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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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入院してみた 血の海です、と医者が言い。
2016年11月刊。『楽園の魔女たち』でおなじみの樹川さとみさんが、2013年2月から2014年3月までの入院の記録を、ツイッターでアップしておられましたが、それに加筆修正を加えたものです。電子書籍でも読めますが、私は本が欲しかったので製本版を買いました。
樹川さんのご本は、ずっとずっと好きだったので、新作が出なくて寂しかったんですが……相当な大病をなされたようで。これは胸腺腫、胃粘膜病変、Good症候群といった難病と闘った記録です。
発覚から、治療、検査、病院の様子、転院などなど。読みながら、「いつも読んでたあとがきみたい!」と嬉しくなる。いや、嬉しがっちゃだめだと思うんですけど。相当辛かったはずなのに、冴え渡るツッコミが非常に楽しくて、いまきっと少し気持ちも体調も戻られたんだなあ、と感じました。
ツイッター、フォローしてるんですけど、お元気そうで何よりです。
いつか、新作が読めたらいいなあ、それも『時の竜と水の指環』とか『千の翼の都』みたいな話がいいなあ。そんな風に思いました。
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王女殿下は心配性につき! (ビーズログ文庫)
今日もしくしく痛む胃を押さえ、国のためにあくせく働く王女殿下——そんなグリゼルダのもとに、隣の大国・ミトラス帝国の次期皇帝候補でもあるラドラー公ヴィルベルトから、緊急の手紙(という名の脅迫状)が! そこで告げられたのは、グリゼルダが管理する鉱山のダイヤがニセモノだったということ。捕食者の笑みを浮かべるヴィルベルトとの、胃がキリキリの駆け引きがはじまり——!?

ダイヤモンド鉱山の領地を治める小国の王女グリゼルダ。胃痛持ちで常に胃薬を手放すことができないグリゼルダだが、次から次へと胃の痛い事件ばかりが起こる。偽ダイヤ事件で関わることのなったヴィルベルト公爵殿下との出会いで、ますます胃が痛くなる日々……。
恋愛要素はちょっと添える程度。頭のいいグリゼルダと、嘘つきで本心を明かさないヴィルベルトの駆け引きと、事件解決がメインです。もうちょっとヴィルベルトのいいところが見たかったなーとか。今のままだと、従者のセールイと悪巧みしかしてない感じが……。
デスクワークが多くて胃痛持ちのグリゼルダですが、かなり行動的で物怖じしないところがかっこいい。それでも言動の端々から可愛いところが感じられるので、もっと活躍したところが見たいなと思いました。
侍女ですが恋されなければ窮地です (一迅社文庫アイリス)
傭兵隊との契約更新のための結婚? 大切な姫様を野蛮な傭兵隊長になんて渡せません! 公国の姫に、継母から持ち込まれた傭兵隊長との政略結婚。侍女マリアダは、秘密裏に姫を恋人と駆け落ちさせることに成功!——したものの、怒った公妃から姫のふりをして傭兵隊長を誘惑し契約更新を取り付けるよう命じられる。姫の幸せを守るため、マリアダはしぶしぶ身代わりとなるが……。侍女と敏腕傭兵隊長の身代わりラブファンタジー★(裏表紙より)

留守がちな父が不在の間、継母から虐げられてきたものの、楚々とした美しさと優しい心根を持って育った、大事な大事な姫君。そんな彼女が幸せになれるよう、用意周到に計画した結果、信頼できる結婚相手を見つけて姫を駆け落ちさせることに成功した、侍女マリアダ。さあ、あとは継母であるテレーザ公妃に、「ざまあ!」と言って退職するだけ……だったはずが、実は国は、姫君を差し出さねばならないほどたいへんな状況だったらしい。
という、とにかく主人公マリアダが、賢くって機転が利いて一生懸命、かつ若干ちょろいところが本当に可愛い話でした。面白かった!
正体が見破られているかどうかについては、傭兵隊長ジルヴィーノが「すごい観察眼を持っている」という描写があるので、こりゃもうバレてるなあというのが分かるんですが、マリアダの必死な演技が可愛いし楽しい。ジルヴィーノは、頭が切れるからなあとちょっと一歩引いてみてたんですが、泣き始めたマリアダに向けた台詞の優しさに、落ちました。……その台詞反則!
テレーザはテレーザで国のことを考えて一生懸命だったようだし(それにしては継子いじめがひどかったけれど)、随所のテレーザとマリアダの対決は読んでて楽しかった。
面白かったです。
晴明鬼伝 (角川ホラー文庫)
修験道の里、葛城山に暮らす役の一族の長・大角を陰陽寮当主・賀茂忠行が訪れた。十五年前から恐れていたあの者が都に現れたため、力を借りに来たのだ。長は忠行に息子の志狼を都に連れていくことを勧める。しかし、志狼は怨霊となった母・黒御前の呪縛に苦しんでいた。忠行は、その怨霊の背後にあの者の影があることを感じる……。
人心が荒み、闇に魑魅魍魎が跋扈した時代——闇に抗った者たちの姿を描いた長編伝奇絵巻!!(裏表紙より)

面白かった! 読み応えがありました。文庫で565ページですよ。大作でした。
この本を読みながら、ちらちらと『〈骨牌使い〉の鏡』が頭をよぎりました。異形のものと、人知を超えたはるかなものと、この世の理みたいなものが感じられたからかなあ。
修験道の長の息子、志狼が、賀茂忠行に連れられ都に行ったことから、運命は大きく回り始める。鍵となるのは一人の少女。妖女・鳴滝ら妖しのものに連れられ、道具として使われている葛葉は、白い髪と金の目を持つ童子を弟と呼んで世話をしている。この、志狼と葛葉が出会うことで、また大きく物語が動く。
タイトルにあるように、晴明と鬼にまつわる物語なので、陰陽(本当の意味での)だったり、鬼と人だったりと、対比がすごく効いた話でした。
文調が美しくて、魑魅魍魎が跋扈する平安という時代設定や、志狼、葛葉以外の登場人物たちもすごく魅力的で、面白く読みました。これ、ぜったい好きな人がいると思うなー!
楽園のとなり (レガロシリーズ)
古代の言葉で「楽園」を意味する王都ドラ。カンナはそこで王立騎士団員を目指し、日々努力を重ねていた。入団試験の対策は万全、実力も充分。しかし年に一度の試験では、なぜか毎回毎回思いもよらぬトラブルに巻き込まれ、受験できずにいた。
次こそはと意気込むカンナは、四度目の試験を一ヶ月後に控えたある日の夜、衰弱し、行き倒れていた謎の美少年・シンクを拾う。間近に迫る試験のことを気にしつつ、しかし誰かに追われている様子の彼を放っておけないカンナだったが、シンクは彼女の善意を疑って……。(帯より)

この世界には、「もっている人」と「もっていない人」がいて、そうした神様の祝福のようなものは、本当に頑張っている人に与えてもらえるのだろうか? と問うような話でした。息苦しさはないけれど、ひたすら拳を握りしめて、がんばれ、がんばれって応援したくなるヒロインのカンナでした。そう、彼女は、努力したら報われるということを疑わない。信じて、前を向く。迷っても、それでもと自分を諦めない。すごいことだと思う。
地にしっかり足をつけて、今日も頑張っていこう。そんな風に思える作品でした。
時の石 (角川文庫 緑 500-3)
 直径7〜8センチの小石に秘む謎。色は何色にも見え、ぼくが持つと、まるで地球全体を握っているかのように重く冷たい。ところが、友人が持つと実に軽く熱いのだ。しかも、石を手にすると友人は、全ての悩みを忘れて陶酔してしまう。ぼくはひどく興味をそそられていた……。
 そんなある日、友人は、その石を握ったまま突然自殺してしまったのだ。僕は石の謎を追求しはじめたが……。
 ”ぼくらは何のために生きるのか?”若者が抱くこの永遠の命題をテーマに描く、甘くせつない青春の光と影。栗本薫の衝撃の問題SF。他に「黴」「BURN」併録。(折り返しより)

永遠の刹那を望む者が触れると、その意識をその時間軸に閉じ込めてしまう「時の石」を手に入れてしまった少年の、青春の影を浮かび上がらせるような短編「時の石」。
原因不明の黴によるパンデミック、滅んでいく世界の中、たった一人偶然に生き残っていく女性が登場する「黴」。
世界が混沌としたものに変貌し、どうやら一人取り残されてしまったらしい男が生きる「BURN」。
「BURN」はとても、「アイ・アム・レジェンド」を思い出します。ゾンビじゃないし、すごくサバイバルってわけでもないのですが、生き残った男と、偶然出会った狼(野生のもの)、サバイバーである女性とコミュニティ、というモチーフが揃っている。けれど、ここで主人公が出す答えは、なんというか、あんまり外国で見るような終わり方じゃない気がして、面白いと思いました。すごく現実的で、地に足がついているような。
ブラックスローン インディゴの夜 (集英社文庫)
個性的なホストたちが人気を集める渋谷のホストクラブ「club indigo」。常連客の真千子が殺され、指名されていたホスト・DJ本気が疑われる。オーナーの晶とホストたちが事件を追ううち、ネット上に「もう一つのindigo」が存在し、真千子がそこを運営していたことが分かる。ネットとリアルの両方から犯人探しを進める晶たちだが……。大人気シリーズ最新作が文庫オリジナルで登場!(裏表紙より)

この巻から集英社文庫に移動した様子。
殺された指名客が運営していたらしい「もう一つのindigo」、それは、SNSサービスにある架空の街にある、ホストたちそっくりのアバターとそれを操作するユーザーたちによって作られたものだった。
殺人まで起きるか? っていう気もしますが、それだけ事件にまつわるWeb関係のもろもろを身近に感じました。RMTとか、絶対トラブルあるよね……。
この本、キャラクタービジュアルと、シリーズ紹介のためのイラストが入っていて、すごくいいです。前の創元推理文庫版も好きでしたが、こちらはよりキャッチーというか。好みです。晶さんかっこいい!
左遷も悪くない
優秀だが融通が利かず、上層部に疎まれて地方に左遷された軍人ウリセス。
左遷先でもあらぬ噂を流されて孤立無援状態のウリセスだったが、ふとしたことから、かつて彼が命を救った兵士の娘レーアとの縁談が舞い込む。
そのまま、式の当日までお互いの顔すら知らずに結婚した二人。ウリセスの武勇伝を聞かされて育ち、ずっと彼に憧れていたレーアは健気に尽くそうとするが、緊張と不器用さから首尾よく立ち回れない。一方のウリセスも、無骨な気質が仇となり、彼女の気持ちに上手く報いることが出来ないでいた。
そんな中、個性豊かなレーアの兄弟達が、次々と二人の前に現われる。彼等がもたらす騒がしくも心温まる出来事は、軍人として厳しく己を律して生きてきたウリセスに、かつて味わったことのない癒しを与えてくれるのだった。レーアとの絆、そして家族への愛情が深まるにつれ、不遇だったはずの彼の左遷が、思いもよらぬ幸せに満たされていく——(折り返しより)

すっごくすっごくすっごく! 面白かったー! 癒される……。心がほっと和みました。
根っこから軍人気質のウリセス。脳筋かと思いきや、気の利いた言葉が言えないだけで、他人を気遣うことができる、誠実な心根の持ち主。かたや、ごく普通の、貞淑な女性であるレーアや、空回ったり控えめであったりはするものの、信じるという芯を持った強いひと。この二人が、家族になって、少しずつお互いの人生に影響しあっていく。
いやー、兄弟たちがすごくいいですね! 家族になるってこういうことなんだというか、ウリセスとレーアの器の広さをすごく感じます。家族になったんだから、と二人とも当たり前に、伴侶の家族をテリトリーに入れるところがすごい。あなたの大事なひとは、わたしにとっても大事、ということを、当然に行動できる二人がいい。胸がじんわり暖かくなります。
続き読みたいなあこれ! 子どもとかどうなるのかな!
事象の地平 (白泉社文庫)
「大人になるとゆー事は、自分が世の中の主役ではないって事を認識する作業だと私は思っている…(中略)天動説から地動説へ。コペルニクス先生はいい人だ。…などと益体もない事をつぶやきながら、今日も、自分を慰め…」〈本文P.17より〉哲人・川原教授によるお気楽・哲学講座をまとめた、まるかじりエッセイ集!! 川原泉ロング・インタビューの他に、ピタゴラスを始めとする12哲人の紹介が入ったファンならずとも必見の一冊!(裏表紙より)

カーラ教授の、コミックスの柱とか巻末とかにある、ぼやぼやとした言葉が好きなんですが、そういうものが集まったエッセイです。章ごとに、いろんなテーマの簡単な解説(辞書?)が挟まっていて、すごく……不思議な本です。
インタビューに答えているのを初めて見て、そういうこともする人なんだ……と思いました。勝手にそういう、人に話すことがきらいな方だと思い込んでいた。
知らずに他人を傷つける人たち (ベスト新書)
「モラハラ」は今、「セクハラ」前夜
 新種のハラスメントがやってきた!
 職場や家庭でのいじめや嫌がらせを表すことばとして新たに登場したのが、モラル・ハラスメント(モラハラ)だ。
 加害者は、言葉や態度によって巧妙に相手を傷つけることによって、相手を支配し、隷属させようとする。被害者は気づかないうちに相手の術中に陥り、「悪いのは自分のほう」という意識にまでなるという。職場においてモラハラがはびこると、社員のメンタル・ヘルスに悪影響を及ぼし、企業の生産性が低下するのはいうまでもない。
 モラハラは病気なのか、モラハラをなくすにはどうしたらいいか。また、モラハラをしないようにするには何に気をつけるべきか。(カバー折り返しより)

2007年の発行。モラハラの入門というところでしょうか。ネットではもう少し詳しくなっているし、本も今はまた新しいものが出ているのかな?
自己愛って言葉の違和感が、ちょっと分かりました。そうなんですよ、自己愛って聞くと、ナルシスト、自分大好きってイメージがあって、なんかちょっと違うなーって思ってたんですよね。自己愛じゃなく、「他者は自分のためにいる」って言葉に変えると、なるほどと思いました。
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Author:月子
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