読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
継母や義姉に虐待され、謎めいた魔導師セルフィに召し使いとして拾われてしまったシルクローズ姫。「ここも気持ちがいいのだな、覚えておこう」毎夜、理由をつけては彼女をベッドに引き入れ淫らに触れてくる彼。傲慢だけど、蕩けるような快楽を紡ぎ出す指先はとても優しく、彼女への密かな気遣いも暖かい。しかしある日、姫との婚約を破棄した王子に呪いがかけられたことを知り——!? (裏表紙より)
シルクローズは、マルベリーの木に住むフェアリーたちと仲良し。けれど父が亡くなってから、継母と二人の姉に召使としてこき使われる日々。ある日、自分の婚約者である王子がやってくると聞いたけれど、姉たちの邪魔によって再会することは叶わない。城まで追い出されたシルクローズは、しかし、美しい魔導師セルフィーと遭遇し、彼の召使として拾われることになった。
……という、ちょっと童話めいた世界観の物語。
シルクローズがびっくりするほどいい子というか、無垢というか、だから付け入れられるんだよというか……。ヒロインは、もうちょっと賢くて逃げるほうが好みかなーと思いました。無邪気すぎると、貞操感がないような気がするのだ。
国の名前がバミューディル魔国というものだったり、フェアリーがいたり、馬と人の両方の姿を持つ少年がいたりと、魔法の国と見せかけてちょっと魔界っぽいような、そんな部分と、お話のメルヘンチックなところの落差が面白いなーと思って読みました。
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「君たち、世界を変えてみたくはないか?」
オチコボレ男子高に通い、死んだような毎日を送っていた「僕たち」は生物教師ドクター・モローの言葉で突如生き返り、世界を変えるために行動を開始する。その方法は——難攻不落のお嬢様女子高の学園祭に潜入してナンパをすること! 果たして「僕たち」の潜入作戦は成功するのだろうか!? 革命的おバカストーリーが炸裂する、ザ・ゾンビーズ・シリーズ第1弾!(裏表紙より)
生まれや立場が、社会的に弱かったり、恵まれなかったりする男子高校生たちが、周りからは落ちこぼれと見られながらも、仲間とともにそれぞれに革命を起こす話。
無理だと言われることを実現してやろう、と馬鹿をやりながら狡猾に、賢く、事件を解決する。こういう立場の人たちがたくさん出てくる話って、ともすると感想がすごく偉そうになってしまう気がするので難しいのですが、なんだろう、社会的には弱いから、精神的にも身体的にも強くたくましくなるのは当然なんだけど、読んでてすごく不思議な心地よさがあるんですよね。強さがうらやましくもあり、かけがえのない仲間を得ている彼らがまぶしかったり。
からっと書かれているけれど、死に向き合っているところもあって、面白かった。
幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで——その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさもすべてつまった完全無欠の恋愛小説。(裏表紙より)
中学時代の幼い思いが大人になってもう一度、というところも、恋人同士のやりとりも、結婚してからのことも、ぎゅっと詰まったいい恋愛小説だと思って読み進めてたんですが、最後のオチ。最後の、オチ。これは、ない。あえて言うけど、それはないだろー!!? めちゃくちゃびっくりしました。ええー。伏線っちゃあ伏線だけど、ええー……?
それまでが本当に幸せな二人の、近づいてくる終わりへの焦燥も含めた恋愛ものだったので、どきどきしながら読み進めていたけれど、いきなりその展開はどうなんだ! こっちに来ると思ってたボールが明後日の方向に投げられて見えなくなった、みたいな感じで呆然としました。うーん、そこで何もかもなかったことにはなるのは……物語として驚きは必要だったかもしれないけど……別の終わり方にしてもよかったのでは……とか。
いやー、こんなにぶん投げられた感覚は久しぶりだったので、たいへん面白かったです。オチがたいへんアレなので簡単にお勧めはできませんが、映画見てみようかなあ。
ホストたちの要望から、大幅改装を図ることになったclub indigo。ある伝手で、有名インテリアデザイナーに内装を手がけてもらうことに。工事期間中の仮店舗探しに晶が奔走する中、ジョン太、アレックス、犬マンはプライベートで事件に巻き込まれてしまう。一方、店の工事はいっこうに進まず、さらにトラブルの臭いが……。若者の”いま”を活き活きと描く、好評シリーズ第3弾。(裏表紙より)
読んだのは創元版。
「プロローグ」「神山グラフィティ」「ラスカル3」「シン・アイス」「ホワイトクロウ」の五章に分かれていて、プロローグとホワイトクロウ以外は、クラブインディゴのホストがそれぞれ主人公の短編です。最後のホワイトクロウで、前の短編の出来事が集約される感じ。
インディゴの夜シリーズは、しゅっとしてて、けどサラッとしてて、読みやすくて楽しいなあ! 解説にドラマのことが触れられていましたけれど、ドラマ、楽しかったよなあ。
「神山グラフィティ」が一番好きかな。ジョン太ってコメディなのに、やる時はやるし、純粋だし、一番努力って言葉を信じてくれる子なんだよなー。加奈ちゃんとうまくいくんだろうか!
「日本の本屋の景色を変えよう。本屋には夢も希望もある」を合言葉に僕らは僕らのやり方でやってきた。(本文より)
1986年に名古屋で生まれたヴィレッジ・ヴァンガードの創業者、菊地敬一氏によるユーモア溢れるエッセイ集を初文庫化。ショップコンセプトの決定から、オープンまでのタイムスケジュール、業者の選び方、定番リスト、POP添削講座、お悩み相談室まで、V・Vの魅力がつまった一冊。(裏表紙より)
ヴィレッジ・ヴァンガードというと、ものすごい音で、ものすごい量の雑貨で、ものすごいにおいがして、本があって、都会にしかないイメージです。置いてある本とか漫画がすっごいマニアックで、棚を見るだけで楽しい。
そういうヴィレッジ・ヴァンガードが創業してからしばらくの話。バイト店員さんの話、お店を広げる話などエッセイもあれば、POPについてやお悩み相談室など、非常に雑多な話題。こういう風にあちこちにアンテナを張っているからこそ、お店がああいう色合いになるんだなあとわかる一冊だった。
生まれつき喜怒哀楽のあらゆる感情をもたない少年・宥現。現実社会に適応できない彼は、警備の職についた砂漠の遺跡発掘現場で、旅賊の女性。魔姫と出会う。だがその時、発掘された戦闘機械が数百年の眠りから覚め、その場の人間すべてを殺戮する。以来、未来と過去が干渉しあう不思議な時空間で、宥現と殺戮機械の終わりなき戦い、そして、幾度とない魔姫との邂逅が繰り返されていく——宥現の感情の在りかはいずこに?(裏表紙より)
銀妖子なる、人類の生活の基盤となる妖精めいた何者かが人間を支えている世界で、という話だったので、旅賊に会ったときには「これ都市に挑むやつだー!」と思ったのに、見事にまったく違いました! まったく違いすぎて、ちょっとついていけなかったぜ……。
過去と未来が干渉しあって、あらゆる時空にある世界が、宥現と魔姫と戦車の存在によって無茶苦茶に破壊されていってしまうのですが、その戦いが永劫に続くし、繰り返し何度も魔姫は死ぬし、最後はもう戻れないところに辿り着いてしまう。最後まで読んで、冒頭の文章に戻ってくると、ぶわっとなりました。言いようのないものが、こう……。
暴力や介護放棄などによる高齢者虐待が問題化している。献身的な介護に努めてきた息子が老親に手を上げる、長引く介護に疲れ果てたお年寄りが配偶者を殺める、といった事件もしばしば報道される。適切なケアが期待される介護施設で虐待が横行している事実も看過できない。誰もが安心して老いを迎えるため、いま何が必要か。家庭や施設における虐待の実情を明らかにし、虐待防止に向けた国内外の取り組みを報告する。(カバー折り返しより)
2004年7月の発行なんですけど、書いてあることは全然古くなくて、むしろここから発展しているものもあったり、そのままになって改善されていないこともあったり、という感じかと思いました。先日読んだ『あなたの大切な人を寝たきりにさせないための介護の基本』という本が非常に面白かったのですが、この『高齢者虐待』に書かれている、オムツをせずにお手洗いに自分で行けるように、というのはその基本の一つ。根強く改善を、介護を考える人たちが進んでいる証拠か、と感じました。
十年前のこの本は読んだので、今はどうなのか知りたいな。調べてみようか。
湖のほとりの白い古城。背筋を正して、客を迎え入れる四人の少女たち。そう、ここは、彼女たち——四人の女主人を擁する、世にも珍しい古城ホテル『マルグリット』。にぎやかで、でも平穏なそのホテルに、ある日事件が勃発! 女主人のひとり、ドジっ娘魔女ピィを捕らえるために、賊が潜入したのだ。抵抗むなしくピィは連れ去られ……!? これは不思議なホテルを舞台にした、四人の少女の切なくも優しい友情物語。(裏表紙より)
それぞれの事情がありながら、とある人外の者によって集められた四人の少女たち。彼女たちが経営する古城ホテルを舞台にした物語。
ピィの話と、フェノンの話の二本立て。ピィは追放された魔山から遅まきながら追及の手がやってきてという話で、フェノンは昔の稼業にまつわる話です。
これ読んでると、思うんです。もしこれを小学生で読んだとき、絶対にこの話この作家さんが大好きになるんだろうなあ、と。この話をすごく大事にしている子がいたなら、と想像すると、なんだか泣けてくるんですよね……。なぜこんなにセンチメンタルなのか。
多分、すごくまっすぐなんだろうと思います。こういうことを大事にしてほしいんだっていうのが分かるのかも。言葉とか、台詞とか、すごくストレートなのが、最近響く。
記憶喪失の画家リンと出会った錬金術師見習いのセツリは、神殺しを目的とする深淵派のカルヴァスに追われ『世界画廊』に逃げ込む。異界への扉が絵の数だけ存在するその場所で、白い王女アイカの絵に心惹かれたセツリ。リンの不思議な力によって絵の中に入り、アイカの悲しい境遇を知って額縁の外に連れ出そうとするが…。やがて辿り着く、世界の禁じられた真理。その先にあるものは——!(裏表紙より)
おお! 陰鬱なんだけど希望を描くファンタジーだった! めっちゃ栗原さんらしい。確かどこかで、この作品はそれまでと書き方を変えている、ということをおっしゃっていたように思うんですが、確かに、より演劇っぽい台詞まわしになっていた気がするし、キャラクターも舞台映えしそうな性格だった。
錬金術師として認められるための論文を提出したセツリではあったけれど、それは異端と見なされ、神殺しを目的とする新興宗教組織に狙われることになる。それも、暗殺者をともなってきたのはかつての兄弟子イカイ(カルヴァス)。偶然助けた男は画家だというが、その日、謎の「お告げ」とやらで、セツリは世界画廊の管理人に任命される。
このまとめから想像できる物語があると思うのですが、多分これから九十度くらいひねったのがこの話の本当の物語です。ところどころ、読んでいて、おかしいな? と首をひねるところや引っかかりを覚えていると、あるときにそれに手をかけてぐるっと物語が回転する感じ。すごかった。おおー! と思いました。
最終的に神に挑む物語でしたが、ヒロインのアイカがとても可愛いです。栗原さんの書くこういうヒロインが、もうめちゃめちゃ好きです。