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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫)
夏、クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加し、最悪の連続猟奇殺人を目の当たりにした『おれ』。最近、周囲で葬式が相次いでいる『僕』。——一見、接点のないように見える二人の少年の独白は、思いがけない点で結びつく……!! すべての始まりは、廃遊園地にただよう、幼女の霊の噂……? 誰も想像しない驚愕のラストへ。二度読み必至、新感覚ミステリー!!(裏表紙より)

ミステリーというより、ホラー? 一人称で語る人間が二人いて、それぞれの視点で交互に語りながら、その二人がゆっくりと近付いていく。その接点は、とある殺人事件。
全体の半分に来るまでに二人がどこで交わっているのかというのはすぐに分かるので、その後どう話が落ちるのかを固唾をのんで見守りました。読み終わって、確かに「二度読み必至」(帯より)だなあ、と思いました。最後がえっと戸惑ってしまって、読み落としたかなーと最初からぱらぱらめくってしまった。
「僕」の方が、どうして『おれ』のことを知っていたのか、というのがちょっとよく分からなくて、確かに語っている部分はあるんですが、その詳細がはっきりしなくて「そんなに思ってたの?」と思ってしまった。
一人の視点からの語りなので、こう、ひたひたと迫ってくる恐怖があるんですよね……。はっきりと人殺しが誰なのかが分かるようになると、その冷静な口調が怖い! と背筋がぞくぞくしました。それで改題前のタイトルが「亡霊」なんだから、これやっぱりミステリーじゃなくてホラーだよ!
短編がほかに二本収録されていて、どちらも単独の話。「Aさん」はまごうことなくホラー。「春の遺書」はホラー(幽霊)の要素がありつつ、ミステリーに近いものがありました。
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ひとり暮らし自己防衛マニュアル
2005年の刊行。微細は変わっていると思いますが、ひとり暮らしを始めるには何に気をつければいいのか、都会での危険について、不動産の賃貸の契約、日々の暮らしのことなどなど、困った、けど誰にも聞けない! というようなことを解説してくれているマニュアル本でした。
結構詳細に注意すべきことを書いてくれている印象で、初めてのひとり暮らし、不安……という人には頼りになる一冊かもしれない。こういうことって、教えてくれる人ってなかなかいないんですよね。親は勝手にこうしなさいああしなさいってすぐに決めちゃうし。
リーディング  司書と魔本が出会うとき (角川ビーンズ文庫)
本をこよなく愛する少女リィナは、エルグリッド大陸図書館で働く新米司書。館内では「モグラ」と蔑まれる地階位に入れられてもめげず、先輩司書ジーンにしごかれていた。だが、友人が呪われた「魔本」に捕らわれ、リィナの日常は一変する。図書館には「魔本」と戦う司書——《読解の異能者(リーディング)》が潜むことを知ってしまった上、自分にも特別な力があると告げられ…!?
第9回ビーンズ小説大賞読者賞受賞、異色のダークファンタジー!!(裏表紙より)

受賞作だけあって、すごく優等生な話だったなあ、と思うあたり、なんだか色々自分が毒されている感じがしないでもないのですが苦笑 図書館と呪われた本、という設定が好きな人は好きなんだろうなあというポイントを的確に突いていて、うまいなあと思いました。
面倒見がいいけれど無愛想なジーンと、真面目で一生懸命でかつ友達思いのリィナの、先輩後輩コンビが、今後もっとラブな展開にいくのかというのが気になります。いや、挿絵のリィナ、めっちゃかわいいんですよ! ドレスアップのシーンもあるんですけど、普通に美人だよね!? それでもって、司書(この世界観においての)としての成績も優秀、かつリーディング能力も特別って、すごく……ヒロインです……。
一方で、ジーンがちょっとヒーローっぽくないというか、ヒロインに救われるヒーローポジションなので、もうちょっと男前なシーンをください! と思いました。
不埒なロマンス小説の書き方 (シフォン文庫)
人気作家である母が書いた原稿を奪われてしまったセシリア。母の担当編集者であるラルフから、代わりに二週間で完璧な原稿を書けと命じられる。小説が大好きで、こっそり書き続けていたセシリアだったが、母のような濃厚なロマンス小説を書くなんて絶対無理! だって恋をしたことすらないんだもの…。だが高級ホテルに閉じ込められ、情熱的なラブシーンを書くための、ラルフの指導がはじまって…!?(裏表紙より)

あとがきで書かれていますが、ヴィクトリアンものでした。ロマンス小説が低俗とか、足首を見せちゃダメとか、髪は結わなくちゃとか。細々したところがいい感じで、ホテルに缶詰にされて作家としての心得を解かれたり、原稿に指導が入ったり、エロスなやりとりがあったりと、面白かった。
強引で俺様なヒーローが、結局ちょっと可愛かったりもして、奔放なロマンス小説家のお母さんとのちょっとしたやりとりや、最後の真相なども面白くて、少女小説とTLのバランスがとても好みでした。
花のあと (文春文庫)
娘ざかりを剣の道に生きたある武家の娘。色白で細面、けして醜女ではないのだが父に似て口がいささか大きすぎる。そんな以登女にもほのかに想いをよせる男がいた。部屋住みながら道場随一の遣い手江口孫四郎である。老女の昔語りとして端正にえがかれる異色の表題武家物語のほか、この作家円熟期の秀作七篇! 解説・桶谷秀昭(裏表紙より)

「鬼ごっこ」「雪間草」「寒い灯」「疑惑」「旅の誘い」「冬の日」「悪癖」「花のあと」の七編。商人だったり武士だったり町人だったり、尼さんだったり、出てくる主人公は色々な立場の人。ちょっとした陰謀や事件の話もあるんですが、人と人が交流することで生まれる、不和や優しさみたいなものが、すべての話に漂ってる。「冬の日」の男女や、「花のあと」の哀愁めいた過去の恋と現実のおかしみみたいなものが、すごくいいなあ。
時代小説はまったく初心者なんですけど、面白かった。
夜明けのフーガ (MIRA文庫)
休暇中のセラピスト、ディオンヌが新たに依頼を受けた患者は、海、空、山をこよなく愛し、どんな冒険にも勇敢に挑む男ブレイク・レミントンだった。登山で大怪我を負い、再び歩くどころか食べる気力さえ失って衰弱の一途だという。渡されたレントゲンを見るかぎり、傷は癒えている。承諾を迷うディオンヌは添えられた写真を手に取った——鍛えあげた肢体をあらわにし、深いブルーの海をバックに生き生きと微笑む事故前の彼。ディオンヌの心がうずいた。(裏表紙より)

有能なセラピストのヒロインと、歩けなくなって衰弱した若きエンジニア。最初はまったく立場が違っていて、ヒロインであるディオンヌは自らの仕事をてきぱきとこなし、心理的にも身体的にも有利に立っているのですが、だんだんと二人の関係が変わっていくにつれて、心理的な優位がブレイクに移り、ディオンヌは迷い悩み傷つく……という話展開が面白かったです。何より、冒頭の、ブレイクを手玉にとるセラピストとしてのディオンヌの働きぶりがよかったなー。相手は病人とはいえ、腕相撲して勝っちゃうんだもんなあ(そしてウエイトリフティングの元選手だったりもする)。
二人の仲が決定的になり、ディオンヌが過去の傷からブレイクから遠ざかろうと試みるんだけれども、ブレイクの囁く台詞の甘いこと! 別れようとなるときも、自信がある様子なのがハーレクイン的に最高のヒーローなんじゃないでしょうか。
ラストの、子どもたちとのシーンが好きです。ちょっと予感めいたものも含ませているような気がする。
オススメありがとうございました。面白かったです。
王女ベリータ~カスティーリアの薔薇~(下) (講談社X文庫ホワイトハート)
 ベリータは、現国王妃ファナに拉致されそうになった。自分の娘にカスティーリアの王位を継がせるため、無理矢理にでもポルトガルへ嫁がせようというのだ。
 間一髪でアロンソに救出されたベリータは、束の間の安息を得るため、仲間と共にコルドバに身を寄せる。
 起死回生の一手として、条件つきで隣国アラゴンの王子との婚姻を提案するベリータだが、心はアロンソへの想いに揺れていた。歴史ロマンの傑作、完結編!(裏表紙より)

全体的な印象だと、ダイジェストという感じの話の巻き方なんですが、完結巻です。
フェルナンド王子がすごくいい感じにおおらかで、ベリータとアロンソとフェルナンドで関係が成立するのがすごく、なんというか、面白いというかそれでいいのかというか!笑
ベリータとフェルナンドが初対面でかわした会話が、すっとぼけているようで真剣なのがすごく好き。
ラモンにまつわる事情が、物語ってこういうところがおいしいよなあ! というわくわくでした。
そしてやっぱりラストは悪者退治。きらめく歴史の大舞台に向けて、ベリータが一歩踏み出す。大きな歴史の、そこに生きた女王の、小さな一幕と冒険と恋の話だったと思いました。
王女ベリータ~カスティーリアの薔薇~(上) (講談社X文庫ホワイトハート)
 カスティーリア王だった父の死後、幼い弟と別れ、母と二人、修道院に幽閉された王女ベリータ。その後、母とも引き裂かれ、孤独のなか誰も信じられずにいた。
 16歳になったある日、ベリータは王宮からの使いだという男たちに外の世界へ連れ出される。訪れた館で彼女が再会したのは、死の床にある弟だった。
 その日からベリータの運命は一変する……。王位継承を巡る策謀。そしてアロンソへの恋心の行方は?(裏表紙より)

カスティーリア女王イサベル1世をもとにした歴史物語。のちのスペイン王国の礎を築く人たちの、若き日々のお話。
修道院に幽閉され、ただ一人、孤独に、誰も信じずに心のなかの母の声に従ってきたベリータ。神がかりともいうような驚くべき直感力で、事態を切り抜けていく。でも、エンリケス家のアロンソを気にしたり、というところは本当に普通の女の子で、後々出てくる「ばかじゃない方のベリータ」と「ばかの方のベリータ」という表現はとてもいいと思いました。女の子のなかに、王族としての顔と、ただの女の子という二面性はよいねよいね!
上巻は、ベリータの結婚問題において、ベリータ側がポルトガルではなくアラゴンにつく方がいいと決めて、アラゴン王国のフェルナンド王子との結婚を取り付けられるよう、トレド大司教に助力を嘆願しようと決めるところまで。
多恵子ガール (集英社文庫―コバルト・シリーズ)
特別な人。たとえば、誰にどんなふうに見られてもいいけど、世間の目なんかかまっちゃいないけど、その人に変に思われたくない。その人の目には、とびきりの自分が映っててほしい。そんなふう? そんな人なら、いる。いるけど。——シャイなクセに肩肘張って、勝手にあたふたしてるあのなぎさくんを、多恵子の目で覗いてみれば……? というわけで、『なぎさボーイ』姉妹編待望の登場です!!(カバーより)

私は「ヒスってる」という感覚に縁がないので、そういう子が出てこられると理解できなくて困惑するんですが、多恵子も例に漏れずよく怒り、喧嘩をするという。でもその内側には、冷静に自分を観察したり、自分なりの思いで、自身のことを理解しようという動きがあるんですよね。
『なぎさボーイ』であの終わりだったので、これちゃんとオチつくのかなーと思ったら、ちゃんと終わってよかったよかった。背伸びしながらも、その分一歩ずつ進んでいく二人がいいなあと思いました。
その娘、パラノーマルにつき (ヴィレッジブックス)
IPCA(国際パラノーマル抑止機構)に所属する16歳のエヴィは、人間界にまぎれこむヴァンパイア、人狼、フェアリーたち——いわゆる“パラノーマル”を見分ける能力を使って、彼らの正体を暴き、捕獲するという任務についていた。普通の女の子として過ごしてみたい、そう思い続けるエヴィの前に、ある日謎の少年が現れ、不思議な詩の一節をささやきかける。それは彼女の未来を大きく変える事件のはじまりだった……。(裏表紙より)

異種族(パラノーマル)を見分ける目を持つ少女イヴリン(エヴィ)が、国際機構の捜査員として、機構の目から逃れようとするパラノーマルたちにタグをつけて回っている、というところからはじまります。パラノーマルたちは、あくまでグラマーと呼ばれる、偽装のための幻影の姿形をまとっている。エヴィはこれを見抜いて、本体を視認することができるので、人混みの中でグラマーをまとっているパラノーマルを見分けられる。なので、特殊捜査官ものなのかな、と思ったら、中盤になるにつれてそんな話ではなくなっていってしまい、ちょっと残念な気持ちもしつつ……。
IPCAの施設に潜入した、ドッペルゲンガーのパラノーマルの青年レンドとの出会いによって、人間たちが知らない、またエヴィ自身も知らない、パラノーマルの世界の事情が明らかになっていく。このレンドとのやりとりが、いかにも普通の恋に憧れる女の子と、心優しい思いやりのある青年の交流なんですが、いかんせん長い! 敵との遭遇が470ページあるうちの半分くらいでやっとくる。遅い!
けれど、情報が少しずつ開示されてくると、独特の世界が構築されているのがわかって、面白い。シリーズらしいけれど訳されていないので、続きは読めなさそう。残念。
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Author:月子
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