読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

木内鈴鹿、二十五歳、OL。
無邪気な少女だった頃は、「いつか王子様が——」なんて夢見ていたけれど、大人になったいま、そんなのはお話の中のことだけだって理解している。
ほどほどの自分に合う、ほどほどの人と結婚して、ほどほどに幸せな人生を歩むと思っていたのだけれど……
誰もが憧れるイケメン上司から突然のプロポーズ!
いったい何がどーしちゃったの!?
しっかり者のOLとイケメン上司の、ほのぼの&まったりラブストーリー。(カバー折り返しより)
おっもしろかったー! 友人からのオススメだったのを二年越しくらいにようやく読んだんですが、ノリが軽くてすごく楽しかった! 読みながら、何故かドラマの「ホタルノヒカリ」が頭をよぎったんですが、多分ヒロインの脳内突っ込み「隊長!」のせいだ。
中編の連作。プロポーズと一夜だけの話が冒頭にあるんですが、これだけでも、会社での立場とかどういう環境かとか、話の裏もしっかり分かってすごいなあと思いました。オフィスもので、しっかり書いてあるものは面白い! ヒロインが実はしっかり人脈持ってたりするお約束的なところもしっかり踏んでて、いいなあ。
ただ、ノリがだめな人はだめかなーと思います。一人称なので、ヒロインが脳内ツッコミが激しいのと(「隊長! これが墓穴というものですか!?」みたいな感じのやら、はううう!? みたいな奇声が多い)、言動がちょっと子どもっぽいのと。読んでると、実はしっかり社会の荒波にもまれ、かつすれてないところが分かってくると思うんですが、でもしらけてしまう人は合わないと思います。
私は、すっごくすっごく楽しく読みました! 二巻も読もう!
PR

舞台は遠く深海に広がる「海底国」。竜王の側室を務めていた秋茜は、その座を退き「火の一族」の次期当主・雷史のもとへ嫁ぐことになる。しかし自分よりも年上の妻を疎ましく思う夫とは、顔も合わさぬすれ違いの日々。ある晩、ふらりと立ち寄った夜闇の花畑でふたりは初めて言葉を交わし……
絵巻のような海底世界で繰り広げられる恋愛ファンタジー。(カバー折り返しより)
内容紹介から、てっきりヒロイン視点かと思ったら、ヒーロー視点でびっくりしました。いやしかし、政略結婚を男側から読むのって面白いなあ。
年上で、しかも元側室の女性を娶った、火の一族の若き跡継ぎ、雷史の、傍若無人で自分勝手な態度から、どんどんヒロインを振り向かせたい、笑わせたいと願うようになる、切なさがね! しかし冒頭の態度が子どもっぽい上に、他の女性との関係も描かれてしまっているので、しょっぱなは評価が低くなってしまうのだった。ヒロインはヒロインで、幸せなのか何を考えているのか分からない感じが、もうもどかしい!
最後はなんだかんだで幸せそうで何よりでした。

電車に揺られている私の膝の上には、楽譜が入ったキャンバストート。懐かしい旋律を奏でる彼の指が、私にたくさんのことを教えてくれる。雨の日に出逢った先生のもとへ通うのは、週に一度の金曜日。哀しく甘い、二人だけのレッスン。(帯より)
傷ついた女子大生、苑子は、誰も自分を知らないところへ行きたいとふらりと途中下車した駅の街で、懐かしい曲を奏でるピアノの音を聞く。誘われるように近付いたその家で、弾き手であった聡と出会い、不思議なことにピアノのレッスンを約束する。
雨の気配と、寂しさ、ほの暗さ。恋というよりも愛に近い、どろついた感情。雰囲気に満ちていて、すごくいい恋愛小説でした。こういう一人称、すごくいいなあ。読みやすいし、すごく綺麗。
アルファポリスさんのエタニティはライトですが、エタニティじゃない発行物は雰囲気あってセンスいいなあ。

“幸運のさる”を見つけた中学生が次々と姿を消し、盲導犬は飼い主の前で無残に殺されていく——。狂気の犯罪者が街に忍び寄る中、アーチェリー部主将の女子高生・マドカが不思議な邂逅を遂げたのは、この世界で最も無力な騎士だった。瑞々しい青春と社会派要素がブレンドされた、ファンタジックミステリー。(裏表紙より)
面白いと聞いていたのを、ようやく読みました。評判に違わずとても面白かった! 女子高生×幽霊×ミステリーです。騎士とか書いてるからもっとファンタジーなのかとびくびくしていたんですが、ちゃんと地に足がついた話だった。そして少し悲しい物語でした。
主人公マドカの、人のつながりがすごく楽しい。次へ、次へとつながって、表立って動いているのはマドカだけれど、みんなでみんなと街を守っている、という雰囲気がとてもいいなー!
ぞっとした事件は、インベイジョンの章。てっきりベッドの下に同居人が……みたいなホラーかと思ったら、もっと凶悪な犯罪だった。それから灰男の章は、アーチェリー持ち出したときキター! と思いましたが、もうどうなるかどきどきで必死に文字を追っていました。
本当に面白かった! 684ページの文庫なのにあっという間でした。

ミルギット帝国に滅ぼされた小国・アズル。王と妃は幼い王女を乳母に託して自決した。それから数年後。戦火を逃れ生き延びた王女——ヒンティは身分を偽り、美しい金髪の髪を染め、ミルギット帝国の王宮でした働きをしている。ある日、おつかいの帰りに川で水浴びをしていたところ、帝国の王子・サフラーに偶然出会う。自分を「運命の黄金の乙女」と呼ぶサフラーに強引に抱かれたヒンティは……?(裏表紙より)
古代エジプト風世界観のTL作品。エジプト風なのに現代語(カタカナ語、英語)が出てくるのはとちょっと思ったんですが、読みやすかったですし、古代エジプト風というのにちょっとときめきました。古代エジプト風ファンタジーのお約束をしっかり踏んでいっているので、そこは、TLらしいところを除くとさっぱりしすぎな気もしますが……。
義姉たるアンケスエーメ姫と婚約を控えている王子サフラー。大神官に「運命の黄金の乙女」と出会うことによって、王への道を歩むことになろうと予言される。そして滅亡した王国の王女ヒンティは、養母の教えを守って髪を染め顔を隠し、目立たぬよう生きていた。
もえる! 亡国の王女が見出され、敵国の王子に激烈に愛される展開は、やっぱり少女の夢……。その分、ヒロインがあっさり陥落してしまったので、そこはもうちょっと敵として命を狙いまくるとか、寂しさをヒーローの温もりで埋めたいとか、見たかったんですけど! 敵周りもあっさり引いてしまったので、ちょっと残念。古代エジプト風ならもうちょっとぎらぎらしてるのを読みたかったかもなあと思いましたが、しかしヒロインがえろ可愛いので! そこは可愛かった!
今のところ、TLシーンがたくさんある方が、ものとしてぶっ飛んでて面白いなと思っているんですが、もうちょっと読んで研究してみたい。

自衛隊演習場で、新兵器の実験中に暴走事故が発生。的場一佐率いる第三特別混成団が約460年前の戦国時代に飛ばされてしまう。一方、その影響と思われる虚数空間が日本各地に出現し、現代世界を侵食し始めた。的場たちを救出するため組織されたロメオ隊の一員として、救出作戦への参加を決めた元自衛官の鹿島は、タイムスリップで戦国時代へ飛ぶが、そこで待ち受けていたものとは!? 圧倒的スケールで贈るSF戦国アクション。(裏表紙より)
福井晴敏作品を求める人にはちょっと軽かったかな、という作品だったかなと思います。もっとどっしりがっしり、正義やら善悪やら人の尊厳やらを語ってくれるのが福井作品だと思うのですが、登場人物が多いのと短期決戦であることもあって、さっぱり終わってしまった。特に女性たちの事情がなんだかとってつけた感があって、どうしてだろうと首をひねる。もしかしたら私は怜という登場人物が嫌いなのかもしれない。
平成の文明を持ったまま消失した自衛隊の一団と、それらを救出、場合によっては対処するために送り込まれた鹿島たち。戦国時代で繰り広げられる戦い。爆発、キノコ雲、ヘリのホバリング、ランチャー、ミサイル、とほんまやったらえらいことやで! という爆発と音のオンパレードです。少々チープな印象を受けるのですが、それでも書ききったことがすごい。正直、もっと長く読みたかったと思う作品でした。

「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「ペルソナ」などのテレビゲームから、ウルトラシリーズや仮面ライダーシリーズなどのテレビヒーローもの、「ガンダム」「エヴァンゲリオン」「魔法使いサリー」「ひみつのアッコちゃん」「美少女戦士セーラームーン」「プリキュア」「ムーミン」「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」などのアニメ、「ベルサイユのばら」「綿の国星」「ホットロード」「ドラゴンボール」「ONE PIECE」などのマンガ、そして著者が専門の児童文学まで、あらゆるジャンルの「子どもの物語」を串刺しにして読み解く試み。そこから見えてきた、「子どもの物語」の大きな変化とは?(カバー折り返しより)
ゲーム、テレビヒーロー、アニメ、少女アニメ、少年マンガ、少女漫画、児童文学、から、その時代と子どもたちを照らし合わせつつ、どういう形で子どもに向けて作品を作っていたのか、ということに筆を割かれていたと思います。何故、少女向けと呼ばれるものが一歩出遅れたのか、という話もあり、興味深く読みました。
何故大人にならなければならないのかという理由が提示されないまま、学校へ行き、勉強し、学んできたけれども、今の社会は、子どもは大人になるべきだという一本の道筋だけではなくなってきているはずだ、とまとめています。子ども像、とは変化していくもので、才能あふれる子どもたちがどんどん前に出てくるように私は感じているから、マスメディアの力も相まって、様々な形の子どもと大人が現れると思います。
しかし面白かったなこの本。ゲームにも触れてあるのがすごい。面白かった。

とある高校の演劇部に所属する、さおり、ユッコ、ガルルは三年生となった。目標は、地区大会突破。しかし、学校に赴任した吉岡先生は、美人でかつ、学生演劇で有名な女優だったという。そこへ、演劇名門校から才能ある中西悦子が転校してきた。吉岡先生の影響で、演劇部は全国大会を目指していくことに……。
完全なる一人称というのか、さおりの視点で全部が語られるので、いちいち学校の様子がどうの周囲の景色がどうのという話はなく、さおり自身が何を考えているかという話の進め方なので、ちょっと独り言を言っている感じがして最初は読みづらかったものの、演劇が形になっていき、大会に行く頃には手に汗握っていました。どんな脚本になったのかというのが楽しみで、読み進めるのが楽しかった。
けれど、さおりが演劇と脚本に心を向けるようになってからは、どうも仲間たちとの関係がうすくなってしまった印象で、特に下級生たちはあんまりどういう子たちなのかが分からなかったのが残念。他の子が何を考えているのかが一人称では分からなくて、お話の距離がちょっと遠かった。でも、面白かったです。

萩尾望都、漫画家生活40周年記念! 20代の頃の貴重なエッセイ27本を数録。
——例えば20年前の日記を読みかえした時、自分の青臭さに、てれるでしょう。実に私もそうで、若いというか物知らずというか幼いというかピリピリイライラしているというか、困ったものです。四畳半と六畳の二間の下宿に住んで、黙々とマンガを描く日々でした。(「まえがき」より)◎解説=よしもとばなな
昔、様々なところで掲載されたエッセイをまとめた本。編集さんとのやり取りや、作家仲間との交流、漫画講座での出来事とか、旅行先で見たものとか。こうして読むと、萩尾先生は、とても品のよい方なんだというのが滲み出ている……。そうかと思うと、お姉様とのやり取りに、ちょっと心のささくれたところが見えたりして。
でも、一番気になる、「どういう風に話をつくっているのか」という内容はなかった。あのすごい話を、どうやって書いているのか、もっともっと知りたいのになあ。