読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

“幸運のさる”を見つけた中学生が次々と姿を消し、盲導犬は飼い主の前で無残に殺されていく——。狂気の犯罪者が街に忍び寄る中、アーチェリー部主将の女子高生・マドカが不思議な邂逅を遂げたのは、この世界で最も無力な騎士だった。瑞々しい青春と社会派要素がブレンドされた、ファンタジックミステリー。(裏表紙より)
面白いと聞いていたのを、ようやく読みました。評判に違わずとても面白かった! 女子高生×幽霊×ミステリーです。騎士とか書いてるからもっとファンタジーなのかとびくびくしていたんですが、ちゃんと地に足がついた話だった。そして少し悲しい物語でした。
主人公マドカの、人のつながりがすごく楽しい。次へ、次へとつながって、表立って動いているのはマドカだけれど、みんなでみんなと街を守っている、という雰囲気がとてもいいなー!
ぞっとした事件は、インベイジョンの章。てっきりベッドの下に同居人が……みたいなホラーかと思ったら、もっと凶悪な犯罪だった。それから灰男の章は、アーチェリー持ち出したときキター! と思いましたが、もうどうなるかどきどきで必死に文字を追っていました。
本当に面白かった! 684ページの文庫なのにあっという間でした。
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ミルギット帝国に滅ぼされた小国・アズル。王と妃は幼い王女を乳母に託して自決した。それから数年後。戦火を逃れ生き延びた王女——ヒンティは身分を偽り、美しい金髪の髪を染め、ミルギット帝国の王宮でした働きをしている。ある日、おつかいの帰りに川で水浴びをしていたところ、帝国の王子・サフラーに偶然出会う。自分を「運命の黄金の乙女」と呼ぶサフラーに強引に抱かれたヒンティは……?(裏表紙より)
古代エジプト風世界観のTL作品。エジプト風なのに現代語(カタカナ語、英語)が出てくるのはとちょっと思ったんですが、読みやすかったですし、古代エジプト風というのにちょっとときめきました。古代エジプト風ファンタジーのお約束をしっかり踏んでいっているので、そこは、TLらしいところを除くとさっぱりしすぎな気もしますが……。
義姉たるアンケスエーメ姫と婚約を控えている王子サフラー。大神官に「運命の黄金の乙女」と出会うことによって、王への道を歩むことになろうと予言される。そして滅亡した王国の王女ヒンティは、養母の教えを守って髪を染め顔を隠し、目立たぬよう生きていた。
もえる! 亡国の王女が見出され、敵国の王子に激烈に愛される展開は、やっぱり少女の夢……。その分、ヒロインがあっさり陥落してしまったので、そこはもうちょっと敵として命を狙いまくるとか、寂しさをヒーローの温もりで埋めたいとか、見たかったんですけど! 敵周りもあっさり引いてしまったので、ちょっと残念。古代エジプト風ならもうちょっとぎらぎらしてるのを読みたかったかもなあと思いましたが、しかしヒロインがえろ可愛いので! そこは可愛かった!
今のところ、TLシーンがたくさんある方が、ものとしてぶっ飛んでて面白いなと思っているんですが、もうちょっと読んで研究してみたい。

自衛隊演習場で、新兵器の実験中に暴走事故が発生。的場一佐率いる第三特別混成団が約460年前の戦国時代に飛ばされてしまう。一方、その影響と思われる虚数空間が日本各地に出現し、現代世界を侵食し始めた。的場たちを救出するため組織されたロメオ隊の一員として、救出作戦への参加を決めた元自衛官の鹿島は、タイムスリップで戦国時代へ飛ぶが、そこで待ち受けていたものとは!? 圧倒的スケールで贈るSF戦国アクション。(裏表紙より)
福井晴敏作品を求める人にはちょっと軽かったかな、という作品だったかなと思います。もっとどっしりがっしり、正義やら善悪やら人の尊厳やらを語ってくれるのが福井作品だと思うのですが、登場人物が多いのと短期決戦であることもあって、さっぱり終わってしまった。特に女性たちの事情がなんだかとってつけた感があって、どうしてだろうと首をひねる。もしかしたら私は怜という登場人物が嫌いなのかもしれない。
平成の文明を持ったまま消失した自衛隊の一団と、それらを救出、場合によっては対処するために送り込まれた鹿島たち。戦国時代で繰り広げられる戦い。爆発、キノコ雲、ヘリのホバリング、ランチャー、ミサイル、とほんまやったらえらいことやで! という爆発と音のオンパレードです。少々チープな印象を受けるのですが、それでも書ききったことがすごい。正直、もっと長く読みたかったと思う作品でした。

「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「ペルソナ」などのテレビゲームから、ウルトラシリーズや仮面ライダーシリーズなどのテレビヒーローもの、「ガンダム」「エヴァンゲリオン」「魔法使いサリー」「ひみつのアッコちゃん」「美少女戦士セーラームーン」「プリキュア」「ムーミン」「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」などのアニメ、「ベルサイユのばら」「綿の国星」「ホットロード」「ドラゴンボール」「ONE PIECE」などのマンガ、そして著者が専門の児童文学まで、あらゆるジャンルの「子どもの物語」を串刺しにして読み解く試み。そこから見えてきた、「子どもの物語」の大きな変化とは?(カバー折り返しより)
ゲーム、テレビヒーロー、アニメ、少女アニメ、少年マンガ、少女漫画、児童文学、から、その時代と子どもたちを照らし合わせつつ、どういう形で子どもに向けて作品を作っていたのか、ということに筆を割かれていたと思います。何故、少女向けと呼ばれるものが一歩出遅れたのか、という話もあり、興味深く読みました。
何故大人にならなければならないのかという理由が提示されないまま、学校へ行き、勉強し、学んできたけれども、今の社会は、子どもは大人になるべきだという一本の道筋だけではなくなってきているはずだ、とまとめています。子ども像、とは変化していくもので、才能あふれる子どもたちがどんどん前に出てくるように私は感じているから、マスメディアの力も相まって、様々な形の子どもと大人が現れると思います。
しかし面白かったなこの本。ゲームにも触れてあるのがすごい。面白かった。

とある高校の演劇部に所属する、さおり、ユッコ、ガルルは三年生となった。目標は、地区大会突破。しかし、学校に赴任した吉岡先生は、美人でかつ、学生演劇で有名な女優だったという。そこへ、演劇名門校から才能ある中西悦子が転校してきた。吉岡先生の影響で、演劇部は全国大会を目指していくことに……。
完全なる一人称というのか、さおりの視点で全部が語られるので、いちいち学校の様子がどうの周囲の景色がどうのという話はなく、さおり自身が何を考えているかという話の進め方なので、ちょっと独り言を言っている感じがして最初は読みづらかったものの、演劇が形になっていき、大会に行く頃には手に汗握っていました。どんな脚本になったのかというのが楽しみで、読み進めるのが楽しかった。
けれど、さおりが演劇と脚本に心を向けるようになってからは、どうも仲間たちとの関係がうすくなってしまった印象で、特に下級生たちはあんまりどういう子たちなのかが分からなかったのが残念。他の子が何を考えているのかが一人称では分からなくて、お話の距離がちょっと遠かった。でも、面白かったです。

萩尾望都、漫画家生活40周年記念! 20代の頃の貴重なエッセイ27本を数録。
——例えば20年前の日記を読みかえした時、自分の青臭さに、てれるでしょう。実に私もそうで、若いというか物知らずというか幼いというかピリピリイライラしているというか、困ったものです。四畳半と六畳の二間の下宿に住んで、黙々とマンガを描く日々でした。(「まえがき」より)◎解説=よしもとばなな
昔、様々なところで掲載されたエッセイをまとめた本。編集さんとのやり取りや、作家仲間との交流、漫画講座での出来事とか、旅行先で見たものとか。こうして読むと、萩尾先生は、とても品のよい方なんだというのが滲み出ている……。そうかと思うと、お姉様とのやり取りに、ちょっと心のささくれたところが見えたりして。
でも、一番気になる、「どういう風に話をつくっているのか」という内容はなかった。あのすごい話を、どうやって書いているのか、もっともっと知りたいのになあ。

中世のとある東洋の大国。皇帝の側室が住む後宮を舞台にしたミステリー。主人公は花街で薬師をやっている少女・猫猫。薬採りに森へ入ったときに人さらいにあい、後宮に売り飛ばされて下女として働くことに。あるとき、猫猫は、持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、後宮で生まれる赤ん坊の連続死をこっそり解決する。それを見抜いた美形の宦官・壬氏は、猫猫を皇帝の寵妃の侍女に抜擢する…………「毒見役」として。(帯より)
東のとある国の後宮を舞台にした物語。Ray Booksは大人向けの恋愛小説レーベルというイメージだったんですが、この前読んだ『ラブ*ハニー』のことも考えてみると、かなり軽めの話のレーベルなのですね? 思った以上に全体的にさっくり軽いのでちょっとびっくりした。もっと人間の暗部にずぶずぶ入って行く話かと思っていた……。
主人公、猫猫の冷めた態度が好き! 何事も我関せずという態度なのに、技術をしっかり持っているところがいい。隠し持っている人って好きです。そういう人がばさばさーっと事件を斬っていくのが好き。
皇弟の話がちらっと出たんであれーもしかしてー? と思ったんですがそんなことはなかった。残念。

“カオルコ少女”が5〜10歳の頃夢中になった、昭和40年代の少女漫画。『なかよし』『りぼん』『マーガレット』、舟木一夫モノや、王道の恋愛&スポーツ、初めて見たヌード……驚異の記憶力と共に、鮮やかに甦る漫画たち。知らない人でもなぜか懐かしく笑える、不思議なノスタルジック・エッセイ。〈文庫オリジナル〉(裏表紙より)
少女漫画論ではなく、著者が読んできた少女漫画の思い出を綴るエッセイ。作品、作家だけでなく掲載誌を読んだ思い出なども綴ってあり、読者目線の「あの頃の少女漫画」を知るにはいい一冊かもしれない。研究には向かないけれど。なので、文の内容がちょっと独特で主観的でしたが、あんまり少女漫画論で触れられない作家に焦点を当てていたりもして、面白かったです。

結婚相談所「ローズマリー」の見習い所員・麻衣が入会希望者と間違えて勧誘したのはビルオーナーの須藤隼人だった。
思わぬ失態にあわてる麻衣に、隼人は恋愛経験がまったくないことを明かし、恋愛の仕方を指南してくれと言い出す。
恋の“先生”と“生徒”として始まったふたりの関係は、どうなる——!?(カバー折り返しより)
アルファポリスの現代恋愛もの。読み始めて衝撃を受けたのは、ヒロイン一人称の上に、読者に話しかけてくるぞ……! ということでした。なんだか懐かしい感覚で笑ってしまった。子どもの頃読んでた少女小説ってこんなだったなーと。
結婚相談所で働く若い女性が、不動産持ちの御曹司と恋に落ちる。このヒーローがなかなかつかみ所のない人で、天然なのか世間知らずなのか、ちょっと感覚が変。そこが可愛いなあと思った時点ではまってるんでしょうね。麻衣は割とぱきっと物を考えたりてきぱきと動いたりするので、時間の流れが違う須藤は大丈夫なのかなと思ったりしましたが、最後の短編ではどうやらばっちりヒーローをやってくれているみたいなので安心しました。
婚約者がいる設定でのお約束はそれほどなく、ずっと麻衣がぐるぐると考えていたり、必死に自分の気持ちを隠そうとしていたりと、一生懸命なヒロインが可愛いなと思いました。