読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
菊野市の高校生だった並木佐織は、市の夏祭りで驚異的な歌唱力を発揮し、歌手としての将来を期待されていた。だがある日行方不明となり、三年後、まったく縁もゆかりもないはずの静岡県で遺体となって発見される。その容疑者、蓮沼寛一は以前も誘拐失踪と殺人の罪に問われ、無罪となった過去があった。蓮沼は再び事件を起こしたのか? 内海薫は、帝都大学の湯川に協力を依頼する。そして菊野市の夏祭りの日、意外な人物が殺害され……。
公開中なので続きから。
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「雨の降る日に、また戻ってくる」と言い残して亡くなった妻のスア。父子二人の生活となったウジンとジホだが、息子は母が戻ってくると信じて疑わず、ウジンは胸を痛めていた。だがある日スアの告げた雨の降る日、思い出の森を散歩していた二人はスアと思しき女性と遭遇する……。
日本の小説を原作とした、邦画も存在する「いま、会いにゆきます」をリメイクした韓国映画。
雨の季節の、神秘的ながら陰鬱で物悲しい雰囲気の邦画を大事にしながら、戻ってきた理由にちゃんと理屈をつけているのがいかにも韓国映画らしいと思いました。思わず「はー! なるほどー!」って言っちゃった。何故かわからないけれど戻ってきた、というよりはこういう方が不思議感はありつつも納得できたかも。
彼と彼女の恋の物語のようでいて、最初から最後まで家族の物語になっていたのも見ていてしんみりして、よかったなあ。スアはずっとウジンとジホに会いに行こうとしていたんだなって。
江戸時代。武家の生まれで碁を打つ安井算哲は、天文や数学の才能があり、金王八幡宮に奉納される和算の設問を解くのを楽しみにしていた。そんなある日触が起こったことで、幕府より日本各地で北極星の位置を確認する北極出地の命が下される。このことが後に日本の改暦を行う大事業へと繋がっていき……。
原作読了済み。この時代の数多くの魅力的な人物との関わりや絆や結びつきを描いた原作でしたが、映画版はより渋川春海という人にスポットが当たり、一人の人間の壮大な人生を描いたものという印象でした。
一人の人間としての小ささ、天地の大きさ、それらを「遠い」としながら手を伸ばす。個々人の人生を描く対比がすごくよかったなあ。人生って大きい。各々のドラマに満ちているという感じ。
わかりやすさをメインにしているので、原作にあるような、渋川春海を作るまでの様々な人との出会いと交流が薄れているのは残念でしたが、もう一度原作を読んで、映画を見て「こういう景色だったんだろうな」と確認したくなる作品だったと思いました。
善、そして悪とは何か? 東京地検特捜部の検事・正崎は、ある事件を追う中で重要人物である曲世愛と出会う。同時期、東京には新域と呼ばれる独立自治体が成立し、『自殺法』なる自殺を認める法律が制定されようとしていた。日本のみならず世界中が善悪と自殺について意見を戦わせるようになるが、それを止めようとする者たちには数々の悲劇と策略が待ち受けていた。
答えの出ない問いに答えを出そうとする、その途方もなさ。それを利用した曲世愛という女の残虐な罠に次々に陥れられていく主人公たち。正義はどちらか、なんてどうしても言えなくなってしまうのがこの作品だな……と思いました。辛い。
しかし残酷で狂気的な曲世の行為に、ぎゃーっとなって、呼吸が苦しくなって、憎しみが募って、なんとかしたいなんとかしてほしいってはらはら続きを見ちゃうんだよなあ……。
それだけに最後はやるせない。死が悪いことなら、それを与えた自分は悪だし、悪だから死ぬしかなかった、ってことなのかな……。死ねるのは正義であったから、という悪魔みたいな証明だ。きつい。でも面白かった。
降嫁して自由な生活がしたい王女フレイは、恋愛に興味のなさそうな冷徹宰相ハイネと都合良く結婚し、仮面夫婦となった……はずだったけれど!? 「あなただけは特別です。ずっと愛していました」溺愛されすぎて身動きがとれない新婚生活に♡ 夜ごと抱かれ、思考がトロトロになりながらも、想いを伝えてくるハイネへの愛情が湧いてくる。気づけばオシドリ夫婦になっていて……!(裏表紙より)
ヒロインのきっぱりさっぱりした性格が魅力的なTL作品。結婚によって自分の時間がなくなるのは嫌だ、と考えた王女フレイが自分を溺愛してくれている兄に、それらしい提案を理由にお願いに行ったら、まったく接点がなかった冷徹宰相が最適だということになり、という、ちょっと考え無しなところのある王女が色々企ててみたら、うっかり自分がすっ転ばされました、という溺愛もの。
あくまで自国内、お城と結婚後の自宅と狭い範囲でのお話に終始するので、フレイとハイネの関係性の変化や思いの進展がじっくり描かれていてときめきましたし、やっぱりフレイの性格がすごくよくって。愛されてどうしよう、ではなく、興味なかったのに困った……となりながら、溺愛ぶりに流されたり、呆れたり、ときには諌めたり、というやり取りがフレイのさっぱりした性格を表していてとても素敵だなあと思いました。
大きな障害となるエピソードも二人の関係性や人柄についてだったのも、この作品が描こうとしているものが感じられて面白かったです。だって原因がヒーローの性格や振る舞いって! 溺愛もこういう弊害があるよなあと苦笑い。
ループ5回目で陛下の甘々モード発動!?
まさかの溺愛猛攻にお手上げです…!
王女シャルロットはダナース国の王・エディロンに嫁ぐが、初夜に殺されて以来、結婚すると死んでしまうループを繰り返すこと5回! 今世こそ修道女として地味に生きるはずが、またまた結婚ルートにはまってしまい…。ダナース国の地位を上げれば婚約破棄できると聞いて外交に大奮闘すると、それが逆にエディロンの心を鷲掴み!? もう絶対死にたくないのに…宿敵陛下の溺愛から逃げられません!(裏表紙より)
5回ループし、6回目の人生。なるほどこういう風にざっくり何があって死に至ったか、どういう知識や能力を得たかと表現するわけですね。なるほどなるほど。
そんなわけで何故かループする双子、そのうちの姉姫シャルロットの、ループ脱出と恋の話。両方が死ぬとループするって、それどっちかが上手くいかなかったどうなるの? という疑問はちゃんと解けるのでご安心ください。私はだいぶほっとしたし、弟のジョセフの覚悟がその行動ひとつで重くてすごくて感心しました。
しかし終盤の展開と、シャルロットの大逆転が、よくある話だったり展開だったりなのが残念で……羽付き蜥蜴が出てきた瞬間にだいたい察したんですけど……。
1回目のループの原因であるエディロンとの結婚を避けるためあの手この手で人生をやり直すのですが、この6回目の人生で1回目の死の原因が明かされるのだろうか、とだいぶどきどきしました。結構あっさり、ちょっと間が抜けた感のある理由で、その後一人残されるエディロンの気持ちがめちゃくちゃ気になりました。だって(ネタバレ)で殺しちゃったんだぜ……。
騎士団最強の女騎士ユディト。そんな彼女に女王から世継ぎをもうけるため「王子の子供を産め」と命令が下される。忠義一筋のユディトはこれも職務だ! と受け入れるが、気難しくて人間不信なアルヴィン王子は断固拒否。「私は陛下を信じる! 私と子をお作りになれ!」「俺は絶対嫌だからな!」相性最悪で決闘まで挑む二人だったが、王家の圧力であっという間に外堀埋められて婚約披露パーティーまで一直線。そんな時、王女の誘拐事件が勃発し!?(裏表紙より)
あらすじから想像する内容よりもずっとシリアスで真面目な話。女性騎士の、この世界での在り方、生き方、自分らしさを考えるお話で、とても面白く読みました。
ばりばりの騎士であるユディト。口調は勇ましく、剣の腕もなかなかのもの。そんな自分を誇る一方、規格外の自覚もあって、結婚を喜ぶ両親に胸がちくちくする感覚には共感を覚えずにはいられない。そう、自分はいいと思っていても周りを見るとやっぱりな、と悲しくなることはしょっちゅうある。
そんな感じで結婚を強制されたユディトとアルヴィンですが、二人がぎこちないながらも二人らしく距離を縮めていく展開にはきゅんきゅんしました。なんというか、やっぱり犬が好きなんだなって(身も蓋もない)。
面白く読みはしたものの、一つだけどうしても納得できないところが。「キリスト教」の表記や設定、変えた方がよかったと思うんですよ。あの辺りの時代のあの国くらいの話なんだろうなーとぼんやりわかるんですが、多分実在の宗教が出てくるとはっと冷めてしまうので……。
前世好きだった恋愛ゲームの世界に転生した公爵令嬢のセシリア。破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢だと知り、大ピンチ! 平穏な学園生活を送るため、魔力最強なイケメン守護騎士・アルヴィンに恋人のふりをしてもらうことになるけれど――なぜか甘いセリフを囁かれて、ドキドキが止まらない! しかも彼の正体が隣国の公爵様であることが判明。偽りの関係だったはずが、彼の溺愛に火がついて過保護に愛される日々が始まって…。(裏表紙より)
あとがきには第1部と第2部を合わせて一冊にしたとあり、多分それはやってはいけないことだったよな……という終わり方。後半の急展開、セシリアが何故かゲーム本編主人公にこれまでの出来事の後始末と魔族との戦いを全部ぶん投げてびっくりしました。前半は普通に読んでいたのにあんまりです。
内容紹介をじっくり読んでいなかったので気付かなかったんですが、ヒーロー側の重大設定のネタバレがひどいな!? ひどすぎていまも笑ってしまう。それはあかん。
お互いしか見えていない令嬢と護衛騎士のじれじれが可愛らしかったです。それだけに彼女たちや周辺の親や大人の事情がひどい。さっさと独り立ちして幸せにおなり……。
あと最後の最後で思いっきりずっこけたのが「てりやきバーガー」でした。醤油あるの!?!!!?
横浜の外れに佇むWMUA・NITTOH美術館。ここで働く怠惰な学芸員・鷹栖晶のもうひとつの仕事は、悪魔を視認できる唯一の人間として、人の肉体を着た悪魔・音井を相棒に、悪魔と交渉すること。
横浜をあげてのアートプロジェクトのための会議で、晶は植物と建築の共生を謳う建築家・新田と出会う。彼からは仄かに悪魔の気配がした。晶を気に入った新田は秘密を囁く——「僕は爆弾魔に狙われている」と。その言葉どおり、爆破事件が連続して起こっていた。爆弾の破片さえ見つからないという奇妙な事件が……。(裏表紙より)
1巻を読んだときとはまた違って、人と悪魔が絡んだ嫌な事件(褒めています)の話。読んでいてそわっと怖くなったんですが、これは人の人生が大きく変わって、その時点からどこにも行けない感じが怖かったのかも……。晶と音井の行動がやっとわずかに、本当にごくわずかに星嶋の時計の針を動かしたけれど……人間ってなんて無力なんだろうと途方に暮れてしまったんですよね。
ただ落ち着かない読後なだけあってものすごくお話は面白かった! この気持ちの理由を知りたくて、手元にあったら何度も同じところを読み返してしまう一冊になったと思います。
武官となるのを拒んで家を出た弥吹が出会ったのは、ある目的のためにふたりだけで旅をしている「月守」の少年たち。彼らは「かぐや姫」の伝説に深く関係していた。興味をひかれた弥吹は、彼らと行動をともにするうちに、次第にかぐや姫にまつわる壮絶な運命の渦へと巻き込まれていく。ふたりはいったい何者なのか? 五つの宝とは? 「竹取物語」を大胆かつ自由に解釈した、瑞々しく清々しい和製ファンタジーを文庫化!(裏表紙より)
将軍の子に生まれ、武官として教育を受けた都人の弥吹だが、戦うことを苦手として跡取りにも関わらず家を飛び出した。追いかけてきた薬師の娘、朝香に助けられつつしばらく放浪するが、日銭を稼ぐために思いついて「語り売り」をやったところ、これが好評となる。そこへ彼の語る物語のひとつ、「かぐや姫」にまつわる少年たちがやってきて。
「かぐや姫」をモチーフにした和風ファンタジー。爽やかで健やかな物語で心が洗われました。
姫の求婚に登場する宝は月神がもたらした秘宝で、かぐや姫はある宝を持つために隠れ里に住む。姫を守るのは月守と呼ばれる里人たち。少年たちは故郷を焼かれ、二度とこのような悲しいことが起こらないよう、秘宝を取り戻して封印するという役目を負っている。
これだけでもわくわくするんですが、語り手はあくまで別の人。弥吹にその役目があり、彼にも彼の物語があるというのがすごくいい。
少年たちの出自や秘密もよかったし、最終的にかぐや姫が唯一の人を得る展開には胸がきゅんきゅんしました。いまの世に伝わる物語を紐解くなら、二人はきっと宝を返したんだろうな。