読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
『送り人の娘』『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』で注目を浴びる、気鋭の著者が贈る時代ファンタジー。
茜は跡継ぎ鷹丸の遊び相手として、豪商天鵺家の養女となる。数々の謎めいたしきたり、異様に虫を恐れる人々、鳥女と呼ばれる少女の姿をした守り神。奇妙な日常に茜がようやく慣れてきた矢先、屋敷の背後に広がる黒羽ノ森から鷹丸の命を狙って人ならぬものが襲撃してくる。それは、かつて魔物に捧げられた天鵺家の娘、揚羽姫の怨霊だった。
このままでは鷹丸が犠牲になってしまう! 一族の負の連鎖を断ち切るため、茜は魔物に立ち向かう決心をするが……。(カバーより)
明治時代、とある田舎にある因習に満ちた家の養女となった少女と、後継の少年、その守り神である不思議な少女のお話。ファンタジーなんですが文章も厚みもだいぶまろやかで、ホラー要素のある児童書みたいな印象でした。
長男のために他の子どもを犠牲にするお家と、後継のそばにつく世話役兼呪術師の静江の存在がたいそう怖い。特に静江は何かにつけて邪魔をしたり企みを持っていたりするので、ものすごい脅威に感じられる。主人公が子どもたちなのでまた抗いようがないんだよなあ。
物語の最後にこの家がどうなってしまったのか。鷹丸は善き家を作ることができたのか気になりました。じい様と両親は身の破滅を招いていてほしいんですが、そうなると鷹丸がちょっとかわいそうだよなあと思いつつ。
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母から冷遇され笑顔を失った淑葉の慰めは、亡き母に教えられた書法に親しむこと。しかし、その能書の才さえも継母によって奪われてしまう……。そんな絶望の淵に沈む淑葉の元へ突然、皇兄・夕遼との政略結婚の命が下る。しかし、真に望まれていたのは淑葉の妹・香蝶ということが分かり!? すれ違う二人を繋ぎ、想いを伝えるのは、笑わぬ花嫁の筆ひとつ…! 婚儀から始まる中華麗麗恋物語。
甘く切なく……「書」をめぐる中華後宮ミステリー!(裏表紙より)
継母に冷遇されていた淑葉。皇兄と結婚するも、彼が本来望んだのは能筆家で有名な妹だった。半年たったら離縁すると宣言されてしまう淑葉だったが、書を通じて夕遼が本当のことを知るようになり、結婚を続行することにする。という第1話から、淑葉が本来の書の能力を取り戻すまでの第2話。身ごもった妃の一人の不義密通の疑いを晴らす第3話が一緒になった一冊。
筆跡を確かめて疑いを晴らすのはまさに捜査という感じで、面白く読みました。操作中にいちゃいちゃするのは、こらこら君たち時と場所を考えなさいという感じでしたが……笑
皇帝陛下が有能ゆえの歪んだ性質と諦観を持っている人のようなのでだいぶ気になります。この人かなり残酷だよなあ。
『――立ち去るがよい、外部者よ』
ついに辿り着いた、魔法大国ファルサス。しかし世界を害する“異物”と判ざれた雫は、非情にも王・ラルスに剣を向けられる。
ラルスと戦う決意をし、瀕死の重傷を負った雫の一方、エリクは過去を追憶する。自らが殺した、ある一人の少女のことを……。
そして“死者蘇生”の禁呪による事件で国中に暗雲が漂うなか、雫とエリク、二人の運命は分岐点を迎え――。
異世界の秘された“真相”が明らかに! 話題沸騰の大人気WEB小説が大幅加筆修正で書籍化!(カバー折り返しより)
おおー! おおおおおー! 第1章完! って感じの世界の秘密が明らかになったラストで、思わず前のめりになってしまった。どうして言葉が通じるんだろうという第1巻の言葉がここでくるかー!
ファルサス王ラルスの試しに身を賭した雫。助かった後は彼の側付きとしてこき使われるはめに。しかもこの国ではエリクは罪人とみなされているらしい。すれ違う二人だけれど一生懸命な雫はかっこいいし応援したくなる。エリクがいいなと思うと言うところ、そういうの大事だよねと深く頷く。
続き読みたいなあ。出ないのかなあ。Web版を読むか……。
極道だった実家のせいで、彼氏も仕事も長続きしない緋桜乃は、現在花屋のアルバイト。そこに整った顔に銀縁メガネをかけた男性客が現れた。祖父が義理と人情を守るため、東京下町に立ち上げた会社「NDY企画」への帰還の合図だ。いやいや帰った緋桜乃は、唐突な見合いを強要された上、結婚詐欺の被害者を救済しろと言われて——!? 義理と人情の下町事件簿!
だから、わたしは二代目なんて継ぎません!(裏表紙より)
読む順番が前後してしまいましたが、第1巻。
一話完結のドラマみたいでテンポがよくて好きな作品だなあと思います。「姐」になるところが「きたぞきたぞきたぞー!」と盛り上がるのがわかるので、さくっと読めてすぱっと気持ちいい。最後に菅野さんに気付いてもらえない、がっくし、っていうオチもいいんですよね。
菅野氏も堺氏もだいぶと難ありなので、早く三塚さんとくっつけばいいのになー。
『小説とかドラマって不思議だと思わない? 異世界でも言葉が通じるなんて』
ごく平凡な女子大生・水瀬雫は、砂漠に立ち尽くしていた。不思議な本を拾った彼女は気づけば“異世界”にいたのだ。
唯一の幸運は「言葉が通じる」こと。
魔法文字を研究する魔法士・エリクに元の世界の言語を教える代わり、共に帰還の術を探す旅に出る雫。しかし大陸は二つの奇病——子供の言語障害と謎の長雨による疾患で混乱を極めていて……。
自分に自信が持てない女子大生と、孤独な魔法士。出会うはずのない二人の旅の先、そこには異世界を変革する秘された“物語”が待ち受けていた。
藤村由紀名義でWEB上に掲載以降、絶大な支持をされた大人気WEB小説が大幅加筆修正で、ついに書籍化!(カバー折り返しより)
プロローグ的な第1巻。「緑の少女」って緑=黒髪のことだと思っていたんですが、どんぴしゃりで緑色の髪をしているメアのことだったのかな。
異世界召喚ファンタジーですが、言語の話が結構多くて異文化交流しているシーンがとても面白いです。甘さとは関係なく淡々と旅をしているところにすごく好感を持ちました。またエリクが淡白ながら有能で、知識欲はありつつもわきまえているところがとてもいい。無駄に冷めてたり熱かったりせず、程よい感じで「自分のしたいこと」をちゃんと実行する人間は見ていて嬉しいです。
雫とエリクは何をなすんだろう。サイトの方でも是非読んでみたい。
三年生になろうとしているある日、伊藤は言った。「津島、大丈夫か? チェロが、おとなしくなってる」。津島の懊悩をかえりみることなく、学校は、音楽エリート育成に力を入れ始めた。津島は、自らの未来に対する不安を胸に、チェロを弾き続ける。そして、運命の日が訪れた——。生きることの〈歓び〉と〈ままならなさ〉を歌い上げた青春音楽小説の金字塔、堂々完結!津島と伊藤の二十七年後を描いたスピンオフ短編「再会」を特別収録。〈解説・北上次郎〉
熱くも苦い青春、その三年間のお話だった。
サトルや彼らの若さや未熟さ、過ちを思い返すという形なので、それぞれが今はそれをきっちりと抱いた上で生きている、ということがわかるのがせめてもの救いかなあ。音楽を愛して、時間を捧げて、それでも自分は何になれるかわからないというのは、青春時代の(そしてそこから続く大人時代の)苦しみだよなあ。
金窪先生に謝罪できたことがいちばんほっとしたかな。先生はやはり大人で、きちんと怒ってきちんと受け入れ、そして激励できるんだなと思うと、こんなにできた人はいないという気がする。その頃のことをしっかり覚えているサトルの存在にも救われた。
北島先生とともに臨んだホーム・コンサートを期に、距離感を縮めた津島と南。高校二年生となり、さらに音楽漬けの日々が続く。新入生たちのレベルの高さに焦燥感を覚えながら、それぞれが責任のある立場でオーケストラ発表会に向けての練習に取り組む。だが、平穏な日々は長くは続かなかった——。
青春の〈きらめき〉と〈切なさ〉を奏で、怒涛の展開に読み出したら止まらない青春ストーリー、衝撃の第二巻。(裏表紙より)
進級と新一年生の存在、二ヶ月間のドイツ留学と、帰国後の南との別れ。
高校生の恋愛が幸せにくっついて終わるわけがないとは思っていたけれど、これはない、なあ……。南さん、だいぶとひどいことをしているような気がする……。それに伴ってサトルも壊れて、尊敬する金窪先生を追放してしまった。若さゆえのことなんだろうとは言い切れない、狡猾ささえ感じるサトルの行動に、彼が復活することはできるんだろうかと不安になる。
若きチェリスト・津島サトルは、芸高受験に失敗し、不本意ながら新生学園大学附属高校音楽科に進む。そこで、フルート専攻の伊藤慧やヴァイオリン専攻の南枝里子と出会った津島は、夏休みのオーケストラ合宿、初舞台、ピアノの北島先生と南とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、慌しい一年を過ごし……。
本屋大賞にノミネートされるなど、単行本刊行時に称賛を浴びた青春音楽小説三部作、待望の文庫化。〈解説・瀧井朝世〉
一人称で、ページに文字がびっしりなので、だいぶと読むのしんどそうだぞ、と思ったんですが、後半になるとすらすら読めるようになった。
裕福な家庭に生まれ、様々な教養を身につけつつも、芸高受験に失敗した結果、祖父が学長をしている学校の音楽科に進むことになったサトル。序盤は鼻に付く感じだったのが、才能のある同級生や厳しい先生、何より南枝里子という女生徒に恋をしたことで、だんだんと人間性が磨かれていく感じが、すごくいいなあと思う。
一巻はホームコンサートまで。サトルはどんな大人になって、南さんとはどうなるのかな。
失われた写本〈アシュモール782〉を狙う執拗な魔手が迫るなか、マシューはダイアナを連れ故郷フランスへ飛ぶ。孤高の城で待つのは冷血なヴァンパイアの女主人イザボー。だが魔女を憎むイザボーと心通わせるうち、ダイアナはマシューに隠された悲しい過去と、驚愕の真実を知ることになる。そんな矢先、ついに恐れていた事態が! ダイアナは強大な敵から愛する者を守るため、封印された謎を解き、自らに眠る未知の力を呼び覚ます事を決意するが……。魔法と科学と歴史が交錯する精緻なプロット、次々とたたみかけるミステリー、胸揺さぶるロマンス——新感覚ファンタジー!(裏表紙より)
話が、終わらなかったー!!
下巻はだいぶと話が動いたものの、上下合わせて1000ページかけてようやく第一部が終わったという感じ。長い……長いこの話……。魔女、ヴァンパイア、デーモンという三種のクリーチャーに関する独特の設定と、書物やら歴史やらの専門的な知識が次から次へと披露されて、非常に厚みがある世界観なんですがいかんせん話の進みが遅いのが難点だなあ。
「子ども」というキーワードはパラノーマルロマンスにおいてはやっぱり重要な意味を持つのだなあと感じる。
タイムトラベルをすると決めて、次から大きく話が動くのかなあ。
その本は図書館の奥でひっそりと眠っていた。彼女を待ちわびるように……。イェール大学の若き歴史学教授ダイアナは、錬金術の研究中にオックスフォードのボドリアン図書館で一冊の写本を手にする。褪せた金箔が放つ虹色のきらめき、鼻をつく不思議なにおい。それは彼女に何かを語りかけているように見えた。由緒ある魔女の家系に生まれながら魔法を否定して生きてきたダイアナはすぐに本を返却するが、やがて周囲で奇妙な事が起きはじめる。すべてはあの写本が原因なのか? ダイアナはオックスフォードの教授で天才科学者と名高いヴァンパイアのマシューと共に壮大な謎に取り込まれてゆくが——(裏表紙より)
由緒正しい魔女の家系に生まれながら、その力を疎んじ、自らの力でイェール大学の教授となったダイアナ。しかし研究のために一冊の写本を取り寄せたことで、ヴァンパイアであるオックスフォード大学の教授マシューと出会い、さらに様々なクリーチャーたちにつけ狙われることになってしまう。魔術師、魔女、デーモン、ヴァンパイア……彼らがそれほどまでに追い求める失われた写本〈アシュモール782〉とは?
パラノーマルロマンスなのかな。凄まじい潜在能力を秘めたヒロインであるダイアナと、知性があって美しいヴァンパイアのマシューの恋、そして写本をめぐるお話……なんですが。
300ページ読んでも話がまったくと言っていいほど進んでおらず、これだから海外翻訳小説は苦手なんだ……と思ってしまった。こういうものなんだけど、もうちょっとテンポよく展開してほしいなあ。