読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

正統派ヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”。
それが大ッ嫌いな私が、念願かなって悪役令嬢に転生!!
誰にも文句を言わせない悪女になるためには、体を鍛えて猛勉強し、魔法の腕も磨かないとね!
――と頑張っただけなのに、悪役になろうとすればするほど周囲の好感度が上がるようで!?
いいわ、悪女としてその期待、全力で裏切ってみせます!(Amazonより)
アニメ視聴済み。乙女ゲームのいい子ちゃんなヒロインに感情移入できず、悪役令嬢が好きな主人公は、転生したその悪役令嬢だった。歴史に残る悪女になってやるぞと努力を重ねていたら、当然ヒロインとその取り巻きとは対立、なのに王子様の高感度は爆上がりで、という乙女ゲー転生悪役令嬢もの。
アリシアの言う「悪女」の定義がなんなのかやっぱり最後までわからなかった。国を乗っ取るでも周りを自分の望み通りにするというわけでもなく、お花畑ないい子ちゃんと対立したい、矯正したいのなら、それは悪女ではなくて悪役を装った善行者なんだよな。現実を見て要不要を判断して適切な行動を取っているだけで。
あとこういうファンタジー作品、特に幼少期のシーンがあるもの特有だと思うんですが、十歳前後の子どもに年上のヒーローが恋愛感情を抱いたりアプローチするのがちょっと……。そこでそうとは思わせないのが大事だと思うんだけどなあ。
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今までの后同様、孤独な軟禁生活を覚悟して後宮に入った淡雪。だが新王の鳴矢は、淡雪をお飾りの后としては見ていなかった。そして婚儀から半月、ある事件によって、鳴矢の赤い髪の色が変化する。強い力を持つ次代の王が成人するまでの中継ぎと軽んじられていた鳴矢だが、この変化によって、次代の王に匹敵する力があることがわかり、貴族たちの間に波紋が広がる。
一方、鳴矢に惹かれ始めていた淡雪は、諦めたはずの幸せの予感に心を躍らせる。しかし淡雪には天眼天耳の力という秘密があった。誰より、鳴矢にはこの力を知られたくないと願う淡雪だったが…。(裏表紙より)
中継ぎの王でしかなかった鳴矢が次の王に等しい力の持ち主である可能性が浮上し、揺らぎ始めた宮廷。そんな中でも淡雪と鳴矢は交流を重ねていた。図らずも互いの秘密を明かし合った頃、暗躍する者たちの影も見え始める。
あっさりばれたな!? と思いましたが、それだけ淡雪の心が溶けたってことなんだろうなあと思うと微笑ましいやら切ないやら。そしてその後のキスのあれこれが可愛すぎて悶絶。子どものことは気がかりだろうけれどもっといちゃいちゃして!
天羽一族に何があったのか、都に残る先代の后は何を狙っているのか、退位した王は何を画策しているのか。細かな謎の糸が次々に投げかけられてきた感じがして続きが楽しみです。

「このホテルを守るため、僕と結婚してくれませんか」
結婚願望0%、仕事一筋の花籠あやね27歳。上司とのいざこざから、まさかの無職となったあやねを待っていたのは、なんと眉目秀麗な超一流ホテルの御曹司・太白からの“契約結婚”申し込みだった!
しかも彼の正体は、仙台の地を治める大妖怪!? 次々に訪れる妖怪客たちを、あやねは太白と力を合わせて無事おもてなしできるのか――!?
杜の都・仙台で巻き起こる、契約夫婦のホテル奮闘記!(Amazonより)
部下の成果は自分のもの、仕事のミスは他人のもの、という上司にとうとう嫌気が差し、退職を決めて有給消化中だったあやねは、旅先で超一流ホテルの危機に遭遇。仕事柄手伝いを申し出たら、そのホテルの御曹司に仕事ぶりを認められ、契約結婚することに。けれどこのホテルも従業員も実は人ならざるものたちだった。
というとあやかしの世界でみんなに愛される主人公を想像しがちかもしれませんが、だいぶお仕事ものの要素が強い印象。あやねは超一流ホテルの従業員としてもあやかしの世界のことも失敗したり成功したり、あやかし側も現代社会にしっかり根付いていて会社としての駆け引きも発生したり、トラブルに発展したり。その解決方法もあやねがしっかり現代の人間らしく仕事をして解決しようとしたりして、地に足がついていて面白かった。
だから二人がお互いに電話をするシーンがめちゃくちゃ可愛かった! 仕事のパートナーとしても信頼があるし、一緒に生活していてもすり合わせがうまくいく相手って得難いよなあ。二人が自覚するときってどう行動するのかめちゃくちゃ気になる。

「地竜の加護商会へようこそ!」先祖代々雑貨屋を営む家の娘、ジネット。しっかり者の看板娘として近所でも評判だが、嫁ぎ先が目下の悩みの種であった。 そんなある日、兄がどこかもわからないシャルパンティエ領で出店ができる営業許可証を貰ってくる。ジネットは、自分のお店を持ちたいという夢を胸に旅立ちを決意する。その道中、彼女は騎士ユリウスと運命の出会いを果たす。その彼こそが、辺境の地シャルパンティエの領主だった。ランプにポーション、堅焼きパン! 笑顔であなたを待ってます! 異世界の雑貨屋さん、ただいま開店準備中!! 第1回アリアンローズ新人賞「最優秀賞」受賞作品、登場!(Amazonより)
両親を失った大家族の兄妹の上の方の娘、ジネット。結婚する兄やまだ幼い弟妹たちのためにとうとう家を出ることを決意。巡り巡って手元にやってきた、どこともわからないシャルパンティエ領の営業許可証を手に、かの地を目指す。けれど店を始める前に領主代理になってしまうなど、道のりは長いけれど多くの出会いがあって……。
領地経営を開拓から始めます、というシミュレーションゲームの冒頭をじっくり書いたような一巻。道を通したり、ダンジョンがあるという新しい街に必要な店や品物を考えたりなど、タイトルから想像される「お店屋さん」みたいな可愛らしい話じゃなかったのですが「店をやる」ことは「街がある」「人が集まる」ことが前提であると教えるような話で、とても興味深かったです。

僕が使者だと打ち明けようか——。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めての迷いが訪れて……。心揺さぶるベストセラー、待望の続編!(裏表紙より)
死者との面会を叶える使者「ツナグ」。若くして祖母の役目を引き継いだ歩美はもう社会人。生者と死者を引き合わせる歩美だが、彼もまた迷っていた。
第1巻にあたる「ツナグ」は死者との再会を望む生者のミステリーも含んでいましたが、この続巻は人と人の繋がりの方を重視して描いている印象。「ご縁」で繋がる依頼は確かに生きている人たちに必要なものだったと実感するエピソードが多かった。
「歴史学者の心得」「母の心得」が特に好き。
「歴史学者の心得」は生きているうちはたった一度のはずの死者との面会に、直接関わりのない遥か過去の人物を指名した人物の話。未来の人物に「あなたに会って、過去のことを聞きたい」と言われたら、死んでなお自分の人生に意味があったと実感できるんだろうなと思うと、ぐっときてしまった。
「母の心得」は母と娘二組の話。それぞれ違う後悔を抱えている世代の違う母親が、ほんのひととき邂逅する瞬間がとてもよかった。

神話に由来する八つの家が支配する国、千和。七十年前、突如都を離れた天羽家の強い力を必要とする七家は、新王即位のたび天羽の巫女から后を迎えるようになる。だが后とは名ばかり。天羽の巫女は人質とも言える立場で、後宮に軟禁されていた。このたび新王となった一嶺鳴矢の后となった天羽淡雪には、遠くの物事を見る力がある。自由のない暮らしの中、術で鳴矢を見た淡雪は、彼の意外な様子を見て驚く。鳴矢に興味を抱き始める淡雪だったが…。
触れることはおろか話すことも許されない王と后。禁じられた恋と八家の謎を描く和風王宮ファンタジー!(裏表紙より)
古代和風を思わせる世界を舞台にした、人と神と力をめぐるファンタジー、その序章というような第1巻。
王の鳴矢が真っ直ぐで可愛くてね! こんなピュアピュアで大丈夫? と心配になるんですが、その真っ直ぐさに強さを感じてとてもいい。何もかも諦めたような淡雪を打算なく揺さぶってくれるのがたまらない。二人がじれもだなやり取りをしているのを読んでいると本当にちゃんと夫婦になってほしい気持ちが高まっていく。
まだまだ始まったばかりという話運びですが、めちゃくちゃ続きが気になる! 続きも読もう。

ウクライナ、イラク、アフガニスタン……
戦場カメラマン、渡部陽一は、
約30年にわたって世界の紛争地を取材し、
そこで暮らす人々の生きた声に耳を傾けてきました。
本書は、そんな渡部陽一だからこそ描ける、
いち個人の視点、生活する人々の視点から
戦争や平和について考えていく一冊。
SNSやニュースで戦争の情報を目にする機会が増えましたが、
戦争や平和は、日本で暮らしていると、遠いもののように思えることもあります。
実際に、紛争地ではどのような暮らしがあるのでしょうか。
戦争はなぜ繰り返されるのでしょうか。
私たちに、できることはあるのでしょうか。
戦争下にあるウクライナの街の様子、暮らしから
世界中の紛争地で見てきた光景、
そして、SNSが変えた現代の戦争の姿、
一方で、SNS時代だからこそ、ぼくたちができることまで、
「今だからこそ知っておきたい」戦争の「本当」の姿を描いていきます。(Amazonより)
2023年10月刊行の本。戦場カメラマンの渡部陽一さんがこれまで見てきた戦争の光景と、ウクライナのこと、渡部さんの信念も垣間見える一冊。
戦争の報道なのだから悲惨でショッキングなものを、ではなくて、戦争の中の日常を生きる人たちを撮ったり、失われていく命や景色を残してほしいと請われたり、というところに、これは現実なんだという冷え冷えとしたものを感じる。劇的なものじゃない。日常に、戦争はある。とても簡単に同時に存在できてしまう恐ろしさ。
渡部さんの、自分がメディアに出ることで「戦争って?」「イラクってどこ?」と会話が生まれる、知ることができるというスタンスがとてもいいと昔から思っていて。知っている、と、知らない、はすごく大きい。実感はできなくても「知っている」だけでも変わるものはあると思うから。
戦争って? と疑問を持った人のための入門のような一冊だと思いました。