぎるので、私は彼といい仲になってほしかった! そこは、ヒロインとしては初恋とさよならして幼なじみと帰るべきだろー! という個人的趣味!
羽根とスパンコールで舞台を彩り、どんな悲劇にも必ず楽しいフィナーレが。そんな健気で能天気なタカラヅカだからこそ、キビシイ時代を生きる私たちの元気の素になるのかも!? 観劇のお作法、歌劇団の仕組み、歴史、ファンの生態、チケットの入手法などなど、清く正しく美しいタカラヅカをのぞいてみたいアナタの疑問に答えます。(裏表紙より)
宝塚は一度見てみたい……でも話を漏れ聞くに未知の世界すぎてちょっと恐い……と思って、どんなものかと読んでみることに。
想像以上にラフだったけれど濃かったよ! 舞台がどういう感じなのかとか、劇団の中がどんな感じなのかとか、ちょっと主観入ってるような気もしますが、何も知らない身としては面白かったです!
自身の秘密を知り、来るべきときに備えて、再び秘匿される、海神の花嫁となったシェルタ。だが、別れを告げたはずのカルフとソティラスは、水の一族の長シンティリーオから、世界とシェルタの役割について知らされていた。カルフとソティラスはそれぞれにシェルタを救う術を探すために動き出すが、やがて決戦のときが近づき……。
第五巻にして最終巻。アヴェントの娘の選択の物語です。三角関係がどうなるかと思っていたんですが、最終巻を読んでいると「そんなことは後回しだ、とりあえず主人公の戦いを見るんだ!」という気持ちになっており……でもやっぱり三角関係が美味しいのだった。
というか二人とももうメロンメロンじゃないっすか! 殺伐とした三角関係にならなくてよかった! 最後にはすごく和みました。にやにやの嵐でした。ここまで二人が立場をはっきりさせたのだから、不幸な未来にはならないだろう! カルフとソティラスが親友で、相手を尊重し合いつつ、好きな相手に懸命になるというのが、本当にいい関係だったなあ。かわいげのある男たちは大好物です。
四巻までで過酷な状況や自分の選択によって、思いきりへこんできたシェルタも、最終巻まで来たら、間違ったとしても毅然と立ち向かう強さを得ることができていて、よかったなあ。ずっと自罰的な意識が漂っていたので読むのが息苦しいときがあったのですが、最後は透き通った空気が漂ってきて、物語の終わったこれからが楽しみな最終巻でした。
面白かったです!! ありがとうございました。
「アシュレイ。良い名だ。お前を俺の妻にする。早く子孫を残すために、日に三度は性交を義務づける」これが横暴王子ウィルフレッドのプロポーズ。堅物で女心にはうとい王子の行動には振り回されてばかり。出会った翌日には隣国に連れ去られてしまったアシュレイは、美姫と名高い姉と結婚ができなかったから、ウィルは仕方なく私に求婚したと悩むばかりで……。すれ違いラブロマンス♥(裏表紙より)
評判の姉と不出来な妹。二つの国から高名な王女を貰い受けたいという申し出があり、そのうち一人は憧れの王子だった。姉と結婚するのだと悲しく思い、こっそり歌の練習をしていると、その歌を聞いて一人の青年が現れる。アシュレイが王女だと知ると「仕方ない。連れて帰る」と言い始め、結婚させられることに……。
真面目なのに乱暴でどっかずれてる童貞王子と、普通の女の子っぽい王女のお話。やり取りがずれてておかしくて、可愛い。「えっち!」と罵ることが出来る相手がヒーローなのは初めて読みましたが、こういういちゃらぶえっちも面白いなー。
しかし、姉と妹の評判が入れ替わってしまった理由とか、自国内での評判とか、そういうのをもうちょっと見られたらよかったのにー。そこまで姉がだめなところは自国の人は気付いてなかったのかなと気になってしまった。しかしそれでも、初恋の君が「交換しよう」と言い出すほど酷かったのかと思うとちょっと笑ってしまう。
「駄目だ。離さない」
始種の骨を略奪した黒竜を追い、古王国に向かった白竜のシュトラールとその“花嫁”である澄白。王宮の地下で、澄白は亡くなったはずのゴルト族の竜、アメテュストと出会う。人間の手により鎖で繋がれた“女神”の存在は、王国の運命だけでなく優しく穏やかだった澄白とシュトラールの関係さえも変えていく——。姫君と竜の青年が織りなすドラゴンラブファンタジー、人気作第五弾!(裏表紙より)
恋をしてぐちゃぐちゃになっているのが好きです。
自分でもコントロールできない感情に振り回されたり、理解し難い衝動に突き動かされたりすることは、全身全霊をかけて恋をしているように感じるからです。醜い思いを抱き、涙を流しながら、求めることを止められない人というのは、人生をかけていると思います。
というわけで、思いっきり心を乱し、迷い、立ち止まり、引き返そうとしては座り込み、ようやく少しずつ前に進もうとしていくのに、なかなか進めない、澄白が! 正しいことをしたい、善くありたいと願いながら、それを許さない状況という山場が、もう痛くて痛くて。前半は甘い雰囲気があるのに、段々とシュトラールの優しさが刺さるようになってきて、あのラスト。衝撃のあまり息ができず、「あうあう」言いながらうろうろ徘徊しました。
ヒロインは全肯定される(あるいはそっと毒を含ませる程度の)少女小説の中で、ここまで『間違いかもしれない』と思わせる話を、よく刊行しましたね!? と思いました。そういう苦しさを抜け出していく物語を、私は読みたかった! でもちゃんと幸せにしないと許さないんだからね!!!!(笑顔) という気持ちなので、続きをよろしくお願いします。
無償の愛に包まれていた澄白が、どんな形でシュトラールを愛していくのか。シュトラールは、絶対的な上位種であることから、どうやって人間である澄白を理解していってくれるのか。異種族恋愛って、本当に難しいなあ(でもそこが美味しい!)。
疏水に近い亡友の生家の守りを託されている、駆け出しもの書きの綿貫征四郎。行方知れずになって半年あまりが経つ愛犬ゴローの目撃情報に加え、イワナの夫婦者が営むという宿屋に泊まってみたい誘惑に勝てず、家も原稿もほっぽり出して分け入った秋色いや増す鈴鹿の山襞深くで、綿貫がしみじみと瞠目させられたもの。それは、自然の猛威に抗いはせぬが心の背筋はすっくと伸ばし、冬なら冬を、夏なら夏を生きぬこうとする真摯な姿だった。人びとも、人間にあらざる者たちも……。(帯より)
私『家守綺譚』は文庫で読んだので、この本の感想を書くにあたって調べたところ、『冬虫夏草』と『家守綺譚』の装丁が揃えてあることを知りました。単行本の装丁がきっちり揃っているのっていいよね!
『家守綺譚』シリーズ、と読んでいいのかな。今回は家を守るのではなく、不思議なものが少し混じっている田舎に分け入っていく話。家守の時も、ほんのり異界の空気、少し前、けれど遠い時代の出来事を描いていることに、しんと積もるものがあったのですが、冬虫は、それよりも不思議なものどもに近い作品だと感じました。でも家守を読んだのがだいぶと前なので読んだ感覚が違っているだけなのかもしれないけれど。
異界のものが何食わぬ顔で混じっているのに、多くの人がしれっとそれを受け入れている。その中で、綿貫が「おっ」と思う驚きが優しく、発見に満ちた「おっ」なので、読んでいて心地いい。あるものを否定しないという感覚が、優しくていい。
“艶女"——それは、想い人と性交し本当の女の悦びを知ることで、背中や腰に花や蝶や鳥などの絵が浮かんだまま、入れ墨のように定着する特異体質。これは妖艶な旅回りのサーカス一座「フィリア・ドゥ・フェティソ」を舞台に繰り広げられる、彼女たちの恋と愛に満ちた六篇の物語。スターと恋に落ち艶女になる飴籤の売り子。演出家との恋で自身も強く成長していく新米の艶女——“恋"に泣き“愛"に濡れ、女たちは艶めく花になる。(裏表紙より)
お、おもしろかった……。ちょっと女性向け官能レーベル侮ってましたすみませんでした。また新レーベル旗揚げかーと眺めていたんですが、ちょっと変わってそうなのが目に入って手に取ってみたらすごーく面白かった。
物語は、特殊な入れ墨のようなものが浮かぶ特異体質の女性たちが入団資格を得るという、昼間真っ当な公演、夜は十八歳未満入場禁止の公演を行っているサーカスを舞台にしている六編の短編集。
艶女と呼ばれる女性たちは大きく二種類。鳥の艶絵が浮かぶ性に奔放な人と、花が浮かぶ男を待つ人と。巡り会いを待つヒロインもいれば、奔放に遊びながら手探りで愛を探している人もいたりなどして、その違いが面白かったです! でもみんな、することしながら黒々としていたり、過去に囚われていたりする仄暗さがいい。
サーカスという舞台がまた面白かったので、もっと演者としてぎりぎりする感じも欲しかったかなと我がままを言ってみたい。姫王子やら見初められた女の子やらも可愛くていいんですが、私はこういうのが読みたいんだ官能小説で!! と思いました。TL系読まない人に、ちょっと読んでもらって感想を聞いてみたい作品でした。
長崎県、五島列島の中学にある合唱部は、顧問の松山先生が産休に入るにあたって、臨時講師を迎えることになった。東京からやってきた柏木先生は、黒い髪の美人。新学期、合唱部は新しい部員を迎えることになったけれど、先生目当ての男子部員たちが入部して……。仲違いをしたり、声を合わせたりしながら、合唱部は、NHK全国学校音楽コンクールの地区大会を目指していく。
中学生と合唱。もちろん、中田さんが得意(であろう)「ぼっち」な男子も登場します。特に目立たないナズナ、そしてサトルの二人の視点から、Nコンを目指す約一年が描かれる。中学生という生き物はどこであっても変わりなくて、女子の「ちょっと男子ィ」な感じとか、男子の馬鹿っぽさとか、そういうものがリアルだわーと思って読みました。それぞれにドラマがあって、何もかもが解決するわけじゃないけれど、ひとつひとつ大人になっていく感触が心地いいです。この作品でのNコンの課題曲は「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」。中学生の話を書くには完璧なテーマだなあと思う。
ただの中学生ものかと思いきや、終盤にははっとする秘密が明らかになったり、やっぱり人の力を感じる青春ものだったりと、面白かったです。ちょっと泣きました。生きていることは辛くて、時々、すごく奇跡だ。
「護衛を探しているんだ。雇われないか」
騎士団を馘首になったばかりの不良騎士グレールを、酒場でスカウトしたのは時空漂着者のサクラ。異界から来たという彼は、その“再活性”能力ゆえ各王宮に知れ渡った存在だった。
快楽の契約を交わし人間の血を啜るヴィアローたち。その美しき種族の王ツバキを追って、サクラはここへ来たというが——。
「……なぁサクラ。再活性者って、なんだ?」(裏表紙より)
異界を行き来する存在があり、ヴィアローと呼ばれる吸血種族が、ミアリーと呼ぶ人間と契約を交わし血をすする、そんな生き物たちがいる物語。あとがきを読んで納得しましたが、原稿依頼が「十五巻くらい出ている話の、間の一巻完結」の話ということで、設定も話も投げっぱなしの、アクションありファンタジー、でした。へ、変な原稿依頼!
ちょっとお耽美なところもあり、でも女性の登場人物がほぼ皆無だったり、刀だったり銃だったり、オーバーザレインボーだったり、ごた混ぜの感じがなんとなく映画っぽくて、不思議な活劇でした。