読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
〈骨牌〉の王国であるハイランドの王を補佐するすぐれた骨牌使い、その中でも隠されし骨牌にして強大な力を持つ〈十三〉。それがアトリの本来の姿であった。
つきつけられた現実をとらえきれない、そんなアトリの前に姿を見せたのは〈斥候館〉に残してきたはずの親友・モーウェンナだった。追い打ちをかけるように、彼女は言った。
「〈骨牌〉のひとり、〈塔の女王〉とは、このモーウェンナのことじゃ」
一方ハイランドと対立する〈異言〉のものたちは、〈十三〉を狙って次なる行動をはじめていた……。
数奇な運命に翻弄される少女アトリの成長、冒険、恋を描いた日本ハイ・ファンタジーの金字塔! 激動の第二巻!!(カバー折り返しより)
内容紹介でネタバレするの止めてください! と思った第二巻。ハイランドの王の都に到着したアトリは、そこで選ばれし〈骨牌〉だけでなく、王にまつわる複雑な事情を知ることになる……。世継ぎの君とのあれこれはにやにやですね! ファンタジーにおいてとても美味しいものです。選ばれた運命を持つ少女、それも、力に翻弄され、すべきことが分からない、自分すらも分からない少女が、同じようなものを背負っている世継ぎの王子とぶつかったり一緒にいたりするのはとてもときめきます。
血にまつわる物語なのだろうというのは感じていたんですが、アトリだけでなく、ハイランド王に関するものも悲しく、濃く。これがまだ語り終わっていないという過去の出来事とどう関わってくるのか。楽しみです。
PR
腕の良い占い師だった母を亡くしたアトリは、娼館〈斥候館〉の女主人の寵愛をうける占い師。今日も館の花の祭りに招かれていた。館では年下の親友モーウェンナから頼まれて骨牌占いをするが、その最中に因縁をつけられたアトリは、その場にいたひとりの青年・ロナーを占う羽目になる。そこでアトリに選ばれた札は不吉なものだった……。
祭りの帰り、何者かに連れ去られそうになったアトリは、母から受け継いだ大切な〈骨牌〉が、音もなく光の粒となって消えゆくのを目にする。その直後、異形のものに襲われる——。
少女アトリの成長、冒険、恋を描いた日本ハイ・ファンタジーの金字塔が全三巻で登場!(カバー折り返しより)
〈骨牌〉と呼ばれるカードから不思議な力を引き出すことのできる、骨牌使い。母を亡くしたアトリは自らの由縁を知らないながらも、毎日穏やかに暮らしている。しかしある日、彼女を〈十三〉と呼ぶ青年と出会ったことで、世界の運命が回り出す、というもう序盤からわくわくしっぱなしのファンタジー。
骨牌と呼ばれるものはタロットカードを連想させて、正位、逆位などが関わってくる模様。十二枚あるはずのそれぞれを司る存在がいて、十三番目というのが世界の成り立ちに関わってくるらしい。主人公が女の子というだけでも垂涎ものですが、やはり世界観がとてもいいなあ! 神話が生き、土の上に人がいる世界の物語。一巻目は人物の顔出しという感じなので、二巻も楽しみに読もう。
王太子妃アンヌに仕えるため、ロザモンドは王都ライサンダーを訪れる。そこで彼女を待っていたのは、薔薇の騎士の奥方であるがための貴婦人たちからの嫉妬と羨望の眼差しだった。けれどロザモンドは、持ち前の才覚を発揮し華やぐ宮廷で持て囃されるようになる。そんなある日、彼女の前にケネスの兄ユスターシュ男爵が現れる。それはロザモンドにとって、屈辱的な噂が流れるきっかけとなり!?(裏表紙より)
第三巻にあたるこれが2010年刊行で、続きが出ていない! ここから面白くなるところなのに!
知恵と才覚のあるロザモンド、宮廷へ。前巻で親しくなった王太子妃アンヌの側仕えとして、話し相手になったり、香りを調合したり、すべきことをきちんとやって評価を得ている。しかも、親友で側仕えのシェリルのお針子の腕前が大活躍! 一気に注目を浴び、ファッションと流行の第一人者となりつつある。シェリルの一代記だけでも立派な少女小説ですが、彼女は召使いという形なので表にでないんでしょうか。残念。
華やかに成功を収めつつあるロザモンドですが、義兄ユスターシュ男爵らの秘密や、夫ケネスの胸の内がはっきりしないせいもあって、宮廷ではロザモンドを軽んじる噂もある。ここでケネスが来たらかっこいんですが、どうもうじうじとぱっとしないヒーロー。従者は褒めるのに奥方は見ていないのか! そろそろ男前なところ見せてください!
気になるところで終わっているので続きが読みたいです。
周囲の誤解で意に染まぬ結婚をしたエストランジュの領主ケネスとその妻ロザモンド。けれど、ケネスは聡明でまっすぐなロザモンドに惹かれはじめ、ロザモンドもまた、ケネスに心を寄せていく。だが、五年後には婚姻破棄を申請されると信じていたロザモンドは、ケネスの妻として振る舞うことに躊躇いを感じていた。互いの気持ちに気づかぬまま、領地にある離宮に王太子妃を迎える日が迫り…。(裏表紙より)
貴族ではないけれど賢く働き者のロザモンドと、薔薇の騎士と呼ばれる容姿を持ちながら恋愛事に鈍く不器用なケネスの、期限付き結婚の行方の第二巻。二人ともはっきりしろー! というじれじれな展開です。好ましく思っているのに第一印象が悪すぎてこじれてしまった典型的なパターンですね。
王太子妃を離宮に招くことになったものの、敵国から嫁いできた十四歳のアンヌ王女は、古びた服装にすっぽりベールを被り、話もせず、お目付役の修道女が目を光らせていてなんだか近付きがたい。しかしそこはヒロイン、ロザモンドは知恵と実力で王太子妃に慕われるように。この辺りの展開が、賢い女性という感じで大好きです。薬や医術の知識があるヒロインの強さ!
そして次回はどうやら宮廷編。楽しみだ。
レティシアは至って気楽に声を掛けた。
「よう、ニコラ。久しぶりじゃん」
はじかれたようにニコラが飛び上がった。悲鳴を上げなかったのが不思議なくらいの過剰反応だった。
ニコラがこれほど恐怖を覚え、緊張しているのには理由がある。レティシアは小柄で陽気で気さくな性格で、まさにどこにでもいる典型的な少年の一人だが、その正体は殺人鬼である。
「その……誰か紹介してもらえないかな。こういうことに慣れていて、秘密厳守でうまく処理してくれる人」
「ひょっとして俺を犯罪組織の構成員かなんかと勘違いしてねえ?」
ニコラの眼が丸くなる。「…違うの?」
連続猟奇殺人事件の犯人(!)だったニコラが、被害者(!?)だったレティにまことに大胆な頼み事を??」
クラッシュ・ブレイズ、これにて終幕。(裏表紙より)
二巻目の『スペシャリストの誇り』の関係者だったニコラ少年が、父親を助けてほしいとレティシアを尋ねてくる「レティシアの場合」。特に殺す理由がないから、暇つぶしに、と手を貸してくれるレティシアは本当に気まぐれだけど、いいやつだ。好青年を演技しているところがすごく好きなので、楽しく読みました。
もう一本は「ヴァンツァーの場合」。ヴァンツァーは、第二の人生を歩むようになってからどんどんやりたいこともやっているし、友達も出来て我がことのように嬉しいです。年上で尊敬できる女性が好きなヴァンツァーは、その娘であるビアンカと継母であるブリジットと親しくなる。二人とも、ヴァンツァーの美しさに大きな反応をせず、あるがままに受け入れてくれる。ビアンカはある特殊な事情からだけれど、最後のシーンを見るかぎり、いい友達になってくれるようだ。
さて、ゆっくり読んできたクラッシュ・ブレイズシリーズもこれでおしまい! 続刊は課外活動やトゥルークの海賊などがあるようですが、私は一旦ここまで。楽しかった!
ケリーはのんびりと言い出した。「ダイアンも休暇を取るそうだ。ものすごい勢いですっ飛んでったぜ」
宇宙船においてきぼりにされる操縦者も珍しいが、こうしたことは初めてではないので、ジャスミンも落ち着き払ったものだった。
「では、ダイアナが戻ってくるまで島流しだな」
「気合いを入れて遊ぶとしようぜ」
惑星バラムンディのパールビーチ——白い砂浜と青い海、珊瑚礁が魅力の保養地での出来事である。
どこにでもいるただの人だ(と、本人たちは固く信じている)が目立つことこの上ない二人に、にぎやかで一方的な危ないお誘いが続々とかかる。
どうやら、この惑星のカジノ王の一人娘オディールが関係しているらしいのだが……(裏表紙より)
『逆転のクレヴァス』にて、ダイアナが置き去りにしていった「バカンス中の二人」パート。夫婦! 夫婦! 前半夫婦ばっかりですっごい楽しかった! 最強の人たらし夫婦が当然という顔をして過ごしているのが本当に好きだ。この二人、若返ってから更に生き生きとしている。後半から、クレヴァス後のリィとシェラも参加。宇宙最強の船乗りかっこいいいいいい。親子で飛べてよかったね!! というところもあり、楽しかったです。
たったひとつの願いを、少女は胸に抱いている——。
騎士ダニエル・フォーネッカーと旅を続けて一年半、訪れたウェイミス王国でミオーニはダニエルの盟友ラドリと出会った。そして、その青年によってミオーニが示唆されたのは、二人でいることがダニエルの騎士としての名誉を汚す可能性だった。ひとり思い悩むミオーニ。そしてダニエルと心がすれ違ったまま、王国の政治闘争にお互いが思わぬ形で巻き込まれた時……。
「瑠璃色の夜、金の朝」のほか、書き下ろし「薄荷色の貴婦人」を収録。ガールズ・ファンタジック・ロマン完結篇!!(裏表紙より)
よく噛んで食べるんだぞ、と浮浪児だったミオーニに優しい言葉をかけてくれた、美しくて強い金色の騎士ダニエルとの旅。ミオーニは少年に間違えられるほどの幼い容姿、ダニエルも彼女を子ども扱いして、時々女の子であることを忘れている風だ……という拾われ少女と騎士の物語、完結巻。
ミオーニはダニエルと一緒にいたいという気持ちが強くて、恋人同士という雰囲気ではなさそうな気がしていたんですが、一年半の間に「女の子扱いされたい」という気持ちが強まったようです。あんまりじたばたする様子はないのですが、一緒にいたい、離れたくないという気持ちは強くなっている。そして、ダニエルはついに、手放したくない、と思う。きゃー! と叫んでしまいました。でもやっぱりどうも保護者な感じが。いつか他の人を選んだら仕方がない、と思っている様子でしたが、もうちょっとその辺りの葛藤を詳しく! お願いします! と思ったけれどこれでおしまいなのだった。うー続き読みたい。ロマンスで!
食事だと言われて居間へ移ったリィは、その瞬間、顔をしかめた。
部屋中に強烈な甘い匂いが漂っている。ドーナツ、デニッシュ、パイ、マフィン。数種類のケーキ。トーストの類もあるが、用意されているのはピーナツバターやジャムなど、見事に甘いものばかりだ。さらにスナック菓子や炭酸飲料が並んでいる。
男は髭もじゃの顔で笑っている。
「おいしそうだろう。きみの好きそうなものばかり用意させたんだ」
「ヴィッキー?」と声をかけられて振り向くと、銃口が突きつけられた。だが怪しい風体の男からは、敵意も害意も感じられなかった。「頼むから一緒に来てくれ」と言う口調には、困惑した様子がうかがえた——
これが、この奇妙この上ない誘拐劇の発端である。(裏表紙より)
怪獣夫婦から離れて、天使組の話。「追憶のカレン」に関わったある少女との約束を果たすため、シェラとリィは、ルウを保護者にしてその場所を訪れていた。リィが離れたところで、声をかけられるも、銃口を突きつけた男からは敵意を感じない。興味を引かれてついていったリィ。この誘拐劇はいったいなんだ? という、今回は常識人がなかなか出て来ず、むしろリィとシェラが振り回されたりもするので、大変。しかも専門的な話は二人ともからきし、なせいで余計に話がこんがらがってくる。
しかし、登場するヴィッキー少年はなんだかいい感じに友達になれそうで、ちょっとほんわか。リィもシェラもこういう子には好感を持ってくれるので、ちょっとわくわくしました。普通の子がもっと二人に絡めばいいのになー。学校のみんなは、二人のことちょっと特別視してるから。
ついにクレアはジェイミーに真実を打ち明けた。自分が20世紀から来た人間だということを。ジェイミーは愛する彼女の言葉を信じてくれた。
やがて二人はジェイミーの故郷を訪れるが、そこで聞かされたのは彼の姉にまつわる意外な事実。それを知ったジェイミーは姉の手を握り締めた……。
しかし、平穏な暮らしは突如引き裂かれた。ジェイミーが敵に囚われたのだ。
なんとか救出しようとするクレアに、ドゥーガルが言う——ジェイミーが助かる可能性はない!
『時の旅人クレア』興奮と感動の完結編!(裏表紙より)
久しぶりに続きを読みましたが、おーもしろー! ごろごろ転がってしまった。以前ほどクレアの状況が手探りでなくなってきたからかな。
クレアとジェイミーは逃亡し、ジェイミーの故郷ブロッホ・トゥアラッフを訪れる。ジェイミーの姉ジェニーとその夫イアンと過ごす家族の日常は穏やか。誤解や思い込みも解消されるものの、赤軍服やランダル大尉は執拗にジェイミーを追っている。ここまで危機に瀕するヒーローもないと思うし、ここまで全力で行動するヒロインもいないよなあ! 海外ハーレクイン系の長編は、とってもハードでリアリティがあって、すごい。面白い。クレアの強さが好ましい。
傷つき、疲弊し、完治しない傷を置いながらも、癒し、繋がり、祈り、愛し合う二人は確かに生きているなあと思います。アンセルム神父の言葉がどきっとした。
「あなたはここでなにか行動を起こして、未来に影響を及ぼすのが怖いとおっしゃる。非論理的です、マダム。あらゆる人の行動が未来に影響を及ぼすのですから。あなたがご自分の時代にいたとして、やはりあなたの行動は未来に影響を及ぼすのですよ、いまと変わらず。(略)」
その出会いが、一人の少女を変えた——。
浮浪児のミオーニが騎士ダニエルからもらったのは、パンとチーズと「よく噛んで食べるんだぞ」という言葉。それは誰からも顧みられることのなかった掏摸の少女に、初めて与えられたやさしさといたわり、許しと信頼だった。だからミオーニは走る、ダニエルのために。そしてクァストーレの街を戦禍から救うために……。表題作のほか、長篇書き下ろし「鈍色の記憶」を収録。甲斐透がおくるガールズ・ファンタジック・ロマン!!(裏表紙より)
気がつけば老爺に育てられ、その老爺も死に、親なしの子どもたちを集めて掏摸などをさせる親方に殴られる毎日だった浮浪児のミオーニ。金色の美しい騎士ダニエルに優しくしてもらったことが、本当に嬉しくて。こういう純粋な気持ちを抱いたままのミオーニが、一生懸命になるところを応援したくなる。そして、どんなに周囲に認められても、一緒にいたいのはダニエルだけ。でもそのダニエルは時々ミオーニのことを女の子だと忘れてしまう……大丈夫か!笑
ここで、ミオーニが成長してダニエルがぐらつくところを想像して悶えてしまうのは、私の妄想といえども仕方のないことです……。そういう展開を欲する、心から。