読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「私のものになれ、彰」
死んだ者の魂を呼び戻し、式神として使役する《式使い》。孤独な式使いの少女・彰は、幼なじみの天帝・基に突然求婚される。師の仇である基の執着から逃れるために彰が降ろしたのは、強大な力を持つが記憶のない、美青年の式神・司。優しく真摯な司に、次第に惹かれていく彰だったが…。彰を想い彼女のためだけに戦う式神と、激しく彰を求める帝。二人の愛に翻弄される彰の運命は!?(裏表紙より)
ごちそうさまでした! 一人の少女に二人の男性が迫るというのは大変美味しいシチュエーションでございました。
彰がいい子で、やっぱりこういう女の子はいいなあと思う、芯の強い、瞳の強さが見えるような娘さんでした。そしてやっぱりツンデレ女子(仲良し)の存在は外せない! と思うのでした。女の子の仲良しいいな(にやにや)
最初に読んだ印象に『狂気と憎悪というには愛情の部分が強い』と書いたのですが、こうしてもう一度めくってみても同じように思いました。なんかあらゆる方向に矢印が散ってしまっていて、だからこういうことが起こってしまって……という感じ。だから非常に色んなことが切なかった。
ラストはびっくりしてしまったのですが、色々考えてみると梅の木があるよなあと思ったので、幻視という可能性も否定できないわけですよね。彼女は多分非常に意思の力が強かったと思うし。いや、そりゃ逢えたのならそれは幸せでいいんですが! でも行間を食い入るように読むのが本読みの宿命なのですよ!
そして表紙の赤が非常に綺麗だ。赤い本ってあんまり見ない気がする。
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李隆基の大唐帝国、二度目の全盛期の時代。官僚の父を持つ裕福な青年王弁は、人から見れば自堕落と言えるほど毎日気ままに暮らしていた。ある日里山に住まうという仙人の元へ無理矢理訪れさせられることとなった王弁は、そこで十代半ばの美しい少女に出会う。彼女こそ、強い力を持つ仙人僕僕だった。
一人の青年が様々なものを見ながら緩やかに成長していく。なんだかとてもアニメ映画で見たいなあと思った。
現実の側面である帝国の政策と、夢のようで非現実な僕僕先生と王弁の旅。これは人から神仙から離れていくことも描いているのかなあ。なんだか女の子に振り回されている青年の葛藤みたいな微笑ましいところが随所にあって、終わりはあっさりしそうだなと思ったのに、現実に引き裂かれる辺りはときめいてしまった。
続きがあるそうなので、どんな話になっているんだろうなあと思う。
宇佐子は、転校生のミキちゃんを仲間はずれにするクラスの雰囲気に傷ついて、学校へ行けなくなった。微熱が続く夜明け、宇佐子は公園から響いてくるトランペットの音色に心惹かれる。ミキちゃんに誘われて町のウィンド・オーケストラでトランペットを習うことになった宇佐子は、きらめく音、ブラスの楽しさ、演奏する喜びを知る。音楽に解き放たれ、伸びやかな心が育っていく……(裏表紙より)
大人向けの児童文学みたいな文章で進む、音楽の物語。結構分厚い。前作「楽隊のうさぎ」の内容を覚えていなかったので、花の木中吹奏楽部の面々が誰なのか分からなかったけど、とても面白かった。
音楽の表現がいい。金色のくじらが泳いでいる感じとか、凍えた時間が溶け出したとか、音楽いいなあブラスいいなあというのを思い出した。
話の中で重大な位置を占める、誰かが周囲に寄って孤立させられる、というところが、結構リアル。何の悪意もなかったけれど、あの子変っていうので段々そういう空気になっていく。本当に嫌いとか苦手とかある場合、うまく隠して付き合うのが大人なんだろうな。
最後の締めくくりが「ベストフレンド」っていうのが暗示的。音楽と友達。宇佐子とミキちゃんが友達。
「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。ウェスト夫人の強靭な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける——物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。(裏表紙より)
梨木さんの「村田エフェンディ滞土録」を思い出させるエッセイだった。こういう基盤があったから、梨木さんはあの物語を書くことができたのだな。
受容することと意見すること。素敵な人物にはそれが備わっているんだ、と確認した気がする。
「夜行列車」でさっと過る人種差別を前に、はっきりと意思を述べた梨木さんの「——私は本当に悲しかった」と伝えるシーンが胸に迫った。こう言えて、また言われた人はそれを自分の中で受け入れて、別れる際に「いいご旅行を、ma'am!」と言う。それに答える梨木さんの「ありがとう、あなたもいい週末を!」と別れるところがとてもいい。すごくいい。
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。(裏表紙より)
中学生のときに初めて読んで泣いた、私の最初の梨木作品。
日々がきらきら光に輝いていて、影はずっと影として深く描かれているように思う。まいのゲンジさんに対する嫌悪感は、子どもらしい潔癖さに溢れているように思う。これが「生きにくい」と言われてしまうと、どんどんどこへも行けなくなってしまうのだけれど、まいの幸福はおばあちゃんがいたことだと思う。
ラストは光に溢れていた。「光」は「愛」だと思う。「村田エフェンディ滞土録」では雲間から一瞬差す淡い光という感じだったけれど、この作品では身体全身に浴びているように思う。
まいが魔女になるということは、おばあちゃんの思いや強さや優しさを継いでいくことなのかな、と思ったりした。
1899年、トルコのスタンブールに留学中の村田は、英国人のディクソン夫人の元、ムスリムのムハンマド、ドイツ人のオットー、ギリシア人のディミィトリスと下宿している。彼らと日々議論を交わし、発掘に参加し、日本人と交流し、様々な神々と触れ合う日々。しかし帰還命令の帰国から数年、あの友たちは、第一次世界大戦の運命に巻き込まれ。
光が染みた。どうしてこんなにきらめくんだろうと思った。梨木さんの光は本当にラストにさあっとよみがえって射す。
村田たちの日々が、きっとどこにでもある普通の日々だった、けれどかけがえのない日々だった。
鸚鵡だから人馴れはしているだろうというのは見当違いである。最初は暴れて、知る限りの(多分)言葉で啼き立てた。
という一文から、(多分)の言葉に笑ってしまって、この瞬間から引き込まれていたのだと思う。
神様同士の喧嘩が面白かった。ちょっととぼけた感じになって、必死になったり被害を被ったりする村田たちがおかしい。
ねえ、私達はあの小憎らしい鸚鵡を、結局、随分愛したわねえ……。鸚鵡と、鸚鵡の周りの私達の笑い声を。
――友よ。
と甲高く叫んだ。
ぶわっと涙が溢れてきた。なんて光なんだ。
淡々としているのに鮮やかに描きながら、降り注ぐ淡い光を梨木作品は忘れていないように思う。越えていける強さというのか、きっとこれを思えば大丈夫というような、一瞬の輝きを感じる。
読んでよかった。
高校三年生の少年阿良ヶ木暦は怪異に遭遇した。学年でもトップクラスの成績を持つ美少女戦場ヶ原ひたぎには体重がなかったのだ。それまでに二度の怪異に行き会っていた暦はその「お人好し」さを発揮して解決に手を貸す事に。上巻は「ひたぎクラブ」「まよいマイマイ」「するがモンキー」の三編。下巻は「なでこスネイク」「つばさキャット」の二編。
面白い、でも会話がいちいち長くなって少々疲れた。馬鹿みたいに笑えるつっこみとぼけを繰り返すわけで、あとがきを読むにそれが書きたかったらしい。これは若い人が好きだとかちょっと年寄りじみたことを思ったり。女の子キャラばっかりで性格もキャラクターという感じで正直狙ってるなあとびしびし感じた。
短文にして呼吸を置くのが特徴っぽい。
一番好きなのはやっぱり戦場ヶ原なんだけど、神原も羽川さんも好きだなあ。ロリキャラは頂けないので若者たちに好みが偏ってしまう。羽川さんはすごく可愛いんだけどなあ。この子はでもやっぱり主人公と対になるヒロインではないんだなあ。戦場ヶ原はヒロインだと思った、そのデレ具合。
始まりは恐らく、不老不死になる方法が、召喚された悪魔から錬金術師にもたらされたこと。
泥棒カップル、イタリアのマフィア・カモッラの人々、警官、不良ども、ホムンクルス、錬金術師、大勢の人々の出来事が積み重なり、「不死の酒」に繋がる1930年代禁酒法時代のアメリカ、ニューヨークでの馬鹿騒ぎ!
妹のお友達からもたらされて妹がジャンル者になったので妹から借りました。
馬鹿騒ぎの名にふさわしく登場人物があちこちに現れて、偶然に出会って重なっていく様がとても面白くて楽しい!
フィーロが好きだなあ。エニスと結婚するのにそんなかかるなんて。初々しい! みんなキャラクターらしくて楽しいな! 愛すべき人たちっていうのはやっぱり良い。
最初に読んだ時はラストのどんでん返しにびっくりしてすごいと思った。今回は再読なので、どれがどう重なるかを確認。金鉱掘るってすでにアイザックとミリアが言っていた。
アニメも見たけれど、アニメはやっぱり完成度が高いと思う。声優と映像の力ってすごい。
そういえば一巻から誤字があって笑った。セラード・クェーツがセラード・クァーツになってたのを発見。更にエニスとミリアもごっちゃになっているところがある。さすが「バッカーノ!」(笑)
アンケートからのオススメでした。ありがとうございました!
「グアルディア」
知性機械サンティアゴに接続する生体端末の末裔アンヘルとその守護者、不老長生のメトセラの少年ホアキン。そして参詣団でグアルディア(守護者)と呼ばれる青年JDと謎の美少女カルラ。西暦2643年のラテンアメリカで、サンティアゴの降臨を目指すアンヘルら。彼らと出会った時、JDとカルラは自らの存在の秘密を知る……。
重厚なSF。結構好きです、こういう小説。ただ言い回しや地理が時々難解で、えっと思って何度も読み返してしまう辺り、私の理解力の無さが浮き彫りに(苦笑)
遙かな未来における人々の物語。普通の人間じゃない者たちが登場する。民族差別や紛争は起こっていて、読んでいて苦しい。それぞれの思惑が絡み合い、特にJDとカルラの繋がり、そして歴代のアンジェリカと彼女を取り巻く男たちの繋がりが美しいと思った。