読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

『ジェネラル・ルージュの凱旋』で屈指の人気を誇る救命救急センター部長、速水の短編三部作が登場! 単行本に収録されたジェネラルの原点「ジェネラル・ルージュの伝説』に、新たに書き下ろした「疾風」とその後の物語「残照」を収録。さらに、大幅加筆したエッセイや自作解説で、創作の秘密を惜しみなく明かします。巻末には全作品を邑楽下年表&登場人物リスト330&用語解説辞典付き!(裏表紙より)
本編はジェネラル・ルージュまで読んでます。新聞か何かで、海堂さんは、一度書き上げた作品は最初から何度も書き直して全編推敲する、みたいなのを読んだ気がして、エッセイが収録されているならどんな風に執筆活動されているのかな、と思って手に取ってみました。
この方、めちゃくちゃ書くの速いんだなあ……ということが学べました。日記みたいなエッセイが収録されているんですけれども、他のことをしながら執筆して、期日までに上げて、週刊連載も持つことがあって、みたい忙しい環境って、すごく頭のいい人だからこそできることなんじゃなか、と思いました。
短編は、やっぱり「伝説」が面白かった! 顔色が悪いから口紅を引きなさい、というのは前に読んだ時もすごく印象に残っていて。速水の凄まじさと、けれどその若さが引き立った物語だった。

熱血新米士官・アルが属するエトワール近衛隊は、美形士官ばかりで形成されたお飾り部隊。しかし、真の顔は正義を貫く精鋭特命部隊だった。近衛隊の次なる任務は国の威信をかけた国際会議での護衛。超絶美貌のドS上官・シャリオの下、任務に励むアルだったが、シャリオの右腕であるフラム少佐は、謎の男から王子暗殺計画をもちかけられ…!? 絢爛な衣裳に身を包む美麗男子達の華麗なる作戦第2弾!(裏表紙より)
エトワール近衛隊の第二巻。第一巻が、ほとんど男性ばかりなのに、すっごく恥ずかしい台詞やらシチュエーションやらで、読んでいて照れてしまってもぞもぞするので、かなり長いこと置いてしまいました……。
星石を扱う護星官としての任務を秘めつつ、エトワール近衛隊は、隊に嫌がらせをする好戦派の第二王子ソールの護衛をすることに。ソール王子の言動が、ああこの人死にたいんだなあ、みたいな投げやりで軽く絶望した感じなので、彼の冷たいさびしさや、アルの熱血具合が、もうもだもだしてしまう! いい歳した大人たち、あるいは世間のことをある程度知った子たちが、空気を読んだり事情を読んだりするせいで、正義や信念を貫き通しにくい状況にあるので、正義をまっすぐに叫ぶアルは、眩しくて、いいなあ……。

その日、巨大な光の柱が立ち上るとともに、突然前世の記憶が甦る《昔返り》という現象が世界のあちこちで起きた。辺境の村に住む少女・アナベルは、竜の力を持つ太陽王・ソールへの前世の恋心を思い出し、更に《昔返り》を鎮める力を得てしまう。そんな彼女の前に、太陽王の《昔返り》を名乗る青年と、前世で彼に仕えた者たちが現れて……。かつて覇権を争った竜の王たちと、鎮めの乙女が紡ぐ、運命と記憶のラブファンタジー!(裏表紙より)
前世は平凡な少女。今世でもさほど変わらない村娘のアナベルが、鎮めの乙女の力に目覚め、三百年前の世に生きていた太陽王ソールを始めとする伝承の人々の生まれ変わりに関わっていくファンタジー。独特の世界観、しっかりめの物語、普通の女の子が当たり前に生きている感じ、がすごく出ていた、好みの恋愛ファンタジーでした。続き読みたいなあこれ。
りんごが特徴的によく出てくるんですが、話の中できゅうっとなったのは、アナベルが自分でパイを食べるところ。落ち込んだとき、すごく悲しいとき、ケーキをホールで食べる、というのは、現実でもファンタジーでも共通するような気がして、もうきゅんきゅんしました。こういう「女子!」な風景が、すごく好きだ……。

「おめでとうございます、聖巫女マヤ!」
次々とひれ伏す侍女たちを前に、高校生・内家摩耶は途方に暮れていた。むせかえる草の匂い、不思議な声の鳥たち、そして深い森に抱かれた建造物。ここはマヤ文明の都市国家のひとつ、ヤシャウチェ。飛行機事故から生還したはずの摩耶が目覚めたのは、現代ではありえない場所だった……。
運命の紡ぎ手に選ばれた少女の想いが今、時を越える——!(裏表紙より)
古き良きビーンズ文庫! な話でした。家庭に居場所もなく、たった一人心を許している幼なじみの明寿加とは、メールでやりとりするだけの、摩耶。政治家の父が首相になるという時、摩耶は外国の学校へとやられるが、その飛行機が事故に遭ってしまう。目覚めた摩耶は遥かなときを超え、マヤ文明の都市国家で、巫女として生きている状況にあった。
価値観が全く違う環境で、巫女としての能力が危ぶまれつつも、生きていこうとする摩耶。ざっくりと人が死ぬのと、神と巫女という信仰が色濃いせいで、なんだか血なまぐさい(だがそこがいい!) 一人の女の子が、自分の大事なものを抱えたまま、その時代に生きていくと決めたこと。そして再び巡り会うものがあったのだと思うと、想像が広がるお話でした。

物語を読むことに無上の喜びを感じる人達は、日本の各地に次々と生まれ、育って来ます。となれば、後から来る方々に、こんな花が咲いている、こんな実が実っていると示すのは、先に歩いた者の務めでしょう——読み巧者・北村薫が選んだ50冊。出会えて良かったと思える本が、必ずあります。有栖川有栖との熱血対談、大野隆司の彩色版画を収録。(裏表紙より)
読売新聞に連載された、ミステリ小説紹介をまとめたものと、その裏側について語ったものと、二本の対談が収録されています。最近ミステリ小説関係を読んでいるのは別に何を書こうと思ったわけではなく、文学評論、児童文学案内以外だと、私が手に取れる範囲なのはあとはミステリくらいである、というだけです……。
やっぱり私は全然読んでないな! と思いました。ポーやクリスティーが挙っているかと思いきや、綾辻行人とか山田風太郎も挙っていて、おお……となる。ますます読みたくなったぞ。折しも、三谷幸喜監督が『オリエント急行殺人事件』をやるようなので、読みどきかなーと思いつつ。

クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する——。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずにログインした約一万人のユーザーと共に、その苛酷なデスバトルは幕を開けた。
SAOに参加した一人である主人公・キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れる。そして、ゲームの舞台となる巨大浮遊城『アインクラッド』で、パーティーを組まないソロプレイヤーとして頭角をあらわしていった。
クリア条件である最上階層到達を目指し、熾烈な冒険を単独で続けるキリトだったが、レイピアの名手・女流剣士アスナの強引な誘いによって彼女とコンビを組むことに。その出会いは、キリトに運命とも呼べる契機をもたらし——。
個人サイト上で閲覧数650万PVオーバーを記録した伝説の小説が登場!(カバー折り返しより)
『アクセル・ワールド』はアニメを見ましたが、SAOは初めて。あらすじを読む限り、もっと王道のRPG展開かと思っていたのですが、主人公は強いし、ヒロインとの恋愛も想像とちがってた。もう夫婦じゃん! 一巻目から夫婦かよ! ごちそうさまでした!
ステータスや、スキルという概念がある小説って、こういう風に書くのかーと勉強になりました。ここでの死は現実世界の死を意味しますが、けれどまだまだ仮想世界という印象があって、悲惨さとか残酷さが強くはないのがちょっと残念だったかもしれません。もっと絶望してみたかったかも。
長いシリーズなので、機会があったら続きも読んでいきたい所存。

18歳なのに、成長しない体のせいで嫁入りもできず、古書修復業で家計を支える愛書狂のシエラ。行方不明になった従妹を探すため、ランプの精霊の力でハレムに潜入した彼女を待っていたのは、シエラを『運命の人』と呼ぶ王子リヤーフと亡霊のような花嫁たちだった! 従妹を救うため、シエラは望みを叶える力を持つ呪歌を捜すことになって——!? 書記乙女と二人の王子、自称ランプの精霊が織りなすアラビア風ラブファンタジー!(裏表紙より)
成長しないために18歳でありながら少女の姿のシエラ。存在をないものとして扱われる王子リヤーフは、シエラを運命の人と呼んで、雛鳥のようにつきまとう。その理由は、《全界詩(せかいし)》と呼ばれるものにまつわることだった。
《全界詩》にときめく! かつ、書物乙女というキーワードにきゅんきゅんする。が、出てくるのは女装王子に、走ってくるランプの精に、昼と夜とでは性別が違う友達……。ぶっ込み過ぎじゃないですか! 面白かったけど!! シエラの名前が分かったときに「キター」って叫んでしまった。
古戸さんの書く物語の、これからも続く、という終わり方が好きなので、最後は嬉しかったです。

海外勤務の母と別れて、大阪に行くことになった少女・美森。彼女が暮らすことになるのは、大阪郊外の「紅葉谷」と呼ばれる自然豊かな森の洋館だった。そこには両親の離婚後、一度も会っていなかった父親と、双子の弟・瑞穂が待っていた。登校拒否児の瑞穂は、「植物の声が聞こえる」という不思議な少年……。『ビート・キッズ』の著者が描く、ちょっと不思議で心温まる家族再生の物語。〈解説・令丈ヒロ子〉
みんな少しずつ欠けてしまっている家族が、美森や瑞穂ののびやかさにともなって、ゆっくりと形を取り戻していく家族もの。
美森の強さがちょっとびっくりするくらいなんだけど、学校での、大多数による無視やらがリアル。明確ないじめっ子は存在しなくて、クラス全体を見ると、居場所がない……というのが、刺さる。
完全にすべてが変わったわけではないんだけれども、美森も瑞穂も、これからどんどん強くなっていくんだろうと思いました。

「どんな代物でも運ぶ」がウリの運送会社“ベルフェル”。そこの社長兼唯一の社員であるライアのもとに、とある依頼が舞いこんだ。それは、女性ひとりと大型犬一匹を田舎町まで送り届ける簡単な仕事、のはずだったのだが……。
その女性、アリスには驚きの秘密があって——!?
ライアは彼女を無事に目的地まで送り届けることができるのか!(裏表紙より)
発達した文明に、特殊能力を持つ生き物と人間と、そうでないただの人間がいた。何の能力も持たない人間たちは、特殊能力をほしがり、彼らの国を攻めて領土を奪ったり、実験台にしたりした。特殊能力を持つものたちは彼らのその行動が分からず、他種族が攻められても干渉しなかった。そんな世界で、囚われ実験台の対象となっていた古代ディマントの少女を、護衛して届ける話。
今まで読んだことのない、すごく傍観者っぽい文体で、ここもうちょっとはらはらどきどきさせて! というのをさらっと流されてしまって、もっと! 詳しく! となること多数。すごく淡々としている……と思いました。すごくファンタジーで美味しい、驚くべきところがいっぱいあるのに、その驚きが一文で済まされてしまっている感じが惜しい……。もっとあざとくてもよかったのよ!
アリスの可憐さは、挿絵も相まってきゅんきゅんでした。もの馴れない女の子ってどうしてこんなに可愛いんだろうなあ! しかし、作中でどうしても、ヒロインに対してそれはアカン! というのがあり……。どう受け止めていいかちょっと分からなかった。