読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
貧困層の子どもたちが多く通う高校の放課後活動「コミックブック・クラブ」で、高校生たちは日本のマンガを読み、愛し、自らも作品を創作することで、人生の新たな一歩を踏み出した。アメリカのティーンエイジャーはなぜ、日本のマンガに惹かれるのか。「クール・ジャパン」の底力はここにある!
「私たち教育に携わる者は、目の前にある機会をまっすぐ見つめなければならない」(著者)。
(カバー折り返しより)
アメリカの高校生の放課後活動について書かれたもの。「コミックブック・クラブ」の設立と、生徒たちの環境や描き出すものについて書かれています。日本のものが「クール・ジャパン」と受け取られる現象について興味があったので、高校生がマンガをどのように受け止めているのかというのはすごく面白かった。受け止めるだけではなくて、彼らなりに消化して作品を創っているところがすごい。日本とアメリカではやっぱり感覚が違うので、生徒の作品を読んで、マンガと一口に言っても違うものなんだなあ。
「あなたの物語は? 何について興味があるの?」と生徒ひとりひとりと向き合った、プロジェクトの大人たちに拍手。
ファスール王国は、神官の託宣が何よりも力を持つ国。ところが、国母の第一王女・アスタナに、「この国に仇なす」「この国を救う」という、全く異なる二つの託宣が下る。結果、なんとアスタナは、同時期に生まれた異母姉妹と、密かに入れ替えて育てられることに——。
十七年後。第二夫人の娘として、男勝りに育ったアスタナは、シーハンからの美しき留学生・サルーと、運命的な恋に落ちる。波乱の王女の青春をえがく、ドラマチック・ファンタジー!(カバー折り返しより)
『碧空の果てに』『白い月の丘で』に続く大平原の国々を描くファンタジーの三冊目。前作『白い月の丘で』から数年の後、前作でもちらりと語られた神託の国ファスールでの物語。
このヒロイン、アスタナが男勝りな上、ちょっと風変わりなところがあって面白かった! 彼女が男っぽくどこか超然としている理由がだんだんと分かってくると、なんだかすごくいとおしく思えてきてしまった。かと思うとやはり支えを必要としている女の子でもあって、サルーがんばれ! と応援をしてしまいます。これから彼女たちの物語がどこかに根を下し、新しい物語と繋がるのかと思うと楽しみ……なんですが、最近銀のさじシリーズ出てないみたいだからなあ……。他の話も読みたいよー。
このシリーズの何が好きかって、前作の人たちがちゃんと自分の成すべきことを成して、よりよい世界を次代へ繋げるためにちゃんと生きていると分かるところなのです。それから今回も赤石の魔除け石が出てきてにやーっとした。
ハジュンは、強国アインスに滅ぼされたトール国の王子。ひそかにシーハン公国へと脱出し、過去を捨てて成長したが、十年ぶりに、故国に帰ってくる。アインスに虐げられ、音楽まで禁じられたトールの現状に穏やかではいられないハジュンだが、美しく成長した幼なじみで笛の名手のマーリィと、心通わせていく。しかし、マーリィの元に足しげく通ってくる謎の青年カリオルが、実は、仇であるアインスの王子だと知って——!?(カバー折り返しより)
亡国の王子が故国へ帰還した。王子はシーハン公国へ亡命し、学院長や学院の優秀な先輩、更に強く賢い師に学んで、健やかな青年に成長していた。故国へ戻ってきたのは師に言われて見聞を広めるため。王になどなるつもりはなかったけれど……。『碧空の果てに』の次の話にあたります。……こう書けば上記の私の微妙な説明で誰が出てくるか分かるはずだ!笑 面白かった。
てっきり三角関係でどろどろしていたり、敵国の王子が憎い、という話になるのかと思いきや、やはりシーハンで学んだだけあってハジュンは賢い人でしたし、アインスの王子であるカリオルも気持ちのいい若者で、マーリィを挟んだちょっと切ない三人の関係がいとおしいなと思えました。この話に出てくる若者たちは、つい応援したくなってしまう清々しさがあると思います。
草原の国の、様々な国の変化を書くシリーズっぽいので、主人公たちは新しい時代を担うけれど、一方で変わることのできない大人たちの存在があったり、その国独自の文化や考え方があったりと、変わることの難しさをしみじみ感じる本でもありました。
十七歳のメイリン姫は、並はずれた大力の持ち主。
心配した父は早く婿をとろうとするが、自分がもっと自由に生きられる場所を求め、男のふりをして国を飛び出す。
たどり着いたのは賢者の国シーハン。そこで彼女は、足が不自由だが鋭い頭脳で国を守る、美貌の青年首長ターリと出会う。
「わたしがあなたの『足』になります」孤独なターリのもとで、大力をかくし従者として仕えるメイリン。やがて心を通わせた二人は、シーハンの侵略をねらう大国アインスと対決することになる!(カバー折り返しより)
草原の香りのするファンタジーでした。さっぱりした文章で展開もあっさりめですが、なぜだかとても好きだわ! と思いました。メイリンは女らしくもなく、かというと男らしいわけでもなく、優しさと賢さを備え持った主人公で、読んでいて清々しい人だなあと思う。もっと心理描写があったら男らしい女らしいどちらかの印象の針がどっちかにふれたかもしれない。
鋭くも嫌みで意地悪なターリは、最初から「こりゃすぐ落ちるな」と思わせるほどのツン具合だったんですが、デレがまさにデレでしたね! メイリンにメロメロという感じで、それでも彼女を風に解き放ったのだから、この人はやはり懐の深い人だったんだなと思いました。
雪が降り続ける世界。普通の人と目の色が異なるオッド・アイの少女ハルカと弟のユキジは、異能を持つために悪魔と呼ばれ、教会に追われていた。ハルカは心を失った双子の弟ユキジの手を引いて〈楽園〉を探す。旅の最中に出会った青年ウォーテンは二人が悪魔であることを知っても態度を変えなかった……。一方、悪魔を狩る役目を担う「狩人」の青年ルギは、教会に疑問を抱き始めていた。ハルカとユキジは、〈楽園〉の在り処を知るが、「狩人」たちに追い詰められて……。
——お願い。なにも望まないから、なにも奪わないで。
第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞受賞作。(裏表紙より)
私が読んだのはノベルズ版。文庫版も貼っておく。
初夏の暑い日に、アイスクリームを食べながら読む。
静まり返った世界で、白い息を吐きながら、歯を食いしばったり、熱い涙を堪えたりする話だったなあ……と思いました。切ない。しんとする。悲しいけれど、一生懸命前を向いて目をそらさないでいたい。主人公のハルカが、心をなくした弟の手を引いて雪原を歩く、そのシーンの美しさが。美しい逃亡者のお話だったなと思います。
人の優しさ、醜さ。神の在処。楽園を求める少女たち。展開は予測できていたけれど、空気感の美しさに引き込まれました。面白かった。
サンホラーな私は「ねえ、その楽園にはどんな花が咲くの?」という話だなと思ったりしました。
作者さんがお若くしてデビューしていてびっくりする。はああああ……すごいなあ!