読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
韓国でも有数の心霊スポットとして知られるコンジアム精神病院。恐怖動画を配信するチャンネル「ホラータイムズ」の主催者ハジュンは、募集した一般参加者を含めた七名に指示しながら病院内の探索動画をリアルタイム配信する。いくつかのやらせもあって視聴者数は順調に伸びるが、想定外の現象が起き始め……。
動画配信者たちが心霊スポットでやらせをしながらリアタイ肝試し。だからそういう冒涜的な行いをしちゃだめだって……。
心霊動画で視聴数を稼いで報酬やスポンサーを得ようとした若者たちの末路を描いた作品で、最初こそああやらせなんだなーとわかる感じなんですが、徐々にあ、やばいぞ……? という感覚が増していくのがすごい。実際の場所で心霊現象に見舞われるのもめちゃくちゃ怖いですが、離れたところから謎めいた現象に気付いてしまう怖さがやばい。録画しているので比較できてしまうのがさらにいまどきっぽくて怖い。間違い探し的に気付けちゃうの嫌だなあ……。
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売れないコンビ芸人である山野は、相方の中井からコンビ解消を求められ、起死回生を狙って放送作家となった中井の提案に乗って事故物件に住む企画を始める。次々に心霊現象に見舞われる様子が放送されたことで、仕事が舞い込ようになった山野だが、次第にその影響は周囲に及び始めた。
事故物件に住んでみましたという芸人さんのノンフィクションを下敷きにした映像作品。
こういうのを見ていると、どういう理由で心霊現象が起こるのか不思議だし、原因が理解できないまでも怒りや悲しみや憎しみが染み付いた場所や人を弄んではいけないんだと思う……。
ホラー作品、しかも邦画なんですが出演者が豪華すぎてすごい。山野と中井のコンビはイケメン芸人として売れるのではと思うレベル。心霊現象に見舞われる梓の演技がめちゃくちゃ怖かった……。
高校三年生の鳴神陽太はある日全能の神を名乗る少女、ひなと出会う。幼なじみの伊座並杏子への片思いを見破られたことから、恋を成就するため、ひなの手を借りる陽太。それはやがて陽太の家族や杏子、友人知人との楽しい毎日に繋がっていく。だがひなの全能には秘密があり……。
こういうファンタジー感あふれる設定を出しておいて、青春やって原因は発達した科学であるという展開、とてもKeyっぽい。でも主人公が飄々としているわけではなく、突っ込み体質の、不器用な普通の少年だというところが目新しい感じがします。あと家族との関係が非常に良好で、結構出てくるところ。お父さん……笑
そういう温かくて優しくて眩しい世界の片隅である彼らの日々が、そんな世界の端の出来事なんて想像もしない権力者たちによって壊されてしまうやるせなさ。けれど出来る限りの力でなんとかしようともがく陽太の主人公らしさが嬉しい。家族や友人たちと一緒に、自分の望む未来を手に入れてほしいと切に願う。
ニューヨークにやってきたトムとジェリー。永遠のライバルである二匹は、いつものように追いかけっこをしていたところ、仕事中だったケイラの邪魔をしてしまう。おかげでケイラはクビとなるが、偶然ホテルで臨時スタッフを募集していることを知ると面接予定だった女性を言いくるめ、自分がホテルスタッフとして採用される。だがここにはトムとジェリーの姿もあって……。
「トムとジェリー」の実写版。二匹はアニメ絵の合成というのが新しいですが、アリだと思います。すべてCGにするよりもわかりやすい!
物語は色々と上手くいかないでいるヒロインが、ちょっとしたずるをしてホテルの臨時スタッフとして採用され、セレブカップルの結婚式を担当をするという内容。もちろんカップルはすれ違っているし結婚式の準備で揉めるし、そこにトムとジェリーが罠だのそれを回避するだの、追いかけっこをして、最後には仲直りというどたばたを繰り広げる。
アニメに引っ掛けたメタ的な台詞にくすっとします。そうそう、トムとジェリーは喋らない笑
妖精が見え画家でもある伯爵令嬢のフィオナは、無類の筋肉好きでちょっと変わった審美眼の持ち主。そんな彼女のまさに「理想の姿」を体現した青年ディオンにフィオナは出逢うのだが、彼の正体は実はパラルビオン国王で・・・・・・!? 互いに惹かれあい、王国の強い運命に導かれた2人は紆余曲折の末婚約する。しかし、大きな試練が待ち受けていて・・・!? 波瀾万丈! ファンタジーラブロマン第2弾!(Amazonより)
電子オリジナル。ケルト、ブリテンなど妖精の国や逸話を思わせる国を舞台に、その国では少し変わった美的感覚の持ち主であるフィオナと、容姿から忌み嫌われていた国王ディオンの恋と、妖精たちとの事件を描くファンタジー。第二巻です。
お互いに思い合う二人のいちゃいちゃ度がとてもいい……。またフィオナが前向きで、こうやって少し俯いてしまうヒーローを真っ直ぐな言葉で顔を上げさせるところ、めちゃくちゃ好きですね!
ディオンもフィオナに対して、早く正式に結婚して夫婦になりたいと思って葛藤しているところがとてもいいです。そうだよねえ、悶々しちゃうよねえ(にやにや)。
大事な決着は次巻に続く! なので次を読まなければ……。
かつてカルト集団として批判された団体の敷地から子どもの白骨が発見された。
弁護士の法子は、遺体は自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎを覚える。
三十年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と隠された罪があふれだす——。(帯より)
独自の理念を抱いて集団生活を送る団体「ミライの学校」。それに関わった人々と、隠された事件。教育学部で学んでいていまお子さんのいる辻村さんだから書ける作品だったように思います。
『クローバーナイト』が保育園問題、すなわち子どもの教育の光と影を描いたもので、この『琥珀の夏』は同じ問題を取り扱いながら当事者、子どもの視点に立つ内容。学校や集団に放り込まれた子どもたち自身が何を見て、感じて、心を揺らしているか。人と人とが関わる上での嫌な雰囲気を描き出すと本当に辻村さんはお上手で、思い出して心臓がぎゅっとしました。
大人になった子どもたちがいま、自分が親になって何が思うか。その葛藤と、「正解なんてない」というのは、『クローバーナイト』のときも思いましたが、辻村さんが描きたいものなんだろうなと思います。子育ても教育も、何がよくて悪いかなんて本当に誰にもわからないからなあ……。
最後の最後に最初のエピソードが活きてくるのが上手い。上手すぎる。うっかり涙が込み上げてしまった。上手く思いを言い表せない子ども同士だったからこそ、このときの触れ合いは三十年後になってもずっと強く心にあって、彼女を支え続けていたんだろうな……。
正直さと誠実さ、大人たちがミカに行った仕打ちについて考えだすと止まらなくなる。心に響くものを読んだなあ。
まぶしい日射し、あふれる緑、静寂に満ちた、聖マルグリット学園——極東からの留学生・久城一弥と智恵の泉を持つ少女、ヴィクトリカは初めての夏休みを迎えた。大図書館で、庭園で、芝生で、謎を解き、世界を語る2人の距離は少しずつ近づいてゆく。やがて訪れる大きな嵐の予感すら、この輝きを曇らせはしないのだ——。
人気ミステリシリーズの名探偵コンビ、つかの間の安らかな日日を描いた外伝短編集。(裏表紙より)
4巻と5巻の間の話。久城とヴィクトリカの周囲の人々のエピソードと謎解きを描く短編集。
夏休み、二人で過ごすと決めた小さな謎解き「仔馬のパズル」。
地中海に行っているアブリルが遭遇した幽霊事件の話「花降る亡霊」。
隠された手紙と学園にいた過去の生徒の話「夏から遠ざかる列車」。
極東の島国にいる姉から届いた手紙に記された謎「怪人の夏」。
二人きりの夏休みに遭遇した事件「絵から出てきた娘」。
グレヴィールの初恋といまを描く「初恋」。
短いのにどれも魅力的で面白くて、さすがだなあとため息。
友情のお話もいいのですが、やはりロマンスの気配がする「怪人の夏」が好きだな。十年後本当に来てくれるんだろうなあ、なんて想像するとにやけてしまう。
そんな作品に対するかのように、叶わない恋を未だ抱えている警部とジャクリーヌのお話もよかったな。出てくる女性たちの多くは少女らしさを残しているけれど、彼女はずるい大人の女性なのが面白いなと思いました。
激しい頭の痛みでメアリスが目を覚ますと、男がじっと見つめていた。初めて見るモーテルの部屋に、見知らぬ男。思い出そうとしても、ここ数時間の記憶が抜け落ちている。なぜこんな場所に来たのだろう。そして、マッケンジーの兄たちに似て、どこか危険の匂いがするこの男はいったい誰……?(マッケンジーの娘)。MIRAが誇る人気作家、L.ハワード、H.グレアム、P.ジョーダンによるクリスマス・ラブストーリー3点を収録。ファン必読の短編集。(裏表紙より)
調教師の女性ととある特殊部隊の男性の恋を描く「マッケンジーの娘」。
夫を亡くした女性と妻を亡くした資産家の男性の恋を描く「聖夜のウェディング・ベル」。
陥れられたコックの女性と会計士の男性の恋を描く「プディングの中は…」。
三つのお話が収録された短編、短編か? な文量の一冊。
「マッケンジーの娘」は巻末を見るとやっぱり大家族のシリーズものなんですね。家族チートがすごすぎてめっちゃ気になったんですけど、能力的にも立場的にも力のある男性が妻(ヒロイン)たちに敵わないシーンはめちゃくちゃ好きなので楽しかった。
「聖夜のウェディング・ベル」の子どもが関わる内容もよかったな。最後に息子のダニーの気持ちもしんみりした。クリスマスは家族で、という外国の価値観の象徴みたいだった。
「プディングの中は…」は、クリスマスプディングに仕返しを込めるんだけれど、というぎりぎりな行動がはらはらどきどきしました。ハロルドに直接的にやり返してほしかったんだけれど、そこが読めなかったのが残念。でもいま幸せそうで何より!
ろくでなしの恋人に頼まれて運び屋めいた仕事をすることになったルーシー。だが仕事を完遂するはずが恋人は射殺され、マフィアと思しき男たちに拉致され、運んでいた荷物である謎めいた薬袋を腹部に詰め込まれるとさらに運ぶよう命じられる。だが袋の中の薬、人間の脳を目覚めされるそれを摂取したことにより覚醒し、人外の能力を得て自らの死を悟る。そのとき彼女が撮った行動は……。
めちゃくちゃかっこいい! 荒唐無稽だけれどすごくいい。こういう思い切り方、めちゃくちゃ好きだなあ。
底辺と称されるような暮らしをしている女性が、マフィアと薬物に関わったことで人外の能力を得て、人を操ったり自分の見た目すら変えたりなどしながら、すぐに訪れる死の前に何をするか。感情を失っていくルーシーが人類の使命めいたものを目的にして迎えた結末は、人間らしくないのにまごうことなく「人」のもので、ああなるほどなあと面白かった。
脇役たちも魅力的。警部も博士も、それぞれの良さがあって。特にノーマン博士のゆったりとした話し方や物腰が、この人は一生懸命に理解して飲み込もうとしている、立派な研究者なんだというのが伝わってよかった。
すごく好きな作品でした。面白かった。
新興貴族ブーリン家の姉妹アンとメアリー。家族の策略によってヘンリー8世に近付き、寵愛を得ようとする姉妹だが、選ばれたのは妹のメアリーだった。自尊心を傷付けられたアンは別の貴族と結婚を強行するも、家族の怒りを受けてフランスへ送られる。だがメアリーの寵愛が薄れ、アンが呼び戻されるとあっという間に王の寵愛を受けるようになった。未来に続く因縁の、王と女たちの物語。
アン・ブーリンの名はよく聞きますが、この作品はどちらかというとメアリーにも視点を置いていて面白い。美しいけれど姉に比べて平凡なメアリーが、ブーリン家に生まれた不幸を見ていて感じました。ともすれば男性のように貪欲に頂点を目指すアンは、やはりブーリン家の人間という感じだから。
物語はコンパクトながらきっちりまとまっていて、思っていた以上に姉妹がギスギスしすぎていないのは見ていてちょっと安心。いやでも内心では嵐が吹き荒れていたでしょうけれど。同じ男性と関係を持つ姉妹って、現代の価値観的にあまり推奨されないと思いますけれど。
またこの作品、めちゃくちゃ服飾や建物が綺麗でなあ! 16世記イングランドはこういう感じねふむふむ。