読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
異界——【魔法の国】で起きた【女王のための統合戦争】に巻き込まれた、鍛冶目山市の少女たち。魔女となった彼女らが身の裡に宿すのは、殺し合いの螺旋を紡ぐ奇跡と罪の力——魔法。
魔女のひとりである咲森水奈は、行方不明となった親友の少女、早良坂人魚を捜していた。その傍らに立ち彼女を支える少年、早良坂蓮は【魔法の国】の住人であり、そして……。
【魔法の国】と【魔法】。【体現者】と【魔女】。【女王のための統合戦争】と【器の欠片】。【少年】と【少女】。そしてこれは——【罪】と【奇跡】の織りなす幻想夜話。藤原祐×椋本夏夜が贈る新シリーズ、始動!(裏表紙より)
ぼくとけいやくしてまほうしょうじょになってよ、がバトルロワイヤル化する一歩手前? 戦いすぎて休戦中? のような状態で、戦わず自分たちの身と仲間を守るコミュニティに属する少女たちの魔法と戦い。咲森水奈を中心にしたお話。
水奈が強くしなやかで優しく、それでいて主人公らしくかなり強い。しかしそれよりも強大な敵が待っているという感じがわくわくする。彼女のちょっと物分かりのいいところとか、強さゆえに冷静でいるところがちょっと傲慢にも見えて、いいなあ少女もの素敵だなあと思いました。
ひとつの街で少女たちが誰にも見られずにひそかに戦っているというところ、燃えますね……。そこは少女たちの世界で、そこで負けるとこの世界から忽然と姿を消すんですよ。とてもいい。
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「さっさと仕事にとりかかれよポンコツメガネ」少女セリアは失踪した父の面影を追って、最年少で超難関の専門職・王宮薬草師となった。ある日、セリアは媚薬師として荒稼ぎする元王宮薬草師のリシャールのもとへ、学生と偽り潜入捜査に行くことに! だけど、極上の美形に見えたリシャールは口も性格も極悪! 初対面から大ゲンカで!? 媚薬を巡る恋と陰謀のラブ・コメディ!! 第13回角川ビーンズ小説大賞〈優秀賞〉受賞。(裏表紙より)
「ついに憧れの職業に就けたわ! でも嫌な先輩が……」という話を想像していたのですが、すでに王宮薬草師としてそれなりの立場を築いていたセリアが、上司の命令で潜入調査を行うことに、という大きな話の中の半ばから始めたような印象のお話でした。
個性豊かな薬室の面々とか出てくると思ってたんですが、ほぼセリアとリシャールとカエトのやりとりだったなあ。人の気持ちを簡単に操ってしまう「媚薬」のせいで、いろんな人の思いの方向性が入り乱れてしまうお話です。「ヒース」という特別な場所がとても幻想的で面白いなあと思いました。
天才科学者の平賀と、古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルト。2人は良き相棒にして、バチカン所属の『奇跡調査官』——世界中の奇跡の真偽を調査し判別する、秘密調査官だ。
修道院と、併設する良家の子息ばかりを集めた寄宿学校でおきた『奇跡』の調査のため、現地に飛んだ2人。聖痕を浮かべる生徒や涙を流すマリア像など不思議な現象が2人を襲うが、さらに奇怪な連続殺人が発生し——。天才神父コンビの事件簿、開幕!(裏表紙より)
想像以上に宗教色が強かった。
バチカン所属の神父たちが、奇跡を調査するお話。
オカルトかと思いきや、オカルトの皮を被った事件を科学的に検証……検証はしていないかもしれないけれど調査して、実態を暴く。
冒頭にかなり悪魔のことを匂わされるので本物のオカルトかなと思ったんですが、科学といっても科学らしいことも捜査らしい捜査もあんまりやっていない印象なのは、生徒や用務員視点のお話が結構挟まるせいだったんだろうか。
オチがおおーそこにいくかーというもので面白かったです。
もと極道の祖父が起ち上げた、義理と人情を守るための会社「NDY企画」。孫娘の緋桜乃は否応なく家業を手伝わされている。思いを寄せる青年・菅野は周りからの評判は最悪で、祖父が勝手に婚約者指名した青年実業家の堺はしつこいし、幼馴染みの三塚は相変わらず意地悪で……そんなある日、祖父は冴えない男性を連れてきて、「今日からおまえの夫だ」と言い出し!?
だから、わたしはあの人と結婚なんてしません!(裏表紙より)
第二巻なんですが、第一巻だと思って読んでしまい、あれー登場人物のバックグラウンドがはっきりしないぞ? なんて首を傾げてました。
どうしてそんな間違いをしたかというと、以前一作目である『今日から「姐」と言われても』のあらすじを読んだことがあって、この本をそれだと思ってカバーの過去作を確認せずに買ったからです。
とにかく。
元極道の孫娘が、やってくる人たちを助けるお話。だけれども、見事に持ち込まれる事件がクズやら犯罪やらが関わるもので、それを「姐」さん姿の緋桜乃がばさりと切って捨てるところがかっこいい! という連作集です。
家業のせいで仕事がクビになった過去があって、きちんと仕事ができる重みを感じているところとか、やってくる男性たちを、最初は見えてない風だけれどきちんと考え直して見直すことができるところとか、等身大だけれど気持ちのいいヒロインだなあと思いました。
それでもまた、0から違う1日が始まる。
両親を事故で亡くした女子大生・笹川唯は高額の報酬と引き換えに記憶消去薬「レーテ」の新薬実験に参加する。完全に閉鎖された施設で、天才科学者の監視のもと過ごす7日間。毎日記憶をリセットされる唯と5人の被験者たちだが、ある日目覚めると流血死体を発見して――。どうしてこの手は血塗れなの……まさか私が、殺したの? 驚愕のエンディングに戦慄必至の記憶喪失ミステリ。(裏表紙より)
大手医療会社の記憶消去薬「レーテ」の実験に参加することになった唯。すべてを記憶している博士に「このやり取りは昨日もやりましたよ」と言われたり、世話係のふたりはおかしな言動をしていたりと、この実験には裏がある様子。
最後まで読んで、ああなるほど! と。目次に戻って意味がわかりました。うまいこと仕掛けてるなあ。そうそう、最初のシーンが全然繋がらなくて「はてな?」となっていたんだよね。そういう仕掛けかあ。
ラストはちょっと無理やりすぎやしないかなあという気もしましたが、「何度も同じ1日を繰り返す」をこう表現できるのかと、とても面白く読みました。
監獄学校。
そこは、国が認めた超危険人物のみを集め、矯正されるまで永久に出ることを許さない最凶最悪の学校。
就職活動99連敗中、長年地下に引きこもる青年・クレトのもとに突如届いたのは、その監獄学校の門番への採用通知だった。
「ようこそ、監獄学校に。ここがあなたの墓場です。……多分ね」
成績優秀な“指輪生”の少女・ジリアの指導のもと、門番の仕事を始めるクレト。しかし、古人・獣人・竜人・巨人・羽人、多種多様な種族が集められた学校は、まさに無法地帯で——。
そして次第にクレトは、学校の裏に隠された国をも脅かす《闇》を知ることとなる。
第20回電撃小説大賞、最終選考作がついに登場!(カバー折り返しより)
様々な種族が拮抗していた大戦後、種族の強者上位10%を収監する決まりとなった結果作られた、監獄学校ディアテルリア学園。就職活動に失敗しまくり、唯一の採用通知がこの学校の門番というクレトだったが、前任者は首ひとつになって死亡、生徒たちから魔法攻撃を受けたり脱獄を目論む輩がいたりと、果たしてクレトは生きて仕事をまっとうできるのか?
監獄学校という特殊な設定に隠されていますが、本題にあたるのは過去に起こった大戦だというところがとても面白いなあ、と思いました。真相がそれとうまく絡み合っていて、ちょこちょこ伏線が見えるのもとても楽しい。過去の話も読みたいなあと思いました。
世は百年に一度の神話祭。
巫女と勇者が各地を巡り、世界の理を保つ一大イベントを前に、神秘と慈愛に満ちた巫女・マリアベルの心も静かに高鳴っていた。
あるときは………弱き者に救いの手を差し伸べ。そして、フラグを立て——。
あるときは………悪しき者に勇気を持って立ち向かい。そして、フラグを立て——。
あるときは………神の導きを受けて秘境へ赴き。そして、フラグを立てて! 立てて! 立てて! 絶対に勇者とらぶらぶちゅっちゅするんだから!——と。
これは、のちに『神殺しの大勇者』と呼ばれる少年と、『死と誕生の巫女』と呼ばれる少女の、不純と覚悟と冒険に満ちた物語。(帯より)
八つの神殿のそれぞれの巫女がそれぞれに勇者を選び旅立つ神話祭。その中で最も不人気、死の神メメントモリの巫女マリアベルは、日々桃色の妄想に耽り、いつか出会う勇者とゴールインすることを夢見ていた。
普通に書くなら本当にごく普通の、少年向けファンタジーなんでしょうけれど、それがマリアベルの視点になって「ふにゃああああああん!!」「らぶらぶちゅっちゅするんだからぁ!」という妄想視点が入ると、一気にコメディ化するという……笑 さらにゲーム脳が、「各地でサブクエストをこなして信仰心を集めよう!」みたいなシミュレーション的な部分も想像してしまい、笑いながら読み終わりました。
アウスティナに関しては類友って感じで、これからも仲良くしてください笑
装丁めちゃめちゃ凝ってていいなあああ! 透明カバーとか羨ましい。こんな本作ってみたい。
トスカーナの伯爵家に生まれ、何不自由なく暮らしていたマティルダ。しかし父の死を契機に運命は変わり始める。度重なる身内の不幸、襲いかかる苛酷な現実。絶望にうちひしがれそうになるとき、彼女を救ってくれたのは、いつも修道士イルデブランドだった。
幼き日の初恋は、やがて揺るがぬ想いに深化する。「カノッサの屈辱」という歴史的大事件に秘められた真実の愛を描く、ヒストリカルロマンの新たな傑作。(裏表紙より)
ヒストリカルロマンを読むなら榛名しおりさんだよなあ、と思いながら読む。「カノッサの屈辱」に関係する、ひとりの女伯マティルダの幼少期からその日の出来事までを、少女の過酷な運命と恋に絡めて描いた一冊です。
必ずしも恵まれた人生であったわけではないけれども、マティルダは自分にとって誰がいちばん大切かを揺らぐことなく持ち続けられたことで戦えるのだなあと感じました。否応無しに領主になり、しかも本人はその重責を当然のことと受け止めている印象なのが、寂しくもあり眩くもあり。
どこにでもいる普通の女子高生・小山ハルは、ある日交通事故に遭い――気づいたときには異世界に転移していた。チート能力も授けられず、男しか冒険者にはなれない状況で、ハルは生活のために酒場兼娼館『夜想の青猫亭』で働くことを決意する。だが男尊&女卑がはびこる異世界では理不尽なことも嫌なこともたくさんあって……。同じく現代から転移した同級生・千葉セイジ、娼館で働くルペやシクラソ、一途にハルに思いを寄せるスモーブとの出会いを経て、異世界に溶け込みはじめたハルを待ち受けていた過酷な運命とは……。
ウェブ上に掲載され、絶賛を受けた異色の異世界転生小説が待望の書籍化。(裏表紙より)
すっごい力を持った作品で、一気読みしてしまった。すごかった。面白かった……。
異世界の風俗嬢になった女子高生ハル。一方同時転移した根暗な男子高生千葉は、チート能力を使ってお金を稼いでいる。春を売るシビアさと異世界の男尊女卑の価値観が混じり合うと、えぐいのにおかしく、おかしいけれど涙が出るような……。よくこの作品を書いてくれた! という気もするし、よく世に出たな……とも思う。
異世界転移ものとしても決めてくれるところは決めてくれて、この先がどうなるのか続きが気になるなあ……と思うけれど続きが出ると蛇足感が出そうだ。
卑猥な単語がびゅんびゅん飛び交うので、18歳以上の方におすすめします。