読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
辺境の島《迷子島》で、海女兼観光ガイドとして働くミリアは、色気より食い気の16歳。
ある日、ピンク色の不思議な海水を見つけた彼女は、幼なじみの料理人・ライに調理してもらおうと意気揚々と持ち帰るのだが……。その海水で作られた料理を食べた途端、頭の中で「私を食べて!」と声がして、なぜか島中の男たちから求愛されはじめ——!?
正気なのはライ一人!?
追い打ちをかけるようにして、ミリアの背中から妖精の羽が!?
わたしいったいどうなっちゃうの!(カバーより)
面白かった! 比喩が効いてて、すごく楽しかった。「食べられる」ことを始めとした、消費についての話だと思いました。元気いっぱいのミリアが振り回されているところは、怖くもあり、色っぽくもあり、ミリアらしさが弾けたところはほっとしました。よく食べる子はいい子だ。
いい時期に読んだなあ。なんだかおいしい海産物が食べたくなりました。
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風営法の改正に合わせ、club indigoは営業形態を変更。若手ホストが接客する、よりカジュアルな二部を設け、集客に効果をあげていた。だが、イマドキな若手ホストは都市伝説がらみのトラブルを運んでくるし、晶は豆柴と殺人事件に巻き込まれるし、憂夜が休暇を取れば厄介な問題が発生するしで、相変わらずの大騒動。新キャラクターも登場し、ますます好調のホスト探偵団シリーズ。(裏表紙より)
インディゴの夜シリーズ4巻目。若手ホスト手塚くんと、刑事柴田に、かわいいけれど底知れない実力を秘めていそうな後輩早乙女くんが初登場。「7days活劇」「サクラサンライズ」「一剋」「Dカラーバケーション」の四本収録。インディゴのメンバーはちょっと影が薄め? 手塚くんが結構出ずっぱりという感じ。
「サクラサンライズ」は、オチが読めるんですけどやっぱりこういう話すきだー! 「一剋」はいつものライトなノリもありつつ、刑事ドラマみたいなシリアスさもあって面白かった。
本も本当に面白いんですけれど、この作品、読んでるとドラマの方も見たくなる。
「楓。オレら、跡つけられてるぜ」
「え……。んもう、弥比古のせいなんだからねっ!」
——江戸名物男装のじゃじゃ馬姫と顔だけが自慢の(?)南町奉行の次男坊コンビとなれば、今やゆっくり買い物もできぬ有名人。
今日も追っかけの町娘たちをやり過ごしつつ、しっかり巾着切りの盗人を片づける。そんな二人の鮮やかな活躍ぶりを、どこかから飛んできた黄色い蝶が、しかと見届けていた……。
その日の夕刻。神田明神下の京菓子屋・美濃屋では一大事が起こっていた。嘉一の祖母・帰蝶が熊野から突然やってきたのだ! なぜ江戸に? 物見遊山? いいえ、嘉一の花嫁探しのために!
ターゲットは——楓!?
一方、近頃江戸でもちきりの話題と言えば、一つは神隠し騒動、もう一つが陽炎座付きの人形使い・紫狼。紫狼の妖しい魅力に楓はときめくが——。
痛快大江戸エンタ第三弾! 恋模様も大江戸ラブスクランブル!!(カバー折り返しより)
第三巻。久しぶりに読んだので、前の巻の内容を忘れている……。
弥比古の刀が、髭切だというところに「おっ」と思うのは、今だからですね。前は堀川国広だったというのをさらっと書いているのにアンテナが立ってしまう。あとで前の巻確認しとこう。
吉原の太夫の神隠しと人斬り、これらの事件の関係性は? となったところで、あやしのものと関わってくるところが面白い! 楓と弥比古の恋愛模様もいい感じに絡んできたりして、ここからだというのに、続きが……。
弥比古の男らしいところと優しいところがすごく好きなので、最後の「お前のね、声が聞こえたんだ」という台詞にときめきゲージがすごく上がった。自分でも訳がわからないくらい上がった。
パロス第四王朝末期。時の君主アルディウスに一人の美しい王女があった。名はエルミニア。玲瓏にして燃える瞳。白馬を駆り剣に闌け、凛然と痩躯に男装を纒う佇いは、神話に顕れる美少年の姿だった。十八歳を迎え、結婚を父アルディウスより厳命されるが、時まさに隣国カウロスとの国交に揺れ、宮廷は叛徒の策謀に喘いでいる。運命の扉は、洗濯女フィオナとの出逢いに開く。恋か。自由への希求か。エルミニアは渦巻く野望の中、秘宝の剣を手に王国の存亡をかけ、栄光という名の、悲劇という名の闘いの途に独りひた疾る。
現代の語部が紡ぎだす運命の物語。感動に彩られ書下しで堂々の登場。(カバー折り返しより)
剣の達人であり、常に男装する美しい王女、エルミニア。結婚の命令をはねのけた彼女は、偶然出会った洗濯女の少女フィオナに恋心を抱く。フィオナと添いたいと願うエルミニアは、剣闘大会を催し、自分に勝った者と結婚すると誓う。自分が勝てば、フィオナと結婚すると宣言することを夢に見て。
という、ヒロイックファンタジーです。女でもあり男でもあるヒロイン・エルミニアと、乳兄弟でエルミニアに思いを寄せるユリウス、心優しい野の花のような少女フィオナ、国を手に入れるためにエルミニアを罠にかける隣国の王子ファオン。この関係図だけでもうごろごろしてしまう。
最初、男勝りに「結婚しない」なんて言っているのかななんて思っていたら、本当に女性の体に男のたましいが宿った、というように書いているので、すごいなあ、なんて思いながら読んでいました。
そして、そういう状況で、乳兄弟のユリアスの不憫さが光る……笑 彼は本当にいいやつだ。
出生に謎を持つ美少女・アンナは、深い森の古城で何の不自由もなく健やかに育てられた。育ての親で城の主、ジュリアン・ザビエル侯爵は「奇病に冒されている」ため、滅多に外出もせず、食事はワイン1杯のみ。ジュリアンの正体に疑念を抱くアンナだったが、成長するにつれ彼の深い愛情にどうしようもなく惹かれていき——!? 一方、軍部の謀反により混迷するスワンドールでは、王族の唯一の生き残りがいるという噂が流れて——!? 時をも越えるラブストーリー、剛しいら待望の新作いよいよ登場!!(裏表紙より)
吸血鬼と、彼に拾われ赤ん坊の頃から育てられた少女のラブストーリー。ヒロイン、アンナは、実は王族。謀反による王家の人々が殺され、両親もまた逃亡の最中に亡くなってしまったところ、心優しい吸血鬼ジュリアンに拾われる。
登場する人物が結構多くて、この話、かなり深くて広い設定があるんだなと感じられるところがありました。イパネラ女王とか、ブルムの過去とか、いろいろ。
サブキャラクターとして登場する、アンナの家庭教師イボンヌの立ち位置がすっごくいい! ラストでそう登場するとは思わなかった。
新米新聞記者の英田紺のもとに届いた一通の手紙。それは旧家の蔵で見つかった呪いの箱を始末してほしい、という依頼だった。呪いの解明のため紺が訪れた、神楽坂にある箱屋敷と呼ばれる館で、うららという名の美しくも不思議な少女は、そっと囁いた――。「うちに開けぬ箱もありませんし、閉じれぬ箱も、ありませぬ」謎と秘密と、語れぬ大切な思いが詰まった箱は、今、開かれる。(裏表紙より)
国が開かれ新しい世がやってくる、時代の物語。
女性たちの物語でした。年齢も立場も、全部違う、さまざまな女が登場し、それぞれの立場を語る。一貫しているのは、「女として生きること」について問うということ。ちょっとした謎解きと、怪談めいたものと。こういう、文学っぽいようなテーマを用いたエンタメを書くのが、紅玉さんは上手いなあ!
紅玉さんらしい文章のリズムを残しつつ、ラノベっぽくないというか、ずいぶん読みやすい文章になっているように思いました。
城から隔離された塔で、閉じ込められているかのように暮らしている忌み姫・オルウェンと、その執事・クラウス——彼らには、他人に知られてはいけない秘密の役目があった。オルウェンは異界へとつながる<扉>を胸元に宿し、クラウスは扉を開く<鍵>を左目に宿す。契約によって結ばれた主と僕として、異形の存在を扉の向こうに封じるため戦い続けてきたふたり。しかしその関係が次第に揺らぎはじめて……!?(裏表紙より)
二人きりの閉じられた世界に暮らす、繋がれた二人の物語、という印象でした。
〈扉〉を宿す姫・オルウェン。〈鍵守〉のクラウス。二人は、この世の異形ダリウスと戦い、彼らを扉の向こうに封じる役目を持つ。その結果、幼い頃から二人で暮らし、二人で過ごし、二人で戦ってきた。その暗さと歪な関係性、閉じられた世界。
そこから出て行こうとするオルウェンと、本当は彼女を自分のものにしたいクラウスの、精神的な攻防がはらはらどきどきでした。その結果、再びつないだ絆はまた新しい形をしていて……しんみりと、よかったなあと思える話でした。世界が開くって、いいな。
何て素敵な人なの……。精悍な美貌、甘い香油の匂い、耳を蕩かす声。弟になりすました翠伶が、煌びやかな御殿で出会った美青年・颯瑛。運命的な出会いに胸がときめくけれど、告白できないもどかしさ。そんなある日、男装がばれてしまう! 絶望する翠伶に「君が女だったなんて最高だ」と秘密を守ってくれた颯瑛。恋人同士として蜜月を過ごしていたら、彼がとんでもない真実を……。(裏表紙より)
上記あらすじがびっくりするほどほぼ本編です。
中華風ファンタジーとしてすごくそれらしい設定を作ってあって、おお、中華風! と思いました。身分や、男女の違いや、貧富の差をさらっと書いてあるところがいいなー。
物語自体はすごくシンプル。弟の身代わりに、官吏の登用試験を身代わり受験した姉は、その成績があまりによかったので、州太子の教師役に任ぜられる。弟と引き取ってくれた養家のため、姉は男装して登殿する。そこで、美しく優雅な立ち居振る舞いのする素敵な男性がいて……、という。
立場に物を言わせて弱みに付け込んで脅してことに至るっていう、ちょっとあれな部分がありますが、最終的に幸せになってよかったよかった。でもヒーローの方がちょっとケダモノだなー優雅なのになー笑 などと思って読みました。