読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

監獄学校。
そこは、国が認めた超危険人物のみを集め、矯正されるまで永久に出ることを許さない最凶最悪の学校。
就職活動99連敗中、長年地下に引きこもる青年・クレトのもとに突如届いたのは、その監獄学校の門番への採用通知だった。
「ようこそ、監獄学校に。ここがあなたの墓場です。……多分ね」
成績優秀な“指輪生”の少女・ジリアの指導のもと、門番の仕事を始めるクレト。しかし、古人・獣人・竜人・巨人・羽人、多種多様な種族が集められた学校は、まさに無法地帯で——。
そして次第にクレトは、学校の裏に隠された国をも脅かす《闇》を知ることとなる。
第20回電撃小説大賞、最終選考作がついに登場!(カバー折り返しより)
様々な種族が拮抗していた大戦後、種族の強者上位10%を収監する決まりとなった結果作られた、監獄学校ディアテルリア学園。就職活動に失敗しまくり、唯一の採用通知がこの学校の門番というクレトだったが、前任者は首ひとつになって死亡、生徒たちから魔法攻撃を受けたり脱獄を目論む輩がいたりと、果たしてクレトは生きて仕事をまっとうできるのか?
監獄学校という特殊な設定に隠されていますが、本題にあたるのは過去に起こった大戦だというところがとても面白いなあ、と思いました。真相がそれとうまく絡み合っていて、ちょこちょこ伏線が見えるのもとても楽しい。過去の話も読みたいなあと思いました。
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世は百年に一度の神話祭。
巫女と勇者が各地を巡り、世界の理を保つ一大イベントを前に、神秘と慈愛に満ちた巫女・マリアベルの心も静かに高鳴っていた。
あるときは………弱き者に救いの手を差し伸べ。そして、フラグを立て——。
あるときは………悪しき者に勇気を持って立ち向かい。そして、フラグを立て——。
あるときは………神の導きを受けて秘境へ赴き。そして、フラグを立てて! 立てて! 立てて! 絶対に勇者とらぶらぶちゅっちゅするんだから!——と。
これは、のちに『神殺しの大勇者』と呼ばれる少年と、『死と誕生の巫女』と呼ばれる少女の、不純と覚悟と冒険に満ちた物語。(帯より)
八つの神殿のそれぞれの巫女がそれぞれに勇者を選び旅立つ神話祭。その中で最も不人気、死の神メメントモリの巫女マリアベルは、日々桃色の妄想に耽り、いつか出会う勇者とゴールインすることを夢見ていた。
普通に書くなら本当にごく普通の、少年向けファンタジーなんでしょうけれど、それがマリアベルの視点になって「ふにゃああああああん!!」「らぶらぶちゅっちゅするんだからぁ!」という妄想視点が入ると、一気にコメディ化するという……笑 さらにゲーム脳が、「各地でサブクエストをこなして信仰心を集めよう!」みたいなシミュレーション的な部分も想像してしまい、笑いながら読み終わりました。
アウスティナに関しては類友って感じで、これからも仲良くしてください笑
装丁めちゃめちゃ凝ってていいなあああ! 透明カバーとか羨ましい。こんな本作ってみたい。

トスカーナの伯爵家に生まれ、何不自由なく暮らしていたマティルダ。しかし父の死を契機に運命は変わり始める。度重なる身内の不幸、襲いかかる苛酷な現実。絶望にうちひしがれそうになるとき、彼女を救ってくれたのは、いつも修道士イルデブランドだった。
幼き日の初恋は、やがて揺るがぬ想いに深化する。「カノッサの屈辱」という歴史的大事件に秘められた真実の愛を描く、ヒストリカルロマンの新たな傑作。(裏表紙より)
ヒストリカルロマンを読むなら榛名しおりさんだよなあ、と思いながら読む。「カノッサの屈辱」に関係する、ひとりの女伯マティルダの幼少期からその日の出来事までを、少女の過酷な運命と恋に絡めて描いた一冊です。
必ずしも恵まれた人生であったわけではないけれども、マティルダは自分にとって誰がいちばん大切かを揺らぐことなく持ち続けられたことで戦えるのだなあと感じました。否応無しに領主になり、しかも本人はその重責を当然のことと受け止めている印象なのが、寂しくもあり眩くもあり。

どこにでもいる普通の女子高生・小山ハルは、ある日交通事故に遭い――気づいたときには異世界に転移していた。チート能力も授けられず、男しか冒険者にはなれない状況で、ハルは生活のために酒場兼娼館『夜想の青猫亭』で働くことを決意する。だが男尊&女卑がはびこる異世界では理不尽なことも嫌なこともたくさんあって……。同じく現代から転移した同級生・千葉セイジ、娼館で働くルペやシクラソ、一途にハルに思いを寄せるスモーブとの出会いを経て、異世界に溶け込みはじめたハルを待ち受けていた過酷な運命とは……。
ウェブ上に掲載され、絶賛を受けた異色の異世界転生小説が待望の書籍化。(裏表紙より)
すっごい力を持った作品で、一気読みしてしまった。すごかった。面白かった……。
異世界の風俗嬢になった女子高生ハル。一方同時転移した根暗な男子高生千葉は、チート能力を使ってお金を稼いでいる。春を売るシビアさと異世界の男尊女卑の価値観が混じり合うと、えぐいのにおかしく、おかしいけれど涙が出るような……。よくこの作品を書いてくれた! という気もするし、よく世に出たな……とも思う。
異世界転移ものとしても決めてくれるところは決めてくれて、この先がどうなるのか続きが気になるなあ……と思うけれど続きが出ると蛇足感が出そうだ。
卑猥な単語がびゅんびゅん飛び交うので、18歳以上の方におすすめします。

——ボクは、絶対に生きのびる。
透き通る蒼い海と、紺碧の空。世界の全てを二つの青が覆う時代、『アフター』。
セイラー服を着た14歳の少女アキは、両親の形見・愛船パラス号で大海を渡り荷物を届ける『メッセンジャー』として暮らしていた。
ある日、オウムガエルのキーちゃん船長を携えたアキは、航行中に恐るべき『白い嵐』に遭遇、船を失って浮島に取り残されてしまう。
そこは、見渡す限り青い海が広がる孤立無援の島だった……。
アキとキーちゃん船長の、『生きるための戦い』が始まる。(裏表紙より)
文明のほとんどが滅び、人が住む場所は海の上となった。『アフター、すべての国境(ボーダー)は水平線(ホライズン)になった』という一文がすべてを現していてめちゃくちゃ好きです。世界が滅びて、人もほとんど出てこないけれど、少女の青春物語が描けているのはすごいなあ……!
最初は生きるか死ぬかのサバイバル、その次は少女たちの青春、そうして戦い。海洋ロマンがたっぷり詰まった作品だなあと思いました。最後がちょっとばたばたと畳みすぎかなあという気がしたんですが、これからも旅は続く感じが最後まで広々と感じられて楽しかった。

プロ棋士になる夢に破れた瀬尾は、毎日公園に一人でいる金髪碧眼の少女サラに出会う。言葉のやりとりが不自由な彼女に対し、瀬尾は将棋を教え込む。すると、彼女は盤上に映る“景色”を見る能力を開花させ——。棋界に新たな風を送るサラ、将棋に人生を捧げてきたスター・塔子、数多の輝く才能を持つ七海の三人を巡り、厳しくも豊かな勝負の世界を描く青春長編。第24回小説すばる新人賞受賞作。(裏表紙より)
プロ棋士を諦めてパチプロで生活している瀬尾は、金髪碧眼の少女に出会う。ふとしたことから彼女に将棋の指し方を教えた瀬尾だったが、サラはやがて「未来の将棋」を指す才能を開花させる。なんとなく少年少女の話かと思ったら、やさぐれた男が素晴らしい才能を持つ少女とともに将棋界に挑むような話でした。このサラというのも言葉の発達が遅く共感覚の世界で生きている特殊な女の子。サラの気持ちが読み解けないので不思議な読み心地でした。、「才能ってなんだ?」と問いかけられた、年齢も立場も違う三人の女性たちが、将棋という盤面に描かれる世界に挑む話だったのかな。

「子どもたちに、今、何が起きているのか」を、これ1冊で俯瞰できる、血の通った「現場」のスクールカースト論。
現役中学校教師である著者は、「スクールカーストの決定要因は、コミュニケーション能力だ」とその本質を喝破、「LINEはずし等の現代型いじめ」や「キレて暴れ出す子どもたち」等、リアルなエピソードの背景にあるものを読み解いていきます。
機能する「いじめ対応」とはどうあるべきかを提案する最終章は、教育関係者ならずとも、必読です。今後、本書を抜きにして「いじめ対応」は語れません。(カバー折り返しより)
教師の視点から見るスクールカーストと、それに起因するいじめ、その対応。なるほどできる先生ってそういうところを見てそういう風に対応するのね、と思いました。
スクールカーストを形成する子どもたちのタイプを、自己主張力・共感力・同調力の高低から八つに分類しているのがすごくわかりやすかった。ああ私このタイプの子どもだったなあ、と。
子どもたちだけでなく教師のカーストについても割かれてあり、教師の評価は相対性なんだなあということもわかりました。

十七歳の貴志子は、親子ほどに歳が違う恋人の有実から、彼の娘の晃子を預かってほしいと頼まれた。晃子は十五歳。気が進まなかった貴志子だが…? 表題作『月の輝く夜に』のほか、同じく文庫未収録作品『少女小説家を殺せ!』『クララ白書番外編 お姉さまたちの日々』を収録。そして文庫・単行本で134万部を記録した不朽の名作『ざ・ちぇんじ!』上下巻を併せた、氷室冴子ファン必読の一冊!(裏表紙より)
「月の輝く夜に」「ざ・ちぇんじ!」「少女小説家を殺せ!」「クララ白書番外編」を収録。合本なので653ページと少女小説ではなかなかお目にかかれないレベルで分厚いです。
「ざ・ちぇんじ!」はとりかへばや物語を下敷きにしたもので、久しぶりに読みましたがめちゃくちゃ面白かったです。コミックス版も読みたくなってしまった。
冒頭に収録されている「月の輝く夜に」は打って変わって静かな作品で、文章の美しさや物悲しい雰囲気などを堪能しました。愛と憎しみと侘しさを感じて、「ざ・ちぇんじ!」のカラーを想像して読み始めるとおや? と思ったんですが、めちゃくちゃ綺麗でした。
『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』を読んだからか、「少女小説家を殺せ!」も「クララ白書」も別の視点から読めた気がしました。

携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活はつづいていく。ならば、そんな素晴らしくない日常を、つまらない生活をおもしろがろう! 音楽家で俳優の星野源、初めてのエッセイ集。巻末に俳優・きたろうとの文庫版特別対談「く…そして生活はつづく」も収録。(裏表紙より)
『働く男』よりもこっちのエッセイ集の方が好きだなあと読み終わって思いました。だいたいがお腹痛いとうんこときんたまの話でじわじわくる。
というかお母さんのようこさんが面白くてお腹つるかと思った。楽しい人だなあ。いたずらを仕掛けられた子どもの側としてはたまったものじゃないかもしれませんが、学校に行くたびに落ち込んでいく息子のために(でも恐らくはその場の思いつきだろう)いたずらを仕掛けるお母さん楽しい。

(瑠璃子さん……今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて……)結婚式の日、ハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を。心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった——児童文学の気鋭が、頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った快作!(裏表紙より)
娘のふうちゃん(風里)が結婚するその日、父親であるハルさんが、幼稚園児、小学生、中学生、高校生、大学生のときに起こった五つの謎とお話を回想する。児童文学を書かれる方ならではの優しい語り口で、特に幼いふうちゃんの言動が子どもらしくてかわいい! 父親のハルさんは人形作家で、親としては頼りないところからスタート。少しずつ成長していくのがわかっていいなあ。
そんなハルさんが「どうしよう!」となったとき、語りかけてきてくれるのは亡くなった奥さんの瑠璃子さん。ずっとふうちゃんを見守ってくれていたんだなあというのが最後のシーンでわかって、ハルさんの回想も相まって胸がいっぱいになりました。