読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
キス事件(?)をきっかけに、アランへの恋心を自覚したエデル。ところが、彼に美貌の貴族令嬢との婚約話があがっていると聞いて、気が気ではない! そんな彼女をよそに、アランは研修という名の王都旅(しかもふたりきり!)を決めてしまった。恋の決断は旅の後で……そう思ったエデルの前に、《魔術師の靴》の気をまとう自分とよく似た青年が現れて!? 靴と恋の物語、波乱含みの第3弾!(裏表紙より)
キス事件の後、お互いに意識しあってぎくしゃくしている二人。それでも少しずつ距離を縮めて……。てっきりもう少しもだもだするかと思いきや、アランがはっきり言えたのでよくやったでかした!!!!! という気持ちです笑 エデルに気付いてもらえてよかったね。
今回は人魚姫。アランの婚約者騒ぎと絡めて、愛されたい、愛されるということはどういうことなのかというお話。セスに変わる新たな魔術師も現れて、エデルはますますアランに対して引け目を感じそうだなあという予感を覚えつつ。二人の進展が楽しみです。
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人を不幸にする《魔術師の靴》。その靴を蒐集するシンデレラの末裔・アランの靴店で働き始めたエデルは、厳しくも真摯(でも時々、挙動不審?)な彼の元で、充実した毎日を送っていた。そんなある日、竜巻事故で亡くなった少女の“銀の靴”が消える事件が! 魔術師の靴と踏んだアランが事件を追う一方、エデルは靴の行方を知る人物からある勝負を持ちかけられ……!? 靴と恋の物語、第2弾!(裏表紙より)
今回は「オズの魔法使い」。踵を三回鳴らすと竜巻が起き、異空間に飛ばされるという靴です。
エデルはだいぶと職人として前進してきたなあということもありつつ、アランがだいぶとおかしい人でお腹痛い。仕事と靴のことばっかりだったんだろうなあ、めちゃくちゃ妹に遊ばれている。エデルもエデルで天然なので、この先この二人がすごく妙なカップルになるんだろうと想像すると笑ってしまう。ジジさんちゃんと教えてあげて!笑
セスともひとまずは決着がついた、のかな。大揉めに揉めるかと思って心配していたので、こうなってよかったけれど、魔術師のコミュニティの人間がやってきそうだなあというのが心配です。
乙女ゲームにハマったOLまりあ。やりこみプレイで主人公はLv.99、いざ最終決戦——というところで光に包まれ、気づくとラスボス《闇月の乙女》として玉座の間に佇んでいた!? そのまま討伐されかけたところを間一髪で助けられるが、彼ら《闇の眷属》はすでに滅亡寸前。起死回生のためには、封印された魔王を解き放つ必要があると言われ……。
魔王ってゲームの中で私が封印したあれですか!? そして立ちはだかる敵は、もしかして私のLv.99キャラ——!?(裏表紙より)
乙女ゲーム転移ものですが、そこから想像させる話の三十度くらい方向が異なるシビアな展開です。チートはなしで、逆に敵側(光の陣営)がチートだけれど、この絶体絶命の状況どうするの!? というお話。
トリップものの要素が強くて、わあ永野さんらしいお話だあ! と楽しく思いました。召喚先で絶体絶命、ギリギリのところでかわしてなんとか切り抜け、頭を使いながら周囲の反発と無理解に傷つけられつつ自分のやりたいことをどうにかして貫こうとする。こういうヒロイン、大好きです。
世界が乙女ゲームなので男性キャラも魅力的で、合間に挟まる《陽光の乙女》の視点(つまり、まりあがプレイしていた主人公キャラと攻略キャラの交流)がすごくいい。そういうところを知っちゃうと、安易に光側が敵だと思えなくなるじゃないですかー! くそー!
あと数少ない女性キャラとして、王姉ラヴェンデルがとても可愛いので、もっと仲良くしてほしいです。擬似姉妹できゃっきゃしてほしい……。
なんとなくアレスルートに入っちゃってる終わりでしたが、続き出ますよね!? 傷ついた人たち大丈夫だよね!? あとアウグストと再び相見えたとき彼がどのように揺れるのか、レヴィアタンがどう動くのか、楽しみです。
覆面小説家のセシリアは、没落貴族の両親から逃れるために後見人の騎士ヒースと名目上の結婚をしていた。だがヒースが亡くなり、遺言でヒースの部下クラウスと再婚させられる羽目に。その上次の小説大賞を獲らなければ契約を切られる危機に陥る。が、最初は喧嘩腰だったクラウスがセシリアの小説のファンだとわかり、ふたりの気持ちは次第に近づいて…。にせもの夫婦の間に芽生えた、本物の恋。文学少女と堅物騎士のラブロマンス!
にせもの夫婦の間に芽生えた、本物の恋。(裏表紙より)
柔らかくて優しい素敵なロマンスだった! こういうのが出るからコバルト文庫が好きです。
女流作家が一段下に見られ、女の書くものは売れないとされるバルデア国。女性名で発表した作品が売れず、男性名で再デビューを果たしたものの、小説大賞を目前に売り上げは芳しくない。果たしてセシリアは新しい作品を生み出すことができるのか。そして偽装結婚と仮面夫婦生活の行方は?
作品を作ること。作品に対する思い。読書にかけるそれぞれの思い。小説家がメインで登場する作品って、作者の方が「創作」の力を信じているものが多くて、やっぱりぐっとくるなあ。ここではセシリアとクラウス、それぞれの読書の考え方が違って書かれていて、それでいいんだよと教えてくれるようでもあって、とても優しい。
またヒースの遺言状がよくて。まるで天使からのアドバイスですね。ここぞというときに囁いてきて、考えなければならないときには黙っていて。見守るようなヒースの遺言状の数々、とてもよかったです。
素敵な作品でした。
婚約破棄され前世の記憶が甦り、乙女ゲーム世界へ転生したと自覚した令嬢アイリーン。でも前世の記憶は不完全で、破滅フラグが立ったのに、回避方法がわからない。確実なのは、全ての破滅フラグの起点が、ラスボスの魔王クロードだということ。「ではクロード様をわたくしのものにすれば死なないわよね?」かくして魔王の愛を得るために、求婚したり、魔物を助けたり、起業したり……悪役令嬢が狙う、一発逆転ハッピーエンド!?(裏表紙より)
高位貴族に生まれ、皇太子と婚約していたにも関わらず、ヒロインであるリリアの登場によって、転落を迎えるアイリーン。転生だと自覚はありながらも現世の記憶はほとんどなく、大事な記憶は妙なときに思い出される始末だけれど、アイリーンは自分らしく仲間とともに魔王攻略に励む。
ヒロインのリリアと皇太子のセドリックが、そりゃもう見事なクズで、清々しいほどアイリーンが正しいざまあな展開。必要な立場を取り戻したクロードとアイリーンの今後がめちゃめちゃ大変だろうなあと思わせる、馬鹿っぷりに盲目ぶりなので、あんま邪魔すんなよ……と哀れなものを見る気持ちでいます。
クロードがこれからアイリーンを溺愛してくれそうなのが楽しみだ。結構独占欲強いよね、魔王様。
辺境の小さな村にひとりで暮らす樹木医のレナーテ。村人たちは彼女を慕ってくれるが、自分の容姿が魔女の特徴とされる桜色の髪と黄金色の瞳であることを悲しく思っていた。そんなある日、レナーテを捨てた貴族の父に王都へ呼び出され、政略結婚に利用されそうになる——が、突然現れた第二王子に救われる。その場で求婚されるのだが、彼はなぜレナーテを知っているのか。2人の接点とは…!?(裏表紙より)
魔女の特徴を持つゆえに貴族の父に捨てられたレナーテが、同じく双子の弟であるがゆえに疎まれた第二王子メルヒオールと夫婦になる。ファンタジックな世界観なんですが、結構進歩的な部分もあるらしく(むしろ宗教が科学的発展を邪魔している)、ヒロインは樹木医で科学雑誌を愛読、ヒーローと交流を深めたのはそれがきっかけ、という理系な二人です。
またこのメルが、理系だからなのか本来の性格からなのかわからないんですが、もってまわった言い回しができない、ストレートな気持ちをはっきり口にする人なので、まー恥ずかしい恥ずかしい。病んでいるという自覚はあるらしく、レナーテにもそう言うんですが、それを受け止めるレナーテも病気なんだと納得していて、なんだこの二人ずれてるけど可愛いぞってなる。
精霊たちが物語をかき回して楽しかったです。精霊同士仲がいいのかな。動物たちが盗み聞きしているところを想像したら可愛くて笑ってしまった。
自らの願いをもとに、強大な力を持つ魔導書と契約する11カ国の王。しかし、リースルイン国の王女シルヴィアは、すべての魔導書を無効化できる【大いなる鍵と虚の書】を所有するも、絶対に契約などしないと決めていた。だが……。「——君のような王を、千年待った」突如現れたのは、美しい人型の眷属。君の願いが欲しいと嘯く彼に、頑ななシルヴィアの心は乱され!?(裏表紙より)
願いを叶えることを誓えばそのための力を貸してくれる魔導書(グリモワール)と契約する11人の王。すべての魔導書を無効化できるほどの力を持つ「大いなる鍵と虚の書」と仮契約することになってしまったシルヴィアだが、過去の出来事を理由に、魔導書に頼らないことを心に決めていた。それがますます書に宿るアルス・ノヴァの関心を呼び。
魔導書とはなんぞや。それと契約する者の覚悟とは。自分の願いは自分だけのもの、どんなにすり減っても何度だって望む強さを試される、というような物語だったなあ。
魔導書を手にしたからには王たちにはそれぞれ強い願いがある。人間としてすごくレベルが高い……というか、志が高くてまさに王族といった感じです。この世界ではきっと魔導書と契約するだけの思いを持たなければならないという縛りが、各国の王族にはあるんだろうなあ。
書生として働きながら京都の名門・三高に通いながら庄野隼人は、主の中村重吉翁のお供で、京都でも指折りの名家・大谷家の「桜を見る会」に参加する。それは大谷家のふたりの令嬢のうちのひとり、桜子の婚約披露の場でもあった。だが、めでたく華やぐはずの会は悲劇の始まりだった——。
招待客としてその場に居合わせた伯爵家御曹司で人気作家・小須賀光とともに庄野は悲劇の真相を探るのだが!?(裏表紙より)
華族で小説家の小須賀の付き人めいた立ち位置になってしまった、三高生の庄野。大谷家のご令嬢の婚約披露が行われる桜を見る会で、事件が発生。婚約するはずの相手側、庄野の学校の教師でもあった辰井が死んだのだ。動機は? 犯人は? 一方、時代は思想がぶつかり合う世で……。
「いつから思想が踏み絵みたいになってしまったんだろう」という台詞が沁みました。本来なら違いはあっても一緒に生きることができるはずなのに、と登場人物が言うんですよね。作中の時代が時代だからというのもあるけれど、今の時代もそうだよなあ……なんてことをぼんやり思う。
事件そのものの謎はあっさり目ですが、そこに絡んだ人々の思いが強いのがこのシリーズの魅力だなあと感じました。
初めて男の人から受けた愛の告白、ぎこちないキス、少し触れられただけで広がる快感。セックスってこんなに幸せなものなのね。ずっと好きだった美少年エルンストにふられたエッティラ。失恋に泣いていた夜、ベッドに寄り添って慰めてくれたのは住み込みで世話をしている伯爵デービッド。彼は子供の時からずっと私が好きだったなんて? 笑えて少し切ないセンシティブ・ラブコメ。(裏表紙より)
『8月10日を楽しみに』の関連作。
前作を思うと薄味ですが(「8月10日」の重みとかね!)、随所随所がとても野梨原さんだなあと思って嬉しくなる。
エロさんとヴァルが相変わらず仲良しなのでよかったなあと思ったり。
エロスも薄めで、少女が失恋も含めて人を好きになって抱き合うことの可愛らしさが感じられる作品でした。
生まれたばかりの赤ん坊・雪を抱え途方に暮れていたシングルマザー山野珊瑚、21歳。「赤ちゃん、お預かりします」の貼り紙の主で年配の女性くららと出会ったのをきっかけに、果敢に人生を切り拓いてゆく。どんな絶望的な状況からでも、人には潜在的に立ち上がる力がある——様々な助けに支えられ、心にも体にもやさしい総菜カフェをオープンさせた珊瑚の奮闘を通して、生きること食べることの根源的な意味を問いかける。(裏表紙より)
シングルマザーが頼れる女性を見つけて赤ん坊を預け、やがて知り合った人たちとカフェを経営するようになる。お話を簡潔に説明するとイマドキなストーリーなんですが、丁寧に描かれている調理、料理、風景、人の言動、それを受け止める珊瑚がすごく優しくて暖かくて、梨木香歩作品だなあというのをしみじみ感じました。
だからこそ美智恵の手紙には、読んでいてさあっと血の気が引くような思いがして。なんて……なんて人なんだろう。何がそんなに許せないんだろうとぐるぐるしてしまう。だから「施されるもの」「施すもの」の話などは印象的で、そういうもやもやしたものを抱えながら毎日を生きる、からこその、食のお話なんだなあと思いました。