読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

火鍛冶の匠を父に持つ少女・沙耶。鉄を鍛え、武器や道具を作り出す父に憧れ、自分も火鍛冶になることを目指す彼女だが、この世界には、女は鍛冶をしてはいけないという掟があった。男と偽り、鍛冶を続けていた彼女に、都からとんでもない以来が。それは20歳になる麗しの王子に、剣を鍛えてほしいというもので…。叶わぬ夢に身を焦がす男装少女の、鉄と炎の和風ファンタジー!(カバー折り返しより)
禁じられた女の火鍛冶、男と偽って父の跡を継いだ少女が、名を挙げようと魔剣を作り出したことによって事件が起こる。沙耶の勇ましい男装具合に惚れ惚れ。
自分の心の闇と向き合う話で、望む自分と本来の自分に揺れ動く心にはらはらさせられっぱなしでした。加津稚と護足はそのどきどきの中で大変癒しになりました。最後まで三人が喋っているところが微笑ましかった。その最後が恋愛ものとしても美味しくて、とても面白かったです。
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額に目の刺青を持つ少女・伊予は、死んだ人の魂を黄泉に送る力を持つ「送り人」だ。平穏に暮らしていたある日、伊予は死んだ狼を蘇らせてしまう。その力が、美貌の覇王・猛日王の知るところとなり、伊予は猛日王に狙われることに。そんな彼女を救ったのは、命を助けた狼の闇真だった。絆だけを頼りに、少女と狼の冒険が始まる!!(カバー折り返しより)
古代日本を舞台にしたファンタジー。イザナギイザナミの神話をくんで、黄泉の大女神の元に魂を送る、黄泉送りの力を持つ伊予。滅ぼされた一族の末裔であることを知らされた時から運命が始まる。
蘇りの力と、人の浅ましい願望と、この世と異界と、まだ神話が混ざり合っている世界の物語で、力を持て余し、翻弄されている伊予が、次第に輝きを帯びてくるまでが描かれています。少女らしい揺れ動きとか、周囲に振り回されている感じとか、伊予自身が強くなった瞬間が本当にもう! 大好きすぎる。
できれば闇真との話がもっと見たかったな! 異界の魔性の王なんて設定は大好物です。狭霧もまだまだ子どもという感じで、男前を予感させるシーンが欲しかったですよ! だが成長した男の子にどきりとするシーンがあると想像するだけでよだれが出そうだ。

貧困層の子どもたちが多く通う高校の放課後活動「コミックブック・クラブ」で、高校生たちは日本のマンガを読み、愛し、自らも作品を創作することで、人生の新たな一歩を踏み出した。アメリカのティーンエイジャーはなぜ、日本のマンガに惹かれるのか。「クール・ジャパン」の底力はここにある!
「私たち教育に携わる者は、目の前にある機会をまっすぐ見つめなければならない」(著者)。
(カバー折り返しより)
アメリカの高校生の放課後活動について書かれたもの。「コミックブック・クラブ」の設立と、生徒たちの環境や描き出すものについて書かれています。日本のものが「クール・ジャパン」と受け取られる現象について興味があったので、高校生がマンガをどのように受け止めているのかというのはすごく面白かった。受け止めるだけではなくて、彼らなりに消化して作品を創っているところがすごい。日本とアメリカではやっぱり感覚が違うので、生徒の作品を読んで、マンガと一口に言っても違うものなんだなあ。
「あなたの物語は? 何について興味があるの?」と生徒ひとりひとりと向き合った、プロジェクトの大人たちに拍手。

ファスール王国は、神官の託宣が何よりも力を持つ国。ところが、国母の第一王女・アスタナに、「この国に仇なす」「この国を救う」という、全く異なる二つの託宣が下る。結果、なんとアスタナは、同時期に生まれた異母姉妹と、密かに入れ替えて育てられることに——。
十七年後。第二夫人の娘として、男勝りに育ったアスタナは、シーハンからの美しき留学生・サルーと、運命的な恋に落ちる。波乱の王女の青春をえがく、ドラマチック・ファンタジー!(カバー折り返しより)
『碧空の果てに』『白い月の丘で』に続く大平原の国々を描くファンタジーの三冊目。前作『白い月の丘で』から数年の後、前作でもちらりと語られた神託の国ファスールでの物語。
このヒロイン、アスタナが男勝りな上、ちょっと風変わりなところがあって面白かった! 彼女が男っぽくどこか超然としている理由がだんだんと分かってくると、なんだかすごくいとおしく思えてきてしまった。かと思うとやはり支えを必要としている女の子でもあって、サルーがんばれ! と応援をしてしまいます。これから彼女たちの物語がどこかに根を下し、新しい物語と繋がるのかと思うと楽しみ……なんですが、最近銀のさじシリーズ出てないみたいだからなあ……。他の話も読みたいよー。
このシリーズの何が好きかって、前作の人たちがちゃんと自分の成すべきことを成して、よりよい世界を次代へ繋げるためにちゃんと生きていると分かるところなのです。それから今回も赤石の魔除け石が出てきてにやーっとした。

ハジュンは、強国アインスに滅ぼされたトール国の王子。ひそかにシーハン公国へと脱出し、過去を捨てて成長したが、十年ぶりに、故国に帰ってくる。アインスに虐げられ、音楽まで禁じられたトールの現状に穏やかではいられないハジュンだが、美しく成長した幼なじみで笛の名手のマーリィと、心通わせていく。しかし、マーリィの元に足しげく通ってくる謎の青年カリオルが、実は、仇であるアインスの王子だと知って——!?(カバー折り返しより)
亡国の王子が故国へ帰還した。王子はシーハン公国へ亡命し、学院長や学院の優秀な先輩、更に強く賢い師に学んで、健やかな青年に成長していた。故国へ戻ってきたのは師に言われて見聞を広めるため。王になどなるつもりはなかったけれど……。『碧空の果てに』の次の話にあたります。……こう書けば上記の私の微妙な説明で誰が出てくるか分かるはずだ!笑 面白かった。
てっきり三角関係でどろどろしていたり、敵国の王子が憎い、という話になるのかと思いきや、やはりシーハンで学んだだけあってハジュンは賢い人でしたし、アインスの王子であるカリオルも気持ちのいい若者で、マーリィを挟んだちょっと切ない三人の関係がいとおしいなと思えました。この話に出てくる若者たちは、つい応援したくなってしまう清々しさがあると思います。
草原の国の、様々な国の変化を書くシリーズっぽいので、主人公たちは新しい時代を担うけれど、一方で変わることのできない大人たちの存在があったり、その国独自の文化や考え方があったりと、変わることの難しさをしみじみ感じる本でもありました。

十七歳のメイリン姫は、並はずれた大力の持ち主。
心配した父は早く婿をとろうとするが、自分がもっと自由に生きられる場所を求め、男のふりをして国を飛び出す。
たどり着いたのは賢者の国シーハン。そこで彼女は、足が不自由だが鋭い頭脳で国を守る、美貌の青年首長ターリと出会う。
「わたしがあなたの『足』になります」孤独なターリのもとで、大力をかくし従者として仕えるメイリン。やがて心を通わせた二人は、シーハンの侵略をねらう大国アインスと対決することになる!(カバー折り返しより)
草原の香りのするファンタジーでした。さっぱりした文章で展開もあっさりめですが、なぜだかとても好きだわ! と思いました。メイリンは女らしくもなく、かというと男らしいわけでもなく、優しさと賢さを備え持った主人公で、読んでいて清々しい人だなあと思う。もっと心理描写があったら男らしい女らしいどちらかの印象の針がどっちかにふれたかもしれない。
鋭くも嫌みで意地悪なターリは、最初から「こりゃすぐ落ちるな」と思わせるほどのツン具合だったんですが、デレがまさにデレでしたね! メイリンにメロメロという感じで、それでも彼女を風に解き放ったのだから、この人はやはり懐の深い人だったんだなと思いました。