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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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王女リーズ―テューダー朝の青い瞳 (講談社X文庫―ホワイトハート)
 三歳にして母を処刑され、異母姉メアリに口がきけなくなるまで虐待されたリーズ。
 のちにスペイン無敵艦隊を破り、大英帝国の母となったエリザベス一世の少女時代は、孤独の闇に閉ざされていた。
 しかし王女の運命は、海風のようにさわやかな護衛官セシルに出会い、飛翔を始める。
 やせっぽちの王女が、身分違いの恋に翻弄され、ついにはイギリス絶対王政の頂点に立つ。グレイト・ブリテン・ラブストーリー。(裏表紙より)

歴史ロマンス。エリザベス一世の少女時代の物語。世界史はぜんぜん得意じゃないので、好きなようにどきどきして読みました。
とんでもなく面白かったです。歴史って、すごい。
主人公たるリーズの葛藤よりも、彼女を取り囲む男たちの物語が濃い。振り回されながらも側に居続けようとするセシル、恐らくは庇護欲を持ったフェリペ、父のように包んだシーモア、彼女の母を愛したゆえに葛藤するクルス、そして、少年時代に関わったドレイク。それが、国の存亡という出来事に複雑に絡み合いながら、歴史を紡ぎ上げていく。
ロマンスよりも、歴史の重みをしっかり感じる本でした。
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こちら救命センター 病棟こぼれ話 (集英社文庫)
「ハイ、救命センターの当直です」「24歳の女性なんですが、眠剤を多量に飲んで意識がないんです」「わかりました。すぐ搬送してください」消防署からの依頼である。救命救急センターの電話は、途切れることがない。死ぬか生きるか24時間態勢で取り組む救命救急センターの若き医師と、看護婦、そして患者が織りなす、心温まるドキュメンタリー。(裏表紙より)

看護婦さん向けの雑誌に掲載されたエッセイをまとめたもの。筆者はお医者さんです。私自身、家族親戚のことでここ三年ほどよく病院のお世話になっているので、興味深く読みました。
お医者さん、看護婦さんというフィルターを通すがゆえに、その人たちが同じ悩める人々であるというの忘れていることを実感。浜辺さんと看護婦さんたちの会話は、医療という仕事に悩める人たちのもので、様々な人と関わるだけにとても苦悩が大きいのだな、と思いました。
それでも、奇蹟のような出来事は本当に起こっているのだ、ということも分かり、生きることそのものに近い職業なのだなあとも思いました。
マリア―ブランデンブルクの真珠 (講談社F文庫)
 十七世紀半ば、現在のドイツは三百の国家が割拠していた。その一つ、ハルバーシュタット公国は、若き選帝侯率いるブランデンブルクに、まさに攻め落とされようとしていた。
 令嬢の身代わりに城に残った宰相の娘マリアは、父を処刑した選帝侯に誕生日を迎えたばかりの十四歳の身体を奪われた。
 身を傷つけながらも、愛と生きる道を必死に探る少女。凛と前を見つめる瞳は、彼女の強い意志を宿していた。
 禁断の愛、裏切り——身体の奥から熱くなる! 息をもつかせぬ歴史ロマンスの傑作!(裏表紙より)

再読。すごーくすごーく面白かった! 当時読んだ時も高校生とかそのくらいでしたが、今読んでもきゅんきゅんしっぱなしでした。歴史ロマンスいい!
どきどきする始まり方から、十四歳のマリアが選帝侯フリードリヒに包まれるまで、包まれてもそのさきの戦いや、思いに、ずっと胸をときめかせて読みました。マリアだけの視点ではなくて、フリードリヒがマリアに恋をしている(あの選帝侯が! あの女遊びの激しい男が!)というのがもう、たまらん! お互いを大切に思うがゆえにのすれ違いもおいしゅうございました。
マリアが、少年のようにとても激しいかと思ったら、あっという間に打ちひしがれてしまう十四歳の少女でもあって、そのアンバランスさが魅力的でした。フリードリヒも、大人の男性なのに少女に振り回されるようで、かわいらしい。
面白かった。おすすめです!
クレヨン王国のパトロール隊長 (講談社青い鳥文庫 (20‐4))
 5年生のノブオは、右田先生にしかられ、山おくへかけだしました。道にまよって、林の中の一けん家をたずねると、洋服を着たフクロウが……。いつのまにか、クレヨン王国へまよいこんでいたのです。ノブオは、王国のパトロール隊長として、冒険の旅に出ます。楽しい読み物に子どもの主張をおりまぜた「クレヨン王国」シリーズ2作め。(裏表紙より)

先生と折り合いがよくなく、いじめられているような状態のノブオ。先生は一般的にはいい先生だと言われているのに、ノブオにだけ辛く当たる。その冒頭が辛いなあと思いました。贔屓する先生は確かにいるし、当たりのきつい先生も存在すると、知っているから。
でも先生は何故ノブオを嫌うのかなあとも思う。瞬間的に嫌な態度を取ってしまうのかな。
作中で泣きそうだったのはワレモコウの話。ワレモコウへのいじめはひどい。
クレヨン王国で起こる出来事の数々が現実を暗示させていて、思わず唸るほどうまく描かれているように思えました。うまいとか言いたくないんですが、でも、すごかった。そうなんだ、そうだったんだ、とすんなり納得出来たのです。
明らかな解決は描かれていなくとも、ノブオ自身がクレヨン王国での冒険で成長して、変わったようなのが最後なので、うまくいくといいと祈っています。
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))
トム・ロングは、はしかにかかったピーターから隔離されることになり、おじさんおばさんの住むアパートにやって来た。退屈な夏休みにうんざりしていたトムだったが、アパートにある大時計が真夜中に十三時を打ったことで、不思議な出来事に遭遇する。

時間をテーマにした作品。私が読んだのはハードカバーなのですが、手に入りやすいこちらを貼ってみる。
ごみごみした街の中、あるはずもない美しい庭園を見ることになるトム。そこで出会ったのは、ひとりの女の子。どうやらトムの姿は誰にも見えないらしいのに、彼女、ハティにだけは見えるよう。
少年少女の出会いと子どもらしい遊び。子どもを振り回す大人の都合が見え隠れしながら、それでも無邪気に遊ぶ彼らになんだかにっこりしてしまう。庭園が、とても素敵。一人でも楽しく遊べるくらい、すごくいきいきとして描かれています。裏庭ってイギリスではかなり重要な意味を持つのかな(例:梨木香歩『裏庭』)
結末はうるっときてしまう。時間と時間が重なり合う瞬間は、とてもいい。
クレヨン王国の十二か月 (講談社青い鳥文庫)
 大みそかの夜、ユカが目をさますと、12本のクレヨンたちが会議をひらいていた。クレヨン王国の王さまが、王妃のわるいくせがなおらないうちはかえらない、といってゆくえをくらましたのだ。おどろいた王妃は、ユカといっしょに王さまをさがしもとめて、ふしぎな旅に出る。(裏表紙より)

なんだか読みたくなって読んでみた。
12ヶ月の街を回る冒険もの。大人と子どもの旅、だけれど、王妃は本当に子どもみたいで、仲良しの友達と一緒に冒険しているみたい。思いがけない出来事に出会ったり、知恵を使ったり、とても楽しかった。最後のがいこつとの戦いは、どきどきしながら読んだ。あそこで王様が活躍するのは反則! 王妃もかっこよかった!
夢が冒険の入口だったけど、物語が夢オチらしくないのも、とても素敵だった。
崔風華伝 (講談社X文庫―ホワイトハート)
李巴陵は、先帝の後宮の美人であったが、のちの嵩帝竜基の寵を受け、貴妃となる。この異例の厚遇ゆえ、巴陵は嫉妬と権謀術数の渦にのみこまれる。折悪しく、国運の傾いた崔に殉じ、希代の恋で結ばれた二人は死す。が、唯一の娘小虎によって、仇討ちが……。
——17歳(応募時)でこれだけ書けるという驚きに満ちた、はるか中国古代の幻の帝国・崔に託したロマンと哀しみの叙事詩。
第1回ホワイトハート大賞「佳作」受賞作。(カバー折り返しより)

ついったーで、この方の別作品のお話をされていたので、気になって買ってみました。
17歳がこれを書いたのか! と思う作品でした。中華風ファンタジーです。あらすじの通りの内容なのですが、三分の二ほどが巴陵の物語、残りが小虎の物語で、登場人物の心情などはあまり書かれず、淡々と物語が進みます。この安定感はすごい! と思いながら、もうちょっと盛り上がりが見たかったなあとも思いました。もっと書き込めば、とても壮大な物語になったと思うんですが!
後宮ならではの色々がたいへん美味しかったです。寵愛を受けることとか、嫉妬や毒殺とか、間男とか! それにしても、二人が死ぬところの、嵩帝の台詞がどーんと来すぎてすごかった。この瞬間の好感度の上がりっぷりが半端なかった。
放課後 (講談社文庫)
校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を二人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将——犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第二の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。

舞台は青春だけど、全然青春してないよー! と叫びたい。
私には乾いた大人に感じられた、数学教師の視点で、殺人事件とその推理が行われる。彼はマシンと渾名されるほど、授業を淡々と行う教師。同僚は、陽気で軽薄な人物や、生徒たちを選別して卑下する人物、ワンマン経営をする上司、など。
決して厚くはないのに、ぎゅっと陰鬱さや陰湿さが詰まっている感じ。この謎はどこに持ち越されるのかと思ったものが、どーんと来た瞬間、思わず「わあああああ」と頭を抱えてしまった。それはない、それは……。
ころころろ
若だんなの目から光りが消えた。突然目の見えなくなった若だんなをなんとかしようと、妖たちがあちこちへ動き回る。きっかけは、若だんなが12歳の時の事件。それは、神たるお人の仕業らしく。

いつもの短編集かと思ったら、短編を繋げた長編。繋がってる感があって楽しかった!
「けじあり」がちょっとホラーで面白かった。女性問題なのに仁吉じゃなくて佐助かーとか。
「鬼はそいつらなのよ。あたしじゃない。あたしじゃない。あたしを嫌わないで。どうして分かってくれないの!」

いつもタイトルがシンプルでよく分からない言葉が使われているので、これはどういう意味なんだろう? と考えるのが楽しかったりしました。

一番好きだったのは「物語のつづき」。この騒動の原因たる生目様の問答がとても面白い。桃太郎と浦島太郎と、神様と娘の恋物語の続きは? と問答をするお話。童話(民話)キタコレ! とか思ってた。ラストの締め方には「あああ……」となってしまった。若だんながいずれ直面する問題がある。そろそろそういう方面の問題を……と思うところもあるけれど、相変わらずあったかいシリーズだなと思います。

「神は人に、時に、置き去りにされる」
にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)
落ちぶれた愛人の源七とも自由に逢えず、自暴自棄の日を送る銘酒屋のお力を通して、社会の底辺で悶える女を描いた『にごりえ』。今を盛りの遊女を姉に持つ14歳の美登利と、ゆくゆくは僧侶となる定めの信如との思春期の淡く密やかな恋を描いた『たけくらべ』。他に『十三夜』『大つごもり』等、明治文壇を彩る天才女流作家一葉の、人生への哀歌と美しい夢を織り込んだ短編全8編を収録する。(裏表紙より)

難しかった、です! だめだーこの文体合わないーと思いながら苦しく読みました。
一番好きだったのは「大つごもり」かなあと。「たけくらべ」もいいと言えばいいのですが(雨のシーンとか!)でもやっぱり私には読みにくかったです。だから感想が書きにくい。
解説には写実性を賛美されているようですが、その時代のことを知らないのであまり理解がなかったりするので、各々の作品に登場する未来性が決定されている者たちについては、なるほどなあと思ったり。
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Author:月子
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