読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
一世に呼ばれて赴いた先には、ものすごくド派手で威厳と風格と静寂を纏ったトゥルークの僧侶がいた。実は連邦の上層部でとある大事件が進行しており、惑星トゥルークが深くかかわっているらしい。
それでケリー・ジャスミン夫婦と僧侶(とその一行)とのご対面となったわけだ。
結局その問題の地へ乗り込むことになった怪獣夫婦だが、トゥルークは、かの「常識外」夫婦すらも仰天する変わったところだった——
『天使たちの課外活動』とリンクしつつも「大人」が主役? の新作登場!(裏表紙より)
課外活動の4巻を読もうとしたら、ジャスミンとケリーがトゥルークに行くのが二回目だという話をしているので、おやこれは読む順番を間違えたな? と思って『トゥルークの海賊1』を手に取りました。課外活動3→トゥルーク1ってことかな? 裏表紙の内容紹介を読んだかぎりだとトゥルーク3→課外活動4なんだろうか……って読んでみないとわからないことをつらつら書いてしまいましたが。
課外活動で登場しているトゥルークの僧侶にまつわるお話です。特殊能力じゃないけれどすさまじく勘のいい僧侶の皆さんがいる星で、怪獣夫婦は高位僧侶でありながら還俗したとある夫妻と知り合う。そこに夫妻の娘の恋愛問題や、怪獣夫婦に依頼された謎の麻薬事件、伝説の海賊たちのことが絡んでさあどうなる、という1巻。続きが楽しみです。
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20世紀末に突如都市部を襲った天災から数十年後、震災復興のため首都湾岸地域に誘致された大規模なカジノ特区に、客寄せで作られたサーカス団。花形である演目を任されるのは、曲芸学校をトップで卒業したエリートのみ。あまたの少女達の憧れと挫折の果てに、選ばれた人間だけで舞台へと躍り出る、少女サーカス。天才ブランコ乗りである双子の姉・涙海の身代わりに舞台に立つ少女、愛涙。周囲からの嫉妬と羨望、そして重圧の渦に囚われる彼女を、一人の男が変える。「わたし達は、花の命。今だけを、美しくあればいい」(帯より)
いやあ……少女はいい……という気持ちになる少女の物語でした。
舞台に立つこと。パフォーマーであること。少女であること。矜恃。そうしたものがぎゅっと詰まって、最後にそういうラストに持っていくのかあと感心してしまった。面白いなあ。いいなあ。好きだなあ!
語り手は、サン=テグジュペリの身代わりである愛涙、動物使いのカフカ、歌姫アンデルセン。サブとしてパントマイムのチャペック。名前だけ登場する人もいますが、またこの名前がいいんですよね! 名前をまとう感じがいい。
自分の才能がわからずふさわしくないと思う愛涙、動物に寄り添い人間でいたくないと思うカフカ、サーカスを死に場所と定めているアンデルセン。そして死に物狂いでブランコ乗りであることに矜恃を持ち続けてついに舞台へ至る涙海。痛くて苦しくて、でもだいすきだという気持ちでひいひい言いながら読みました。少女はグロテスクでもあるというのがラストにつながった気がして鳥肌がたった。すごく好きな一冊でした。
沙漠の聖地カヴルで天真爛漫に育った男装の少女ラビサは、“シムシムの使者”として旅立つことに。シムシムは水をもたらす奇跡の樹で、その種子を植えるに相応しい町を広大な沙漠からひとつだけ探すのだ。旅立ち直前、カヴルが盗賊“砂嵐旅団”に襲われ、ラビサは突如現れた少年ジゼットに救われる。そして二人は逃れるようにカヴルを離れ、運命の旅に出た! 沙漠を舞台にドラマチックな物語が始まる!(裏表紙より)
丈夫に育つようにということで男装して育ったラビサは活発な女の子。兄に続いて使者に選ばれたラビサは、シムシムを植える街を選ぶための旅に出ることになるが、旅立ちの日、砂嵐旅団に襲われ、窮地に陥ったところを夜色の髪の少年ジゼットに救われる。ふたりの沙漠と真実をめぐる冒険が始まった。
まっすぐな少女と、闇を抱えながらそのまっすぐさに感化されていく少年。ふたりの旅は簡単なものではないけれど、困難にぶつかったときの一生懸命さがいいなあと思いました。このふたり、今後どんな風に成長していくんだろう。
あの無能で怠惰な百之喜に、なぜ真面目で前途有望な雉名や隠しワザ満載の鬼光、かわいい顔して武芸百般の犬槇と舞台の上なら千の仮面を持つ芳猿たちは協力するのだろうか?
まして——超有能で超美人、引き手あまたは絶対確実の凰華が百之喜ごときの秘書に甘んじてくれているのか?
凰華との出逢いや幼なじみたちが巻き込まれた奇妙な事件を通じて、百之喜との友情が描かれる短篇集。(裏表紙より)
「犬槙蓮翔と『見合いクラッシャー』」「芳猿梓の『お留守番』」「鬼光智也は『昭和の男』」「雉名俊介に『天敵現る』」「百之喜と凰華が『最悪の出会い』」の短篇集。百之喜と幼馴染たちの過去エピソードが語られながら、現在起こっている困りごとを解決。そして百之喜がどうして事務所を始めることになったのか、という話。
百之喜のエピソードがめちゃくちゃ面白く、かつやっぱり人間関係のいやらしいところが腹が立つように、そしてちゃんと成敗されるように書かれていて、あっという間に読んでしまう。しかしやっぱり仕事はしてない……笑 なんとかレンジャーの活躍がもっと見たいなー!
通りすがりに偶然助けた(かもしれない)相手の無事が知りたい——なんだか奇妙なその依頼を百之喜は軽い気持ちで引き受けた。だが、安否を確認するだけのはずが、なぜか複雑怪奇な展開に? やる気のない所長のシリーズ第二弾!(裏表紙より)
喫茶店で倒れた男性に、周囲いた客の一人が「彼を知っている。彼は糖尿病患者だからインスリンを打たなくては!」と主張した。だがたまたま居合わせた宿根は「インスリンじゃない、グルコースだ!」と叫ぶ。低血糖の症状だと思ったからだ。その倒れた男性は病院に運ばれていったが、果たして自分の処置は正しかったのか、無事かどうかを知りたい、ともものき事務所に依頼に来たところからスタート。
事務所の人たちはさほど関わらず、どちらかというと遺産を巡る泥沼劇を説明されていく話です。まったく冒険らしい冒険なんてしていないのに、ぐいぐい読ませる茅田さんはさすがだ。嫌な人間が出てくると「きいー! 腹立つー! こらしめてやってほしい!」って思うとその通りにしてくれる爽快さがあって楽しいです。
世界中の呪いが集まる百塔街。魔界の血を引くアレシュが結成した、街を守る「深淵の六使徒」は、突如空いた大穴の解明に乗り出す。そこへ、魔界の紳士がメイドのハナを迎えに現れた。アレシュの目前で婚約者だという彼の手を取り、去ってしまったハナ。茫然自失で寝台の中へ引きこもるアレシュだったが、ハナの悲しい本音を知って、彼女を取り戻そうと魔界へ乗り込むことに——!(裏表紙より)
神様の使いでも人類の救世主でもないけれど、自分のために行動する六人の人外たちのお話。前回は神のご加護を持つ聖職者が相手でしたが、今回は魔界の住人と対決。
ちょっとずつ壊れている人たちが居場所を見出している感じがしてほっこり、アレシュとハナの不器用な触れ合い方に切なくなったりきゅんきゅんしたり。謎は残っているけれど収まるところに収まってほっとしました。
殺し屋の街・博多で生き残るのは誰だ!?
福岡は一見平和な町だが、裏では犯罪が蔓延っている。今や殺し屋業の激戦区で、殺し屋専門の殺し屋がいるという都市伝説まであった。
福岡市長のお抱え殺し屋、崖っぷちの新人社員、博多を愛する私立探偵、天才ハッカーの情報屋、美しすぎる復讐屋、闇組織に囚われた殺し屋。そんなアクの強い彼らが巻き込まれ、縺れ合い紡がれていく市長選。その背後に潜む政治的な対立と黒い陰謀が蠢く事件の真相とは——。
そして悪行が過ぎた時、『殺し屋殺し』は現れる——。(裏表紙より0
アニメ化と聞いて積んであった一巻を読みました。読みやすくてわかりやすい群像劇。
福岡、博多がとても危険な街だというのを逆手にとって、殺し屋がたくさんいるという物騒な街として描いているので、しょっちゅう人が死んでいく中で馬場さんの博多弁がとても癒しでした。豚骨ラーメンが食べたくなる。
馬場さんと林くんはこれからも一緒にいるのかな? 危なっかしい林くん(斎藤くんよりも彼が好きだ)の今後が気になります。
遺跡の発掘に情熱を燃やす、トレモア公爵アントニー。修復師として働くダフネは、雇い主である彼に密かに恋している。彼のために休みなく働き、認められるのが唯一の幸せだ。だが、あるときアントニーがダフネのことを「竹節虫」で「背景のようだ」と評するのを聞いた瞬間から、ふたりの立場が逆転した。仕事を辞めるというダフネを引き止めたアントニーは、やがて優秀な修復師としてしか捉えていなかった彼女の魅力に気がつく。そして運命の雨の日、アントニーが見たのは味気ない眼鏡と作業エプロンを取り、雨の中で立ちつくすダフネの菫色の瞳の美しさだった……。去ろうとするダフネと引き止める公爵。ふたりの間に甘い火花が飛び散——。リタ賞&ロマンティックタイムズ・ブッククラブ特別賞受賞の実力作家、日本初登場!(裏表紙より)
駆け引きがとても楽しくてセクシーなロマンス小説でした。冴えない眼鏡とひっつめ髪で必要なこと以外は口にしない(口ごもってしまう)ダフネ。公爵という立場から人を従わせることに慣れている傲慢なアントニー。主人と雇い主であった二人が、恋の駆け引きをしてやがて婚約するに至るまでの道のりが、まあ本当にたいへんで!
ダフネが頑なになる理由がわかるけれど、アントニーがんばれ! っていう気持ちもあって大変でした。しかし女性に対して冴えないということを陰口叩くのはいくら公爵でもいけないよなあ。しかし雨にあたる彼女を見て、世界が変わったように彼女が浮かび上がるっていうシーンはたいへんエロティックでロマンティックでした。さぞかし綺麗だったんだろうなあ。
社交界の出来事が雑誌や新聞で激しく書き立てられる時代のお話だったけれど、ダフネなら公爵夫人になっても乗り切れるだろうな!
代々暗殺業を営み、「災いを呼ぶ魔女」と忌み嫌われる少女・アリシアは、突如舞い込んだ暗殺の仕事を引き受けた。——実は暗殺など、一度もしたことがないのに。
しかもアリシアが狙うべき相手とは、「幸いの王」と呼ばれ、不死と名高い王太子・ディカイユで……!?
暗殺少女×不死の王太子——
不幸と運命が奏でるラブファンタジー(裏表紙より)
暗殺なんてしたことないけどお仕事果たしてみせます! 系かと思ったら全然違った。ちゃんと河上さんの書く、苦労人で頑張り屋な女の子が、小さな幸せを見つける話だった。
魔女の存在が薄れつつある国で、薬師であり暗殺者である魔女の家系に生まれたアリシア。祖母が亡くなり一人きりで暮らしていたところ、魔女に暗殺の依頼が。自分の片割れのように感じている存在「イリア」に会うためにアリシアは山を降りて暗殺に手を染めることに。
この、「イリア」に会いたくてというのがいじらしい。稀に見る不幸体質のアリシアは、稀に見る幸運体質(?)のディカイユを暗殺するのですが、このディカイユの幸運体質も実は……という。
アリシアとディカイユが、長く生き別れていた片割れを見つけたかのように幸せそうにしているひと時が本当に泣けて泣けて仕方がない……。
ディカイユの周りの人たち、ソリスとエネシアもいいキャラクターで、エネシアのことがすごく気になります。っていうか好きです。彼女はどうやら本当に超幸運体質というか、何をしてもうまくいく感じのようなので。エネシアとアリシアの牢のシーンもうるっときたなあ。
竜田メグムは高校一年生。大学生の姉と、小学生の妹がいる三人姉妹。穏やかな父としっかり者の母の五人家族は、明るく平凡に暮らしている。だが、近頃メグムの心は晴れない。理由は進路に関わることなのだが……。そんな時、長いこと空き家だった近所の洋館に、不思議な人物が引っ越してくる。そしてそれは、思いもかけない形で、メグムの「家族」と関わってきて…!?(裏表紙より)
表紙の感じと家族構成から、姉妹の話かなと思っていたんですが、家族の話でした。しかもかなり込み入っている。普通に生活している、でもちょっとだけ込み入った家族がいる高校生の女の子の日常を、ちょっとだけ切り取ってみたという話でした。
主人公は高校一年生、美大受験をしたいと言えないでいるメグム。今野さんの文章って柔らかくってふんわりしていて読み心地が好きなんですよね。一人称の感じがすごくいい。