読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ソーントーンの見習い魔女ジリオンは、瞳を封印され、山の館に戻れなくなっていた。青狼の毛皮をまとった王子と大海原をさまよううちに、二人は竜の部族の女戦士たちに囚われてしまう。その日からジリオンは、部族を救う巫女姫になることを求められるのだった。しかし、閉ざされた瞳は邪悪な石の瞳、いま、廃墟の城でその封印が解かれてしまった! 好評の本格異世界冒険ファンタジー。(裏表紙より)
なんとか世界が闇に飲まれるのを阻止したものの、ジリオンは未だソーントーンには戻れない。だがその目をしばらく封じることで禊を行えばそれも可能になるという。彼女の後見人になることを承諾したユルスュールとともに海に漕ぎ出たジリオンは、竜の部族にとらわれてしまう。そしてジリオンの魔女の力が、再びこの世ならざるものを呼び寄せてしまい……。
闇落ち! な二巻。ジリオンがすっかり乗っ取られてしまい、ユーリは別行動。しかしここで不思議な力を持っていそうな新キャラも登場し、もつれあう糸はどこでほどけるのか、という引きでした。
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ジリオンは14歳の魔女見習い。山深いソーントーンの館から、はじめて下界に下りてきた旅の途中、剣の形をした貴重な魔法石サイトシリンを、青狼の毛皮をまとった男に奪われてしまう。石の行方を追って、ジリオンの孤独な旅がはじまった——。白馬の王子、青い狼、ねじれた城、邪悪な魔王etc.を配してみずみずしいタッチで贈る、著者初の本格異世界冒険ファンタジー・シリーズ第一弾。(裏表紙より)
ソーントーンの魔女は雪の季節には山に帰る。下界に残っている魔女は災いを呼ぶものとして忌避される。そんな中、魔女の石であるサイトシリンを奪われてしまったジリアンは、石を取り戻す旅に出る。
一方、石を奪った男はとある王国の王子ユルスュール。滅んだ国の王女グウェンドリンと彼女にまつわる因縁を断ち切るため、旅に出ていた。
そんなふたりの物語が交差する、その始まりのお話。
とてもしっかりした印象のファンタジーで、本来ならユーリのお話がメインであるところを、ジリアンの物語がかぶさっているのがとても面白いなあ。本格ファンタジーならユーリで、少女向けならジリアンが主人公なんだろうけれど、このふたりがどこにたどり着くのか楽しみだ。
豪商の家に生まれ、天性の商才を持ちながらも、側室の娘ということで疎まれていた香月。
取引先の当主(80歳)に売られたも同然の政略結婚を決められた彼女だったが、その輿入れの道中、悪党集団に攫われてしまう!
頭目である烈英の前に連れられ、すっかり人生を諦めつつあった香月だが、目の前で繰り広げられる悪党どものどんぶり会計に、つい口出しをしてしまったことから、事態は思わぬ方向に進み……。
ソロバン片手に悪党を更生!? 実家に見捨てられた令嬢の逆転劇はここから始まる——!
冒頭3ページ目に誤字があってずっこける。「神」じゃなく「袖」ですよね多分……。
トントン拍子に進んでさっくり読める、中華風ファンタジー。上記の内容紹介はだいぶと盛っているなあという感じがします。というのは、一文が短くて話がさくさく進んでいくからで、香月以外のキャラクターを味わう暇があんまりないんですよね……。
しかし恋なんてお呼びじゃないという感じで、生きるために稼ぐわよ、というたくましい香月はとても賢くて素敵な主人公。結局極南公に封じられたのは香月なのか列英なのか。謎がちょっぴり残っているのも味わいでした。
口減らしのために捨てられた少女ユギは、高名で慈悲深い道士を保護者に暮らし、十五歳になった。しかし生活能力皆無の師匠と、兄弟子の左慈には家計を切り盛りする能力はなく、結果、ユギは金にがめつく女性らしさがないしっかり者すぎる少女になっていた。そんなある日、西洋人と彼に追われる幼い少女と出会う。
読んだのはソフトカバー版。
現代とファンタジーの世界の中間くらいの、ちょっと不思議な、という表現がぴったりな中華風ファンタジー。道士の弟子の少女ユギの成長物語として読めるかもしれない。
実の親に捨てられたユギは、失うことを恐れている。けれどこの物語では大事な人との別れを経験しなければならなくて、強くてもろくて、けれどしなやかなユギが一生懸命歯を食いしばって前を向く姿に胸を打たれる。
まだまだ始まりの一冊という感じなので、これからユギがどうなるか気になるなー。
ファンタジーの魅力とは何か? 妖精物語、メルヘン、SF、パルプ・フィクション、〈指輪物語〉、RPG、歴史改変小説、魔術的リアリズム、スリップストリームといった話題を中心に、十九世紀から現代までを歴史的な文脈に即してわかりやすく解説する、最新のファンタジー入門書。(カバー折り返しより)
1998年発行。内容紹介のように十九世紀から二十世紀までのファンタジーについて、大人向けの読み物としてのファンタジーについて、歴史的な背景とともに解説する本。
『指輪物語』についての言及は当然ながら、ラヴクラフトに言及があるとは思わなかったし、アーサー王伝説もファンタジー作品について考えてみるときには大きな影響を与えたものだったんだなあということを改めて知ることができました。
十九世紀半ば、パリに産声をあげた、世界初のデパート《ボン・マルシェ》。衝動買いを誘うウィンドウ・ディスプレイ。演奏会、バーゲンなど集客戦術。〈必要〉から〈欲望〉へと、消費のキイワードを一変させた天才商人、ブシコーとその夫人の足跡を追う。(裏表紙より)
デパートについて調べたかったので読んだ一冊。
パレ・ロワイヤルの一階部分が商店街だった、という歴史があり、マガザン・ド・ヌヴォテと呼ばれる流行品店が生まれるようになってから、やがてブシコーという男が店を目立たせ、購買意欲を掻き立てる工夫を行う、のちのデパートである店を作る。めちゃくちゃわかりやすくておもしろい! 演出の方法や雇用の工夫など、感心させられました。ぎすぎすはしているかもしれないけれど当時にしてはホワイト企業だったのかなあ。
竜戦争の英雄である竜血卿に「おまえは竜の魔女の孫だ」と断言され、強制的に彼の花嫁となったシェナ。竜の魔女の力で人外となった彼を《無私の愛》で人間に戻せと言われるけれど……。魔女でもない自分にそんなことできるわけがないのに! その上、故郷の村ぐるみで秘密裏に育てていた2匹のちび竜がシェナを追いかけて王城に来てしまい——!? 人外の大英雄&辺境育ちの花嫁&ちび竜たちが織りなす、ドラゴン×新婚ラブ(裏表紙より)
竜戦争の終結後、酷使された竜を憐れに思い、新しく生まれた幼体竜を隠して育てることにした村があった。その村の娘シェナは、竜の世話係として暮らしていたが、その村に伝説の英雄、竜血卿がやってきて彼の花嫁に選ばれてしまう。竜血卿と呼ばれる彼は不老長寿になっており、しかも人間らしさを欠如させてしまっていたけれど、竜の魔女なら彼を人間に戻すことができるという……。
ちび竜が可愛いですね! 小石や花を食べる竜って可愛らしい。
サブキャラクターのクローリア、リプシア、ラドウィルの立ち位置が、少女小説ではあんまり見ない感じのものだったのでめずらしいなあと思いました。ヒロインに必要以上にべたべたしないし、ラドウィルは腹に一物抱えているし。
キスシーンの挿絵がとてもロマンティックでした。
やけに分厚いし文字がみっちりしているなあと思ったら、あとがきを読んで納得しました。二倍の枚数だったものをここまで縮める作業、本当に大変だったろうなあ……。
これは「浪費」ではなく「愛」なのです。
あんスタ、同人誌、若手俳優、声優、宝塚、お笑い、乃木坂46、ディズニー、V系バンド、ホスト、コスメ……オタク女性の真実がここに!
◯◯クラスタと呼ばれている人たちが、どれだけその沼に浸かっているか……を、どれだけお金を溶かしたかという話を交えて記す、エッセイ集です。元は同人誌で削除された部分があるらしく、その削除された部分がとても面白そうなので同人誌版もめっちゃ読みたい。
ともかく、廃課金勢や、実際に会いに行ける推しにお金を注ぎ込む人など様々な人たちが登場。本を作った動機が「あの人、あんなに推しにつぎ込んでどうやって生活してるんだろう……?」というところだったというので、うんうんと頷きました。みんなどんだけ貯金と手取りがあるんだ? って思うよね!
脱走した米兵の惨殺死体が日本海岸で発見された。それがすべての発端だった……。同じ頃、米国防総省の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山は調査中にある情報を入手する。北朝鮮の権力中枢で、何かが起きている——。鍵を握る謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは? 米朝の謀報戦を鮮烈に描く、本格スパイ小説の新鋭、入魂のデビュー作。文庫版のための特別描き下ろし短編も収録。(裏表紙より)
おお……おおおお……! すごかったー! こういう社会派な作品はちょっと苦手意識があってなかなか読めないんですけれども、読み始めたらぐいぐい引き込まれてあっという間に読んでしまった。そしてプロローグに戻ってしまった。
下請け情報機関に所属する葉山は、脱走米兵の死をきっかけに北朝鮮で追われたはずの幹部が再び中枢に復帰しているらしいことを突き止める。情報源となった女優志望の町田洋子とふとしたことで再会した葉山だったが、その後、尾行や襲撃に遭い、しかも町田洋子が死んだという知らせが入る。何がどこで繋がっているのか、相手の目的は何か。
行き場のない人間が何かを得ようと必死に足掻く。あるいは煮えたぎる怒りを隠して自らの望みのために行動する。静かな熱意というのか、出てくる人たちそれぞれの持つ何かが息苦しくて、この人たちがどこに行き着くんだろうとページをめくる手が止まらなかった。
主犯者と思われる謎の美貌の男が、ほとんど出てこないのに妖しい魅力に溢れててかっこいいんだよなあ……。終盤登場したときのやりとりにはぐうっと胸を掴まれた。「プラチナ・ビーズ」の意味を知ると、泣きたくなる。
おすすめされた小説でした。おすすめありがとうございました!
リィ・シェラ・ルウの三人組「よろず困りごと解決」課外活動に新たな依頼が入った。隠し子騒動にパトロン疑惑という学内ではショッキングな内容である。しかも持ちこんだのは彼らにとってある意味「仲間」ともいえる二人——ヴァンツァーとレティシア。違和感ありまくりの状況に、かの三人組も固まった。さらに両親の就任式に感銘を受けた様子のライジャが「女体に慣れる修練」とかの誤解されまくりな爆弾発言を次々と言い出し、追い打ちをかけた(もちろん、ライジャ自身は至極真面目に発言しているのだが)。どうやら学校はどこもかしこも異常事態の大賑わいが大盤振る舞いで……?
学校生活を満喫する(?)充実の第5巻。(裏表紙より)
今回は天使たち側、ヴァンツァーのお話。クラッシュ・ブレイズシリーズの『ファロットの休日』が初出のビアンカ、ブリジット母娘が登場。事件に巻き込まれてしまう。
ヴァンツァーはだいぶと変わったなあ。大事な人ができて、楽しいと感じてくれているようでほっとしました。
お話は、いじめられているらしいというレティシアの依頼と、乳児を抱えた中年女性(ブリジット)に対してまったく愛嬌を見せないはずのヴァンツァーが笑顔を見せて楽しそうにしていることから事件発生。「永久凍土の貴公子」とあだ名されている彼なのに、あの女性は誰なの!? と男女問わず大騒ぎになったことから、ブリジットとビアンカがどうやら狙われるようになったらしく……? という。レティシア側のお話は導入でほとんどヴァンツァーの話なんですが、ふたりとも、それぞれにしたいことができていてよかったなあと見守る側として思うのでした。